【 2007年1月13日号 】
Vista開発サポセン週報
第3回:知られざるVistaのツボ
仕様変更の多いアップグレード版?PCを軽くしたかったらAeroオン?

 Windows Vistaのソフト・ハード開発者をサポートする開発者向けサポート拠点「Developer Support Center」(LAOX THE COMPUTER館(3F))の出来事を毎週ダイジェストでお伝えするこのコーナー、今週の話題は12日(金)に行われたセミナー「発売直前!Windows Vistaの基本機能と技術背景!」だ。

 レポート:鈴木光太郎

●路線はPCマニア向けに?
Developer Support Center

 セミナー3回目となった今週の講師はマイクロソフト Windows本部 コンシューマWindows製品部シニアプロダクトマネージャーの森 洋孝氏。参加者はやっぱり10人少々で、セミナー終了後に直接質問できる気軽さは健在だ。

 さて、今回のセミナー内容「発売直前!Windows Vistaの基本機能と技術背景!」は、Vistaの意外と知られていない一面や、誤解されている一面をクローズアップしていこう、というもの。方向としては「開発者向け」というよりは「PCマニア向け」というもので、2回目以降、どうも路線が「PCマニア向け」にシフトしているようにも思われる。


●仕様が変わった「アップグレード版を使ったクリーンインストール」
Developer Support Center
Developer Support Center

 まず解説されたのは「相変わらず問い合わせが多い」というエディション構成に関する内容だが、中でも注目できるのがアップグレード版パッケージのインストール制限緩和とインストール手順の変更だ。

 アップグレード版Windows XPの場合、Windows 2000 Professional → Windows XP Home Editionといった「クラスが下がる」アップグレードは行えず、その場合は原則として通常版を購入することになっていたが、Windows VistaではWindows XP Professional → Windows Vista Home Basicといったクラスダウンを伴うアップグレードにもアップグレード版が利用できるよう、インストール制限が緩和された。つまり、アップグレードの対象OSであるWindows XP/2000を持っていれば、どのアップグレード版でもインストールできる、ということになる。

 ただしこれには制限があり、クラスダウンを伴うアップグレードの場合は各種設定などを引き継いだ「アップグレードインストール」は選択できず、設定などが引き継がれない「クリーンインストール」のみが可能という。クリーンインストールでも旧環境は専用フォルダに保存されるが、その状態で旧環境を起動することはできないため、あくまでも「自力で設定を移行する補助」ということになる。

 なお、このクリーンインストールを別パーティションに行うことで、旧環境をそのまま残してWindows Vistaを利用することも可能とのこと。ただし、この場合は「ライセンス上、両者を並行利用することはできないので、Windows XPは消して頂くことになる」(森氏)という。

 どのOSからどのOSへの移行がクラスダウンにあたるのかは複雑なため、写真を参照して欲しい。


●アップグレード前OSはインストール必須
Developer Support Center

 また、意外と使い勝手に影響しそうなのがアップグレード版インストール手順の変更だ。

 従来のアップグレード版は、クリーンインストールする際、アップグレード前OSのCDを挿入することで旧OSの所持を確認していたが、Vistaではこれが無くなり、代わりに「インストーラ(setup.exe)が旧OSから起動されること」言い換えれば「旧OSがインストールされていること」が必須となったとのこと。

 アップグレードしたPCのOSを再インストールしたい、といった場合、これまでの仕様は便利だったが、今回からは一度旧OSをインストールする必要ができた、ということなる。


●PCを軽くしたかったらAeroオン?
Developer Support Center
【Aeroオン】
Developer Support Center
【Aeroオフ】

 次に解説されたのが、Vistaの説明ではお馴染みのAero。ただし内容は「Aeroを有効にした方がPCが軽快に動く」という意外なもの。

 これは、従来CPUが負担していたウィンドウの再描画を、Aeroオン時はGPUが行うため、と説明されており、さらに論より証拠、ということでウィンドウ移動時のCPU負荷を測定する実演デモも行われた。

 結果は、Aeroオン時が5~9%前後、Aeroオフ時が15~30%前後と明確なもの。Windowsのパフォーマンスを向上させたい場合、これまでは「まず映像効果をオフにする」という常識があったが、この解説を聞く限り、Vistaではちょっと違ったことになるようだ。


●次回は「SideShowが開くWindows Vistaの未来」
Developer Support Center

 このほかに解説された内容は、Ultimateのみに搭載されるというプレミア機能「Ultimate Extra」の詳細が近日中に明らかにされることや、子供のPC利用を制限するペアレンタルコントロール機能の詳細(ドメインに参加すると使えなくなるetc..)、無線接続のデジカメやP2Pソフトなどを視野に入れたコンポーネント群「Windowsラリーテクノロジ」など。

 いずれも、「これまでに説明された内容」というよりは、「これまで見落とされてきた内容」で、通り一遍ではなくちょっと詳しい細部を知りたい、という向きにはなかなか興味深いと言える。

 最後の締めくくりには、22日(月)に迫ったインプレスジャパンのWindows Vistaソフトウェアコンテストの再告知や、「あと18日」という発売日までのカウントダウンも行われた。ソフトウェアコンテストのWebサイトには次回セミナーのテーマであるSideShowを使ったサンプル例も掲載されており、ハードとソフトを組み合わせたホビーとしては、なかなか面白そうな概要もうかがえる。

 さて、次回のセミナーは1月19日(金)17時から。タイトルは「SideShowが開くWindows Vistaの未来」で、Vistaの新機能となるサブディスプレイデバイス「SideShow」に関する濃い話が聞けるという。


□Windows Vistaソフトウェアコンテスト(インプレスジャパン)
http://www.vistacon.jp/
□Windows Vista特集サイト
http://www.watch.impress.co.jp/headline/vista/
□関連記事
【2006年12月9日】Vistaの開発者向けサポート拠点がザコンにオープン
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20061209/etc_msdev.html

 (Microsoft Windows Vista)

[撮影協力:LAOX THE COMPUTER館]


※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。

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