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Fallout 4など人気5タイトルのベストなビデオカードを探せ!
MSI「GAMING」のパフォーマンスを総チェック

GTX 950〜980 Tiで、タイトル別にフレームレートを計測 text by 石川ひさよし

GeForce GTX 900シリーズを搭載するMSI GAMINGシリーズ

 毎年、年末が近づくとともに盛り上がるのが大物ゲームタイトルのリリースラッシュ。

 今年も既に「Star Wars バトルフロント」、「Fallout 4」といった海外製人気タイトルがリリースされ、年明けまで大物タイトルのリリースが控えている。この年末年始にPCゲームを楽しむために、どのタイトルにはどのビデオカードが最適なのかを検証していきたい。

 今回はMSIがリリースしている「GAMING」シリーズを用い、GeForce GTX 900シリーズ搭載ビデオカードの性能を一気に計測してみた。下はGTX 950から上はGTX 980 Tiまで、ゲームタイトル別に性能を計測しているので、目当てのゲームや予算に合わせ、ビデオカードを選ぶ際の参考にしてもらえれば幸いだ。

静音性と品質の高さがウリ、MSIの定番ビデオカード「GAMING」

GeForce GTX 900シリーズを搭載するMSI GAMINGシリーズ

 MSIがリリースしている「GAMING」シリーズは、ビデオカードを用いるユーザーのほとんどがゲーム目的ということもあり、実質的には同社のスタンダードモデルと言える製品だ。

 MSIのビデオカードはこのGAMINGシリーズを中心に、OC向けの「LIGHTNING」や水冷の「SEA HAWK」、低コスト向けには無印モデル、銅製クーラー搭載の「GOLDEN EDITION」、GeForceビデオカード1億枚出荷記念の「100ME」モデルなどが展開されている。

 さて、今回のメインであるGAMINGシリーズの特徴を見ていこう。GAMINGシリーズは赤いヒートシンクカバーが特徴のモデル。

 GAMINGシリーズの位置づけは、もちろんゲーミング用途向けではあるが、OCモデルである点と、独自クーラーによる優れた冷却性能と静音性、そして独自基板による高耐久性という3つを兼ね備えたモデルとなる。

 まずはOC。GeForce GTX 980 Tiの「GTX 980TI GAMING 6G」を例に挙げると、リファレンスクロックが1,000MHzであるのに対し、1,190MHzが設定されており、この点でリファレンスクロックのモデルよりも高いパフォーマンスが期待できる。

モデル GTX 950 GAMING 2G GTX 960 GAMING 4G GTX 970 GAMING 4G GTX 980 GAMING 4G GTX 980TI GAMING 6G
GPU GeForce GTX 950 GeForce GTX 960 GeForce GTX 970 GeForce GTX 980 GeForce GTX 980 Ti
GPUコードネーム GM206 GM206 GM204 GM204 GM200
CUDAコア 768 1,024 1,664 2,048 2,816
GPUクロック 1,102MHz 1,216MHz 1,114MHz 1,190MHz 1,140MHz
ブーストクロック 1,279MHz 1,279MHz 1,253MHz 1,291MHz 1,228MHz
メモリクロック 6,650MHz 7,010MHz 7,010MHz 7,010MHz 7,010MHz
メモリ搭載量 2GB 4GB 4GB 4GB 6GB
市場価格(税込) 2万3千円前後 3万円前後 4万2千円前後 6万3千円前後 8万6千円前後

 続いて独自クーラー。MSIのGPUクーラーと言えば冷却性能・静音性で長年定評ある「TWIN FROZR」で知られている。

 現行シリーズでは第5世代モデル「TWIN FROZR V」をベースとしたGPUクーラーを採用している。加えて、ファン停止機能「Zero Frozr」も備え、アイドル時の静音性はさらに高まった。では、「GTX 980TI GAMING 6G」を例に、TWIN FROZR Vの構造を見てみよう。

