GeChic On-Lap 1302 (STAND BRICKS 2併用時) |
GeChic On-Lap 1302 |
ノートPCの液晶天板部分に取り付けて、USB給電でサブディスプレイとして利用できる、ユニークな液晶ディスプレイGeChic「On-Lap 1301」。
モバイル環境でマルチディスプレイを構築したい人を中心に密かなブームとなっていたが、そのOn-Lap 1301の後継モデル「On-Lap 1302」が登場した。
今回の新モデルの大きな変更点は以下の2つ。
・新たにHDCPに対応
・貼り付け方法を変更、より薄型になった
「基本はノートPC用」、というのは同じだが、こうした改良でPC以外での応用範囲も広がった。そこで今回は、PC以外の映像機器に接続、これまでにない活用法を探してみた。
また、「ノートPCでの活用がどう変わったか」についても最後に検証しているので、是非参考にしてほしい。
ちなみに、On-Lap 1302のHDMIコネクタは標準コネクタだが、Mini HDMI端子やMicro HDMI端子を持つ機器とは、HDMI中継コネクタを利用し、Mini HDMI-HDMIケーブルやMicro HDMI-HDMIケーブルなどを継ぎ足して接続している。
| デジタルカメラ ~意外に便利?ファインダー代わりや画像確認用として~ |
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モバイルブースターを電源に利用した |
まず、試してみたのがデジタルカメラだ。
現在のデジタルカメラは、撮影した映像はもちろん、ライブビュー映像などをHDMIで出力できる。そこで、デジタルカメラをいくつか用意、テストしてみた。
まず接続してみたキヤノンのデジイチ「EOS 5D Mark II」では、撮影した映像に加え、ライブビュー映像も正常に表示。また、ソニーのコンパクトデジカメ「DSC-HX100V」でも、撮影映像とライブビュー映像の双方が正常に表示できた。
パナソニックのデジイチ「LUMIX GX1」は撮影映像のみ表示が可能だったが、これはカメラ側がライブビュー映像のHDMI出力に対応しないため。それに対し、ニコンのデジイチ「D90」と「D300s」では、撮影映像とライブビュー映像の双方とも表示できなかった。HDMI出力信号の設定を変更しても同様だったため、On-Lap 1302がサポートしない映像信号が出力される仕様だと思われる。
On-Lap 1302は液晶サイズが13.3型と大きく、撮影映像のチェックにはかなり便利に利用できそう。今回は、三洋電機のモバイルブースター(KBC-L2BS/1A出力対応)からUSBバスパワーを出力、On-Lap 1302の電源として利用したのだが、こうすれば屋外でも容易に利用できるだろう。
また、液晶画面が固定されているデジカメで、On-Lap 1302を三脚に固定するなどしてライブビュー用に利用すれば、撮影の自由度も高まるはずで、結構便利に使えそうな印象を受けた。ただ、ニコン製デジカメのように利用できない場合もあるため、この点は注意した方がいいだろう。
キヤノンのEOS 5D Mark IIでは、撮影映像の表示とライブビュー映像の表示双方が可能だった |
ソニーのDSC-HX100Vでも、撮影映像とライブビュー映像の双方が正常に表示された |
パナソニックのLUMIX GX1は、カメラ側の仕様でライブビュー映像の表示は行えず、撮影映像の表示のみ可能だった |
| スマートフォン&タブレット ~スマホの映像確認用として?~ |
次に、HDMI出力を持つスマートフォンやタブレットを接続してみた。
まず、スマートフォンだが、ソニー・エリクソンの「XPERIA Acro SO-02C」では問題なく表示でき、HD動画や撮影した画像の表示はもちろん、メインメニュー画面もしっかり表示された。また、富士通の「ARROWS Z ISW11F」も表示可能だったが、HDMI出力が480pの場合のみで、720pや1080pでは表示されなかった。それでも、大きい画面で写真や動画を表示できる点はちょっと便利に感じた。
それに対し、テストしたアップル「iPad」とAcer「ICONIA TAB A500」、モトローラ「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」のタブレット3機種は、全て映像が表示されなかった。iPadはサードパーティ製のHDMI出力アダプタを利用したことが原因かもしれないが、Android 3.xベースのAndroidタブレットはOn-Lap 1302との相性が悪いと考えた方がよさそう。ただ、タブレットは画面サイズが大きいため、わざわざOn-Lap 1302を接続して映像を楽しむ意味は少ないので、それほど大きな問題はないかもしれない。
