1998年8月29日号
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Mendocinoがデビューして「第2次Celeronブーム」到来?
333MHzより300AMHzの方が価格が高い逆転現象も
【新Celeron入荷!】 | 【300AMHzと333MHz】 |
【製品型番】 | 【pfm686実行結果】 |
【旧Celeronダイ】 | 【新Celeronダイ】 |
【504MHzでの動作テスト】 | 【300AMHz入荷予定】 |
●300AMHzに人気集中、価格も逆転
確認できているところでは、25日(火)の時点で販売をスタートしていたのは300AMHzが1店、333MHzが5店。28日(金)にはそれぞれ3店と7店、29日(土)は1店と11店で販売しているのを確認できた。300AMHzの販売店数が333MHzに比べて少ないのが気になるが、これはそもそも300AMHzの流通量が少ないということに加え、理由は後述するが、300AMHzに需要が集中して争奪戦となっているため。品不足に関しては「Intel正規代理店でさえ、333MHzで10、300AMHzが1という割合でしか入らない見込みだと嘆いていた」とあるショップは話し、人気ぶりに関しては「300AMHzは入ったそばから飛ぶように売れていく」と複数のショップが異口同音に語っている。
こうした偏った需給バランスのため、価格に関しては珍現象が起こっている。面白いことに300AMHzが36,800円、333MHzが34,000円前後と、完全に上位と下位のモデルで実売価格が逆転しているのだ(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。それでも、25日(火)の時点では30,800円と35,000円前後と、ごく当たり前の差がついていたのだが、もともと品薄のところにきて300AMHzに人気が集中したことで、ある種のプレミアがついてしまったようだ。300AMHzが複数のショップに在庫があった28日(金)の時点でも、全てのショップが36,800円と、333MHzの相場よりも高い価格をつけていた。実際には300AMHzを2万円後半の価格で販売しているショップも少数あるにはあったのだが、そうしたショップは販売を開始してもすぐに完売という状態で、ほとんど「幻」と化していた。数日後に入荷する予定の300AMHzについて、3万円以下の価格で予約を受け付けているショップもあるが、こちらもあっという間に予約が埋まるのは確実。
現在は「初物価格+プレミア」という異常な状態だが、リテールパッケージが出回ると見られている9月初旬から中旬には、確実に価格は下がって適正なところに落ち着くことになるはず。発表では、1,000個ロット時のOEM単価はCeleron 300AMHzが21,710円、333MHzが27,970円だ。
●予想以上に高い性能にマニアが注目
注目は新Celeronに搭載された2次キャッシュの威力。この2次キャッシュは、容量こそ128KBとPentium IIの4分の1だが、CPUのダイの中に統合化されたこともあり、動作スピードはコアと同期して動作する。つまり、この点ではPentium IIの2倍の性能があるわけだ。これが一般のビジネスユースやホビーユースでどれだけの性能を発揮してくるかで、最終的な「コストパフォーマンス」が決まってくる。また、旧Celeronでマニアに人気を呼んだクロックアップ耐性も重要な点。動作保証外ながら、仕様を超える高いクロックで動くのであれば、一部のマニア達にとってはたまらない魅力になる。
その意味では、すでに「Tom's Hardware Guide」など著名なサイトがベンチマークを掲載し、その高い性能を実証している。それによると、クロックアップした場合も含め、同クロックで動作するPentium IIとほぼ同等、もしくはテスト条件によってはそれ以上の性能が出るのだという。また、それに加えて国内の人柱たちが続々とクロックアップの報告をネット上にあげており、特に300AMHzが100MHz×4.5=450MHzなどで安定動作している例が多い。新Celeronも旧Celeronと同様、内部倍率の設定が300AMHzで4.5倍、333MHzで5倍に固定化されているため、333MHzの場合は、ベースクロックを100MHzまで上げると5倍の500MHzにまで達してしまい、すぐに動作限界ギリギリに達してなかなかうまく安定しないようだ。そのため、マニアの間ではクロックアップしても動作限界手前で確実に動作する300AMHzの方に人気が集中している。
アキバでは、コムサテライト1号店が「Celeron 300A耐久テスト」と題し、実際に店内でEPoX製Slot 1マザーボードEP-61BXA-MとCeleron 300AMHzを組み合わせ、112MHz×4.5=504MHzで動作させている(あくまでもテストであって、動作保証しているわけではない)。個体差にもよるものの、モノと環境によっては、こうした高クロックでも動いてしまうといういい例で、同店はこの300AMHzを「あたり」(反語:はずれ)と称している。ショップ側も動作保証外とはいえ、300AMHzの性能の高さには注目しているというわけだ。
なお、こうした国内でのCeleronに関する一連の技術情報は、例によって「Celeron World」に詳しいので、興味のある人は参考にするといい。
●新旧Celeronの見た目の違いは..そして第2次Celeronブーム?
実物を見てみると、外見上で大きく変わっているのは1点だけ。中央にあるCPUのパッケージの盛り上がった金属部分の面積がかなり大きくなっている。単純に定規で測ってみると、旧Celeronは横幅が2cm、新Celeronは2.5cmあった。つまり、これはCPUのダイサイズが大きくなっていることを示している(ただし、旧Celeronでも最近のロットでは2.5cmのタイプがある)。これ以外では、まったくと言っていいほど違いがなく、あとは背の部分にある製品型番が違っているだけ。ちなみに、確認できたモノでは、300AMHzは「98330569-SL2WM 300A/66 MALAY」、333MHzは「98321061-SL2WN 333/66 MALAY」とあった。調べたところ、内部のCPU IDは660。
容量が小さいというハンデ付きながら、いち早くダイの中に2次キャッシュを統合した新Celeronは、現時点ではかなりマニアの間では評価が高く、ネット上もほとんどこの話題で一色。Socket 7潰しの最終兵器どころか、Pentium IIキラーにもなりそうな勢いだ。旧Celeronに続き、どうやらアキバでは「第2次Celeronブーム」がやってくるのは確実とみていいようだ。
なお、この新Celeronはマザーボード側のBIOSが対応していないと、ほとんどの場合まったく動作しないということに注意が必要。現状では、ショップに在庫として並んでいるマザーボード上のBIOSは、その多くがまだ新Celeronをサポートしていない。最新の対応BIOSがメーカーから配布されているケースでも、いったん別のCPUを使って起動させる環境がなければ、そのBIOSへのアップデート作業はできない。いきなりSlot 1搭載マザーボードと新Celeronを買った場合は最悪は途方にくれてしまうことになる。まず、新Celeronに対応したBIOSがあるのかどうか、別のCPUが用意できるのかどうか、あるいはほかに何か解決方法が用意できるのかどうか、きちんと事前に調べておくことが必要だ。
□Intel/インテル
http://www.intel.com/
http://www.intel.co.jp/
・New Intel Pentium II and Celeron Processors Complete 1998 Desktop Processor Line-up
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/dp082498.htm
・インテル 最新のPentium IIプロセッサおよびIntel Celeronプロセッサを発表
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press98/980825a.htm
□Tom's Hardware Guide
http://www.tomshardware.com/
・Big CPU Shoot Out - Intel Launches New Celeron with Mendocino Core and Pentium II 450
http://www.tomshardware.com/releases/98q3/980824/index.html
□Celeron World
http://hp.vector.co.jp/authors/VA005747/celeron/
[撮影協力:コムサテライト1号店]