パワレポ連動企画

新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決その1 ~Corsair編~

【PCパーツ無差別級対決(22)】

DOS/V POWER REPORT 2016年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年6月号」の総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」を掲載する。

 第22回目からはPCケースについて解説する。まずは5インチベイを廃することで、サイズを大きくすること無く拡張性を高めたCorsair製ATXケースの紹介だ。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(木)に発売。総力特集のほか、ARMプロセッサを搭載した電子基板をノートPCへ!「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」、PCに足りない機能をガチャンと追加「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」」、使いやすさは健康にも影響する「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録小冊子は新旧のインターフェース規格を解説した「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」。懐かしいものから現在主流の規格、マザーボードには搭載されているのにデバイスが登場しないものまで一挙掲載だ。


-PCパーツ無差別級対決-
新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決 part1 Corsair Carbide Quiet 400Q Compact Mid-Tower Case~PCケース編 その1~


第5部
PCケース編

 必要性の薄れた5インチベイを省略することで「自由」を手に入れたATXケースと、圧倒的な拡張性で利用範囲を広げたMini-ITXケースに注目。

Part1 新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決

この対決の見どころ いずれも小型だがバツグンの拡張性に注目

■バランス型の最前線 Corsair Carbide Quiet 400Q Compact Mid-Tower Case

■デザイン重視型も進化 In Win 805 IW-CF05B

■作業性の高さは特筆もの NZXT S340 Razer-SPECIAL EDITION

 ATX対応PCケースは、ケース自体の高機能化や組み込むパーツの大型化に伴い、サイズがどんどん大きくなってきた。ミドルタワーケースなら幅は20~22cm、奥行きや高さも50cm以上が一般的だが、一昔前ならサーバーケース並みのサイズだ。

 この流れを受けての最新トレンドが、大型パーツを組み込める拡張性はそのままに、比較的小型で扱いやすくしたもの。今回紹介するこのタイプの3製品では、5インチベイを省略することで、最近のATX対応PCケースとしてはかなり短い奥行きを実現しており、置き場所を選ばない。

 また、5インチベイをなくすことで前面付近のレイアウトの自由度が高まり、筐体は小型化しながら、大型ファンや水冷ラジエータなどを組み込みやすくなっていることも特徴の一つだ。

新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決 その1
小型でも大型マザー対応 バランス型の新星

Corsair Components
Carbide Quiet 400Q Compact Mid-Tower Case

実売価格:18,000円前後

Specification
●規格:ExtendedATX●タイプ:静音性重視●裏面配線:対応●カラー:ブラック●付属電源:なし●ベイ:3.5/2.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×3●対応するCPUクーラーの高さ:最大170mm●標準搭載ファン:14cm角×1(前面)、12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14cm角×1(前面)、12cm角×3(前面、14cm角×2と排他)、14/12cm角×2(天板)●本体サイズ(W×D×H):215×425×465mm●重量:約7kg

5インチベイのスペースを拡張性のために有効活用

 前面や両側板に防音材を貼り付け、内部からの音漏れを防ぐ仕組を備える静音性重視のPCケースだ。しかし天板の大部分を覆うカバーを外すと、2基の14/12cm角ファンや水冷用のラジエータを組み込めるという、バランス型としては基本的な構成を採用する。

 5インチベイを搭載しないため、奥行きは42.5cmと最近のPCケースとしてはかなり短めだ。しかしExtendedATX対応マザーボードを組み込め、前面ファンを外せば36cmクラスの大型ラジエータを搭載可能など、5インチベイを排除して生まれたスペースを有効に活用し、拡張性を高めている。

 各種シャドーベイは、前面寄りの底面とマザーボードベースの裏側に配置しているため、マザーボードやCPUクーラー、ビデオカードを組み込むエリアは非常に広く、作業しやすい。裏面配線用のスペースは約2cmと平均的だ。ただしここには着脱可能な2.5インチシャドーベイがあり、ケーブルを通すスペースが少ない。ここにSSDを組み込む予定がないなら、外してしまったほうがケーブル配線の自由度は高まる。

 大型ビデオカードや水冷システムへの対応力、組み込みやすさ、作業性のよさなどPCケースに求められる要素をバランスよくまとめた製品である。初心者から上級者まで、どんなユーザーも満足できるはず。(竹内亮介)

基本は密閉のバランス型 天板にはファンを増設可能
筐体の構造は密閉性が高く、静音性に優れる。しかし天板のカバーを外すと、2基の12cm角ファンや水冷用ラジエータを固定できるようになり、冷却性能を強化できる
ExtendedATX対応だが奥行きは短い
USB 3.0ポートが2基の構成
定番ケースの「Fractal Design Define R5」(ATXまでの対応)と比較すると、高さは1.4cm高い。しかし奥行きは9.6cmも短く、ExtendedATX対応PCケースとしてはかなりコンパクトだ
フロントポートは天板手前に装備する。USB 3.0ポートが2基、ヘッドホンとマイク端子というスタンダードな構成だ
組み込んだときの注意点をチェック
3.5/2.5インチシャドーベイは着脱可能
2.5インチシャドーベイも着脱可能
メンテナンスしやすい防塵フィルタ
奥行きが短いので、電源と3.5/2.5インチシャドーベイの隙間も短い。電源を固定する際は一旦3.5/2.5インチシャドーベイは外しておこう
マザーボードベースの裏に装備する2.5インチシャドーベイも取り外し可能だ。裏面配線の自由度を高めたいなら外すとよい
前面パネルを手前に外すと、防塵フィルタや前面ファンにアクセスできる。防塵フィルタは個別に外せるようになっており、清掃しやすい

前面ファンの位置からかGPU温度はもっとも低い

 CPU温度は、今回取り上げたATX対応製品の中では平均的だ。GPU温度は前面ファンがビデオカードに近く、風が当たる場所もよかったせいか温度はもっとも低かった。

 動作音は、ファンコントロール機能を有効にすれば非常に静かになり、耳を近付けなければ動作しているかどうか分からないほどだ。

【編集部の判定】

 5インチベイを排除したことで広い内部空間を手に入れた。しかも、ExtendedATX対応でありながら並のATXケースよりも短い奥行きで、卓上設置時にも余裕アリ。

 冷却性能を強化する仕掛けも豊富でどんなユーザーにも向く。

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial CT8G4DFD8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:MSI GeForce GTX 970 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Micron Crucial MX200 SSD CT500MX200SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、500GB)
電源:Corsair RM550x(550W、ATX、80PLUS Gold)
CPUクーラー:サイズ グランド鎌クロス3(トップフロー、14cm径ファン)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
室温:21.1℃
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.2 POWER SUPPLYテストを10分間動作させたときの最大値
各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.28で、CPUはCPU TemperaturesのPackage、GPUはGPU Temperaturesの値、ケースファンは「Fan Xpert 3」に接続してフル回転、および「標準」

【問い合わせ先】

Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/


[Text by 竹内亮介]


DOS/V POWER REPORT 2016年6月号は4月28日(木)発売】

★総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」
★特別企画「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」
★連載「最新自作計画 ~最新AMD CPUで作るお手頃メインPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
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(AKIBA PC Hotline!編集部)