パワレポ連動企画
HDDの最新トレンド ~SSD&HDD再入門 その2~
【自作PC再入門(20)】
(2016/4/7 17:05)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年5月号」の総力特集「10年前、5年前とはもはや別物! もう一度、PCをイチから作る。」を掲載する。
第20回目ではHDDの最新トレンドを解説する。最近では用途別に分かれたHDDが販売されているのが一つのトピック。それらを別の用途で使用してもデータの保管ができないわけではないが、性能を発揮させるためにはHDDのブランドに合った用途で使い分けよう。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年5月号は全国書店、ネット通販にて3月29日(火)に発売。総力特集のほか、コストパフォーマンスに優れたCPUクーラー定番のブランドを比較「超ハイコスパブランド品のデスマッチ! サイズ製CPUクーラー最強位決定戦」、ここの予算を抑えて別のパーツに回したいのが人情「このご時世、ここでコストを抑えたい アンダー1万円で探すお買い得電源」、サービス内容を確認して用途に合ったものを選ぼう「“どれでも一緒”は損します フォトストレージ、どれ使ってる?」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は2大小冊子。そのままでも、アレンジしても大満足!最新パーツはこう組み合わせろ!!「即戦力・自作PC作例集」と便利な資料、豆知識、自作カレンダーなどをいつも手元に「自作手帳2016 Googleカレンダー対応版」だ。
-もう一度、PCをイチから作る。-
HDDならではの大容量モデルに注目~SSD&HDD再入門 その2~
8TBの選択肢が急増
HDDならではの大容量モデルに注目
SSD&HDD再入門 2. HDDの用途はデータ保存用に移行 コスパが高いドライブが人気
HDDは、いつの時代もコストパフォーマンスが高い製品に人気が集まる。10年前は、300GB前後のプラッタを採用した製品が主流で、500GBクラスが人気だった。現在は、1TB~1.33TBのプラッタを採用した製品が主流となり、値頃感のある価格で3、4TBのモデルが人気を集め、記録容量の大きさのわりにコストパフォーマンスが高いことから最大容量の8TBの製品もヒット商品になっている。
また、SSDが普及し始める2011年頃からトレンドが変化。2010年頃までは、性能の高い7,200rpmの製品の人気が高かったが、2011年頃からは性能よりもGB単価に優れるデータ保存用の製品に人気が集中している。
最新パーツは旧パーツとココが違う!
10年前のHDDは、データ保存用としてだけでなく、OS起動用としても主役だった。しかし、SSDの普及によりHDDの主な用途はデータ保存へと移行。現在のHDDは、デスクトップ向け、NAS向け、ビデオ向けなど用途別にラインナップされている。
プラッタ密度の向上で性能も上がった。9年前の製品は、7,200rpmの場合で最大速度120MB/s程度だったが、最新の製品は5,400rpmで180MB/s前後、7,200rpmなら220MB/s前後の速度が出る。
型番 | Barracuda 7200.11 | Desktop HDD |
公称最高速度 | 120MB/s | 220MB/s(8TB) |
容量ラインナップ | 500GB/750GB/1TB/1.5TB | 1TB/2TB/3TB/4TB/5TB/6TB/8TB |
キャッシュ | 32MB(1.5TB) | 256MB(8TB) |
3TBから8TBのGB単価を見る
現在のHDDは、1万円前後で購入できる3TBモデルのGB単価がもっとも安価だ。ついで4TB、2TBモデルの順にGB単価が安く、1TBモデルや6TBモデルは高め。たとえば、6TBモデルを1台購入するよりも3TBモデルを2台購入したほうが現状では安価だ。
また、現在のHDDには、SMRという技術を採用した、読み出し主体のアーカイブ向けの製品がある。このタイプは、8TBモデルのみが販売されおり、4TBモデル並みのGB単価で販売されているの特徴。4TBモデル2台分の価格で購入できるので、バックアップ用など割り切って利用するなら悪くない。
ベンチマークで性能を見る
