ニュース

X68000版『ザナドゥ』などがお披露目された秋葉原開催のマイコン・レトロPC系イベント「MI68」レポート

 秋葉原は土地柄、PCやゲームに関連したイベントが数多く開催されている。筆者が連載しているマイコン・パソコン関連の記事に関係したイベントも行われているのだが、その中から今回は10月11日(日)に秋葉原 UDX GALLERY 4Fにて催された「マイコン・インフィニット☆PRO-68K(以降MI68)」を取材した。

 「MI68」は、シャープのパーソナルワークステーションX68000をはじめとしたコンピュータやコンソールハード、アーケードマシンなどを持ち寄り、大勢で楽しむための展示・即売会となっている。その性格上、全国各地から出展者や参加者が訪れ、昔のハードを使い当時では成し得なかったことをデモしたり、あるいは当時のハード向けに自身が開発したソフトを頒布するなど、コンピュータハードというキーワードで繋がった人物同士での交流が活発に行われている。

 今回はイベント概要のほか、筆者の連載コーナーに関係するマイコン・パソコン関連のブースを中心に紹介していくのに加え、秋葉原にも店舗を構えるBEEPがPC-8801mkIISR版をX68000実機向けに移植した『ザナドゥ』『ザナドゥ シナリオII』も紹介していこう。

 今回で16回目を迎えるイベント「MI68」は、2014年に池袋で第1回目が行われたのを皮切りに、ここ数年は10月に秋葉原UDXにて開催されているコンピュータに関するハード・ソフト・同人誌の展示・即売会+講演会。

 現在は二部構成となっており、第一部の展示・即売会は前売券を購入すると11時~17時まで、当日券では13時~17時まで入場が可能だ。17時~19時は講演会の時間で、毎回異なる人物が講演を行うのだが、参加する場合は講演会のチケットが必要となる。

 1980年代以降のコンソール機を含むコンピュータに関したコンテンツが多数並んでいるので、その手のことが趣味だという人にとってはたまらないイベントの一つと言えるだろう。会場を見回しての参加者の傾向としては、主に50代前後の人々がメインとなっていると思われる。普段は会社で高い立場にいるであろう人も、会場に来れば同じ趣味を持つ者同士での交流が行われるためか、随所で趣味の話題に花を咲かせている姿が目立つのが特徴の一つ。ある意味、同じ趣味を持つ人同士の同窓会という雰囲気が漂う、和やかなイベントと感じられることだろう。

イベント公式ホームページでは、開催前にも各種情報を提供してくれる

 本イベントでは数々の個人・企業などのサークル参加者が自分たちの活動を形にして展示したり、あるいは作品として頒布を行うなどしているのだが、筆者が最初に向かったのは、弊誌ではお馴染みの秋葉原にも店舗を構えるBEEPが構えていたブース。

 こちらでは、2021年11月24日に行った「ファルコム・アーリー・コレクション」生配信にて初公開したものの、その後は音沙汰が無かった、PC-8801mkIISR版をX68000向けに移植した『ザナドゥ』と『ザナドゥ シナリオII』の発売が年内に決定したということで、それに合わせてのX68000実機を用いたデモンストレーションなどが行われていた。ブースには、作品のプロデュースを務める丸山氏と本作プログラム担当のFu-.氏の姿があったので、貴重な時間をお借りしてコメントを伺った。

ファルコム・アーリー・コレクション

 映像の初出しから5年が経過してしまったことに関しては「途中でいろいろありまして、今年になりファルコムさんからの許可がやっとおりましたので、満を持して出させていただきます」とのこと。

ブースで写真撮影に応じてくれたプロデューサーの丸山氏

 対象機種に関しては「メモリ1Mバイト以上を搭載したX68000実機」で、発売メディアは「3.5インチ版と5インチ版、2種類のパッケージソフトを用意します。どちらも2枚組で、1枚が『ザナドゥ』もう一枚が『シナリオ II』という構成になっています。同梱物としては、これまで弊社から発売したX68000向けタイトルと同じく豪華マニュアルが付属する予定です。パッケージに関しても、弊社が過去にリリースしたラインアップのパッケージサイズなどを鑑みて作ろうと思っています」と答えてくれた。

実機で動いている『ザナドゥ』

 気になる発売日や価格については「年内中にお客様の手元に届くような発売日を考えています。予価は1万円前後になると思いますが、あまり高くはしたくないですね。予約開始日の目処は、現時点では11月くらいと考えています」と教えてくれたのだが「注意点としては、今回はメディアの都合で本数があまり作れなさそうなので、欲しい人はぜひとも予約をしていただけると確実です」と付け加えてくれた。

同『シナリオ II』

 他にも企業・個人問わず数多くのブースが出展されていたのだが、そのすべてをまわるのは難しかったので、今回は筆者の連載記事に関係の深いブースをトピック的に紹介していこう。

