プロダクトレビュー・ショーケース

ミリタリー調デザインの「WARTHOG」はよく冷える、エアフロー重視にも組めるCORSAIRの新型ケース

唯一無二なビジュアルを求めるユーザーへ、ハイエンド構成にも好適 text by 坂本はじめ

CORSAIR WARTHOG RS オリーブドラブ

 CORSAIRの新作PCケース「WARTHOG」は、同社が2012年にリリースした人気モデル「Vengeance C70」のミリタリーデザインを踏襲しつつ、現代のPCパーツ向けに再設計したミドルタワーPCケースだ。

 モダンなミリタリーデザインケースとして期待を集める「WARTHOG」がどのようなPCケースなのかを確かめるべく、その外観や機能をチェックするととともに、ハイエンドゲーミングPCを構築してその冷却性能を確かめてみた。

モダンな設計で現代に蘇るCORSAIRのミリタリーデザインケース

 CORSAIR WARTHOGは、ミリタリーデザインが特徴のミドルタワー型PCケース。カラーバリエーションはオリーブドラブとブラックの2色で、各色には冷却ファン付きのRSモデルと、ファン非搭載の標準モデルが用意されている。

 メーカーの市場想定価格は、冷却ファンを搭載するRSモデルが33,980円で、ファン非搭載の標準モデルが30,780円。

CORSAIR WARTHOG。オリーブドラブとブラックの2色展開で、ファンを標準搭載するRSモデルとファン非搭載の標準モデルが用意されている

 今回レビューするのは、冷却ファンを標準搭載するオリーブドラブカラーのRSモデル。ODとも表記されるオリーブドラブは、軍用品などに広く使われているカラーだ。これをベースカラーとして採用したWARTHOGは、実にミリタリーデザインケースらしいビジュアルをしている。

冷却ファンを標準で搭載するオリーブドラブ(OD)カラーのWARTHOG
オリーブドラブを基調としたミリタリーデザインらしいビジュアルが印象的
前面。効率の良い立体的なYパターンの通気用パンチングパターンを備えたフロントドアパネルを搭載
背面。120mm/140mmファンを搭載可能なファンマウントのほか、拡張スロットカバーにも立体的なYパターンの通気用パンチングパターンを設けている
左側面。中央部に窓を備えた金属製パネルを搭載。全面ガラス張りの側面パネルとは異なる趣がある
右側面。金属製パネルを採用しており、ケース前面側には立体的なYパターンの通気用パンチングパターンを設けている

 本体サイズは284×534×546mm(W×H×D)。寸法的にはミドルタワー型PCケースの中でもかなり大型だが、これはケースの上下に配置されたスチール製ハンドルの影響が大きい。このハンドルはケースを持ち運ぶ際にも使える頑丈なもので、旧モデルにあたるVengeance C70が備えていたハンドルを現代風にアレンジしたものだ。

天板。3D-Yパターンの通気口のほか、シャーシ一体型のスチール製ハンドルを備えている
底面。底面全体を覆うダストフィルターを搭載。また、スチールハンドルはケースの足として機能するほか、写真のような横倒し時に側面パネルが直接接地しないよう保護する機能もある

 本体前面底部に配置された電源スイッチやインターフェイス周りについても、スイッチガードや保護カバー付きのリセットスイッチなど、凝ったデザインを採用。ケースの付属品として、航空機の「Remove Before Flight」タグを模したUSB Type-C保護用の「Remove Before Build」タグが同梱されている。

本体前面底部に配置されたスイッチとフロントパネルインターフェイス。左からヘッドセットジャック、USB Type-C(20Gbps)、電源スイッチ、リセットスイッチ、LIGHTスイッチ、USB Type-A(5Gbps)。スイッチ類を保護するスイッチガードも装備している。
USB Type-Cポートの保護カバーとして使えるRemove Before Buildタグ。駐機中に航空機の重要機器を保護するために用いられるRemove Before Flightタグを模したものだ
フロントパネル機能用の内部ケーブル。左からUSB Type-C(20Gbps)用、USB 3.0、フロントパネルヘッダー(10-1ピン)、HDオーディオ、ARGBコネクタ(分岐付き)。ARGBコネクタは、LIGHTスイッチで操作するバックパネルインターフェイスLEDの電源供給用