ソニー・エリクソンのXPERIA Acro SO-02Cでは、映像や動画などの表示が問題なく行えた |
通常の操作画面ももちろん表示される |
富士通のARROWS Z ISW11Fでも表示されたが、HDMI出力が480pの場合のみ正常表示され、720pや1080pでは表示されなかった
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サードパーティ製のHDMI出力アダプタを利用してiPadを接続、Youtubeアプリの出力を試してみたが、映像は表示されなかった
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ICONIA TAB A500とMOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11Mの2種類のAndroidタブレットも表示できず。HoneycombベースのAndroidタブレットは利用できない可能性が高そう |
| 地デジチューナー ~HDCP対応なのでもちろん視聴可、音は別途用意が必要~ |
HDCP対応となったため、東芝製地デジチューナーD-TR1に接続しても地デジやBS/CSの映像が問題なく表示された |
次に、地デジチューナーに接続してみた。
先述したようにOn-Lap 1302は、新たにHDCPをサポートしている。そのため、従来モデルでは不可能だった、地デジチューナーなどでも利用できる可能性が高い。そこで、東芝製の地デジ/デジタルBS/110度CSチューナー「D-TR1」に接続してみた。すると、やはり何の問題もなく映像が表示された。若干映像の発色が淡いという印象も受けるが、テレビの視聴には全く支障がないレベル。また、映像の残像などもほとんど気にならなかった。
ただし、今回テストした「D-TR1」に用意されているUSBコネクタでは供給電力が不足し、電源が入らなかったため、外部USB電源アダプタなどの利用が必要だった。加えて、On-Lap 1302にはスピーカーが搭載されないので、スピーカーやヘッドホンも必須だ。
| PlayStation 3 ~ゲームもOK、表示遅延も気にならず~ |
PlayStation 3の映像も問題なく表示された。また、表示遅延が少なくゲームプレイもなかなか快適だった |
地デジチューナーがOKなら、PlayStation 3も大丈夫のはず。
そこで実際に接続してみたところ、やはり問題なく映像が表示。ゲームプレイはもちろん、ブルーレイソフトの再生など、全機能を問題なく利用できた。また、PlayStation 3のUSB端子で電力供給も問題なかった。今回は試せなかったが、HDMI出力を持つ他のゲーム機でも問題なく利用できるはずだ。
試しにゲームをプレイしてみたところ、表示遅延もほとんど気にならず、なかなか快適にプレイできた。これなら、PlayStation 3用のモニターとしても十分に利用できそうだ。ただし、こちらも音を出すには、別途スピーカーやヘッドホンの用意が必須なのは言うまでもない。
| 本来の本筋、ノートPCにも取り付けてみた 粘着シート+ちょうつがいによる取り付け方式 |
映像を表示させている様子。Ultrabookのような軽量ノートでは、液晶部を垂直以上開くと重さで奥に倒れるので注意 |
さて、ここまでいろいろな機器で試してきたが、On-Lap 1302はノートPCでの利用が本筋。ということで、前後が逆かもしれないが、ここでノートPCに取り付けて利用した場合も紹介しておこう。
On-Lap 1302の従来モデルからの変更点は、本体サイズや重量、ノートPCへの取り付け方法などだ。
このうち最も大きな変化はサイズと重量で、従来モデルから大幅な薄型化と軽量化が実現されている。厚さは8mmと1cmを切り、重量も654gと200g以上軽くなったため、携帯性が大幅に向上。また、ノートPCへの取り付け方法は、専用のプレートを両面テープでノートPCの天板部分に固定し、そのプレートに本体を差し込むように取り付けるという方式となった。
