プロダクトレビュー・ショーケース

ASUSのX870マザーボードを速報開封レビュー!アップデートされた冷却装備やデザイン、着脱楽々「Q-Design」に注目

Ryzen 9000世代の最新マザーが間もなく登場 text by 芹澤 正芳

7製品が発表されたAMD X870シリーズのマザーボードから3製品の実機をチェックする

 2024年8月から順次発売されているAMD CPUの最新モデル「Ryzen 9000」シリーズ。これらの新CPUに対応した新たなチップセット、AMD X870を搭載したマザーボードは未発売で、既発のAMD 600シリーズチップセット搭載マザーボードと組み合わせて利用することとなる。

 そんな中、ASUSは2024年8月21日、AM5ソケットを使用するAMD X870シリーズ搭載のマザーボードを発表した。ゲーミング、クリエイター、高耐久など7製品をラインナップすることが明らかになったが、本誌ではそのうち3製品の実機を入手した。市販に向けた最終調整の段階にあり、現時点では実際に起動してテストすることはできなかったが、それぞれの特徴をチェックしていきたい。特に今回のシリーズから新たなギミックが加わった「Q-Design」に注目だ。

重厚なフラグシップモデル「ROG CROSSHAIR X870E HERO」

 まずは、X870Eチップセット搭載のフラグシップモデル「ROG CROSSHAIR X870E HERO」だ。ハイエンドらしい重厚なデザインに、18+2+2フェーズの強力な電源回路を搭載。このうちCPU用の18フェーズと内蔵GPU用の2フェーズは110A Power Stagesを組み合わせており、大電力を必要とする上位CPUも安定して動作させられる。VRMには、ヒートパイプと組み合わせた大型のヒートシンクを採用しており、冷却面も盤石だ。

ASUSのX870Eチップセット搭載の「ROG CROSSHAIR X870E HERO」。今回は通電しないで撮影しているので分からないが、左上部分のヒートシンク&バックパネルカバー部分にはARGB LEDが組み込まれているので、ルックスもインパクト抜群
18+2+2フェーズの強力な電源回路を採用。ヒートパイプ内蔵のヒートシンクで高い冷却力を確保しており、大電力が流れても安定して動作する。ヒートシンクはX670E世代のものより大型化したように見える

 拡張性も高い。M.2スロットは5基も用意されており、そのうち3基はGen 5対応、2基はGen 4対応と高速かつ大容量のストレージ環境を構築できる。すべてのスロットにヒートシンクを備えており、冷却面も安心だ。

 PCI ExpressスロットはGen 5対応のx16形状が2基。搭載するカードが1枚だけならx16動作、2スロット使う場合はレーン分割によって両方がx8動作に、さらに「M.2_3」と印字されたM.2スロットを使っている場合は、x8動作とx4動作になる。Ryzen 8000シリーズ搭載時はGen 4までの対応になる点は注意したい。

M.2スロットは5基用意されており、すべてヒートシンク搭載。うち3基はGen 5、2基はGen 4対応だ

 メモリはDDR5対応で192GBまで搭載が可能。Ryzen 9000シリーズはDDR5-8200、Ryzen 8000シリーズはDDR5-8600、Ryzen 7000シリーズはDDR5-8000までの対応。ネットワーク機能は、有線LANは2.5Gと5Gの2基を備え、無線LANはWi-Fi 7(IEEE802.11be)に対応し、最大6.5Gbpsの通信が可能となっている。Bluetooth 5.4もサポート。

 バックパネルカバーは組み込み済みの一体型。バックパネルのUSBは、USB4が2ポート(Type-C、40Gbps)、USB 3.2 Gen 2が8ポート(Type-A×6+Type-C×2、10Gbps)、HDMI出力、S/P DIF出力なども備えている。このほか、PCケースのUSBポート用ピンヘッダーとして、USB 3.2 Gen 2x2が2ポート分(Type-C、20Gbps、1ポートは60W PD/QC4+サポート)、USB 3.2 Gen 1が4ポート分(5Gbps)、USB 2.0が4ポート分を用意。

バックパネルカバーは一体型のタイプ。映像出力にも対応したUSB4 Gen3x2を2基用意しているのがポイント

ゲーミングの定番「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」

 二製品目は、定番ゲーミングモデルの“ROG STRIX”から「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」だ。チップセットにはX870を採用する。こちらも電源回路も16(110A)+2(110A)+2フェーズという強力なもの。ヒートパイプ内蔵の大型ヒートシンクを備えており、上位CPUによる高負荷がかかっても安心そうだ。

ASUSのX870チップセット搭載の「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」。バックパネルカバー/ヒートシンクのデザインがアップデートされ、印象がだいぶ変わった
16+2+2フェーズの電源回路を採用。ヒートパイプ内蔵の大型ヒートシンクを搭載し、冷却力もしっかり確保されている

 M.2スロットは4基あり、すべてにヒートシンクを搭載。このうち2基はGen 5対応、残りはGen 4対応だ。PCI ExpressスロットはGen 5対応のx16とGen 4対応のx4(x16形状)が用意されている。x4スロットはチップセット経由での接続だ。Ryzen 8000シリーズ搭載時はGen 4までの対応になる。

M.2スロットは4基用意されており、2基がGen 5、残りがGen 4対応だ。すべてにヒートシンクを備える

 メモリはDDR5対応で192GBまで搭載可能。Ryzen 9000/8000/7000シリーズともDDR5-8000までの対応になる。ネットワーク機能は、有線LANが2.5Gを1基、無線LANはWi-Fi 7(IEEE802.11be)対応で、最大6.5Gbpsの通信をサポート。Bluetooth 5.4にも対応している。

