【 2006年11月25日号 】
対決デモ再び、AMDは一転して謙虚に「E6600がうらやましい」
AMDデモ AMDデモ
AMDデモ AMDデモ
AMDデモ AMDデモ

 8月に続いてAMDによるAthlon 64 X2対Core 2 Duo対決デモがドスパラ秋葉原本店で26日(日)に実施された。前回は「円周率を計算したい人はCore 2 Duo」「とうとうIntelさん、イベントまでAMD互換になってしまいました」などの挑発的な発言が飛び出して話題を呼んだが、さて今回は…。

 今回のテーマは、4万円台のCPU対決。ハイエンド志向の自作PCユーザーにとっては、8月に行った2万円台のCPU対決というテーマはやや期待はずれの面もあったが、今回はライバルとして現在突出した売れ筋となっているCore 2 Duo E6600を起用し、AMDはAthlon 64 X2 5000+で対決するという、自作PCユーザーにとってはもっとも購買意欲を左右される“ど真ん中”の対戦カードに。

 もっとも、今回のAMDは解説コメントがかなりおとなしめ。のっけから「Core 2 Duo E6600が売れているそうで正直うらやましい」とライバルを持ち上げ、その後にHD BENCHとiTunesを使った音楽データ変換によるベンチマーク競争をするも、Athlon 64 X2がメモリアクセスと浮動小数点演算で優位、Core 2 Duoは整数演算で優位というHD BENCHの結果を前に、これはあくまでアーキテクチャの違いによる得意不得意の問題と解説、さらにiTunesでの音楽データ変換では5曲のデータ変換に2秒差でAthlon 64 X2が勝つも「いい勝負しちゃうんです」とほとんど差がないと強調した。

 この後、あらかじめ計測した結果をまとめた表を紹介し、3DMark06のスコアで4,436対4,491という僅差でCore 2 Duoが勝利したことに「大きな差じゃありません」、Superπ(104万桁)では33秒と22秒という大差でCore 2 Duo勝利だったことについては「整数演算の強さが差に出た。SupreπはやっぱりCore 2 Duo。」と素直に相手の長所を認めるコメントに。その一方でAthlon 64 X2の強さとして64bit環境での優位を強調、iTunesとCINEBENCH x64とサクラエディタ(7万語変換)を使った64bit環境上の比較で全てAthlon 64 X2が勝利したことを紹介し、「将来の64bit環境を考えればまだまだAthlon 64 X2が有利だが、現行の32bit環境では残念ながらいい勝負ばかりで勝てる部分はそうそうない。」と極めて客観的なコメントを行った。

 「Core 2 DuoはAthlon 64 X2のコンセプトに非常に近く、大企業は売れた他社製品と同じコンセプトでつくるというマーケティング手法があり、同じような作り方をされてしまうといい勝負をしてしまうのは仕方がない。」とやや挑発的とも取れる発言もあったが、最終的には「Core 2 Duo E6600は売れているが、比べてみるとAthlon 64 X2 5000+といい勝負。同じ価格帯ではパフォーマンスは似通っているので、選ぶのはお客さん次第。いろいろ言われているほど差は出ない。」と、控えめな“大人のコメント”に。

■Intel対AMD 4万円CPU対決
Intel対AMD 4万円CPU対決 Intel対AMD 4万円CPU対決 Intel対AMD 4万円CPU対決

 実はベンチマーク競争以上に時間を割いていたのが、仮想化技術のAMD-Vに関するデモ。仮想ソフトのVirtual PC 2007βを使ってWindows Me、Windows XP、Vine Linuxを3つ動作させて快適に動かすところを見せた。この部分のデモでは当初ベンチマーク比較をすることはなかったが、2回目以降のデモではVisual Stuidio Benchmarkを使って比較を行い、Athlon 64 X2が早いという結果が出た。しかし、ここでは「これはソフトがβであり、あくまでもお祭りということで参考程度に」となぜか控えめにアピールするにとどまった。

 全体にCore 2 Duoのいい面は率直に認めつつ、むしろAthlon 64 X2に優位な結果が出ると条件付きのフォローを行うなど、今回は一転して謙虚なAMDといった印象。「同じ価格帯ならまだまだ現役!!」と書かれたプレゼンテーションの画面が出るなど、むしろ一部弱気ともとれる表現も。

 このあたりは、どうやら8月のデモ合戦の“反動”もあったようだ。大手半導体企業がライバルメーカーを貶めるとも取られかねない言動は慎むべきという反省から、今回は逆に慎重すぎるほどの展開になったという面もあるようだ。

 一方、AMD-Vを使った快適な仮想PCの動作デモや、Athlon 64 FX×2(4コア)と2GPUビデオカード×2(4GPU)のプラットフォーム「4x4」のテストPCが写真で紹介されるなど、次にくる新しい環境を紹介する目新しい点もあり、これを“次の戦争”を予告する挑戦的メッセージと考えることもできそうだ。


□EVENT&NEWS(AMD)
http://amd64.jp/event/061122-01.php
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 (AMD製品)

[撮影協力:ドスパラ秋葉原本店]

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。

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