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ZOTACがコンパクトな水冷GeForce GTX 1080 Tiを公開、北海道でAMPシリーズ紹介イベントを開催

NVIDIAのGPU解説やゲーム大会も実施 text by 関根慎一

 ZOTACは8月5日、GeForce関連イベント「NVIDIA×ZOTAC 2017夏 特別セッション」を開催した。

 NVIDIAのビデオカード「GeForce」シリーズをテーマとしたスペシャルイベントで、当日はNVIDIA製ビデオカードの最新情報やZOTACの製品情報、そしてマルチプレイタイトル「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下PUBG)の実演プレイなどを実施した。会場はDEPOツクモ札幌駅前店。

GeForce 10世代のZOTAC AMPシリーズを解説冷却方法と消費電力効率別に複数製品を投入

ZOTAC 呉羽氏

 ZOTACのセッションでは、同社の呉羽氏が、同社製ビデオカードのOCモデル「AMP」シリーズの特徴について紹介。モデル名に付く「AMP」とは「Amplifier」(増幅器)の略。

 AMPシリーズでは冷却ファンを2基備えたベースモデルに加えて、3基搭載の「Extreme」と、液冷対応の「ArcticStorm」、そして空冷・液冷ともにクーラーを小型化してスモールフォームファクターのケースなどに対応させた「Mini」を用意している。Miniは冷却性能を抑えた分、消費電力効率を向上させた点を特徴とする。呉氏のセッションは、主にベースモデルとExtremeを中心に、製品ごとの冷却性能と静音性、主要なベンチマークやゲームタイトルでのフレームレート比較を行なっていた。

AMPシリーズにはベースモデルに加えて「Extreme」「Omega」の3グレードがある
最上位のAMP Extreme
液冷モデルのArcticStorm
冷却装置を小型化したモデルは「Mini」と位置づける
GeForce GTX 1080 Ti AMP Extreme Core Edition
GeForce GTX 1080 Ti AMP Edition
GeForce GTX 1080 Ti AMP! Mini 11GB
GeForce GTX 1080 Ti ArcticStorm
GeForce GTX 1080 Ti ArcticStorm Mini
3DMarkとVRMarkでのベンチマーク比較
「Final Fantasy XI:紅蓮のリベレーター」ベンチマーク比較
「オーバーウォッチ」では4K解像度でプレイした場合のフレームレートも記載
「PUBG」での平均フレームレート比較。4K解像度ではさすがにつらいようだ
最重量級の「Ghost Recon:Wildlands」での平均fps比較
消費電力効率はMiniが優秀

 機能面では、冷却構造の「ICESTORM」と共振を抑え静音性を図る金属外装「EXOARMOR」をアピール。GPUの使用状況に応じて供給する電力を最適化する「POWER BOOST」や、アイドルもしくは低負荷時にファンを停止する準ファンレス機能「FREEZE」、LEDライティング機能「SPECTRA」も併せて紹介したほか、オーバークロック設定やファンの回転数などを制御するユーティリティ「FIRESTORM」にも言及している。

ICESTORMの冷却構造
実測温度の推移
AMP Extreme(赤)とFounders Edition(青)の冷却性能比較
同じくAMPベースモデルとFounders Editionの冷却性能比較
バックプレートなどを金属素材とすることで共振を抑え静音性を図ったEXOARMOR
AMP ExtremeとFounders Editionの静音性比較
AMPベースモデルとFounders Editionの静音性比較
FREEZEテクノロジー概要
供給電力を最適化するPOWER BOOST
制御ユーティリティFIRESTORM
LEDライティング機能SPECTRA

GeForceは"PCゲームの総合プラットフォーム"

NVIDIAの高橋氏

 続くNVIDIAのセッションは、ビデオカード「GeForce」の現行機種と、Pascalアーキテクチャなど関連するテクノロジーの紹介を行なっていた。登壇者はNVIDIAの高橋氏。

 高橋氏は、GeForceとは「ビデオカードを含むPCゲームのプラットフォーム」という位置付けのブランドであると説明。この日はユーザーだけでなく開発者に対する様々な取り組みを紹介しており、ユーザー向けにはドライバ更新や動画シェア機能などを備えた無料ソフトウェアの「GeForce Experience」を、開発者向けには物理エンジンやライブラリを無償提供する「GAMEWORKS」や「VR WOKS」をそれぞれ提供していると話した。

MOBAタイトルやeスポーツの流行でPCゲーム人口は世界的に増加傾向
Pascalアーキテクチャのキーフューチャー
Fermi以降の6年でGPU性能は5倍、消費電力効率は7倍に
ドライバーのアップデートによるパフォーマンスの向上
流体シミュレーションのFleXとボックス単位処理のFlow
GPUの処理効率を高める非同期コンピュート

「PCゲーム市場は年々成長を続けており、Steamはユーザーベースで過去4年の間に4倍に、GeForceのユーザーは2億人にのぼります。最近は若年層を中心にPCでゲームをプレイする層が増加傾向にあり、またVR HMDの価格の低廉化に伴い、手を出しやすくなった状況もビデオカードにとって追い風です」

 また、ゲーム配信サイト「Twitch」の興隆も、PCゲーム自体の人気に拍車をかけているという。ビデオカードの性能という点に関しては、現行のPascal世代がビデオカードとしての性能、消費電力効率ともに過去のアーキテクチャを大きく引き離していることを話し、CPUの進化と比べても性能向上の割合が大きいことをアピールしている。

