取材中に見つけた○○なもの

裏話も飛び出した「はっちゃけ“HARD”なあやよさん本」の発売記念イベントをレポート

HARD社の元社長などが登壇

はっちゃけ”HARD”なあやよさん本
Windows向けゲームディスクがセットに

 1980年~90年代にカルト的な人気を集めたアダルトゲームメーカー「HARD」の看板タイトルが復刻、はっちゃけあやよさん本「AYAYO'S Dive Aframe 1-5 Renovation」(以下、復刻版)がBEEP 秋葉原店で販売されています。

 同作は当時の開発スタッフへのインタビューや開発データなどの資料を収録した「はっちゃけ”HARD”なあやよさん本」と、同シリーズの1~5の全てを収録したWindows向けゲームディスク「はっちゃけあやよさん1-5 Renovation」で構成されており、店頭価格は税抜き4,800円(税込5,184円)。

 また、同作の発売を記念したイベント「HARD社の社長とBEEP秋葉原店で勝手にジャンケンをしよう!」が去る9月28日(金)/29日(土)の2日間に渡って開催。同イベントのジャンケン大会の合間に飛び出したユニークな話題や裏話などを抜粋し、インタビュー形式にまとめたものを以下に紹介します。

 ちなみに、イベントに出演したのは「復刻版」のプログラム監修と新規ドット絵を担当しためんそーれPさん(イベント中にMCを担当、以下MC)、HARD社の初代社長・柿上幸村氏(以下柿上氏)、2代目社長・長岡建蔵氏(以下長岡氏)、グラフィック&音楽のさっぽろももこさん(以下さっぽろ氏)の4人。

『はっちゃけあやよさん』をプレイして、すごい世界があるなと思いました

2代目社長で、ジャンケン大会では数々の名言(迷言?)を残してくれた、長岡建蔵氏。

[MC]:さっそくですが、今回の「復刻版」は大反響をいただいています。その感想をお願いします。

[柿上氏]:こんなに多くの方がファンでいらっしゃるのにはビックリしました。改めてありがとうございます。

[長岡氏]:とても嬉しく思います。

[MC]:「復刻版」には「はっちゃけあやよさん」シリーズ1から5までが収録されていますが、記憶に残っているエピソードを教えてください。

[長岡氏]:一番売れたのは、1作目ですね。

[柿上氏]:数的にはそうです。

[長岡氏]:でも受けたのはPC-9801の普及もあって、3作目のような気がします。

[MC]:5作目にはおまけディスクがありましたが、どのくらいの応募があったのでしょうか?

[さっぽろ氏]:おまけディスクは社員総出で社内でコピーしていたので、そこまで数多くは出ていないと思います。

[MC]:そんな「はっちゃけあやよさん」シリーズで、好きなキャラクターのエピソードについて教えてください。

[長岡氏]:登場人物にトモコさんというのがいるのですが、3作目の時にあやよさんとの差別化を図ってベリーショートでド貧乳のツッコミ役に改変したんです。勝手に。当時的には短髪はまだしもベリーショートとか貧乳とか「なんだそりゃ」って感じですし、当時の自分の市場に対する考え方がバカじゃないのって思います。……だからトモコさん。

[さっぽろ氏]:私も、トモコが好きです。

[MC]:ちなみに、「はっちゃけあやよさん」シリーズ以外での思い出のキャラは誰でしょうか?

[さっぽろ氏]:キャラクターは思いつかないんですが、ゲームでは『ようこそシネマハウスへ』が思い出深いです。デバッグやテストプレイが大変で、明け方まで作業していたのを覚えています。

[MC]:当時は色々な雑誌で紹介されましたよね。

[柿上氏]:雑誌『ログイン』には、ずいぶんと広告を出しました。

[MC]:そもそも、元はハードウェア会社だったのに、なぜ美少女ゲームを発売しようと思ったのですか?

[柿上氏]:それは、「愛は地球を救う」というじゃないですか。あれと同じで「エロは人類を救う」そう思ったからです。だから、ゲーム内容は簡単で良いよと言っていました。

(会場から拍手)

[MC]:当時、「はっちゃけあやよさん」を遊んだ感想はどうでした?

[長岡氏]:こんな簡単で良いの!? とは思いました。しかし、その後の美少女ゲームの歴史を見るに、確かにゲーム性なんていらなかったのかもしれません。『はっちゃけあやよさん』は、そこがエポックメイキングだったかなと思います。その辺が印象的でした。

[さっぽろ氏]:私は、美少女ゲームデビューが『はっちゃけあやよさん』だったんです。元々、株式会社LOGに音楽の移植などの外注で入ったのですが、すごく貧乏になってしまい……。何かないかなと思って社長に「グラフィックもやりたいです」と伝えたところ、今こんなの作っているんだよ、と言われて見せられたのが『はっちゃけあやよさん』でした。すごく可愛らしい絵なのにヤらしいし(笑)、あっという間に終わるし、スゴイ世界があるなと思い「面白いから私もやりたいです」というのが、私とHARD社とのなれそめでした。懐かしいです。

[MC]:美少女ゲームでよく遊んだ、またはお世話になった(笑)タイトルと言えば何でした?

