買ってみたらこうだった!

4Kや多画面出力向けにお買い得?実売1.2万円のRadeon R7 360Eを試す

日本市場限定GPU搭載の「玄人志向 RD-R7-360E-E2GB-JP」 text by 瀬文茶

RD-R7-360E-E2GB-JP

 どーも、瀬文茶です。今回、筆者が購入したのは「玄人志向 RD-R7-360E-E2GB-JP」。

 日本市場限定かつ数量限定のGPU「Radeon R7 360E」を搭載し、購入金額は税込で約11,300円という低価格なビデオカードです。

Tobagoコア採用の日本限定GPU「Radeon R7 360E」

 玄人志向のRD-R7-360E-E2GB-JPは、Radeon R7 360Eと2GBのGDDR5メモリを搭載したビデオカード。2スロット占有のGPUクーラーを備え、補助電源なしでの動作を実現しています。カード長はブラケット部分を除いて約183mm。

表面
基板裏面
補助電源コネクタなしでの動作を実現
GPU-Z実行画面

 RD-R7-360E-E2GB-JPが搭載するRadeon R7 360Eとは、Radeon R7 360を補助電源なしで動作するようチューニングした、日本市場限定の省電力GPUです。

 ベースとなったRadeon R7 360のTypical Board Power(消費電力の指標)は100Wでしたが、前述のとおり、RD-R7-360E-E2GB-JPはPCI Expressスロットからの電力供給(最大75W)のみで動作します。

4Kディスプレイへの60Hz出力が可能なDisplayPort 1.2を搭載

 筆者がRD-R7-360E-E2GB-JPの購入を決断した最大の要素は、4Kディスプレイへの60Hz出力が可能なDisplayPort 1.2を搭載している点です。

 約1.1万円で購入可能なRD-R7-360E-E2GB-JPは、現在販売されているDisplayPort 1.2を搭載したビデオカードの中で、最も安価な製品のひとつなのです。

RD-R7-360E-E2GB-JPのディスプレイ出力端子
DisplayPort 1.2 MST接続の4Kディスプレイ(3,840×2,160ドット)を1台、WQHDディスプレイ(2,560×1,440ドット)を2台接続したところ。実質4系統分の画面出力が可能なことがわかります。

 RD-R7-360E-E2GB-JPはディスプレイ出力端子として、DisplayPort 1.2、HDMI、DVI-Iをそれぞれ1基ずつ搭載。3つの出力端子の同時出力に対応しています。また、AMD Eyefinity テクノロジーに対応しているため、DisplayPort 1.2 MST(Multi Stream Transport)を利用すれば、4画面以上のディスプレイへも出力が可能。

 現行品の4Kディスプレイ使用しているのであれば意識する必要はありませんが、最初期に発売された4Kディスプレイには、DisplayPort 1.2 MSTを利用して2系統の画面出力(1,920×2,160ドット×2本)を束ね、3,840×2,160ドットで60Hzの表示を行うタイプの製品がありました。この場合、1つのディスプレイの表示で2画面分の出力が必要となりますが、AMD Eyefinity対応のRD-R7-360E-E2GB-JPであれば問題なく利用でき、HDMIとDVI出力を併用したトリプルディスプレイ構成も可能です。

3D描画性能はそこそこ、FreeSyncやFluid Motionが使えるのは魅力

 最後に、ベンチマークテストでのパフォーマンスをいくつかご紹介します。

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。画面解像度1,920×1,080ドット、標準品質(デスクトップPC)、DirectX 11。
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4。画面解像度1,920×1,080ドット、簡易描画設定6。フレームレートは50~60fps程度。
消費電力測定結果。使用した測定器はサンワサプライのワットチェッカー。

・テスト環境
ビデオカード以外のテスト環境機材
 CPU IntelCore i7-5960X Extreme Edition
 メモリ DDR4-2133 4GB×4
 マザーボード MSIX99S SLI PLUS
 電源 玄人志向KRPW-TI500W/94+(500W/80PLUS TITANIUM)
 OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)

 1,920×1,080ドットの解像度までであれば、オンラインMMO RPGを動かせる程度のパフォーマンスはあるようです。

 3D描画性能はそこそこといった感じですが、ディスプレイのリフレッシュレートをフレームレートに同期させてカクつきや描画破綻を防ぐFreeSyncが利用できるので、対応ディスプレイを用意すれば60fpsの維持が難しいゲームでも、違和感の少ない描画でプレイが可能です。

 また、ゲーム以外の機能では、BD再生時にフレーム補完を行うFluid Motion Videoに対応。こちらも利用には対応アプリケーションが必要となりますが、ゲーム以外の場面でもRadeonならではのユニークな機能が利用できるのは、RD-R7-360E-E2GB-JPの強みであると言えるでしょう。

フレームレートにディスプレイのリフレッシュレートを同期させるFreeSyncに対応。設定がグレーアウトしているのはディスプレイ側が対応していないため。
Fluid Motionをサポート。同技術に対応しているPower DVDでBDを再生する際に有効化すれば、24pの映像を60pに補完して再生する。

安価かつ補助電源レスで充実のディスプレイ出力が魅力の1枚

 日本市場限定かつ数量限定のGPU「Radeon R7 360E」を搭載したRD-R7-360E-E2GB-JPは、DisplayPort 1.2を備えた充実のディスプレイ出力機能、補助電源レスで簡単に追加できる手軽さ、そして1.2万円でおつりがくるという安さが魅力のビデオカードです。

 さまざまな処理にGPUを活用するアプリケーションが増えつつある昨今でも、GPU性能はともかく画面出力のためにビデオカードがほしいという需要は存在しているはずです。RD-R7-360E-E2GB-JPはそのような需要にぴったりなビデオカードのひとつであり、数量限定にするには惜しい製品と言えるでしょう。

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