 GeForce Experienceに含まれるゲーム動画記録・配信機能の「ShadowPlay」の最新機能としては、ゲームプレイ中の瞬間を自動的にキャプチャする「Highlights」を紹介。自動録画したクリップから見せたい瞬間をハイライトとして切り出し、SNSなどでシェアする機能が使える。直近の対応タイトルとしては、対戦FPSタイトルの「LawBreakers」を例に挙げた。

 このほか、対応タイトルだけではあるが、ゲーム内でドローンを飛ばすように自由な視点から写真を撮影できる機能「ANSEL」についても紹介している。

 デベロッパー向けに開発技術支援を行なう「GAMEWORKS」では、NVIDIAの技術者がゲーム開発者を支援する取り組みや、ライブラリなど各種ツールの無償提供を行なっている。一例としては、髪の毛の処理、ライティング、火と煙の表現、植生の表現に関する処理へのサポートや、流体シミュレーション「FleX」、立体をボックス単位で処理する「Flow」などを挙げていた。

デベロッパー向けに様々なサポートを提供するGAMEWORKS
SNSにおけるゲームキャプチャ動画のシェア数は年2億ポストにのぼる
ゲーム内撮影機能ANSEL
ANSELの作例
Highlightsでは動画キャプチャの簡易編集も可能
Highlightsの機能一覧
ディスプレイ関連のトピックとしては、ディスプレイ同期技術「G-SYNC」対応モニターの最新機種を紹介
VRでは非常に重い処理が必要とされる
VR分野でも開発者向けのサポートを行なう

 VR関連技術としては、人間の視差を再現する「同時マルチプロジェクション」、3D空間上の音響効果をシミュレートする「レイトレースオーディオ」、VR視点で弓を引くなどの動作をしたり、物を持ったりするときに人間が感じる感覚をシミュレートする「PhysX Collision Solver」を「VRWORKS」と総称。開発者向けのツールとしてはSDKの「PhysX」や、VRの処理能力分析ツール「FCAT VR」を用意している。

「PCのVRもかなり普及してきていますが、相変わらずつらいのは、まだまだパフォーマンスを出す余地がある点です。現時点でも、3024×1680ドットの解像度を90fpsで表示しながら、頭の動きに追従する十分に速いレイテンシ(11ミリ秒前後)を実現しなければなりません」

 実プレイ時に影響を与える技術面では、GPUがグラフィック処理を行なう際に生じる物理計算もしくは描画の演算処理にかかる負荷を最適化する「非同期コンピュート」を紹介した。

GeForce GTX 1080
GeForce GTX 1070
GeForce GTX 1060 6GB
GeForce GTX 1060 3GB
GeForce GTX 1050 Ti
GeForce GTX 1050
ワットあたりのGPU性能の他社比較

ZOTACイベント恒例の“レジェンド対決”は「PUBG」、惜しくも「ドン勝」ならず

PUBGの基本ルールを説明しながら、プレイ実況の実演を行なった

 次のセッションでは、FPSの元アジアチャンピオンでNVIDIAに所属しているnoppo氏と、弊社の営業でこちらもFPSの日本代表をつとめたことがあるインプレスの圓井氏が対戦TPS「PUBG」をプレイする「レジェンド対決 in 北の大地 さっぽろ」を実施。

 PUBGは、孤島に降下した100人のプレイヤーが、最後の1人(1グループ)になるまで争うTSPゲームタイトル。最後の1人になった時に表示される「ドン勝」という怪しい日本語が、そのまま「PUBGの勝利」という意味の愛称として定着している。

弊社営業の圓井
NVIDIAのnoppo氏
プレイ前の環境設定に余念がないnoppo氏

 セッション内容の前半では、noppo氏と圓井氏が「ドン勝」を目指してプレイ実況をしながら個々に活動。その後に2人で勝者を目指すデュオプレイも行なったが、惜しくもドン勝には至らずだった。

 後半は、来場者の中からプレイヤーを募り、解説を交えながら実況。こちらもデュオモードでの実施となったが、残り10組のところで残念ながら敗退した。

中盤のステータス画面。ゲーム内で拾えるアイテムはプレイごとに差がある
孤島内のプレイエリアは一定時間ごとに徐々に狭まる。青い円が現在のプレイエリアで、白い円が次のプレイエリア。円の外はダメージゾーンに変化するため、生き延びるほどにほかの生存者と戦闘が起きる可能性が増える
範囲が一段階狭まったところ。次のプレイエリアとなる円の位置はランダム
いいところまでいけたのだがあえなく敗退
2人プレイ時の準備画面
動きに無駄がないnoppo氏のプレイ画面
プレイ中は2人とも真剣な面持ちに
デュオモードでは健闘したものの10位でフィニッシュ
一般来場者を交えての実況プレイも行なった
圓井のプレイマシンとして採用された「MAGNUS EN1080K」
noppo氏のマシンにはGeForce GTX 1080 Ti AMP Extremeが搭載されていた
イベント恒例のじゃんけん大会も実施
勝者にはZOTACのノベルティ詰め合わせが進呈された
NVIDIAのnoppo氏(左端)と高橋氏(右端)

 PUBGは現在開発中の「早期アクセス」タイトルだが、孤島の自然や建造物のクオリティが高く、最高画質で快適に動かすには、非常に高いマシンパワーが必要な「重い」作品としても知られている。会場でのプレイにはZOTACの小型ベアボーン「MAGNUS EN1080K」を使用していたが、最高の画質設定でも平均して70~90fpsで快適に遊べており、小型ながら非常に高い性能を発揮するデモの役割も果たしていた。

[撮影協力:DEPOツクモ札幌駅前店]