 また、リセットスイッチの隣に配置されたLIGHTスイッチもユニークな機能のひとつで、背面のバックパネルインターフェイス付近に配置されたLEDライトを点灯させられる。暗くてコネクタの抜き差しが困難になりがちなバックパネルインターフェイスの作業性を改善するという面白い機能だ。

LIGHTスイッチ。操作するとバックパネルインターフェイス付近に配置されたLEDライトを点灯/消灯できる
バックパネルインターフェイス付近を照らすユニークなLEDライト。WARTHOGのユニークな機能のひとつだ

大型パーツや背面コネクタマザーボードにも対応するWARTHOGの内装

 WARTHOGの内装は左側面側にマザーボードを設置するオーソドックスなミドルタワースタイルで、搭載可能なマザーボードのフォームファクターはE-ATX、ATX、microATX、Mini-ITXで、背面コネクタ搭載マザーボードにも対応する。

ケース左側面内部。背面コネクタ搭載マザーボード用のコネクタ穴が設けられている
ケース右側面内部。マザーボード搭載部の裏に配線用スペースが設けられている

 マザーボード搭載部分にはケーブルや背面コネクタ用のメンテナンスホール以外に、四角形の小さな穴が配置されている。これは単なる肉抜き用の穴ではなく、ケーブルマネージメント用パーツを自由に取り付けることができるギミックだ。

マザーボード搭載部には小さな四角形の穴が多数設けられている
四角形の穴を用いることで、ケーブルマネージメント用のパーツを好きな位置に配置できる

 拡張スロット部分はモジュラー化されており、7スロット分の拡張スロットを縦置きまたは横置きで配置できる。

 また、内蔵ドライブについてはマザーボードのCPUクーラー用メンテナンスホール部分にマウンタを搭載しており、最大で2.5インチドライブ×2台と3.5インチドライブ×1台を搭載できる。

拡張スロット部分はモジュラー化されており、縦置きまたは横置きでスロットを配置できる
CPUクーラー用メンテナンスホール部分に搭載されているドライブマウンタ。2.5インチドライブ×2台と3.5インチドライブ×1台を搭載できる

 現代のパーツ向けに設計されたWARTHOGは、大型のビデオカードやCPUクーラーにも対応している。最大で430mm長(フロントファン搭載時は405mm)の大型ビデオカードが搭載可能なほか、高さ190mmまでのCPUクーラーや、長さ200mmまでの電源ユニットも収容できる。

CORSAIRの空冷クーラーA115を搭載してみた様子。高さ190mmまでの大型CPUクーラーが搭載可能で、市販品の大多数のハイエンド空冷CPUクーラーを搭載できる
電源は長さ200mmまでのものが搭載できる
大型ビデオカードの重量を支えるGPUアンチサグスタビライゼーションアームを搭載。E-ATX規格のマザーボードを搭載する場合は利用できない

デュアル水冷構成も可能なWARTHOGの冷却システムRSモデルは200mmファン×2基と120mmファン×1基を標準搭載

 WARTHOGは、前面、天板、側面、背面、底面、電源シュラウド上にファンマウントを備えており、最大で12基の120mmファンを搭載することができる。搭載可能なファンの内訳は以下の通り。

・前面:120mm×3基、または140mm×2基、または200mm×2基
・天板:120mm×3基、または140mm×2基
・側面:120mm×3基、または140mm×2基
・背面:120mm×1基、または140mm×1基
・底面:120mm×1基
・電源シュラウド上:120mm×2基

