プロダクトレビュー・ショーケース

レイトレーシング超えのリアル「パストレーシング」はかなり重い?「CONTROL Resonant」でフレームレートを確認

GeForce RTX 5080でDLSS 4.5の効果もテスト text by 坂本はじめ

CONTROL Resonant
(C) Remedy Entertainment

 2019年に発売されたアクションゲーム「CONTROL」の続編、「CONTROL Resonant」が9月24日に発売された。PC版は、NVIDIAの「DLSS 4.5」や、「レイトレーシング」よりも光をリアルにレンダリングする「パストレーシング」にも対応した、先進的なグラフィックスを体験できるゲームにもなっている。

 今回は、ゲームにさらなる映像美をもたらすパストレーシングと、DLSS 4.5の効果にフォーカスし、画質や負荷などがどのように変わるのかを確認してみた。

GeForce RTX 5080で「4K+パストレーシング+DLSS 4.5」のゲームを体験

 今回、CONTROL Resonantのプレイに使用するビデオカードは、ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID OCだ。ZOTAC独自設計の超大型GPUクーラーを搭載したビデオカードで、VRAM容量は16GB(GDDR7)。

 なお、このビデオカードはGeForce RTX 5080発売当時の初期モデルで、現在は設計を最適化した後継モデル(ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID CORE OC)が発売されている。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID OC
3.5スロット厚の大型GPUクーラーを搭載。後継モデルでは薄型化された

 このビデオカードをRyzen 7 9850X3Dを搭載したAMD X870環境に搭載し、120Hz駆動の4K(3,840×2,160ドット)ディスプレイと接続したハイエンドゲーミングPC相当の環境でテストを実行する。その他のパーツ構成や条件については以下のとおり。

レイトレーシングの発展形「パストレーシング」CONTROL Resonantでパストレーシングの効果をチェック

 パストレーシングとは、ゲームでも用いられるようになって久しいレイトレーシングの発展形で、カメラ側(画面側)から光源までの光の経路をランダムにサンプリングして近似を得るという手法で、3D空間内により現実に近い光の表現を可能とするものだ。

 なお、NVIDIAによれば、「ゲームにおけるパストレーシングの定義はタイトル毎に異なる場合がある」とのことで、グラフィック設定の実装方法についてもタイトルによって違いがあるようだ。

 実際、CONTROL Resonantのグラフィック設定には、パストレーシングと明記された設定項目は存在しない。開発元のRemedy Entertainmentが公開しているシステム要件には、レイトレーシングプリセットを「高」に設定した際にパストレーシングによるレンダリングが有効となる旨が記載されている。このため、レイトレーシングプリセットの設定を「高」以上に設定した際にパストレーシングが有効になると思われる。

レイトレーシングのプリセットを「高」以上にするとパストレーシングが有効になる
Remedy Entertainmentが公開しているCONTROL Resonantのシステム要件

 従来のリアルタイムレイトレーシングを上回る高品質な表現を得られるというのがパストレーシングだが、百聞は一見に如かず。CONTROL Resonantにおけるパストレーシングがどのような効果を発揮するのか、実際のゲーム画面で確認してみよう。

 なお、ゲーム画面をキャプチャするにあたり、ゲーム内のグラフィック設定は画面解像度を4K(3,840×2,160ドット)、DLSSによる超解像を「パフォーマンス(1,920×1,080ドット)」、フレーム生成を「オフ」、レイトレーシング以外の描画品質を設定するグラフィックプリセットを「最高」に設定している。

連邦操作局(FBC)の施設内

 まずは、連邦操作局本部であるオールデスト・ハウス内でパストレーシングの効果を確認してみた。

 以下に紹介する5枚のスクリーンショットは、レイトレーシングのプリセットを「オフ」、「低」、「中」、「高」、「最高」の順で並べたもの。先述のとおり、Remedy Entertainmentの定義によれば「低」と「中」がレイトレーシング、「高」と「最高」がパストレーシングに相当する。

