パワレポ連動企画
インターフェースの基礎知識 ~SSDのインターフェースを理解する 1~
【パワレポ連動:買いの最新SSD総チェック(2)】
2016年8月30日 17:05
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年10月号」の第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 買いの最新SSD総チェック」を掲載する。
第2回目からはSSDの基礎知識や最新トレンドについて解説していく。まず始めはインターフェースの基礎知識から。SATA接続と比較して、PCI Express接続は段違いに高速。価格がネックだが、PCへの取り付け時にケーブルが必要ないというメリットもある。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(月)に発売。第2特集は、ワット数だけではない電源の見えない箇所を徹底比較「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 新顔ATX電源大品評会」。特別企画は、可視化されるとなぜか外へ出たくなる「ガジェット活用で楽しく生活改善 IT派の活動量計入門」、もっとも手に触れるものだけに、自分に合ったものを使いたい「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? キーボード選び放題」、キーボードにこだわるならこちらも妥協したくない「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 新世代高機能マウス30製品」を掲載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、小冊子「市場に並ぶ140超の製品をまるっと収録 電源名鑑 2016」。第2特集と合わせ、電源選びの参考にどうぞ。
-買いの最新SSD総チェック-
インターフェースの基礎知識 ~SSDのインターフェースを理解する 1~
今さら聞けない? SSDの基礎知識/トレンド 1
インターフェースを理解する
SSDを選択、活用するには、正しい知識を身に着けることが重要だ。ここではまずインターフェースなどの基礎的な部分を解説しよう。
最近のSSDは、インターフェースやフォームファクター、コマンドプロトコルといった要素が多様化し、しかも相互に関連があるため、製品選びの際に注意が必要になっている。ここで改めて整理しておこう。
まず初めにインターフェースという言葉の定義をはっきりさせておきたい。「インターフェース」は英語の「Interface」で「境界面、接点」といった意味がある。PC関連においても対象や状況が異なれば、さまざまなものがインターフェースと呼ばれることがあるわけだが、ここではストレージにおける、ホストコントローラ(チップセットなど)とストレージデバイスの間のバスのことに限定して話を進める。
インターフェースの基礎知識
■インターフェースは道路の制限速度
インターフェースとストレージの関係は、高速道路の制限速度と車のようなものである。たとえば、制限速度が80km/hの場合、本来は160km/hで走れるようなスポーツカーでも80km/hでしか走れないが、制限速度が160km/h以上になれば、フルスピードで走ることができる。逆に言えば、もともと80km/hでしか走れないような車ならば、制限速度がどれだけ上がっても80km/hでしか走れない。
HDDが主流だった時代はインターフェースの高速化が先行していたためにインターフェースが高速でも実際のパフォーマンスは変わらないということも多かった。一方、SSDの場合は並列アクセスなどによりシーケンシャル性能だけなら高速化は容易であり、SSD側の性能の向上のほうが先行している。より高速なインターフェースに対応するSSDほど、実際のパフォーマンスも高速であるという傾向だ。なお、インターフェースのデータ帯域は理論値であり、実際に発揮できる性能(実効性能)はその8、9割である。
■Serial ATAの代わりとしてPCI Expressが浮上
HDD時代から使われているSerial ATAはデータ帯域を150MB/s、300MB/s、600MB/sと向上させてきたが、SSDの性能はそれをあっさりと超えてしまい、より高速なインターフェースが求められるようになった。今やSerial ATA SSDのシーケンシャルリード性能は価格帯にかかわらず550MB/s前後(Serial ATA 3.0の理論値600MB/sの90%前後)で横並びの状態になっており、インターフェース性能が原因で頭打ちになっていることがうかがえる。
Serial ATAに代わるより高速なストレージインターフェースとして浮上したのがPCI Expressだ。マザーボードのオンボードチップの接続や拡張スロットでもおなじみの汎用のインターフェースである。PCI Expressは、上り下りの信号線を1レーンと数え、レーンを増やすことで帯域を拡張(=高速化)することができる。1レーンあたりの速度(片道)は世代によって異なり、2.0が500MB/s、3.0が約1GB/sだ。PCI Expressと言っても世代とレーンで性能が大きく異なるため、PCI Expressというだけではなく、世代が2.0なのか3.0なのか、レーンがx2なのかx4なのか把握する必要がある。PCI Express 2.0 x2でも帯域は1GB/sとSerial ATA 3.0の600MB/sよりかなり速いため、段階的に拡張されることも考えられたが、SSDの高速化ペースは速く、早い段階からPCI Express 2.0 x4(2GBs)、そしてPCI Express 3.0 x4(約4GB/s)を使う製品が出てきた。エンタープライズではさらにPCI Express 3.0 x8対応(約8GB/s)のモデルもあるが、コンシューマ向けでは当面はPCI Express 3.0 x4が主流で落ち着きそうな気配だ。
ちなみに、PCI ExpressベースのSerial ATAの上位互換インターフェースとして「SATA Express」という規格がある。SATA Expressポートは2基のSerial ATAポートとしても使えることから現行マザーボードにも多く実装されているのだが、データ帯域が最大でも2GB/sという中途半端さもあってSSD側では採用する動きが見られない。
【GbpsとGB/s、GT/sの違いは?】
ストレージインターフェースには、「bps」、「B/s」、「T/s」などが単位として使われる。基本的に、これらは表わす内容によって使い分けられているのだが、それが徹底されていないこともあって、少々混乱のもとにもなっている。
bpsとB/sは、それぞれ「bit per second」、「Bytesper second」の略である。単位bpsの数値を8で割れば、単位B/sの数値になる。たとえば、6Gbpsと750MB/s は同じデータ転送速度を示す。しかし、Serial ATA 3.0(6Gbps)のデータ転送速度は600MB/sとして知られている。これは、Serial ATAがデータを1bitずつ連続して送るシリアルバスであり、データを加工(符号化)して送るからである。具体的には、Serial ATAでは、8bitのデータを10bitにして送る(8b/10bエンコーディング)。つまり、転送される信号に含まれるデータは10分の8。それがSerial ATA 3.0(6Gbps)のデータ帯域が600MB/sとなる理由である。つまり、「Gbps」で示すのは「信号速度」。「MB/s」、「GB/s」で示すのは「データ帯域」と使い分けられているわけだ。
しかしながら、「bit」や「Byte」というのは「データ」の単位であるから、(必ずしもデータだけではない)信号速度を示す場合、厳密にはふさわしくない。そこで浮上したのが「T/s(Transfer per second)」という単位。「Transfer」は「転送」という意味だ。PCI Expressなど比較的新しいインターフェースの信号速度の表記にはこの単位が使われることが多い。ちなみに、PCI Express 2.0の符号化方式も「8b/10b」だがPCI Express 3.0は「128b/130b」に変更されている。そのため、PCI Express 3.0はPCI Express 2.0比で信号速度は1.6倍であるのに対し、データ帯域は約2倍になっている。とにかくややこしいが、信号速度や符号化方式はあくまで技術を理解するための要素でしかない。ユーザーとしては実益である「データ帯域」の違いだけ押さえておけば十分だ。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2016年10月号は8月29日(月)発売】
★第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 『買いの最新SSD総チェック』」
★第2特集「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 『新顔ATX電源大品評会』」
★特別企画「ガジェット活用で楽しく生活改善 『IT派の活動量計入門』」「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? 『キーボード選び放題』」「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 『新世代高機能マウス30製品』」
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