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「V-SYNC待ち」を革新するNVIDIA「G-SYNC」が国内でデモ、Iris Pro GPUの自作キットや「変態」PCパーツも展示アリ
「PC-DIY EXPO」自作パーツレポート
(2013/11/18 01:32)
17日(日)に開催された自作PCとゲームPCのイベント「ゲームパソコン&PC-DIY EXPO」(主催:マウスコンピューター/ユニットコム)では、16の自作系PCパーツメーカーがブースを出展、年末~来年にかけて発売する新製品などの展示を行った。
会場では、まさに「変態」といえるユニークPCパーツから技術的なブレイクスルー、期待を集めそうな新製品まで、様々な製品が展示されていた。
その中でも特に注目を集めそうな製品を紹介しよう。
ゲーム液晶を変えるNVIDIA「G-SYNC」がデモ
まず、技術的にもっとも興味深かったのが、NVIDIAのディスプレイ制御技術「G-SYNC」のデモ。
G-SYNCは、「ディスプレイのリフレッシュ間隔を、GPUの描画状況に合わせてリアルタイムに変える」という新発想の技術。
従来の画面表示は、「ディスプレイが画面をリフレッシュする決まったタイミング(垂直同期)に合わせ、GPUが画面描画を行う」という仕組み。描画速度を優先するために垂直同期を無視(V-SYNCオフ)すると、「ティアリング」と呼ばれる横方向のノイズが見えてしまい、それを防ぐために垂直同期待ちを行う(V-SYNCオン)と、GPUの描画パフォーマンスが活かせなかったり、表示までの遅延が増えるなどの欠点があった。
G-SYNCはこれを根本的に改善する技術で、簡単にまとめると「GPUの画面描画が終わるまで液晶ディスプレイのリフレッシュを待たせる」仕組み。液晶ディスプレイ側に専用回路が必要になるが、ビデオカード側は「Kepler以降のGeForceシリーズなら利用できる」(NVIDIA)という。
会場では、G-SYNC対応の液晶ディスプレイを実際に展示。G-SYNC非対応の液晶ディスプレイとの比較デモを行っていたが、確かに効果がはっきり確認できた。
たとえば、フレームレートが60fpsぴったりの場合は、G-SYNCオンでもG-SYNCなし(V-SYNCオフ)でも同じ表示だが、フレームレートが40fpsに変化するとG-SYNCなし(V-SYNCオフ)の画面だけにティアリングが発生するといった具合。
G-SYNCでのフレームレートは「液晶ディスプレイの対応上限まで短くできる」(NVIDIA)そうで、そうした点でも期待がもてそうだ。対応液晶ディスプレイは来年内に発売予定。
「ディスプレイ側の垂直同期タイミングに合わせて画面を描画する」という表示システムは、CRT時代から長らく続いていたが、ついにこれが改革されることになりそうだ。
Haswell最上位のGPU「Iris Pro」の小型キットが展示
また、GIGABYTEでは、Haswell最上位のGPUコア「Iris Pro」を搭載したCPU「Core i5-4670R」を採用した小型PCを展示。
同社の小型PCキット「BRIX」の最上位モデル「BRIX Pro」として発売する製品で、発売時期などは未定。メモリはデュアルチャネルで、ドライブベイは2.5インチタイプを採用する。
ちなみに同社では、なんとプロジェクターを内蔵したBRIXも展示。実際にデモも行った。「会議室やホームシアターに向けた製品」(スタッフ)で、こちらは年内に発売予定される。予価は8万円前後とのこと。
変態?「スタッカブルPCケース」が登場
ユニークさではCOOLER MASTERが展示した「HAF STACKER」もなかなかのもの。
この製品は、その名の通り「積み重ねる」ことをコンセプトとしたPCケースなのだが、ラインナップは「ATXケース」と「Mini-ITXケース」という異種構成。たとえばATXケースの上にMini-ITXケースを重ねたり、Mini-ITXケースを3段重ねたりすることなどができるという。
重ねたケースはレールで一体化、天板を外すことでケーブル類を内部でやりとりすることなどもでき、たとえば「ATXケースの拡張HDDベイとしてMini-ITXケースを使う」といった用途も考えられるとか。なお、最大で何段まで重ねられるかは「確認中」(スタッフ)とか。
発売は年末年始ごろで、「ATXケース+Mini-ITXケース」のセット製品と、「MIni-ITXケース」単品の2モデル構成を検討しているそう。予価は、「セットモデルが2万円~2万円台後半」とのこと。
デザイン重視のIN-WIN製アルミケースが展示シンプルなデザインとガラスパネル………5インチシャドウベイ?
IN-WINも、なかなかユニークなケース「904」(ATX)「901」(Mini-ITX)を展示した。
この2製品は、すっきりとしたアルミ製のフロントパネルが特徴で、ヘアライン加工と「IN-WIN」ロゴのほかは何もない、というシンプルかつスタイリッシュなデザインがウリ。サイドパネルは左右ともガラス製で、これもデザイン性を引き立てている。
ユニークなのは「それでも5インチベイがある」点で、しかも場所はケース内。5インチベイは、ケース底面奥側に用意されており、ドライブトレイはなんとケース内側に向かって開く構造。実はサイドパネルに開口部があり、ここから手を入れることで光学ドライブにアクセスできる。
こうした点も含め、「全体としてスタイリッシュさにこだわった」(スタッフ)という製品で、ケース背面にはケーブルをケース内に収納できるスペースも用意されている。発売時期はATXモデルが12月中で、予価は32,800円。Mini-ITXモデルは「未定」とのこと。
上記のほか、様々なブースで新製品などが展示された。以下、主なものを紹介しよう。