GeForce GTX 900シリーズの最上位GPUであるGeForce GTX 980 Ti搭載モデル「GTX 980TI GAMING 6G」。TDPも一番高いため、装着されているTwin Frozr Vも最上位の構成だ。
奥からGTX 950 GAMING 2G、GTX 960 GAMING 4G……の順で手前がGTX 980TI GAMING 6G。GPUの発熱量と表側クーラーの冷却性能に合わせ、裏面のヒートシンクの有無が異なる。

 TWIN FROZRは、TWINの名の通りデュアルファン構成と、大きい表面積を実現する薄型フィンや大量の熱を輸送できる極太ヒートパイプを組み合わせた構造が特徴。

 TWIN FROZR Vでは、「分散型ファンブレード」によりエアフローを19%向上させた「トルクスファン」が組み合わせている。また、GAMINGシリーズではクーラーの上部にLEDギミックを仕込んだMSIロゴおよびドラゴンエンブレムを装着しており、通電時にはこれが発光する。

高密度のフィンとヒートパイプを組み合わせた構造がTwin Frozrの基本構造。
GTX 980TI GAMING 6GではGPU部分から上下に伸びるヒートパイプによって前後のヒートシンクに熱を分散させる。
フィン&ヒートパイプのメインヒートシンクの下にも、発熱の大きい部分には別体のヒートシンクを搭載。
エアフローを向上させた「トルクスファン」を採用。
クーラーの上部にはLED発光するドラゴンとMSIのロゴがある。
ヒートパイプの本数やレイアウトは搭載するGPU毎に異なる。

 基板部分は、ビデオカードに詳しい方なら形状を見ただけでリファレンスと異なることが分かるかもしれない。

 特にMSI製ビデオカードの基板の代表的な特徴は「MILITARY CLASS」準拠の高品質部品の採用だ。一般的な回路には10年超の長寿命をうたう固体コンデンサ「SOLID CAP」を、そして特に部品密度の高い部分や発熱や消費電力を抑えたい部分にはより高効率のコンデンサ「Hi-C CAP」を、電源回路のチョークコイルには高効率で低発熱、容量も大きな「SUPER FERITE CHOKS」を採用している。

リファレンス基板を用いるのではなく、部品や電源回路のフェーズ数などを独自に設計した基板を採用している。
メインの電源カイロには固体コンデンサ「SOLID CAP」とSFCロゴのある「SUPER FERITE CHOKS」。
GPUの裏側、最も電力管理のシビアな部分には高効率コンデンサ「Hi-C CAP」を採用。

 最後にソフトウェア。GAMINGシリーズには独自のユーティリティが用意されている。

 まずは「GAMING APP」。GAMING APPはビデオカードをより便利に使うツールであり、いくつか機能があるが、代表的なのはプリセット機能だ。「OCモード」、「ゲーミングモード(デフォルト)」、「サイレントモード」の3つのプリセットを用意しており、これを切り替えることで動作クロックを調節できる。ブルーライトカット機能をうたう「アイレストモード」や、ゲーム画面などにCPUやGPUの各ステータスを表示する「ON-SCREEN SPEED & TEMPERATURES」機能なども統合されている。

 また、バンドルソフトウェアでは、詳細なオーバークロックを可能とする「MSIアフターバーナー」、ゲームプレイ画面を録画できる「プレデター」、ゲームプレイ画面をリアルタイム配信サイトにライブ放送できる「XSplit | Gamecaster」の1年間プレミアムライセンスがついている。

プリセット型OCユーティリティ「GAMING APP」と、詳細なOCができる「MSIアフターバーナー」。

 このように、GAMINGシリーズはゲーミング用途で求められるパフォーマンス、冷却性能および静音性、耐久性を備え、さらに昨今人気の「実況」向けソフトウェアもバンドルした製品となっている。

ゲームタイトル別に見るパフォーマンス

 では、GAMINGシリーズを用い、ベンチマークソフトおよび各種のゲームタイトルでスコアとフレームレートを確認していこう。最初に3DMarkで各GPU間にどのくらいの性能差があるのか確認しておこう。設定はFire Strikeだ。

