【不定期連載】レトロな○○ギャラリー ~ シャープ MZ-80K ~

2012年8月1日 14:30
投稿者:後藤 儀兵衛 カテゴリー:

MZ-80K本体。

 今回紹介するパソコンはシャープの「MZ-80K」。マイコンブームの兆しが見えてきた1978年に発表されたモデルです。

 CRTモニタ、キーボード、記憶装置、マザーボードを一つのケースに収めた“オールインワンタイプ”と呼ばれる製品で、直線的なデザインがとても強烈です。このモデルは、現在の自作パソコンに近い“キット”として販売されたのですが、組み立てやメモリの増設には半田ごての作業が必要で、現在のようにプラスドライバーのみでは製作できないという、なにかと面倒なパソコンでした。また、スペックも現在のパソコンとは比べものにならないもので、主要なスペックは3桁以上も低い処理能力です。それでは30余年前の「MZ-80K」のスペック、外観、内部をご案内しましょう。

 CPU:SHARP LH0080(Zilog Z80互換)
 動作周波数:2MHz(0.002GHz)
 周辺IC:i8253A互換 i8255A互換
 最大メインメモリ:48KB(0.000048GB)
 記憶装置:データレコーダ
 記憶メディア:コンパクトカセット
 記憶装置容量/60分テープ装着時:約270KB(0.00000027TB)
 表示装置:10インチCRT内蔵
 解像度:320x200 ドット 分解能力 80x50
 ビデオメモリ:1KB(0.001MB)
 同時発色数:2色
 標準価格:198,000円
 ※当時の物価:はがき 1枚20円・国鉄(現JR)初乗 80円・タクシー初乗330円

CRTのサイズは10インチ。白黒で1,000文字しか表示できませんでした。右下の黒い物体は大きさの比較のために用意したiPhone 4。現在ではソフトウェアキーボードでしか見掛けなくなった直交型キーボード、全体がテンキーのように規則的に並んでいます。プログラムの読み出し、保存を行うデータレコーダ。現在でも100円ショップなどで販売されているオーディオ用カセットに記録します。
内部メンテナンスを行う際には、キーボードユニットごと上に跳ね上げます、左側に固定アームが付いているので、挟まれる心配はありません。ファンやヒートシンクといった冷却システムは何もありません。熱くなってきて、熱暴走の予感がしたらカバーを上げて小休止、暑い日には一旦電源を切って扇風機や団扇で冷却しました……(本当の話です)。本体内部にあるつまみでCRTの調整や音量の調整を行います。
MZ-80Kのマザーボード。現在のマザーボードと比較すると余裕のある部品配置。左上、8個3列並んでいるICがメインメモリです。増設をしたら、左下のショート位置をハンダし直します。MZ-80Kの電源。容積(120mm×50mm×270mm)は現在のATX電源と同等ですが、出力は50Wクラス。電圧は5V、12V、-5Vです。手前の黒い物体は大きさの比較用iPhone 4。現在のパソコンと比べてスッキリした背面。用意されているのは、主電源スイッチと拡張端子のみです。当時は手探りで電源のON/OFFをしていました。
こちらはBASICマニュアルの現物とカセットテープ。表紙の色とカセットラベルの色が一致しているのが特徴。ちなみに、@SharpGalapagosがこのマニュアルの試読版(PDF形式)を先行公開しています。こちらはPASCALのマニュアルとカセットテープ。BASIC以外の言語もメーカー純正オプションとして用意されていました。ちなみに、このカセットテープはオーディオ機器で再生してはいけません。1979年2月頃のパソコン雑誌に掲載されていた広告です。「アマチュアからの脱皮」はインパクトがありますね。

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