 会場に入ってすぐの場所に展示されていたのが、イベント運営スタッフの一人が手がけた、NECのPC-9821シリーズ上(今回はPC-9821Xc200)で動くサウンドファイル再生アプリケーション。1990年代にX68000ユーザーだった人であれば見たことがあるかもしれない、あのお馴染みの画面がPC-98で動いていた。開発は、今はやりのAIを駆使して行ったとのこと。当時X68000上で使った人であれば、現代に蘇ったこの画面を見て「おお、懐かしい」と思うことだろう。

 サークル pipitanTVのX68000実機で動いていたのは、カプコンの有名な対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』ライクな格闘ゲーム。ブース参加者の飼い猫と近所の風景を撮影し、それをX68000に取り込みゲームに使用しているとのことだった。この参加者は各種イベントのたびに愛機のX68000XVIを持ち出しているそうで、おそらくは日本で一番旅行をしているX68000ではないだろうか。

サークル pipitanTV

 サークルB-Cat Softwareではアクションパズルゲーム『CELIA for X68000』の頒布を行っていた。X68000実機に対応したフロッピーディスク版のほか、X68000 Z向けのSDカード版も用意。新作となる『CELIA for MSX2』は、11月に行われる別のイベント「RETRO GAME SUMMIT Lv.6」にて頒布予定とのこと。ブースにて「トリック オア トリート」と告げると沖縄のお菓子をもらえるという、一足早いハロウィン企画を行っていたのが印象的。

サークルB-Cat Software

 サークル 令和に始めるX68000では、シャープのパソコンMZ-700やMZ-80B、MZ-2000と並び設置してあったMZ-2200にて、あの『ゼビウス』が動いていて目が釘付けとなった。エリア4のみプレイアブルだったが、アンドアジェネシスがMZ-2200でも浮遊しており、ザカートが現れる中での空中戦がしっかりと再現されていたのには驚かされた。これが当時発売されていれば、もしかするとMZ-2200の印象やその後も大きく変わったのではないだろうか、と思わされた。

 なお本作は技術デモであり、もちろん頒布予定はない。制作者に苦労話を伺ったが、途中から脱線してPHC-25の話で盛り上がってしまった。

サークル 令和に始めるX68000

 サークル 武者返し.comでは、弊誌でも過去に何度か取り上げているが、BEEP 秋葉原店やKVC lab.といったショップなどで購入することができる、各種パソコンやコンソール機の修理マニュアルなどを会場特価で頒布していた。

 当時一世を風靡したパソコンには、今や発売から40年前後経過した機種も多く、正常に動く個体は貴重品となっている。そんなときにこの修理マニュアルを参照して自分で直すことができれば、愛着ある当時のハードをしばらくは使い続けることができるようになるだろう。いわゆる御三家のメジャーハードマニュアルは揃っているので、手元の機種が故障して困っている、という人には頼もしい味方となるだろう。

サークル 武者返し.com

 サークルTinyProjectのブース。NECのPC-6001シリーズをベースに活動しているこちらでは、PC-6001、PC-6001mkII、Mr.PC(PC-6601SR)の3台がスペースに並んでいた。

 なかでもPC-6001実機にて動く『プリンス・オブ・ペルシャ』は、少々重いながらもウネウネと動いていたのを見れば、当時のPC-6001の立ち位置やハードスペックを知っている人なら驚くこと間違いなし。移植元となったのはApple II版で、ソースコードが公開されているためPC-6001での稼働が実現できたそうだ。本体右側に挿さっているカートリッジは、大容量ROMとして各種キャラクターデータを収めているとのこと。そんな中で隣に設置されていたMr.PCでは、この夏話題になったアニメ『ヤニねこ』をモチーフにしたシュールなミニゲームがプレイアブルとなっていた。

サークルTinyProject

 サークルFM^2のブース。多数の機種がリリースされているFM TOWNSシリーズだが、中でも、FM TOWNSII UXシリーズは本体とモニタが一体型となっていたモデルで、PC-9801CVなどを彷彿とさせてくれる可愛らしさが特徴。それを自前でミニ化したというモデルが展示されていたので、ジックリと見させてもらった。ガワだけでなくエミュレータも搭載して動くようになっていたのだが、筆者だけでなく参加者の年齢層を考えると、もはやこのサイズのモニタを見るということが苦行になってしまうという笑い話が出てしまうオチに。頒布予定はないので、気になった人は同サークルが次に参加するイベントで見られることを楽しみにしておこう。

 その隣では、FM-7に63C09カードを搭載してスピードアップを図ったモデルが稼働していた。カード製作の記事は、1988年10月に発売された「Oh!FM」11月号に掲載されていたそうで、さまざまな障害を乗り越えてついに製作できたとのことだ。PC-8001mkIIユーザーだった筆者としてはFM-7というだけで羨ましかったので、それが3倍も速くなったらさらにズルイ!と思ってしまった……

サークルFM^2