 冷却ファンを標準搭載するWARTHOGのRSモデルについては、前面に200mmファン×2基、背面に120mmファン×1基を搭載している。いずれもファンはLEDを備えていないので、イルミネーション機能を楽しみたい場合はファン非搭載モデルを選択すると良いだろう。

前面のファンマウント。120mm×3基、または140mm×2基、または200mm×2基を搭載可能で、360mmラジエーターも搭載できる
冷却ファンを標準搭載するRSモデルは、前面に200mmの大口径ファン×2基を搭載している
前面ファンマウントのフィルターは取り外しやすく、清掃もしやすい
背面のファンマウント。120mmまたは140mm×1基を搭載できる。RSモデルは120mmファン×1基を標準搭載

 ファンマウントのうち、前面と天板および側面に関しては、最大360mmサイズの水冷ラジエーターを搭載可能で、2基のラジエーターを搭載したデュアル水冷環境も構築できる。ただし、前面と天板は距離が近いため、同時に360mmサイズのラジエーターを搭載することはできない点には注意が必要だ。

天板のファンマウント。120mm×3基、または140mmを2基のファンを搭載可能で、360mmラジエーターも搭載できる
360mmラジエーターを天板側に装着した様子。ちょうど収まるといったクリアランスなので、2基のラジエーターをケースに収めたい場合は組み合わせなどを工夫する必要がある

 側面ファンマウントにも最大360mmサイズの水冷ラジエーターを搭載可能だが、前面に200mmファンを搭載した場合は、通常の120mmファンを搭載してちょうど干渉しないくらいのクリアランスになる。水冷ラジエーターや厚みのあるファンを搭載する場合は、前面ファンマウント側に搭載する冷却パーツとの組み合わせにも若干気を付けたい。

側面のファンマウント。120mm×3基、または140mm×2基のファンを搭載可能で、360mmラジエーターも搭載できる
側面ファンマウントに120mmファン×3基を搭載した際の様子。前面に200mmファンに少し重なるといった状態だったので、水冷ラジエーターや厚みのあるファンを搭載する場合は干渉などしないか確認してもらいたい
側面のファンマウントはモジュラー化されており、マウントを取り外した状態でファンやラジエーターを搭載できる
側面ファンのフィルターはケースの側面パネルに取り付けられている

 底面側には120mmファン×1基、電源シュラウド上に120mmファン×2基を搭載できる。こちら側にも着脱が簡単に行えるフィルターを備えている。

底面のファンマウント。120mmファン×1基を搭載できる
電源シュラウド上のファンマウント。120mmファン×2基を搭載できる
前述しているが、底面にもフィルターを装備
簡単に引き出せるのでメンテナンスも容易だ

Core Ultra 7 270K PlusとGeForce RTX 5080で高性能PCを構築

 今回はWARTHOGにCore Ultra 7 270K PlusとGeForce RTX 5080を組み込んで高性能PCを構築。ハイエンドゲーミングPCに相当するこれらのパーツをWARTHOGの冷却システムが十分に冷やせるのかを確かめる。

「Core Ultra 7 270K Plus」
「GeForce RTX 5080 Founders Edition」

 CPUクーラーにはCORSAIRの360mmオールインワン水冷クーラー「NAUTILUS 360 RS」を用意。ケースファンはRSモデル標準搭載の200mmファン×2基と120mmファン×1基をそのまま使用する。

 また、各ファンのPWM制御については一律60%に固定。これにより、ケース背面と水冷クーラーの120mmファンは約1,250rpm、ケース前面の200mmファンは約650rpmで動作することになる。全開で動作させればより強力に内蔵パーツを冷却できるが、できるだけ静粛性を保った設定を適用した。

CORSAIRの360mmオールインワン水冷クーラー「NAUTILUS 360 RS」

 その他のパーツ構成については以下の表のとおり。今回は光らない黒いパーツを使いPCを構築した。

ASUS ProArt Z890-CREATOR WIFI
CORSAIR VENGEANCE DDR5(16GB×2、DDR5-5200)
CORSAIR MP700 PRO(2TB)
CORSAIR RM850e(850W)