HDDの基本性能は、回転数とプラッタ密度によって決まる。たとえば、同じ回転数ならば、記録密度が高いプラッタを採用したHDDのほうが一般的には性能が高い。下のベンチマーク結果はこの法則を現わしている。3TBと4TBモデルは、ほぼ同じ速度だが、両者ともに1TBプラッタを採用した5,400rpmの製品である。プラッタ容量も同じなら、回転数も同じなので速度も同じというわけだ。対して、6TBモデルは、回転数こそ3TB/4TBモデルと同じだが、プラッタ容量は1.2TB。つまり、プラッタの記録密度が高いので速くなったというわけだ。
8TBモデルの場合は、SMRを採用した製品で、プラッタ容量は1.33TB、回転数も5,900rpmと若干速い。これらの違いによって、もっともよいスコアになっている。
【検証環境】
CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:ASRock Fatal1ty Z170 Professional Gaming i7(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:CFD 販売 CSSD-S6T256NHG6Q[M.2(PCI Express 2.0 x2)、MLC、256GB]
OS:Windows 10 64bit版
NASやデスクトップなど用途別HDDの違い
現在のHDDは、デスクトップ向け、NAS向け、アーカイブ向けなど用途別に用意されており、同じような仕様の製品が数多く販売されている。このため、購入する側としては何が異なるの分かりにくい面もあるが、基本的には、用途に応じた最適化による信頼性の差だと考えてもらうとよい。
たとえば、もっとも安価なデスクトップ向けは、1日8時間の利用で毎日電源を切ることを前提に設計されており、24時間の連続稼働には向かない。NAS向けは、24時間の連続稼働を前提にした製品で、信頼性を重視して設計されている。アーカイブ向けは、読み出し主体のバックアップ用途を意識している。
NAS向け
・24時間の連続稼働が前提
・RAID対応など信頼性を重視
24時間365日の連続稼働を前提とした信頼性重視の設計が特徴。NASはRAIDで利用することも多いので、RAIDにも完全対応している。
たとえば、振動対策があったり、RAIDで利用した場合でも速度低下が起きないような工夫などが盛り込まれていたりする。
デスクトップ向け
・コスト重視の設計
・システムドライブを意識して速度も重視
1日8時間の利用で、毎日電源を切断することを前提として設計されている。
また、PCでの利用を前提としているので、NAS向けなどとは異なりRAIDへの対応や対策などは行なわれていない。基本的には、性能やコストパフォーマンスを重視した設計だ。
アーカイブ向け
・データのバックアップに最適
・24時間連続稼働の信頼性重視の設計
サーバーなどのデータのバックアップ用途向けに設計された製品。頻繁なデータの書き換えが発生する環境向けの製品ではない。
また、テープバックアップの代替などを意識しているため、24時間の連続稼働を前提としており、信頼性重視の設計だ。
その他のカテゴリー
・audio & visual向け
・エンタープライズ向け
・ニアライン向け
・監視システム向け
【増える8TBの選択肢】
2015年まではコンシューマ向けではSMRを採用した製品しかなかった8TBのHDDだが、2016年の3月に入って一気に選択肢が増え、デスクトップ向けやNAS向けなど目的に合わせて選べるようになった。
[Text by 北川達也]
【DOS/V POWER REPORT 2016年5月号は3月29日(火)発売】
★総力特集「10年前、5年前とはもはや別物! もう一度、PCをイチから作る。」
★特別企画「超ハイコスパブランド品のデスマッチ! サイズ製CPUクーラー最強位決定戦」「このご時世、ここでコストを抑えたい アンダー1万円で探すお買い得電源」「“どれでも一緒”は損します フォトストレージ、どれ使ってる?」
★連載「最新自作計画 ~ガラスとLEDで“内部を見せる”マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「そのままでも、アレンジしても大満足!最新パーツはこう組み合わせろ!! 即戦力・自作PC作例集」「自作手帳2016 Googleカレンダー対応版」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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