1998年4月4日号


A-Open製440BX搭載マザーボードの動作デモと展示が始まる
440BXチップセットは2日のモバイル版発表で情報解禁?

AX6Bヒートシンク
【A-Open AX6B】【ヒートシンク】
AGPターボ設定AX6B
【AGPターボ設定】【AX6B】
動作デモ中内部
【動作デモ中】【内部】

 モバイル用440BXチップセットが2日に発表されたことで事実上の情報解禁となったのか、アキバでは複数のショップで440BXチップセットを搭載したマザーボードの展示と動作デモが始まっている。いずれもA-Open製の「AX6B」が利用されており、一部はサンプル版ではなく日本語マニュアルまで用意された製品版が用いられている。また、A-Openの国内代理店の一つであるアイ・オー・ネット(アイ・オー・データ機器の関連会社)も、ホームページ上で「近日発売予定」として、このAX6Bの製品情報を3日(金)から公開し始めている。

 ピーシーアドバンスドでは、代理店を通して入手したという日本語マニュアル付きのAX6Bを店内で展示中。マニュアルは例によって随所に妙な日本語が入っていたりはするものの、AX6B特有の新機能などについてもきちんと触れられており、安心感を覚えると同時にA-Openの対応の素早さに感心してしまう。マザーボードの基本的なスペックはATX/PCI×3/(PCI/ISA)×1/ISA×2/DIMM×4/Award BIOSというもので、一見すると従来の440LXチップセット搭載マザーボードとほとんど何も変わっていない。もちろん、I/Oコネクタの部分にも特に変化はない。外見で目につくのは、チップセット上に黒いヒートシンクが取りつけられているということくらい。設定用のジャンパなども数少なく、クロックも含めて設定関係はほとんどBIOS画面上から行うことになる(マニュアルでは「ジャンパレス設計」をうたっている)。

 Pentium IIの環境はチップセットが現状Intelが独占している関係もあって、どんどん自由度が狭まり、つまらない方向に向かっていると言われていたけれども、このAX6Bを見る限りは、その認識も少し改める必要がありそう。というのも、このAX6Bには、チップセットのサポート範囲を超えるかなりキワドイ設定項目がいくつか用意されていることが今回わかったからだ。一つは、ベースクロックの設定範囲が幅広く、マニュアルによると66/68.5/75/83.3/100/103/112/133.3MHzまで設定が可能なこと。もちろん100MHz以上の設定はサポート外になるが、設定値の細かい刻みもさることながら、クロックの上限が133.3MHzまでというのにもビックリする。まだ不確定の要素も多く断定はできないが、流通関係者の間で飛び交っている情報によると、多くのメーカーの440BXマザーボードは上限が112MHz程度がほとんどで、それ以上の設定ができる製品は数種類程度しかないらしい。AX6Bは、どうやらその貴重な製品の1つのようなのだ。CPUの内部倍率も1.5~8倍まで設定可能なため、論理的には133.3MHz×8=1,064MHzと、なんと1GHz超の設定が可能という凄さだ。

 また、もっとも注目すべきは「AGPターボ設定」なる機能で、なんとこれは本来66MHz固定であるはずのAGPクロックを、ベースクロックと同期させることができるという。つまり、ベースクロックを440BX 標準の100MHzで動かしている環境で、AGPターボ設定をONにすると、AGPも100MHzになるというもの。当然、原理的に考えれば、AGPターボ設定ONの状態でベースクロックを133MHzにクロックアップすれば、CPUもメモリもAGPも全て133MHzで動作するということになる。AGPは結果的にx2モードと同じクロックで動いてしまうというわけ。現状、AGPビデオカードの利点はあまりないと言われているけれども、こうなるとPCIバスと違って他のカードと共存していないAGPはクロックアップも簡単に試せるわけで、ハードウェアマニアな人たちにとってはかなり面白味が出てくる。ちなみに、このAGPターボ設定はマザーボード上のジャンパ設定1つでOFF/ONできるようになっている。日本語の弱いマニュアルでは「AGPの仕様は最高66MHzまでですけど、このジャンパーを有効にすることで、AGPクロックはバスクロックにと同期されます。」(原文のまま)と解説している。

 このAX6Bを搭載したマシンを実際に動作させて公開デモを行っているのはフロンティア神代 東京秋葉原店で、マシンの構成はA-Open AX6B/ASUS AGP-V3000(RIVA128)/SDRAM 64MB/4.3GB HDD/24x CD-ROMドライブ/SoundBlaster AWE 64というもの。デモマシンはPentium IIがベース100MHz×4=400MHzで動作していたものの、実際に使用されていたCPUがなんであるかは確認することができなかった(Pentium II 333MHzのクロックアップか?)。これは、4月中旬から30万円弱の価格で発売する予定の新型マシンで、発売時にはIntelから直接入荷する正式なPentium II 400MHzが搭載される予定とのこと。現在、予約を受付中だ。とにかく、440BXを搭載したマシンでベースクロック100MHz動作しているマシンが一般公開されているというのは貴重で、一度見てみたいという人にはこれがいいチャンス。ちなみに、このデモマシンで例のAGPターボ設定をONにしてみたところ、100MHz設定ではFinal Realityによるべンチマークが若干上がるのを確認できた。

 複数の流通筋によれば、440BX搭載マザーボードはA-Openに限らず各社マザーボードメーカーから出荷はすでに開始されており、国内でも代理店レベルでほぼ入荷が完了し、一部有力店への納入も済んでいるという。430TXや440LXのときと違い、440BXは発表段階でチップの供給がかなりの数に及んでおり、マザーボード製品も発表前に潤沢に流通経路に流れているらしい。こうした状況を背景に、一部メーカーの製品がフライング販売される可能性が濃厚だとする情報も飛び交っている。しかし、少なくともデスクトップ用440BXの発表日と言われている16日(もしくは15日)に販売がスタートするのは確実なようで、待ったとしてもあと約2週間。Slot 1環境はこれでいよいよ「完全な」ベース100MHz環境に一斉に突入することになるわけだ。

□A-Open
http://www.aopen.com.tw/
□アイ・オー・ネット
http://www.ionet.co.jp/
・A-Open AX6B
http://www1.ionet.co.jp/aopen/mainbord/ax6b.html

[撮影:DIJEDC-2E 協力:ピーシーアドバンスドフロンティア神代 東京秋葉原店]


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