 3DMarkのスコアでは、大きく3つのグループに分類できる。スコアで6,000〜7,000台のGTX 950と960、10,000〜12,000台のGTX 970と980、そして15,000台のGTX 980 Tiだ。現在のポジショニングで当てはめれば、GTX 950と960はメインストリーム、GTX 970と980はハイエンド、GTX 980 Tiはエンスージアストといった分け方になるだろう。

3DMark

 ではゲームのフレームレートに移りたい。今回は、解像度を1,920×1,080ドットとし、画質設定はNVIDIA独自の機能(TXAAやPCSSなど)が使える場合は有効とし、それ以外を設定可能な最高画質として計測した。また、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークに関してはDirectX 11を選択している。

METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN

 まずは「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」。GTX 950 GAMING 2Gのスコアを見る限りは、今回検証したタイトルのなかでは最も負荷が軽そうだ。

 GTX 950 GAMING 2Gでも平均54.907fpsであり、GTX 960 GAMING 4Gで60fpsを超えた。なお、METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAINは、通常インストールの場合、上限が60fpsとなる。検証では設定ファイルを直接編集して上限を解除して計測しているが、この点を考慮すれば、GTX 960 GAMING 4Gで十分に快適、GTX 950 GAMING 2Gでも最高画質がそこそこ快適に動作すると言える。一方、それ以上のGPUを搭載しても、次は95fpsあたりに上限が来るようで、十分なフレームレートではあるが力を持て余した状況になる。

METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

 続いてファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。このベンチマークは、DirectX 11設定にすると、現行の中級FPSタイトル並みに重いベンチマークとなる。

 ただし、GTX 950 GAMING 2Gでもスコアにして6589、フレームレートで51.004fpsあり、30fpsを満たせば十分の本タイトルでは「とても快適」という評価である。GTX 960 GAMING 4G以上のビデオカードなら、WQHDのような高解像度、あるいはNVIDIA DSRのような高画質化機能を利用するにも十分な性能と言える。

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(スコア)
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(フレームレート)

Star Wars バトルフロント

 Star Wars バトルフロントは、およそファイナルファンタジーXIVベンチマークと同じ程度のフレームレートだった。

 ただしこちらはのタイトルで考えると60fps以上を狙いたいだろう。平均fpsではなく最小fpsで60fpsを満たすとなるとGTX 970 GAMING 4Gか、あるいは画質設定をひとつ下げてGTX 960 GAMING 4Gというところだろうか。

Star Wars バトルフロント

Fallout 4

 Fallout 4は、これまでのタイトルよりも一段重い。

 GTX 960 GAMING 4G以下は画質設定を下げる必要があるだろう。GTX 970 GAMING 4Gで平均60fpsを上回るが、最小fpsではこれを下回る。ゲームプレイにはそこまで支障ない印象だが、気になる方は画質設定をひとつ下げるとよいだろう。常に60fps以上を求めるならばGTX 980 GAMING 4G以上だ。

Fallout 4

Grand Theft Auto V

 今回最も高負荷となったのが「Grand Theft Auto V」だ。

 NVIDIA TXAAとPCSSを有効としているので、これをソフトウェアで行う場合はさらにフレームレートは低下する。60fpsを求めるならばGTX 980TI GAMING 6G一択だが、それでも時折60fpsを下回る。

 どうしても常時60fps超を求めるならばマルチGPUをおすすめするが、一般的には画質側を調整するのがよいだろう。Grand Theft Auto Vは画質設定が柔軟であり、初回起動時は搭載するGPUの性能から最適と思われる画質設定が自動適用される。これをベースに、画質とフレームレートのバランスのよい設定を探っていけばよい。

Grand Theft Auto V

Twin Frozr Vの冷却性能と静音性をチェック、システム全体の消費電力も比較

 パフォーマンス以外の視点からも、MSI「GAMING」シリーズビデオカードの特徴を捉えていこう。

 一つ目は搭載するTwin Frozr Vクーラーの冷却性能。FurMark実行中のGPU温度とファン回転数の推移を調べてみた。

 Twin Frozr VはZero Frozr機能によって低温度時にファンが回転を止める。そのために、今回の5製品はどれもGPU負荷がかかるまでの約5秒間は比較的高めの40〜50℃で推移している。

