【 2012年1月24日 】
[不定期連載]PCパーツ最前線:
スマホでPCをコントロール、
テニスもできるユニークコントローラ「AIWI」って何だ?
 今回のインタビューはパーツというよりはコントローラ。それも「スマートフォンをPCにWi-Fiで接続、ワイヤレスコントローラとして活用しよう」という新しいジャンルの製品だ。

 「AIWI」ブランドで展開されるこの製品は、スマートフォンの加速度センサーやタッチスクリーンをPC用として活用する、というのがそのコンセプト。

 実は最近のマザーボードメーカーのなかにはスマートフォンと連動したオーバークロック機能やコントロール機能を搭載した製品が登場しており、この基幹技術としてAIWIが活用されているという。

 今回はこのAIWIを開発したソフト会社、AibeliveのCEOであるRay Su氏にその特徴と日本国内での展開プランを伺った。


聞き手:石川ひさよし、鈴木 光太郎
協力:Aibelive、エムヴィケー
実施日:2012年1月17日


 
スマートフォンの加速度センサーをPCゲームで活用
グラフィカルなUIボタンも利用可能


Aibelive CEO Ray Su氏

スマートフォンを3Dマウスとして使えるAIWI 3Dエアーマウス。iPhone 4以降なら空中で操作してもマウスカーソルが動かせる

Flashゲームの例。AIWIからFlashゲームを選ぶとブラウザ内でAIWI対応ゲームが起動する
 あまり馴染みのない製品だと思われるので、まずは基本的な情報から紹介しよう。

 AIWIは、「Smart Presen」、「AIWI 3Dエアーマウス」、「AIWIGames Virtual Tennisボーナスパック」、「AIWIバンドルパック」4つの製品ラインアップで展開されている。厳密に言えば、パーツショップ以外の販路では「スマホで快適プレゼン操作」という製品名でSmart Presenの同等製品が販売されているが、機能で分ければ4製品だ。

 必要な動作要件は、PC側のハードウェアが1GHz以上のプロセッサに512MB以上のメモリ、ディスプレイ解像度が1,024×600ドット以上、ハードディスクのインストール容量として100MB以上など。ソフトウェア側はWindows XP SP2以降、32bit版/64bit版に両対応している。コントローラとなるスマートフォンは、iOS 3.0以降を搭載したiPhone 3G以降またはiPod Touch 第1世代から第4世代、そしてAndroid 1.6以降となる。

 4つの製品の違いを説明しておこう。Smart Presenは、Microsoftの「Power Point」によるプレゼンテーションをスマートフォンから操作しよう、というビジネス色の強い製品だ。ページ送りや戻し、マーカーや手書き入力、QWERTYキーボード操作(日本語入力も可能)など、プレゼンテーションでの一連の動作を、スマートフォン本体が備える加速度センサーを活用したモーションと、スマートフォンのディスプレイUIおよびタッチパネル操作で完結できる。プレゼンテーション操作専用のマウスやガジェットというのも市販されているが、常に持ち歩いているスマートフォンで代替できるまさに"スマート"な製品だ。スマートタッチペンも付属する。

 ふたつ目のAIWI 3Dエアーマウスは、スマートフォンをPCのマウスやキーボードの代わりとして活用しようという製品。タッチパネルを活用したフリック操作にも対応する。また、製品名のとおり、スマートフォンを空中で動かしてもカーソル操作ができる3Dマウス機能や、iPhone4/4S/iPod Touch(第4世代)ならば内蔵ジャイロセンサーを活用して傾きでカーソル操作をすることもできる。

 3つ目のAIWIGames Virtual Tennisボーナスパック(以下AIWIGames)は、スマートフォンをゲームのコントローラとして使う製品だ。製品名のとおり、Virtual Tennis 2009(英語版)がバンドルされており、スマートフォンをラケット代わりにスイングすることで、ボールを打ち返すことができる。また、「アーチェリー」、「ジェットスキー」、「ボクシング」、「ピンボール」という4つのFlashゲームも楽しめる。

 最後のAIWIバンドルパックは、AIWIの機能をほぼ全部導入できる製品。ここまで紹介した3製品から、Virtual Tennis 2009とスマートタッチペンを省いたパッケージとなる。


Smart Presenでは日本語キーボードも利用可能

AIWIGamesにバンドルされる「Virtua Tennis 2009」

 
接続はWi-Fi経由、PCとスマートフォン双方にソフトを導入して自動認識


PCと接続中のiPhone

PC側の設定画面。IPアドレスでの設定も可能
 今回のインタビューでは実際にAIWIを操作しながらその特徴について伺った。

 デモ環境は、ノートパソコンとWi-Fiルータ代わりのAndroidスマートフォン、そしてAIWIをインストールしたiPhone 4。まずはセットアップ作業から見せていただいた。

[Ray氏]PCにはAIWIのPC用ソフトウェアを、スマートフォン側には各OSのアプリケーションストアからAIWI Freeを導入すれば利用可能です。

 PC用ソフトのインストールではBonjour Print Servicesの導入が要求されますが、これはPCからスマートフォンを検索・認識するためのものです。PC側のAIWIを起動した状態で、スマートフォン側のAIWIを起動すれば自動的に検出され、AIWIを使う準備が整います。

―もしも自動認識されないような場合はどのような手順を踏むのでしょうか?

[Ray氏]手動設定も用意していますので、そこからスマートフォンのIPアドレスを直接入力することになります。

―今回はWi-Fiによる接続ですが、海外版ではBluetoothでの接続にも対応しているようですね?