[長岡氏]:『LIBIDO7』かなぁ。

社長になり給料が上がったのは、危険手当です!?

ジャンケン大会の様子

[MC]:アニメを描いていて、このパーツにはこだわった! などのエピソードはありますか?

[長岡氏]:アニメは面倒なので、僕は(『はっちゃけあやよさん』X68000版のCGを担当した)らいち先生に全部描いてもらいました。

[さっぽろ氏]:アニメシーンでは、『はっちゃけあやよさん4 セクシーオリンピック』のなかに出てくる、ヂョーとあやよです。ほぼ全画面でピストンするんですが、この大きなのを塗らされた時は泣きました。しかも、アホらしいシーンで……。

[長岡氏]:ほとんど全画面なのにパーツアニメと言い張るという。あれってプログラム的にも結構ムチャしてますよね。

[さっぽろ氏]:「あんな大きなパーツを動かすなんて、ふざけるな」と怒られました(笑)。

[MC]:「復刻版」でもそのシーンの再現は難しかったので、連番の1枚絵を交互に出しています。動いて見えるのは目の錯覚で、アニメーションはしていません(笑)。ところで、長岡さんが入ってきた時のエピソードで何か覚えていることはありますか?

[柿上氏]:イスから転げ落ちて頭を打ち、記憶を無くしたのは覚えていますね。

[長岡氏]:仕事をしていたんですが、イスにもたれかかって前足部分を上げ後ろ足だけにした時にひっくり返り、後頭部を強打……何秒か気絶しました。

[さっぽろ氏]:長岡さんは昔から態度がビッグだったので、最初からイスにふんぞり返っていました。とても新人には思えませんでした(笑)。

[柿上氏]:今と同じで、当時からこんな感じです。

[MC]:確かに、今も『クイズ100人に聞きました』の司会を務めている時の、関口宏さん風な感じですよね。

[柿上氏]:電車に乗ると、周りに人が近寄らないんです。怪しい雰囲気を持っていたのかな?

[長岡氏]:今は違うじゃないですか(笑)。

[さっぽろ氏]:でも、絵は上手でしたし、悔しい思いをしながらも従っていました。乳首の塗り方とか教えてもらったりもしましたし。

[MC]:その後、長岡さんが社長になるんですよね?

[さっぽろ氏]:はい。社長になるかどうかはジャンケンで決めたんですが、勝っていたら私が社長になっていた可能性もありましたね。

[MC]:もし、そうなっていたら……。

[さっぽろ氏]:上下関係が変わりますね。私がふんぞり返って「お前、これ塗っておけよ」とかやっていたかもしれません(笑)。でも、負けて良かったです。

[MC]:長岡さんは、社長になって何か得したことはありましたか?

[長岡氏]:給料が上がりました。ジャンケンで勝ちましたけれど、摘発された時には引っぱられる役と思えば、危険手当のようなものです。

[MC]:ちなみに、お給料が上がって買った物は?

[長岡氏]:ネオジオですね。あの頃は、10万円くらいしたと思います。

[MC]:「はっちゃけあやよさん」シリーズ以外で、思い出に残っている話題はありますか?

[柿上氏]:一番売れたのは、『ソープランドストーリー』ですね。通販依頼が毎日来ました。店頭で販売するよりも、通販で売るほうが儲かりました。原価が高かったので。『HARD社の社長が社員に面白いと認めさせたクイズ第一弾、君も成田へ行って勝手にジャンケンをしよう(勝手になりジャン)』では、ハワイ旅行キャンペーンを実施した気がします。当たった人がいたのを覚えていますので。HARD社になる前には、『ボイスボックス』を発売していました。経費がかなりかかったんですが、全然売れなかったです。先端を走っていると思ったんですが……容量が小さかったので、声が余り入らなかったのが原因かもしれません。もはや、うちにも現存していないですね。残っていれば今、売りました(笑)。将棋ソフトの『極』は、いくつかのプラットフォームに移植しましたが、売れましたね。

[MC]:最後に、新作の予定を教えてください。

[柿上氏]:何かやりたいなとは思っています

[MC]:『ようこそシネマハウス』を、Windowsプラットフォームへ移植してほしいという話もあるそうです。

[柿上氏]:そうなんですね。それはぜひ、やる方向で検討したいと思います。

(会場から大きな拍手)

[MC]:今日はありがとうございました。