【 2000年6月3日号 】

TWO-TOP、「空白の1日」を置いて営業を再開
クレジットカード決済不可、Web通販は停止中

臨時休業の貼り紙本店前に業界人大集合
【臨時休業の貼り紙】【本店前に業界人大集合】
2号店も臨時休業FREEWAYの広告
【2号店も臨時休業】【FREEWAYの広告】
臨時休業中営業再開
【臨時休業中】【営業再開】
クレジットカード不可営業中の1号店店内
【クレジットカード不可】【営業中の1号店店内】
1号店の3Fと4F2号店のあるビル
【1号店の3Fと4F】【2号店のあるビル】

 TWO-TOPの運営会社であるフリーウェイが突然、債務支払い困難を理由にして民事再生手続きを申請し、アキバ界隈はちょっとしたパニックに陥った。同社は営業を続けながら再建するという道を取ることで、各店舗は1日だけの臨時休業をとってすぐに営業を再開した。負債額は約50億円という。

一時は業界がパニック

 「TWO-TOPが飛んだらしい」

 1日(木)午前、この信じられないような情報が一瞬にして業界を駆け巡った。「飛んだ」とは、流通関係者の間で倒産、あるいはそれに近い状態のことを指す。流通関係者や報道関係者の元には真偽を確認する電話やメールが殺到、午後に民間信用調査機関が「東京地裁に民事再生手続き開始を申請した」との最終確認レポートを出すまで、錯綜する情報に多くの人間が振り回された。

 これと前後して、TWO-TOP秋葉原本店前には多数の関係者が集結。TWO-TOPの3店舗が全て予定外の「臨時休業」となっていたこともあって、アキバ界隈は一時騒然となった。なにしろ、フリーウェイが運営するTWO-TOPはPCパーツ関係の販売では最大手であり、ここに経営の異常が発生したとなれば、取引のある卸や代理店への影響はあまりにも大きい。各社とも取引量が大きいだけに、卸した商品などの債権額は極めて大きく、これが回収できないとなれば自動的に連鎖倒産となる可能性も出てくる。一説には億単位の債権を抱える代理店があるとも言われ、中にはちょうど夏のボーナス商戦向け商品を大量納入した直後だったと証言するメーカーもある。複数の証言によれば、フリーウェイ側から5月末の支払いが行なわれていないというところが複数あり、その確認のために関係者が同社へ駆けつけたというのがそもそもの騒動の発端だったという。

 一方、フリーウェイ内部にもかなりの混乱があった模様で、ほとんどの社員やアルバイトは当日出社するまで何も知らされず、そのまま自宅待機を余儀なくされたという。

営業再開するも制限付き

 フリーウェイが申請した民事再生手続きとは、4月1日(土)から施行されたばかりの和議法に代わる新しい再建型倒産手続き。和議法と違って申し立ての条件が緩く、どうにもならない状態に陥る前に自主的な再建を目的として申し立てができるようになっている。また、再建計画を成立させるために必要な債権者の賛同条件なども緩く、再建する側にとってかなり有利な手続きになっている。フリーウェイによると、債権者向け説明会が6日(火)に予定されているという。

 アキバの店舗は2日(金)から何事もなかったように営業を再開しているが、特に店頭で今回の件に関するアナウンスは何も行われていない。事態を知らない人にとっては、1日(木)の臨時休業は単なる「空白の1日」といったところ。このあと地方のショップも3日(土)から順次営業を再開するという。ただし、店頭ではクレジットカードの決済はできない状態になっており、Webのネット通販も停止したまま。Webはトップページの告知内容が何度も書き換えられ、一時期出していた「こんなときでも特価を出します」と題した店舗用特価リストも途中で削除されるなど、まだ混乱している様子が見受けられる。

名物の混雑ぶりが見られなくなった

 なぜフリーウェイがここまで苦しい事態に追い込まれたかは、これから詳細が明らかになるはずだが、ことアキバでの様子を見る限り、そもそもTWO-TOPの店頭販売の勢いがここしばらく急激に落ち込んでいたことは、アキバに足繁く通っている人間なら誰もが指摘する事実。フリーウェイの代表的店舗であり、誰もが認めるPCパーツショップの中心的存在だったTWO-TOP秋葉原1号店は、最盛期はとにかく満員電車のような混雑ぶりで、週末はエレベーターに乗ることができず、狭い階段を人を掻き分けながら上らなければならない状態が一種の名物にもなっていたが、最近ではそんな光景も見られなくなっていた。

 決定的だったのは1999年10月にオープンしたT-ZONE. PC DIY SHOPの影響。雑居ビルの1Fと2Fを除くB1F~5FというTWO-TOP秋葉原1号店の立地条件の悪さとは対照的に、その隣にオープンしたT-ZONE. PC DIY SHOPはあまりに条件が良すぎた。1Fは2つの出入り口から通り抜け可能なオープン構造で、広いフロアを3つ使って全般的に商品を揃え、価格もそこそこで、T-ZONE. PC DIY SHOPはすぐにPCパーツショップ激戦区の台風の目となった。TWO-TOP秋葉原1号店に足を運ぶ客は、これを境に目に見えて激減。そして2000年3月にはさらに追い討ちをかけるように、斜め前にツクモ12号店がオープンした。TWO-TOP秋葉原1号店が路上にまで商品を出して販売を始めたり、店舗入り口にこれまで以上に大量の貼り紙を出して商品の入荷や価格をアピールするようになったのも、こうしたライバル店からの厳しい追い上げがあってからのことで、ごく最近のことだ。

 最近ではPCパーツ系の国内流通ルートの整備が進み、TWO-TOPでなければ手に入らないという商品も少なくなり、価格競争の激化で価格の優位性も薄れ、相対的な立地条件の悪さもあって、情勢はかなり厳しくなっていた。TWO-TOP秋葉原2号店TWO-TOP秋葉原本店も立地条件という点では、周囲のショップの充実ぶりで相対的に悪くなっていたと見ることができる。

TWO-TOPは完全復活するのか?

 消費者にとっても、今回の事態は今後のサポートや通販利用に大きな不安を抱かせる大きな出来事だったが、自作PCマーケットの象徴的存在であったTWO-TOPのことだけに、多くの人が特別な関心を寄せ、また心配しているのも確か。むしろ今回の件で、改めて特別なショップであったとの存在感を再認識させられた人も多いに違いない。

 今後どういう展開になるかはまだ予断を許さないが、TWO-TOPが完全復活するかどうかは自作PCユーザーにとっても一大関心事。どう展開するにしろ、今後の動きがまた大きな波紋を呼ぶのは間違いなく、目が離せない。

 フリーウェイによると、営業再開後の各店舗で店長判断により、今後「ご迷惑をかけましたセール」を実施する可能性もあるという。

□フリーウェイ関連記事(PC Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000601/freeway.htm
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000602/freeway.htm
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000602/twotop.htm
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000602/twotop2.htm
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000602/twotop3.htm
□フリーウェイ民事再生手続き開始を申請(帝国データバンク)
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/173.html
□フリーウェイ民事再生開始申立負債総額約50億円(東京商工リサーチ)
http://www.tsr-net.co.jp/topics/sokuho/level_4/name158.html
□ 「民事再生手続開始」についてのお知らせ(フリーウェイ)
http://www.freeway.co.jp/revival.html
http://www.freeway.co.jp/HOUDOUMUKE.jpg
□お知らせ(TWO-TOP)
http://www.twotop.co.jp/entrance/default.asp

[撮影協力:TWO-TOP秋葉原1号店]


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