 静止画で差をパッと判別するのは少々難しいが、見比べると差が分かるポイントは、主人公の顔やオブジェクトの影や照明の照り返し、床面の反射、陰影表現などだ。

レイトレーシング「オフ」│施設内部
レイトレーシング「低」│施設内部
レイトレーシング「中」│施設内部
レイトレーシング「高」│施設内部
レイトレーシング「最高」│施設内部

 レイトレーシング「オフ」と「高」を見比べると、主人公の顔やオブジェクトの影がより自然に表現されている様子が見てとれ、パストレーシングでは「高」設定以上に照明の照り返しが美しく表現されている。

 レイトレーシングを「オフ」から「低」にすると、床面などの反射や影の描写がよりリアルになり、「中」以上の設定では人物の陰影表現が大きく改善している。レイトレーシング相当の「中」とパストレーシング相当の「高」に劇的な差は感じられないが、「最高」になると複数の光源の反射や照り返しがよりリアルに表現されている様子を確認できる。

地下鉄駅構内

 次に紹介するのは、照明や自販機、外部からの光など、多数の光源が存在する地下鉄駅構内で撮影したゲーム画面だ。

 分かりやすいポイントは、中央右の自動販売機の照明反射、画面外にあるであろう照明や自動販売機を光源とした照り返しや陰影の表現。

レイトレーシング「オフ」│地下鉄駅構内
レイトレーシング「低」│地下鉄駅構内
レイトレーシング「中」│地下鉄駅構内
レイトレーシング「高」│地下鉄駅構内
レイトレーシング「最高」│地下鉄駅構内

 レイトレーシングを「低」以上に設定すると、画面左端中央付近の表面に、画面中央右に配置されている自販機の照明が反射している様子が見てとれる。これはレイトレーシングならではの描写で、レイトレーシング「オフ」では基本的に、画面内に直接表示されていないオブジェクトは鏡面に反射しない。

 パストレーシングは光の相互作用の再現力に優れており、「高」では中との差が分かりにくいものの、「最高」に設定すると画面奥から差し込んでくる光や、画面外の右手前から壁面のタイルを照らす照明、画面中央右のゴミ箱奥に設置されている自販機を光源とする照り返しがよりリアルに描写されている。

屋外のFBCフィールドオフィス

 最後に紹介するのは、屋外のFBCフィールドオフィスで撮影したゲーム画面だ。ここで特に注目してもらいたいのは窓ガラスの表現だ。

レイトレーシング「オフ」│屋外
レイトレーシング「低」│屋外
レイトレーシング「中」│屋外
レイトレーシング「高」│屋外
レイトレーシング「最高」│屋外

 強力な光源である太陽光が鏡に反射する様子はレイトレーシング「オフ」でも描かれているが、「中」以上になると太陽光を遮って生じる窓枠の影が屋内のオブジェクトに落ちる様子が描かれるようになり、「最高」では「高」以下とは全く異なる太陽光の反射が表現されている。

 ガラスパネルのように反射と透過が混在するオブジェクトの表現はランダムサンプリングを行うパストレーシングの効果が顕著に現れやすい。Remedy Entertainmentの定義ではレイトレーシング設定のプリセット「高」以上がパストレーシングとされているが、「最高」設定の方がよりパストレーシングらしい映像表現が得られるようだ。

パストレーシングの描画負荷を同一シーンで比較してみた

 CONTROL Resonantのゲーム画面を比較してみると、レイトレーシング設定のプリセットを高くするほど光の表現力が向上し、パストレーシングを用いた最高品質プリセットである「最高」では、他とは一線を画すクオリティで光の相互作用や半透明オブジェクトが描画されていた。

 よりゲームに没入できる美しい映像表現がパストレーシングの魅力的ではあるのだが、高度なシミュレーションを行うパストレーシングが、従来のレイトレーシングより高負荷であることは想像に難くない。

 そこで、パストレーシングがどの程度のフレームレートに影響するのかを確かめるべく、先に紹介した3つのシーンで最も高負荷な地下鉄駅構内にて、平均フレームレートを計測してみた。