[Ray氏]確かに海外版ではBluetooth接続にも対応しています。ただし日本では大手通信キャリアがスマートフォンとPCとをBluetoothで接続することを許可していません。テザリングにあたるためです。AIWIの仕様というよりも、スマートフォン側の制約でご利用できません。

―実際にゲームをAIWIで楽しむためにはどのような手順を踏めばよいのでしょうか?Virtual Tennis 2009を直接起動しても大丈夫なのでしょうか?

[Ray氏]AIWIを使ってゲームを楽しむ場合、AIWIのメインUIにある対応ゲーム一覧からプレイしたいタイトルを選んで起動します。もちろんAIWIを使わない場合は、普段どおりゲーム自身のショートカットから起動することもできます。

 
AIWIの強みは不正確なモーションを特定の正しくコマンドに置き換えるノウハウ

 今回はAIWIGamesのVirtual Tennis 2009をデモプレイしながら、AIWIの操作感を紹介していただいた。

 通常のゲームなら十字キーとボタンでプレーヤーを操作するが、AIWIではそのものずばりラケットのようにスマートフォンを振ることでボールを打ち返す。イメージとしては、Wiiリモコンの操作感に近いと言えるだろう。その様子は下のビデオを見ていただくと分かりやすいだろう。


[動画] AIWIでゲームをプレイ / 14秒 
※Youtubeで動画を視聴したい方はこちら

Virtual Tennisプレイ中の様子

AIWI起動中のiPhoneとAndroid端末

―例えばボールを打ち返す強弱なども検出されているのでしょうか?

[Ray氏]スイングの強弱はもちろん、トップスピンをかけるといったトリッキーな操作も可能です。AIWIならテニスでラケットを振るような自然な操作が可能になります。

―スマートフォンをPCのコントローラに活用するというのは最近よく聞く機能ですが、AIWIの強みというのはどこにあるのでしょうか?

[Ray氏]Aibeliveはモーションセンサーに特化した開発を行っています。特に加速度センサーを活用する技術では業界をリードしています。手は意外と不安定な動きをするものでして、それを特定の操作に置き換える技術は我社独自のノウハウです。

―その「モーションを特定の操作に置き換える変換」にはどのような仕組みを用いているのでしょう?

[Ray氏]まず、各タイトル毎にモーション情報が登録されています。そしてそのモーションが完了した時にコマンドをWi-Fi経由で送信します。ですから交換される情報量は最小限で、レイテンシも殆どありません。ただし、この「完了後に送信」という仕組みのために、若干クセがあり、例えばVirtua Tennis 2009では画面で表示されるタイミングよりも若干速めにラケットを振る動作をしておく必要があります。

―ここまでお聞きしたところでは、コンマ数フレームが勝敗を分けるシビアな勝負には向かないと思うのですがいかがでしょうか?

[Ray氏]確かにそのとおりです。一方、AIWIを使う際は、身体を動かして操作しますから、また別の視点でゲームを楽しむことが可能になります。画面を前に2人でゲームをしながら良い汗を流すという意味で(笑

 
Flashゲームは年間12タイトルを計画中


今後発売予定の野球ゲーム

今後発売予定の水泳ゲーム
―ユーザーの声はどのように吸い上げる仕組みでしょうか?

[Ray氏]英語などでの対応になりますが、FacebookおよびTwitterにアカウントを用意しておりますので、そこからご要望いただければ、と思います。日本国内での展開にあたり、Smart Presenの日本語入力など、追加した機能もございます。また、今後、キーボードやマウス等ゲーム以外の付加価値を強化していく予定です。

―サポートタイトルを充実させるプランはおありでしょうか?

[Ray氏]サポートタイトルは順次拡大していく予定です。Flashゲームについては、今年1年で12タイトル以上をリリースしようと計画中しており、今後もオリジナルゲームを積極的に開発し、順次投入していく予定です。現在、レースゲームとして「Boom Boom Kart」を、ほか、バドミントンやベースボール、スイミング、ボーリング、テニスなどを開発中です。

―それら新作タイトルはどのような販売形態をとられるのでしょうか?

[Ray氏]海外ではオンライン販売も展開していますが、日本国内では当面、パッケージ販売を予定しています。パッケージといっても、Virtual Tennis 2009では製品版が付属しますが、ほかのタイトルに関してはシリアルを同梱し、ゲーム本体はウェブサイトからダウンロードして楽しんでいただく方法を採用する予定です。ゲームのほか、プレゼンテーション機能やマウス機能などもこの方法で追加できます。

―そのほか現在検討中の機能などございますでしょうか?

[Ray氏]現在Bonjour Print Servicesを必要としていますが、これ無しでも動作する仕組みを開発中です。

 スマートフォン市場は急激に成長しています。この伸びる市場の「モーション」を的確に捕まえ、PCとの連動で新しいニーズを掘り起こすことができるよう努力してまいります。

 既に海外、とくに中国では多数のユーザーを得ておりまして、日本国内でも実用的なSmart PresenやAIWI 3Dエアーマウス、新鮮な操作感でゲームが楽しめるAIWIGamesを是非ご体感いただければと思います。

―ありがとうございました。

□AIWI
http://www.aiwi.co.jp/

□関連記事
【2012年1月21日】スマホをPCの入力に利用、PC用テニスゲームなどが発売に / スマホを振ってラケットを操作
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20120121/etc_aiwi.html
【2010年6月1日】iPhoneをタッチパッドやキーボード、ゲームコントローラーにする「AIWI-Lite」(窓の杜)
http://www.forest.impress.co.jp/docs/review/20100601_371439.html

AIWI製品

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。