あなたのPC大改造計画

【強化予算50万円】本格水冷モンスターPC誕生までの道のり

~本格水冷は歯ごたえ十分!~ text by 清水 貴裕

今回組みあがった本格水冷モンスターPCの近影。この画像だけでご飯3杯はいけるかっこよさ。

 “AKIBA PC Hotline! 読者のデスクトップPCを今風にアップグレードします!”という、ASUS後援の連載企画「あなたのPC大改造計画」。

 記憶に新しい第3回目では、TITAN XのSLIにSSD 750、Core i7-5930K、ASUS RAMPAGE V EXTREME、メモリ32GB……というウルトラハイエンド構成のモンスター水冷PCが誕生。50万円という超高額予算を投じた大改造だけあって、実際の作業もなかなか普通には見られないものだったが、水冷パーツの到着遅延や初期不良などのトラブルもあったりして、なかなか難産だったりもした。

 そこで今回は「番外編」として、前編/後編の2回の記事で掲載しきれなかった作業中の写真を中心に、本格水冷モンスターPCの誕生を振り返ってみたいと思う。

【おさらい:こんなPCになりました
Intel Core i7-5930K(3.5GHz、6C/12T)
Crucial CT8G4DFD8213×4枚(DDR4-2133、4×8GB)
ASUSTeKRAMPAGE V EXTREME(INTEL X99)
ASUSTeKGTXTITANX-12GD5(GeForce GTX TITAN X、12GB) × 2枚
IntelSSD 750 400GB(PCI Express 3.0 x4、400GB)、
CORSAIR Force Series LS 120GB×4(Serial ATA 3.0、120GB、RAID 0)
CoolerMaster V1000(80 PLUS GOLD、1000W)
Phanteks Enthoo Primo Ultimate Chassis
Windows 7 Ultimate 64bit版
その他水冷パーツ多数
今回使用した水冷パーツを含むパーツ達の集合写真。これらの合計金額だけで20万円を軽く超えてしまうので恐ろしい…
ブルーLED搭載ファンを贅沢にも11基使用。これらのうち10基をラジエータの冷却用に使用しているので、冷却力は万全だ。
水冷ブロック取り付け前に主要パーツをデスクの上に集合。2枚のGeForce TITAN XにIntel SSD 750 400GB、RAMPAGE V EXTREMEにCore i7-5930Kと高性能パーツのオンパレード。
マザーの水冷化をする前にTITAN Xを片付けようとしている図。決して、ASIC Quality 80%超えの大当たりカードを狙っている図ではありません(Tさんの強運恐るべし)
苦労しながらも水冷化が完了したRAMPAGE V EXTREME。CPUだけでなくVRMやチップセットも同時に水冷化が可能なこのブロックには、作業場に居合わせた水冷マニア達も興味津々だった。
GeForce GTX TITAN Xは、GPUコアだけでなくメモリチップやVRMも同時に水冷化できる専用のフルカバーブロックで水冷化。性能だけでなく見た目も美しいのでお勧めのアイテムだ。
延長スリーブケーブルのケーブルを専用工具で取り外したところ。アクセントとして、部分的にスリーブを青色にする予定だったが、スリーブがMOLEXのピンと一緒にカシメられていたので計画はとん挫…
松澤店長と水冷PC読本の作者であるUNT2worksKinoさんが助っ人として登場。スリーブをMOLEXのピンと一緒にカシメる手法の開発に乗り出す。青色のスリーブが肉厚だったため、作業はかなり難航した。
スリーブをMOLEXのピンでカシメて固定すると、外径が大きくなってコネクタに挿せない事が発覚。店長が半田ごてで溶かしてどうにか収めようとするも計画は失敗。
色々と試しているうちにケーブルが何本か殉職してケーブル作りに追われる始末。ここまでやるなら一から作った方が早いのではと思った数分後、店のバックヤードから青黒のスリーブ化済み延長ケーブルが発掘されたのは内緒(苦笑)
ラジエータを搭載すべく、マニュアルとにらめっこしながらケースを分解中の図。ハイエンドケースらしく作りがしっかりしている事に関心。
手間取っていると、見かねたベテランスタッフのK氏とM氏が手を貸して下さった。余りの手際の良さにラジエータの取り付けは一瞬で完了。同店のBTOマシンでも人気のケースらしく、組み慣れている感じが見ているだけで伝わってきた。
マザーやラジエータを搭載した後に、延長スリーブケーブルを接続。配線を束ねるためのマジックテープがあるので、作業性は抜群にいい。裏配線スペースにゆとりのあるケースではあるが、11基のファンや延長スリーブケーブルのお陰で、この後電源を載せるとかなりカツカツになった。
パーツの搭載が終わり水路もほぼ完成。後はポンプを底面に搭載してクーラントを注入するだけのはずだったが、ポンプが回転しないトラブルが発生して泣く泣く水路をばらす事に…
今回取り寄せたハウジング取り付け済みのポンプ。ポンプもハウジングも良品なのだが、微妙な個体差のせいか、組み合わせると内部で干渉を起こしていた。現場に居合わせたUNT2worksのKino氏いわく、こういった個体差が原因のトラブルは稀に発生するようだ。今回はお店にあったポンプと交換する事でトラブルを解決できた。
どうにかクーラントの注水が完了して、最後の仕上げにLEDを取り付けて発光具合のテストを行った。Tさんからの依頼で光漏れを抑えないといけないので、使用するライティング類は慎重にチョイスした。

苦労が倍なら喜びも倍、性能以外の面でも満足できる本格水冷

冷却性能や見た目の美しさ、どれをとっても超一級な本格水冷PC。

 写真で今回のモンスターPC製作を振り返ってみたが、苦労の数々を思い出すと同時に何とも言えない達成感に包まれている。苦労した分、完成時の喜びはひとしおだし、Tさん夫妻にも喜んで頂けたので本当に良かったと思う。

 本格水冷は冷却性能や見た目を自分好みにカスタマイズできるだけでなく、水冷パーツの事を調べたり水路の構成を考えたりするなど、組む以外の楽しみもある。知識が必要なために敷居が高いのも事実だが、最近は水冷パーツ一式のキットも発売されているので、以前よりは敷居は下がっている。

 今回のようなモンスターPCを組むとなると難易度がかなり高くなるが、CPUやGPUを中心としたシンプルな構成であれば意外にもすんなりと組む事ができる。本格水冷に興味があるけど後一歩が踏み出せない人は、まずは水冷パーツに詳しいお店に相談してみるといいかもしれない。

 この番外編で第3回目のPC改造計画はついに終了。マシンを純粋にアップグレードしたい人から、世界に一台のフルカスタムマシンを作りたい人まで、編集部は広く改造希望者を募集しているので、気になった人は下の応募フォームからエントリーしてみて欲しい。

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 募集要項と応募フォームへのリンクは、以下のページにありますので、内容をご確認の上、奮ってご応募下さい。

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[制作協力:ASUS]

(清水 貴裕)