パワレポ連動企画
CPUクーラーの乗り換えを考える
【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(5)】
(2016/5/31 17:05)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。
第5回目ではCPUクーラーの乗り換えについて解説する。ここ数年はCPUのTDPが横ばい傾向ということもあり、取り付けさえ出来れば使い回しされることの多いCPUクーラー。とはいえ長く使っていれば冷却性能が低下していることもある。CPUやマザーボードを交換するついでに、新しいものに交換するのも良いだろう。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。
-チョイ古 自作PC再生計画-
CPU&マザー編 その4 CPUクーラーの乗り換えを考える
最新世代のメリットを理解する
CPU&マザーボード編
近年はCPUとマザーボードは関係が深くなっており、アップグレードもセットで行なう必要がある場合が増えている。ここではメモリもあわせて考えていく。
性能の伸び、現在のトレンドから、アップグレードプランを考えよう。
CPUクーラーの乗り換えを考える
流用もできるが古いものは交換が無難
CPUクーラーの交換を意識するのは、CPU、マザーボードの交換時や、クーラー自体の不調時、クーラーの冷却能力や静音性に不満があるときだろう。
Intelの主力プラットフォームのCPUソケットは、近年では2、3年ごとに新しい仕様が登場しているが、CPUクーラーの取り付け穴の位置に関しては、LGA1156(2009年登場)以降は現在まで共通だ。また、近年のIntel CPUは放熱設計の目安であるTDPも上昇していない。さらに、最新のSkylakeに関して言えば、コアとキャッシュのレイアウト見直しにより熱密度を抑えているので、電力以上に放熱はしやすいはずである。つまり、LG1156以降のクーラーであれば、最新システムにも流用は可能というわけだ。
ただし、長期利用による冷却性能の劣化には注意したい。ゴミやホコリが性能低下の原因になっているだけならそれを取り除けば改善されるが、ファンのモーターやヒートパイプの特性劣化なども考えられる。最近のCPUは冷却が少々足りなくてもクロックを低く抑えたりして動いてしまうこともあって気付きにくいので、流用を考えているならば、ハードウェアモニタ系ユーティリティなどで温度が異常になっていないか確認しておこう。
5年以上前からするとCPUクーラーの冷却効率は着実に上昇しており、最近では巨大なクーラーでなくとも高い性能と静音性を両立した製品がある。デザイン、組み付けやすさ、(VRMやメモリとの)干渉のしにくさなども進化している。大規模なアップグレードをするならば、それを機会に新しいサードパーティ製クーラーの導入をお勧めしたい。
10年前 | 5年前 | 3年前 | 現在 | |
ハイエンド | 105W(Core 2 Quad Q6600) | 95W(Core i7-2700K) | 84W(Core i7-4770K) | 91W(Core i7-6700K) |
ミドルレンジ | 65W(Core 2 Duo E6600) | 95W(Core i5-2500K) | 84W(Core i5-4670K) | 91W(Core i7-6600K) |
CPUのTDPは横ばいから微減。最新世代はとくに放熱しやすく、アンロックモデル以外、TDPは65W以下だ
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial CT4K4G4DFS8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×4※2枚のみ使用)
SSD:Micron Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
室温:22.3℃
暗騒音:27.9dB
動作測定距離:ファンの中心より10cm
アイドル時:OS起動後10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 CPU LINPACKテストを15分間動作させたときの最大値
CPU温度:HWMonitor 1.28のCPU Temperatures のPackageの値
“簡易水冷”ってどうなの?
10年前に比べると、水冷の敷居はとても下がっている。ラジエータとポンプが一体化しており、クーラントの補充などメンテナンスが不要の簡易水冷が数多く登場し、技術的には誰でも導入できる。
簡易水冷で一番の問題になるのはケース側の対応だろう。古いケースでは、大型ラジエータの取り付けに対応していないものが多いためだ。現在のケースでも、対応するラジエータのサイズや取り付けやすさはマチマチ。簡易水冷を使うならば、まずはケース側のチェックから始めよう。
なお、過去の水冷と言えば、手間がかかる一方で、高い静音性を享受できるのが最大のメリットだったが、現在では優れた空冷クーラーの登場により、動作音に関してはそこまで差はなくなっている。その一方で、水冷ならではの高い冷却力は魅力。CPUをOCして常用したいなら、導入して損はない。それに、大型のCPUクーラーはほかのパーツに干渉する恐れがあるが、簡易水冷のCPUソケットに取り付けるヘッド部分はコンパクトなので、ラジエータの設置場所さえあれば、意外にもケース内部はスッキリできる。メンテナンス性の向上にも役立つのが簡易水冷のメリットだ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK MAXIMUS Ⅷ HERO(Intel Z170)
メモリ:CFD 販売 CFD Panram Value W4U2133PS-8G(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Micron Crucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)
PCケース:Fractal Design Define R5(ATX)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:OS起動後10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLYテストを10分間動作させたときの最大値
室温:22℃
暗騒音:30dB
動作音測定:ケース正面から15cm
CPU温度:HWMonitor 1.28のCPU Temperatures のPackageの値
【CPUクーラーを買い換えるべきシチュエーション】
マザーボードのファンコントローラユーティリティの進化もあり、基本的な放熱能力が高いクーラーを使うと静音性もより期待できる。CPUの冷却が十分でないとTurbo Boostの効き具合が変わってきたり、保護機能によりクロックが低下するなど性能にも影響してくる。
暑くなる季節に向けて、CPUクーラーがきちんと放熱できているかは改めてチェックしておきたい。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】
★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
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