1998年5月23日号


正式発表を目前にAMD K6-2が突然のフライングデビュー!
300MHzが39,800円、266MHzが29,800円

K6-2入荷しました!突然ですが..
【K6-2入荷しました!】【突然ですが..】
AMD K6-2AMD K6-2の裏
【AMD K6-2】【AMD K6-2の裏】
AMD K6 3DAMD K6 3Dの裏
【AMD K6 3D】【AMD K6 3Dの裏】
K6 3DとK6の違いK6 3D完売御礼!
【K6 3DとK6の違い】【K6 3D完売御礼!】

ついに「Super 7」の環境整う?

 AMDの最新Socket 7 CPU「AMD K6-2」がアキバで突然のデビューを飾った。一部ショップに並行輸入ルートで入荷したもので、266MHzと300MHzの2種類が存在し、それぞれ実売価格は約3万円、約4万円となっている。もちろん、これは言うまでもなく正式発表前のフライング販売で、AMDから正式発表は米国時間の28日(日本では29日)に行うというアナウンスが出されている。どうやら、アキバは世界のどこよりも早く、AMDの言う「Super 7」の構成パーツが全てそろってしまったらしい。

 K6-2は以前までK6 3Dと呼ばれていたCPUで、浮動小数点演算に重点を置いた拡張MMX「AMD 3DNow!」を搭載した最新CPU。また、AMDはベースクロック100MHzに対応したSocket 7のシステムを「Super 7」と名づけ、以前からこのK6-2がその対応CPUになるもの、とアナウンスしてきた。アキバではすでにベースクロック100MHzに対応したメモリもSocket 7マザーボードも当たり前に手に入る状況になっており、最後の100MHz対応CPUのみがなかなか出てこないという状態だった。それが、正式発表約1週間前にして突然出てきたというわけだ。

微妙に違う「K6-2」と「K6 3D」刻印の2タイプが流通

 確認できている範囲では、アキバで最初にK6-2を販売したのはパソコン工房秋葉原1号店同3号店で、22日(金)に少量入荷し、その日のうちにすぐに完売してしまったそうだ。販売されたものは、CPU表面に旧称の「AMD-K6 3D」の文字がプリントされたタイプで、気になる電圧仕様についてはコア2.2V、I/O 3.3Vとの記述がなされていた。現行のK6/300はI/O電圧が従来の3.3Vから3.45Vに変更されていることを考えると、この記述が公式仕様ということであれば、また元に戻ったことになる。価格は42,800円で、現在は両店で予約を受付中だ。いまのところ、正式発表後の来週末にも大量入荷する予定があるそうだ。

 続いて、「AMD-K6-2」とプリントされた266MHzと300MHzのタイプを販売したのがTWO-TOP各店(TWO-TOP秋葉原1号店TWO-TOP秋葉原2号店TWO-TOP秋葉原本店)。価格は、266MHzが29,800円、300MHzが39,800円。少し前から入荷して倉庫に保管されていたものの、23日(土)に急遽販売開始が決まったそうで、アキバからだいぶ離れた倉庫から各店への大輸送作戦が緊急で実行されたとのこと。TWO-TOP秋葉原1号店には午後になってから「突然ですがK6-II入荷!! 本日午後4:00から販売開始」との予告張り紙が出され、実際には作戦がスムーズに進んだのか15時頃には店頭で販売が開始されていた。TWO-TOPは大量に在庫を持っているそうなので、早めに行けば24日(日)にも店頭で購入できる可能性は高い(インターネット通販でも注文を受け付けている)。

 また、K6-2の予約を受け付けているショップとしては、ほかにソフマップ1号店"Chicago"があり、受付期間は23日(土)~29日(金)まで。支払いと商品の引渡しは29日(金)正午以降になるそうだ。

 TWO-TOPが販売しているK6-2は、CPU名称のプリントが違うほか、K6 3D刻印のタイプにはないものとして「Designed for」に続く文字に「Windows NT」と「Windows 95」の2つが記されている。K6 3Dは、従来のK6と同様に「Windows 95」のみしかない。また、CPU裏(ピン側)の形状が若干異なり、K6-2が格子状の窪みができているのに対し、K6 3Dはまったく凹凸のない平面になっている。どちらも製造時期を示すコードが「9819xxxxx」と、同じ'98年第19週を示しているので、これはたまたま製造ラインが違っていたせいなのか、製造工場が違っていたせいなのかも知れない。なお、電圧仕様に関しては、先のK6 3Dとまったく同じ内容が記されている。

