【 2009年9月12日号 】 | |
「だれにも聞けないSSDの疑問」を「神様」が解説 XP/Vista用のTrimツールも準備中、廉価版の話題も |
インテルが12日(土)に開催したイベント「Intel Technology Day in Akiba 2009」での、「神様」天野氏の2度目のセッションテーマはSSD。タイトルは「だれにも聞けないSSDの疑問」。セッションでは、あまり知られていなかった同社製SSDの細部が解説されたほか、廉価版や6Gbps 対応品などの話題も登場。さらに、SSDの利用効率を向上させる「Trimコマンド」をWindows XP/Vistaで使えるソフトが開発されていることなども明らかにされた。
セッションの全内容はページ下部にビデオで掲載したが、特に興味深いものを要約して紹介しよう。
なお、イベントのメインテーマであるLGA1156関連については別記事を参照のこと。
●Q.SSDの空き容量によって、ドライブ性能って変わるんですか?天野氏:変わるんです。特にランダム書き込み性能は変わります。空き容量ナシの上書き書き換えが最悪の状態で、ランダム書き込み性能はそのときの値を公称しています。
●Q.IntelのMLC-SSDの連続書き込みが他社より遅い訳は?天野氏:言い訳のところもありますが(笑、クライアントPCで重要になるランダムアクセス向けに設計したからです。技術的には「キャッシュが小さいから」というのが理由です。
●Q.SSDでNative Command Queing(NCQ)は効果があるんですか?天野氏:NCQを使うことでアクセスが整列されるため、SSD内のキャッシュ効率がよくなる。メモリの並列書き込みの効率化されるので、さらに性能向上が見込めます。
●Q.Intel製SSDのライトキャッシュ(SRAM)容量は?天野氏:データシートに書いていないわけですが、「いえないぐらいの容量」です(苦笑。逆に、キャッシュが小さいので「瞬断に強い」というメリットがあります。ころんでもタダでは起きない(笑。HDDや他社製の一部SSDが搭載している、瞬断対応用の本格技術「Power Safe Write Cache」は、まだ実装していないけど、将来は搭載したい。
●Q.SSDのおススメ交換時期は?天野氏:SMARTで、Host WritesやMedia Wear、Available Reserved Spaceを見てください。これらの値の使い方はそのうち説明すべきときに説明する予定です。
ちなみに、SSDのSMART情報を確認できる「SSD Toolbox」を今年の秋に一般公開します。直リンクをなぜかTwitterでつぶやいちゃった人もいたんですが、イントラネット上のアドレスなので実際にはダウンロードできないです。残念(笑。
●Q.Trimを使うにはどうしたらいいですか?天野氏:Windows 7やRedhatでサポートされますが、Windows XPやVistaでもTrimが利用できるよう、対応ソフトを用意してます。34nmモデルのTrim対応ファームウェアと対応ソフトは「Windows 7が出荷開始するころまでには……」と考えてます。初代製品(G1)は申し訳ないですが、対応の予定はない、ということで。
●Q.半分のサイズで、お値ごろなSSDって出さないんですか?天野氏:初代モデルを出して以降、よーく聞かれます。
今のところ、「やる」とも「いつからやる」とも「いくらになる」とも言えないんですが(笑。あくまでも仮定の話として想像すると、今までやらなかった理由の1つとして「メモリチャネル数を10チャネルの半分にしなきゃいけない(=遅くなる)」といった理由があるかなと。「がんばって数字を出す」とかいってますけど。
容量が少なくなるので、寿命も短くなる、というのもなんとなく考えがつくかと。カタログスペックはあまり変わらないかも知れないですが。
もし出てくるとするなら、こんなことを考えながら使ってください。
●来場者からの質問セッション:
〜6Gbps SATA対応や34nm版の次モデルなど〜来場者からの質問セッションでは、「6Gbps SATAへの対応」や「SLCの第二世代に期待したいんですが…」などの質問が登場。
それぞれ「まだ何年に出す、とは言えないが、プラットホーム全体としては(6Gbps SATAを)2011年に考えてて、その時に間に合えば出したいな、という考えはあります」「(34nm版の現MLC-SSD「Postville」に続く)“Postville Refresh”というのが計画されてて、その中でSLCモデルも考えてます。今年はないですが、来年の中ぐらいには34nmの次のドライブが作りたいなと」といった回答がそれぞれあった。
なお、セッションの途中では、SSD事業部が製作したというSSD耐久ビデオが上映された。テスト内容は「SSDをネバダの砂漠に放置」「砂漠で遠投」「走行直前のジェットカーの後方に投げる」といった過剰に(?)過酷なもの。大仰に試練を与えた後、ノートPCに再装着、「まだ動く」ということが示されている。
これらの耐久ビデオは以下の動画の25分ごろから視聴可能。ちなみに出演者の彼、SSD担当のエンジニアで、「普段はまじめ」(天野氏)なんだとか。
[動画] "神様"のSSD解説@Intel Technology Day in Akiba 2009 / 42分
□Intel Technology Day in Akiba 2009(インテル)
http://www.intel.co.jp/jp/go/techday/Intel製品