【 2011年10月16日 】
AMDがオーバークロックを全面アピール、AMD FXのイベント開催
全コア5GHz+標準クーラーで負荷テスト通過


動作クロックのギネスブック認定証

 Bulldozerアーキテクチャを採用したAMDの最新CPU、「AMD FXシリーズ」をアピールする同社のイベント「秋のAMD FX祭り」が16日(日)に開催された。会場はカフェ ソラーレ リナックスカフェ秋葉原店(ブロックD2-[e2])。

 イベントではAMD FXシリーズのオーバークロック性能が特にアピールされており、同社が液体ヘリウムで達成したオーバークロック世界記録「8.42938GHz」も大きくフィーチャーされている。

 また、CPUの発売が6コアのFX-6100と4コアのFX-4100は10月23日(日)、8コアのFX-8120/8150については今後発表されることも公表されている(発売日の詳細は別記事も参照のこと)。


●オーバークロックを全面アピール
 会場では8コア5GHz+標準クーラーで負荷テスト通過


Bob Grim氏
 今回のFXシリーズは全てクロック倍率の変更ができ、最上位のFX-8150は水冷クーラーが付属するなど、「マニア向け」と見られる仕様が目立つが、今回のイベントで目立っていたのもオーバークロック機能のアピール。

 AMDのセッションで登壇した米AMDのBob Grim氏(Director of Client Product Marketing)が「世界初、唯一8.4GHzに到達したCPU」とアピール。



FX-8150+標準水冷クーラーでのOC結果(コア電圧の表示は「ソフト側の表示ミス」(渡邉氏)とのこと)

OVERCLOCK WORKSの渡邉氏

FX-8150+標準水冷クーラーでのOC結果

テスト機の構成

5GHz達成時の設定

渡邉氏の経験則
 また、OVERCLOCK WORKSの渡邉氏が行ったオーバークロック実演でも、FX-8150をリテールパッケージ同梱水冷クーラーで5GHz(全コア)を達成、負荷テストも通過していた。

 同氏のテストによると、5GHz時に必要となるコア電圧はおおむね1.5Vで、100%負荷時のCPU温度は75℃以上。同様に4.8GHzでは1.45Vが必要になり温度は65℃、4.5GHzでは1.35V/55℃、4.2GHzでは1.30V/45℃、というデータが経験則として得られたという。

 オーバークロックする際は「クロックが不安定にならないようにTurbo COREを切ったり、電圧/温度モニターなどをオフにするといい」(同氏)とか。


 ただし、その後行われた液体窒素によるオーバークロック実演は、「(10月としては暖かく、結露しやすかった)気候の問題か、OSまたは機材の問題」(渡邉氏)でトラブル頻発。

 時間の問題もあり、会場では6.499GHzが上限だった。ただし、事前の動作確認(別個体のFX-8150を使用)では2コア動作ながら7.8GHz(1.975V)を実現していたとか。また、AMDでは「前日、韓国で行われたイベントでは8.09GHzを達成していた」と説明している。



会場で確認できた最高クロック

事前に動作確認した際のデータ
 なお、渡邉氏は、FXシリーズを「オーバークロックに向いたCPU」「メモリクロックもDDR3-2133など、上の設定でも結構普通に動く」と評価、Android用アプリ「AMD FX用オーバークロックマニュアル」もAndroid Marketで公開している(基本部分無料/詳細部分は有料になる予定)。

 さらにCPUの発売後、OVERCLOCK WORKS店頭で参加型オーバークロックイベント「AMD FX 8GHzチャレンジ」も行う予定という。

 こうしたオーバークロックは、性能を求めて行うことが一般的だが、特に液体窒素を使うような「極冷」はどちらかというと競技に近い雰囲気がある。渡邉氏の解説でも、そうした「競技」としての入門が可能なよう、液体窒素(1リットル500〜1,000円)やドライアイス(1kg500円)の単価や必要な分量(液体窒素なら15リットルで2〜3時間/ドライアイスなら5kgで2〜3時間)、道具などを紹介していた。

 オーバークロックはCPU破損の可能性もあり、特に限界まで挑戦するようなチャレンジではそれなりの覚悟も必要となる。リスクはあるが、AMD FXシリーズの楽しみ方として有力なものの一つではあるようだ。


●CPU交換ならBIOSアップデート必須、店頭品はほぼ対応済み


ASUS

ASUS

ASRock

ASRock

GIGABYTE

GIGABYTE

MSI

ECS(アスクが登壇)
 このほか会場では、マザーボードメーカー各社がセッションを実施、そして最後にAMDから発売日の発表があった。

 マザーボードメーカーのセッションでは、「4月からずっと発売を待っていた」(アスク山本氏)こともあり、タイミングを合わせた新製品を発表するメーカーはなし。

 ただし、注意点として「手持ちのマザーボードにAMD FXシリーズを搭載する場合、マザーボード自体が対応していても、CPU搭載前にBIOSアップデートしておかないと起動しない」と説明するメーカーが多く、この点は注意が必要そう。なお、店頭在庫品は、各社とも既にBIOSアップデート済みのようだ。


●発売は6コアと4コアが先行
 ブーイングがあがるも拍手で幕


森本竜英氏

会場で展示されていたパッケージ
 そして、最後にアナウンスされたのが発売日。

 前述した「まずは6コアと4コアが先行」というスケジュールが明らかにされると、会場は一斉に「えー」とブーイング。AMDは「本当に申し訳ありません、ただ随時、随時、発表させて頂きますので、お待ち頂ければと思います、申し訳ありません、よろしくお願いします!」と締めくくり、最後の幕引きは拍手の中だった。

 ちなみに、このアナウンスを担当したのは、AMDのコンシューマ向け部門に復帰した「紳士」こと森本竜英氏。約2年前まで、イベントでGPUのアピールを行なっていた同氏だが、今はCPU/GPUの両製品を担当しており、今後のイベントで氏が登壇する可能性もあるという。



□日本AMD
http://www.amd.com/jp/
□オーバークロックマニュアルAMD FX編 (無料版)(Android マーケット)
https://market.android.com/details?id=net.androbook.material111015210457_56cb7f59&feature=search_result

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【2011年10月12日】AMD FXシリーズ最上位「FX-8150」ベンチマーク(PC Watch)
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AMD FX-8150

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。