ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」

ビキニアーマーを身に着けた優子が描かれたパッケージに、ユーザーは一瞬で心を鷲掴みされたとかされなかったとか。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回は日本テレネットが1986年に発売した「夢幻戦士ヴァリス」を取り上げます。

 ゲームの区切りにビジュアルシーンを取り入れ、よりストーリー性を持たせることに成功した「ファイナルゾーン」の生みの親である日本テレネット。この時期、同社の看板作品となったのが、主人公の女子高生がビキニアーマーをまとい、剣を振って戦うアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」です。

「AV(編注:オーディオ・ビジュアル)時代の幕開け」と題して、大々的に広告を打ち出していました。結果的に狙い通りのヒット作となりました。

 プレイヤーは主人公の麻生優子を操作し、最終面の魔王ログレスを倒すために戦います。各ステージはサイドビューで表示され、マップ右下にある矢印で示された方向へと進んでいき、出現する敵を倒しながら時々出現するアイテムを回収しつつボスを目指します。

矢印の示す方向へ向かいながら、途中で攻撃・防御アイテムを見つけて回収することで、主人公の優子をパワーアップさせることができます。1ステージの広さは最大で1,024画面分もあるとパッケージ裏には記されていますが、すべてを探索するのは至難の業でしょう。

 序盤から敵の攻撃はそれなりに激しいので、ある程度のアクションゲームの腕は要求されますが、ステージをクリアすればビジュアルシーンが待っているため、それを見る事を目標に遊んだ人もいるのではないでしょうか。“ビキニアーマーを装備した女子高生が主人公”という見た目とは裏腹に、シリアスなストーリーが展開されていくため、そこに引き込まれた人も多かったと思います。

ステージの最後に出現するボスは、優子の倍ほどもある大きさ。耐久度も高いものの、攻略方法がきちんと用意されているのが有難いです。
一定ステージごとに、ビジュアルシーンのデモが入ります。ストーリーが進めば、クラスメイトの麗子との戦いも……。

 奏でられるBGMも名曲揃いで、タイトル画面で特定の操作を行えばミュージックモードに入り、音楽だけを聴けるというのも当時としては珍しい機能でした。ただし、ゲームとしてのバランスは大味で、敵弾を喰らってしまうと後ろに押し返されてしまうため、そこに足場が無いと下まで落とされるなど、イライラすることがなかったわけではありません。とはいえ、それを補ってあまりある魅力を持っていたからこそ、今でも大勢が覚えているタイトルにもなっているのだと思います。

ミュージックモードでは、収録されている曲を聴くことができます。名曲と言われるエンディング「ミスブルーに微笑みを」が、いつでも聞けるのは良いものです。

 アクションゲームとして遊ぶのであればMSX版が良いですが、ビジュアルシーンが省略されているという惜しい部分があるので、先にPC-8801mkIISR版などでストーリーを把握しておくのがベストかもしれません。