 また、どちらのタイプも従来のK6と比べると、表面のアルミカバーの形状が若干変更されており、凸部の高さが従来のK6より低くなっている。

正確な仕様は正式発表待ち

 実物が出まわったとはいえ、仕様についてははっきりしていない点も多く、現時点で購入に際して不安材料がないわけではない。というのも、先日のK6/300のように、初期ロットのものとその後のロットで表面に印刷されている電圧仕様が異なっている例もあり、まず動作電圧がコア2.2V、I/O 3.3Vで本当に正しいのかがわからない。AMDは以前に電圧値のミスプリント製品を出荷したこともあり、CPU表面のプリント内容だけではまったく信用できない。さらに、本当にベースクロックは100MHzに対応しているのかどうかという点についても現時点では確証がない。もともと、当初のロードマップではK6-2はベースクロック100MHz対応の300MHzから製品がスタートすることになっていたものの、現実には266MHzも出ている。実クロックが266MHzというのは、単純に考えるとベースクロックは100MHzではありえず、66MHz×4ということになる。

 このあたりは、流通関係者の間でも情報が錯綜しており、「266MHzのみ66MHz」、「266MHzは66MHz×4と100MHz×2.5の両サポート」、「K6-2は100MHzをサポートしない」、「このあとに333MHzも出る予定で、こちらは今まで聞いたこともないベースクロックを採用している」など諸説紛々としているというのが実情。ちなみに、TWO-TOPでは現在266MHzを100MHz×2.5、300MHzを100MHz×3と案内している。

 まぁ、どうせクロックアップして使うような人にとっては、どうでもいいといえばどうでもいい話ではあるが(実質100MHzで動くのはわかっている)。未発表の製品についてAMDが質問に答えるわけもなく、正確な仕様については正式発表を待つしかなさそうだ。

「人柱」にとっては最高の材料?

 現時点での仕様の不透明さもさることながら、クロックアップ耐性や、「AMD 3DNow!」の性能がどれほどの性能を発揮するかなど、K6-2はチャレンジ精神旺盛な「人柱」な人達にはたまらない材料が豊富だといえる。3DNow!に関しては、Direct X6.0でサポートされることになっており、すでにβ版のモジュールが開発者などに向けて配布が始まっている。また、3DNow!のテストは、AMDによると「Winstone 98、3D Winbench 98 + Direct X6.0でテストできる」とのことなので、こうした環境を整えられる人ならばすぐにテストしてみることもできる。

 また、すでに3DNow!に対応しているソフトとしては「Unreal Player」という日本語対応の音楽データ再生ソフトがあり、配布元のページでは、mp3などCPU負荷の高いデータも3DNow!に最適化されたデコーダーで高速に再生できる、と説明している。編集部で試したところ、確かにK6-2を使った場合は3DNow!をソフト側で自動検出することが確認できた(ソフト側では「K6-3D」と表記している)。

K6シリーズの価格が急降下する可能性大

 K6-2の登場で、現行のK6を劇的に下げるショップも出始めており(「メモリ/CPU最安値情報」参照のこと)、こうした価格動向も見逃せない。実際、興味深いところではK6-2も含めて正式発表前後にK6シリーズ全ての価格が急落するという話もある。価格が下がるのであれば、むしろ現行のK6のほうがお買い得感がグッと高まり、こちらのほうが売れ行きを伸ばすことも考えられそうだ。

 K6-2の登場で、またSocket 7を中心にしていろいろ大騒ぎになりそう。K6-2がもし本当にベースクロック100MHzを公式サポートしているのであれば、それは「Socket 7対Slot 1」ではなく「Super 7対Slot 1」の新たな競争のスタートをも意味する。もしかすると、アキバでは一足先に、その幕がもう切って落とされたのかもしれない..。

□AMD
http://www.amd.com/
・AMD-K6-2 Processor with 3DNow! Technology Coming May 28th!!
http://www.amd.com/products/cpg/k623d/index.html
□Unreal Player
http://www.303tek.com/products/unrealplayer/index.jpn.html

[撮影協力:TWO-TOPパソコン工房秋葉原1号店]


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