小型プレートのみでの固定となったため、見た目には強度に不安を感じるかもしれないが、両面テープが非常に強力で、従来の吸盤による固定と同等の強度を実現しており、実際に取り付けてみてもそれほど不安は感じなかった。ただ、ヒンジ強度の弱いノートPCでは、垂直以上の角度にすると重さで奥に倒れそうだ。また、Ultrabook程度の本体重量では、On-Lap 1302の重さを支えきれない可能性も高い。
このように縦置きにすれば、Webブラウザなども使いやすい |
PCへはこのように固定される。粘着テープの強度はかなり強く、液晶部を取り付けてもぐらつきなどはほとんど感じない |
折りたたむと、このようにPCとほぼ一体化して持ち運べる |
液晶部には、このようなちょうつがい構造のアタッチメントが用意され、この部分を先ほどのプレートに差し込んで固定する |
このように、プレートをノートPCの天板部分に貼り付けて利用する |
ノートPCへの固定は、従来の吸盤式から、専用プレートを粘着テープで固定する方式に変更された |
重量が実測で650.5gと、従来モデルから200g以上軽くなっている |
本体の厚さも8mmと1cmを切る薄さを実現 |
従来は別売りだった、専用スタンド「STAND BRICKS」が付属する。PCから離して横置きや縦置きが可能 |
別売オプションの「STAND BRICKS 2」。今回の撮影でも利用している。 |
「STAND BRICKS 2」の内訳 |
PCとの接続は、付属の専用ケーブルを利用する。
映像用の接続端子はHDMIで、別途オプションでDVIやアナログRGB用のケーブルも用意されている。また、映像端子に加えてUSB端子も用意されており、PCのUSB端子から電源を取ることになる。電源の仕様は5V/1Aとなっており、電力供給に余裕のあるUSB 3.0ポートに接続した方が安定して利用できそうだ。ちなみに、モバイルブースターなどの、USB出力を持つ携帯バッテリの利用もOK。実際に、三洋電気の1A出力対応USBポート付ポータブル充電器、KBC-L2BSでも問題なく利用できた。
ノートPCのHDMI出力との接続は、付属の専用ケーブルを利用。着脱式だが、収納スペースがない点は少々残念
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HDMIコネクタは標準サイズ。USBコネクタは電源を取るためのものだ |
このように、PCのHDMI出力とUSB端子に接続して利用する。USBコネクタはUSB電源アダプタなどに接続してもOK |
表示品質は、従来モデルとほぼ同等だ。液晶パネルはTNパネルのため、視野角が狭い点はかなり気になったが、表示品質は思ったほど悪くない。表示される映像や文字がにじんだり、残像を感じることもなく、安価なノートPCに搭載されている液晶パネルと同等レベルの表示品質を備えていると感じた。サブモニターとしての利用なら、十分に満足できるだろう。
今回、On-Lap 1302をノートPCだけでなく、いろいろな機器に接続して試してみたが、HDCP対応で接続できる機器や表示できるコンテンツの制約が少なくなったことで、従来モデルより魅力が大きく向上したと感じた。また、小型化、薄型化、軽量化が実現されたという点も、非常に大きな魅力となるはずだ。今回試した機器では、正常に利用できないものもいくつかあったが、本来の用途であるノートPC以外の機器でも利用できることから、活用の幅が広がった点は大いに歓迎したい。
なお、実売価格は約19,800円と、従来モデルよりやや高価。ただ、機能面の向上に加え、従来別売りだった「STAND BRICKS」が標準で付属していることを考えると、高くなったという印象はない。小型、薄型、軽量化を実現し、HDCPに対応したことも合わせ、従来モデルよりも広くオススメできる製品だ。
□GeChic
http://www.gechic.com/index_jp.htm
□製品情報
http://www.gechic.com/product_jp.asp
□テックウィンド(国内発売元)
http://www.tekwind.co.jp/
□製品情報
https://www.tekwind.co.jp/products/entry_9345.php
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http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20111224/etc_gechi.html
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