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ZOTACがコンパクトな水冷GeForce GTX 1080 Tiを公開、北海道でAMPシリーズ紹介イベントを開催
NVIDIAのGPU解説やゲーム大会も実施 text by 関根慎一
2017年8月9日 07:30
ZOTACは8月5日、GeForce関連イベント「NVIDIA×ZOTAC 2017夏 特別セッション」を開催した。
NVIDIAのビデオカード「GeForce」シリーズをテーマとしたスペシャルイベントで、当日はNVIDIA製ビデオカードの最新情報やZOTACの製品情報、そしてマルチプレイタイトル「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下PUBG)の実演プレイなどを実施した。会場はDEPOツクモ札幌駅前店。
GeForce 10世代のZOTAC AMPシリーズを解説冷却方法と消費電力効率別に複数製品を投入
ZOTACのセッションでは、同社の呉羽氏が、同社製ビデオカードのOCモデル「AMP」シリーズの特徴について紹介。モデル名に付く「AMP」とは「Amplifier」(増幅器)の略。
AMPシリーズでは冷却ファンを2基備えたベースモデルに加えて、3基搭載の「Extreme」と、液冷対応の「ArcticStorm」、そして空冷・液冷ともにクーラーを小型化してスモールフォームファクターのケースなどに対応させた「Mini」を用意している。Miniは冷却性能を抑えた分、消費電力効率を向上させた点を特徴とする。呉氏のセッションは、主にベースモデルとExtremeを中心に、製品ごとの冷却性能と静音性、主要なベンチマークやゲームタイトルでのフレームレート比較を行なっていた。
機能面では、冷却構造の「ICESTORM」と共振を抑え静音性を図る金属外装「EXOARMOR」をアピール。GPUの使用状況に応じて供給する電力を最適化する「POWER BOOST」や、アイドルもしくは低負荷時にファンを停止する準ファンレス機能「FREEZE」、LEDライティング機能「SPECTRA」も併せて紹介したほか、オーバークロック設定やファンの回転数などを制御するユーティリティ「FIRESTORM」にも言及している。
GeForceは"PCゲームの総合プラットフォーム"
続くNVIDIAのセッションは、ビデオカード「GeForce」の現行機種と、Pascalアーキテクチャなど関連するテクノロジーの紹介を行なっていた。登壇者はNVIDIAの高橋氏。
高橋氏は、GeForceとは「ビデオカードを含むPCゲームのプラットフォーム」という位置付けのブランドであると説明。この日はユーザーだけでなく開発者に対する様々な取り組みを紹介しており、ユーザー向けにはドライバ更新や動画シェア機能などを備えた無料ソフトウェアの「GeForce Experience」を、開発者向けには物理エンジンやライブラリを無償提供する「GAMEWORKS」や「VR WOKS」をそれぞれ提供していると話した。
「PCゲーム市場は年々成長を続けており、Steamはユーザーベースで過去4年の間に4倍に、GeForceのユーザーは2億人にのぼります。最近は若年層を中心にPCでゲームをプレイする層が増加傾向にあり、またVR HMDの価格の低廉化に伴い、手を出しやすくなった状況もビデオカードにとって追い風です」
また、ゲーム配信サイト「Twitch」の興隆も、PCゲーム自体の人気に拍車をかけているという。ビデオカードの性能という点に関しては、現行のPascal世代がビデオカードとしての性能、消費電力効率ともに過去のアーキテクチャを大きく引き離していることを話し、CPUの進化と比べても性能向上の割合が大きいことをアピールしている。
GeForce Experienceに含まれるゲーム動画記録・配信機能の「ShadowPlay」の最新機能としては、ゲームプレイ中の瞬間を自動的にキャプチャする「Highlights」を紹介。自動録画したクリップから見せたい瞬間をハイライトとして切り出し、SNSなどでシェアする機能が使える。直近の対応タイトルとしては、対戦FPSタイトルの「LawBreakers」を例に挙げた。
このほか、対応タイトルだけではあるが、ゲーム内でドローンを飛ばすように自由な視点から写真を撮影できる機能「ANSEL」についても紹介している。
デベロッパー向けに開発技術支援を行なう「GAMEWORKS」では、NVIDIAの技術者がゲーム開発者を支援する取り組みや、ライブラリなど各種ツールの無償提供を行なっている。一例としては、髪の毛の処理、ライティング、火と煙の表現、植生の表現に関する処理へのサポートや、流体シミュレーション「FleX」、立体をボックス単位で処理する「Flow」などを挙げていた。
VR関連技術としては、人間の視差を再現する「同時マルチプロジェクション」、3D空間上の音響効果をシミュレートする「レイトレースオーディオ」、VR視点で弓を引くなどの動作をしたり、物を持ったりするときに人間が感じる感覚をシミュレートする「PhysX Collision Solver」を「VRWORKS」と総称。開発者向けのツールとしてはSDKの「PhysX」や、VRの処理能力分析ツール「FCAT VR」を用意している。
「PCのVRもかなり普及してきていますが、相変わらずつらいのは、まだまだパフォーマンスを出す余地がある点です。現時点でも、3024×1680ドットの解像度を90fpsで表示しながら、頭の動きに追従する十分に速いレイテンシ(11ミリ秒前後)を実現しなければなりません」
実プレイ時に影響を与える技術面では、GPUがグラフィック処理を行なう際に生じる物理計算もしくは描画の演算処理にかかる負荷を最適化する「非同期コンピュート」を紹介した。
ZOTACイベント恒例の“レジェンド対決”は「PUBG」、惜しくも「ドン勝」ならず
次のセッションでは、FPSの元アジアチャンピオンでNVIDIAに所属しているnoppo氏と、弊社の営業でこちらもFPSの日本代表をつとめたことがあるインプレスの圓井氏が対戦TPS「PUBG」をプレイする「レジェンド対決 in 北の大地 さっぽろ」を実施。
PUBGは、孤島に降下した100人のプレイヤーが、最後の1人(1グループ)になるまで争うTSPゲームタイトル。最後の1人になった時に表示される「ドン勝」という怪しい日本語が、そのまま「PUBGの勝利」という意味の愛称として定着している。
セッション内容の前半では、noppo氏と圓井氏が「ドン勝」を目指してプレイ実況をしながら個々に活動。その後に2人で勝者を目指すデュオプレイも行なったが、惜しくもドン勝には至らずだった。
後半は、来場者の中からプレイヤーを募り、解説を交えながら実況。こちらもデュオモードでの実施となったが、残り10組のところで残念ながら敗退した。
PUBGは現在開発中の「早期アクセス」タイトルだが、孤島の自然や建造物のクオリティが高く、最高画質で快適に動かすには、非常に高いマシンパワーが必要な「重い」作品としても知られている。会場でのプレイにはZOTACの小型ベアボーン「MAGNUS EN1080K」を使用していたが、最高の画質設定でも平均して70~90fpsで快適に遊べており、小型ながら非常に高い性能を発揮するデモの役割も果たしていた。
[撮影協力:DEPOツクモ札幌駅前店]