平均フレームレート│CONTROL Resonant

 レイトレーシング「オフ」の平均フレームレートが105.1fpsであったのに対し、レイトレーシング「低」は83.4fpsで、「中」が75.7fps。パストレーシングに相当する「高」は68.3fps、「最高」が47.5fpsだった。

 当然ながらレイトレーシング設定のプリセットを高品質にするほど平均フレームレートは低下しており、レイトレーシング「最高」では「オフ」からフレームレートが半減。定義上では同じパストレーシングに属する「高」と比べてもフレームレートの低下は大きい。

 実際にゲームをプレイしてみると、「最高」設定でもここまでフレームレートが低下する場面は限定的で、概ね50fps台後半くらいを維持できる。ゲームをプレイするのに十分なパフォーマンスを得られてはいるのだが、パストレーシングならではのリアルな光の表現がGPUにとって相当に重たい処理であることは間違いない。

パストレーシングでもDLSS 4.5を組み合わせれば高フレームレートで遊べる6倍マルチフレーム生成やダイナミックマルチフレーム生成が可能

 CONTROL Resonantは、パストレーシングだけでなくNVIDIAのDLSS 4.5に対応しており、同機能が提供する最大6倍のマルチフレーム生成やダイナミックマルチフレーム生成をゲーム内のグラフィック設定に実装している。

最大6倍のマルチフレーム生成とダイナミックマルチフレーム生成に対応。ダイナミックマルチフレーム生成とは、設定した目標フレームレートに応じてフレーム生成倍率を動的に変更する機能だ

 GeForce RTX 5080を含むGeForce RTX 50シリーズはDLSS 4.5に完全対応しており、マルチフレーム生成を活用すれば、ゲーミングモニターの高いリフレッシュレートを生かした滑らかな映像表現を楽しむことができる。

 最大の生成倍率である6倍でマルチフレーム生成を実行した場合、どこまでフレームレートが向上するのか試した結果が以下のグラフだ。

フレーム生成無効時と6倍生成時の平均フレームレート│CONTROL Resonant

 DLSSによる6倍フレーム生成を有効にした場合、レイトレーシング「オフ」では105.1fpsから366.1fps(約3.5倍)、「低」は83.4fpsから316.4fps(約3.8倍)、「中」は75.7fpsから298.4fps(約3.9倍)に向上。

 パストレーシングに相当するレイトレーシング設定では、「高」で68.3fpsから279.1fps(約4.1倍)、「最高」では47.5fpsから214.1fps(約4.5倍)にフレームレートが向上した。

 マルチフレーム生成の効果は元のフレームレートやGPU負荷の状況にも影響され、単純にフレーム生成無効時の平均フレームレートに倍率を掛けたものにはならない。実際、今回の測定でも6倍フレーム生成の効果は無効時の3.5~4.5倍であり、レイトレーシング設定を高品質にするほどフレーム生成の効果が大きくなっている様子が見てとれる。

 いずれにせよ、DLSS 4.5のマルチフレーム生成には平均フレームレートを大きく向上させる効果がある。高い最大リフレッシュレートと可変リフレッシュレートに対応するゲーミングモニターを使っているなら、フレーム生成を活用してより滑らかな映像表現を楽しんでみるのも良いだろう。

ゲーム内の空気感までリアルに描くパストレーシングGeForce RTX 5080なら4K+パストレーシングでプレイ可能

 ハイエンドGPUであるGeForce RTX 5080を用いた今回の検証では、パストレーシングを最高品質で有効化したCONTROL Resonantを4K解像度でもプレイすることが可能だった。

 ゲーム内の空気感がリアルに感じられるほど美しいパストレーシングの映像表現は、それ相応に高負荷ではある。ただ、DLSS 4.5による超解像やフレーム生成を駆使すれば、ゲームプレイにおいて実用可能なレベルに達している。CONTROL ResonantをGeForce RTX 50シリーズでプレイできるなら、パストレーシングによる光の表現を一度は体験してみてほしい。