 また、クーラーのファンなしでの冷却性能の違いによって温度上昇のスピードやファンの回転数制御に違いが現れている様子。例えば消費電力の小さいGTX 950/960はGPU温度の上昇も緩やかで、高負荷時でもファンの回転数が低め。GTX 980 Tiは消費電力は大きいもののクーラーの性能も高いためか温度上昇が緩やかで、ファンの回転数も一気にではなく徐々に上がっていく様子が伺える。

FurMark実行中のGPU温度
FurMark実行中のファン回転数

 二つ目はOCCTのGPUテスト実行中に計測した動作音とGPU温度。

 動作音に関しては、どれも30dB台であり、高負荷時でもうるさいという印象はない。アイドル時に関してはファンが回転を停止しているのでシステム側の動作音のみとなる。この場合、CPUクーラーやケースファン側の静音チューンのほうが重要だ。

 グラフから分かるのは、GTX 950/960を搭載する2モデルは、上位の3モデルよりもさらに一段静かなこと。GPU温度でも、GTX 950/960を搭載する2モデルは最大60℃台と、低めの温度に抑えられていた。

OCCTのGPUテスト実行中の動作音
OCCTのGPUテスト実行中のGPU温度

 最後は消費電力。高性能なGPUほど多いというのが当然として、ただし採用するGPUコアによってレンジが異なると捉えたほうが分かりやすいかもしれない。

 今回計測したところでは、GM206を採用するGTX 950/960搭載モデルが100W台後半、GM204を採用するGTX 970/980搭載モデルが200W台後半、GM200を採用するGTX 980 Ti搭載モデルが300W台後半とそれぞれグループを形成している。

 Core i7-6700Kとマザーボード、DDR4メモリを2本、ストレージはSSDといった最小の構成で考えると、GTX 950/960を搭載する2モデルなら出力が300〜450Wクラスのもので大丈夫だろう。次のGTX 970/980搭載モデルとなると550〜650Wクラス、GTX 980 Tiでは750Wクラスが望ましい。

システム全体の消費電力

・ビデオカード以外のテスト環境機材
 CPU Intel Core i7-6700K
 マザーボード Z170搭載ATXマザーボード
 メモリ DDR4-2133 8GB×2
 SSD 2.5インチSATA SSD 256GB×1
 OS 日本マイクロソフト Windows 10 Pro (64bit)

冷却性能や静音性はバッチリのMSIビデオカードタイトル毎のフレームレートから目的の1枚を選びだそう

 コンシューマー向けのゲーム機と異なり、ゲーミングPCではゲームタイトル毎に求められるパフォーマンスが異なる。

 CPUに関しては、およそコア数などが目安となり、現在ではクアッドコア以上というのが定番となっているためまだわかりやすいが、ビデオカード、とくにそれに搭載されるGPUに関してはスペックの数値だけではわからない部分も多い。どのビデオカードを購入するか迷った際は、今回のようなベンチマークによる結果を参考に選んでみて欲しい。

 GPU性能面でGeForce GTX 900シリーズ全体をみると、ハイエンドモデルであればGrand Theft Auto Vの最高画質などの一部を除き、新しいタイトルでもでフルHD/最高画質が十分に楽しめ、少し軽めのMMORPGやMOBAなどのタイトルであればメインストリームモデルで最高画質が望めるといった印象だ。

 どのタイトルを遊ぼうか迷っている場合は、上位のモデルを選んでおけば余裕をもって対応できることは当然だが、今回の結果を見ると、GTX 970搭載モデルGTX 970 GAMING 4Gがより多くのタイトルを快適にプレイできつつ、コスト的にもバランスのとれたモデルと言えるのではないだろうか。

 その上で、MSIのGAMINGシリーズは、プレイ環境として重要な冷却性能や静音性もトップクラスと言える。もちろん、これを収めるケース側のエアフローをおろそかにしてはこの静音性をフルに発揮できないが、最適な設定が見つかった際には快適なゲーミングPCが構築できるだろう。

[制作協力:MSI]

(石川 ひさよし)