 実際に構築したPCがこちら。なるべくイルミネーション機能がないパーツで構築したこともあり、内装パーツが過度に主張せず、PCケースのビジュアルを最大限楽しめるPCに組み上がった。

 現代のPCパーツに合わせてモダンな設計を採用しただけあって、大型パーツもきれいに収容することができた。注意点としては、360mmサイズのラジエーターを天板に搭載する場合、組み込み作業時にRSモデルが標準搭載する前面の200mmファンと干渉することが挙げられる。一旦200mmファンを外してからラジエーターを取り付ければ問題ないが、取り付け時に少し工夫が必要になるので、覚えておいてもらいたい。

今回構築したPC
PCの内部
PC内部の裏面側
360mm水冷ラジエータを入れるとピッタリなサイズで収まる
重量級ビデオカードを支えるGPUアンチサグスタビライゼーションアーム
ケース前面の開閉のつまみ部分にはアクセントカラーが入れられている

Cinebench 2026実行中のモニタリングデータ

 実際に使用した際の性能だが、まずはすべてのCPUコアに高負荷を掛けるCinebench 2026のMulti Threadsを実行し、テスト中のモニタリングデータを取得した。最低実行時間は30分で、テスト時の室温は約25℃。

Cinebench 2026実行中のモニタリングデータ
各部温度とファン速度│Cinebench 2026

 最大温度(TjMax)が105℃のCore Ultra 7 270K Plusは、平均240.5Wの電力を消費しながらPコア平均5,367MHz、Eコア平均4,700MHzで動作しており、この時の動作温度は平均85.0℃(最大99℃)だった。

 最大限に近いブーストクロックで動作しているCore Ultra 7 270K Plusだが、天板側に排気する方向でラジエーターを取り付けたNAUTILUS 360 RSはその発熱をしっかり放熱しており、終始安定したクロックで高いパフォーマンスを維持できていた。

サイバーパンク2077実行中のモニタリングデータ

 パストレーシングにも対応するオープンワールドゲーム「サイバーパンク2077」で、30分間高負荷動作させ続けた場合のモニタリングデータを取得した結果が以下のグラフ。

 テスト時のグラフィックプリセットは「レイトレーシング:オーバードライブ」で、画面解像度は3,840×2,160ドット(4K)、超解像をDLSS(パフォーマンス)に設定している。

サイバーパンク2077実行中のモニタリングデータ
各部温度とファン速度│サイバーパンク2077

 ケース内に収容したGeForce RTX 5080が平均287.8Wの電力を消費し、PC全体のシステム消費電力が平均495.1Wに達するこの高負荷条件において、CPU温度は平均58.8℃(最大75℃)、GPU温度も平均67.7℃(最大70.8℃)を記録。終始クロックの低下などが起きない安定した挙動を維持した。

 テスト開始からしばらくはCPUやGPU温度の上昇が見られる一方、15分程度が経過してからはVRM温度を含め、各パーツの温度上昇が見られなくなっている。これは、ケース内温度が一定に保たれているからこそ実現できるものであり、RSモデルが標準搭載しているケースファンが優秀な換気能力を有していることを示している。

ハイエンドパーツもしっかり冷やせる実力派モダンな設計と凝ったミリタリーデザインが魅力のWARTHOG

ミリタリーデザインで冷却面にも優れるWARTHOG

 モダンなPCケース設計とミリタリーデザインを組み合わせたWARTHOGは、ユニークなビジュアルと大型パーツに対応する収容能力を兼ね備えたPCケースだ。冷却システムも優秀であり、高発熱なハイエンドパーツの性能を最大限に引き出すこともできる。

 ガラスパネルでケース内装を魅せるPCケースが多い中、ケース自体のビジュアルで勝負するWARTHOGは、一周回ってユニークな魅力を備えたミリタリーデザインケースだ。他にはない満足感を得られるケースの一つと言えるだろう。