 バックパネルカバーは一体型のタイプで、バックパネルのUSBは、USB4が2ポート(Type-C/DP Alt mode、40Gbps)、USB 3.2 Gen 2が6ポート(Type-A×5、Type-C×1/30W PD、10Gbps)、USB 3.2 Gen 1が4ポート(Type-A、5Gbps)のほか、HDMI出力、DisplayPort出力、S/P DIF出力なども備えている。PCケースのUSBポート用として、USBピンヘッダーでUSB 3.2 Gen 2x2が1ポート分(Type-C、20Gbps)、USB 3.2 Gen 1が4ポート分(5Gbps)、USB 2.0が4ポート分を用意。

バックパネルカバーは一体型のタイプ。こちらのUSB4 Gen3x2も映像出力に対応している

大型ビデオカードの着脱がより簡単に! 「Q-Design」に注目

 ROG CROSSHAIR X870E HEROとROG STRIX X870-F GAMING WIFI共通の特徴となっているのが、パーツをより組み込みやすくする「Q-Design」だ。特に便利なのが、ビデオカードを簡単に引き抜ける「PCIe Slot Q-Release Slim」。

 大型のビデオカードはx16スロットにあるフックを外すのに苦労するため、これまでASUSではボタンでフックを解除できる「PCIe Slot Q-Release」を上位マザーボードに搭載してきたが、それをさらに進化させたものだ。ビデオカードのブラケット側を持ち、ちょっと傾けるだけでフックを解除できるでの、ビデオカードをよく交換する人には、非常にうれしい機能だ。

ビデオカードのブラケット側を持ち、少し傾けるだけで固定するフックが解除される

 M.2スロット関連として、M.2 SSDを押し込むだけで固定できる新型の「M.2 Q-Latch」やヒートシンクをワンタッチで外せる「M.2 Q-Release」に加え、留め具をスライドさせて複数サイズのM.2 SSDに対応できる「M.2 Q-Slide」がユニーク。基本Type2240/2260/2280が装着可能で、一部スロットはType22110が加わる。なお、ROG CROSSHAIR X870E HEROは3基、ROG STRIX X870-F GAMING WIFIは2基がM.2 Q-Slide対応だ。

 このほか、無線LANのアンテナ装着を簡単にする「Q-Antenna」や動作状況をマザー上にある二桁のLEDパネルで表示する「Q-Code」、視覚的にパーツの接続状況を確認できる「BIOS Q-Dashboard」、パーツの問題をLEDで知らせる「Q-LED」といった機能も用意されている。

M.2ヒートシンクを「PUSH」と書かれた部分を押すだけで外せる「M.2 Q-Release」
留め具(二つの▲印が書かれたプラスチック部分)をスライドさせることで複数サイズのM.2 SSDに対応できる「M.2 Q-Slide」
M.2 SSDは留め具をちょっとズラして戻すだけで固定できる

高耐久でお手頃「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」

 最後は、耐久性の高いパーツを採用しながら手頃な価格で人気の“TUF”の「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」。上位2モデルに対し本機はX870チップセットを採用している。電源回路も16+2+1フェーズで80AのPower Stageを採用。上位CPUの大電力も安心と言える規模だ。大型のヒートシンクも備えている。

ASUSのX870チップセット搭載の「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」。従来のTUFマザーボードのイメージを踏襲するデザイン

 M.2スロットは4基あり、3基にはヒートシンクを備えている。2基はGen 5、残りはGen 4対応だ。M.2 Q-ReleaseやM.2 Q-Slideは搭載していないが、ワンプッシュでM.2 SSDを固定できる新型のM.2 Q-Latchは採用されている。PCI ExpressスロットはGen 5対応のx16とGen 4対応のx4(x16形状、チップセット経由)を搭載。Ryzen 8000シリーズ搭載時はGen 4までの対応となる点はほかの2製品と同じだ。

16+2+1フェーズの電源回路を搭載。ヒートパイプこそないが、厚みのあるヒートシンクを採用しており、熱対策は万全

 メモリはDDR5対応で192GBまで搭載できる。Ryzen 9000/8000/7000シリーズともDDR5-8000までの対応だ。ネットワーク機能は、有線LANが2.5Gを1基、無線LANはWi-Fi 7(IEEE802.11be)を備えており、最大2.9Gbpsの通信が可能。Bluetooth 5.4もサポートする。

 バックパネルカバーは一体型のタイプで、バックパネルのUSBは、USB4が2ポート(Type-C、40Gbps)、USB 3.2 Gen 2が3ポート(Type-A、10Gbps)、USB 3.2 Gen 1が4ポート(Type-A、5Gbps)、USB 2.0が1ポートだ。このほか、HDMI出力、アナログオーディオ出力なども備えている。PCケースのUSBポート用として、USBピンヘッダーでUSB 3.2 Gen 2x2 Type-Cが1ポート分(Type-C/30PD Fast-charge、20Gbps)、USB 3.2 Gen 1が2ポート分(5Gbps)、USB 2.0が4ポート分を用意。

M.2スロットは4基。2基がGen 5、残りがGen 4対応でヒートシンクは3基に搭載されている

【お詫びと訂正】記事初出時、上記写真に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

バックパネルカバーは一体型のタイプ。映像出力や40Gbpsの速度に対応するUSB4を2基備えているのがポイントだ
x16スロットはボタンで固定フックを解除する従来の「PCIe Slot Q-Release」を採用

 ASUSからはこの3製品だけではなく、ホワイトカラーの「ROG STRIX X870-A GAMING WIFI」、Mini-ITXの「ROG STRIX X870-I GAMING WIFI」、クリエイター向けの「ProArt X870E-CREATOR WIFI」、メインストリームの「PRIME X870-P WIFI」も登場予定。Ryzen 9000シリーズでPCの組み立てを検討しているなら、これらの新製品も候補として検討してみてはいかがだろうか。