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徹底したホコリ対策で「確実に動くビデオカード」を、ASUSが語る「Phoenixビデオカード」のポイント

 PCにとって、「耐久性」というのは重要なポイントだ。

 華々しい「性能の高さ」に比べると、どうしても地味に感じてしまうが、日々使うものだからこそ、しっかり毎日動いてほしい、と思うのは自然な気持ちだろう。

 そして、「耐久性」をより気にしたいのがローエンドの普及モデルだ。普及価格帯の製品は、「とにかく安いモデル」が目立ちがちだが、安さを追求した製品は当然どこかにしわ寄せがくるわけで、地味な「耐久性」はおざなりにされがち。

 そこで今回、高耐久ビデオカードを得意とするASUSに、その最新モデルであるGeForce GTX 1050/Ti搭載モデル「PH-GTX1050TI-4G」と「PH-GTX1050-2G」のポイントを聞いてみた。

 補助電源の要らないGeForce GTX x50のビデオカードは、手頃な予算でPCゲームを楽しめる人気製品だが、大ヒットしたGeForce GTX 750 Tiからすでに3年、そろそろ買い換えを考えているユーザーも多いだろう。そうしたポイントでも参考にしてもらえれば幸いだ。

 お話をお伺いしたのは、おなじみPeter Chen氏だ。

左が「PH-GTX1050TI-4G」、右が「PH-GTX1050-2G」

悪環境で長期間使用できるのが「Phoenix」シリーズ長寿命のデュアルボールベアリングファンを搭載、ホコリにも強い構造

ASUSのPeter Chen氏

――Phoenixシリーズはどのような製品なのでしょうか

[Peter氏]そもそもはゲームセンターやネットカフェのようにタバコのヤニ汚れやホコリが舞うといったPCにとって悪条件と言える環境で、長期間使用できるパーツを求めるニーズから生まれたのが「Phoenix」シリーズです。

 一般のご家庭は普通、そこまで過酷ではないですが、長年使えばホコリも吸い込むなどの問題もでてきますし、「頑丈さ」に余裕があれば、末永く利用できる製品となりますよね。

――どのような技術で耐久性を向上させているのでしょうか

耐久性を追求した「長く使える」ヒミツを聞く

[Peter氏]「PH-GTX1050TI-4G」と「PH-GTX1050-2G」はともに、「デュアルボールベアリング」をうたっております。これは、ボールベアリングを上下に2個用いた構造で、これは安価なスリーブベアリングと比べて2倍の長寿命を実現しています。また、そもそもとして、軸にホコリが入りにくい構造の「ダストプルーフファン」を採用、ホコリの影響を最小限にしています。

――ボールベアリングはスリーブと比べてどこがいいのでしょうか。

[Peter氏]ここはいわゆる軸受け部分ですが、スリーブファンは面で軸を受けるのに対し、ベアリングファンは点で受ける格好になります。面と点では点のほうが接触面積が小さくて済み、摩擦が少ないため、より静かで、消費電力も抑えられます。また、軸ブレが抑えられることで壊れにくく、ファンの耐久性も向上します。

ASUSのデュアルボールベアリングファン解説図

――こうしたベアリングは使い分けをしているのでしょうか

[Peter氏]ASUSのビデオカードは現在、すべての製品でボールベアリングを採用しています。PhoenixシリーズやTurboシリーズなど組み込み用途が想定される製品では、今回のようなデュアルボールベアリングを採用しています。

――上位のモデルとの違いはどのようなところにあるのでしょうか。

[Peter氏]Phoenixシリーズのポイントは「シングルファン」であることですね。シングルファンとすることで部品点数を減らし、故障のリスクを下げています。冷却能力は、DUALシリーズ以上の製品よりも下がりますが、そうした製品がウリとする(定格以上の)パフォーマンスよりも、故障のリスクを下げることにフォーカスしているわけです。動作クロックも定格動作になりますから、消費電力や発熱も低下しますし、その結果として耐久性も向上する、といった効果も狙っています。

 なお、弊社のビデオカードは全製品で耐久性や品質を追求していまして、例えばダストプルーフファンは上位製品でも採用されています。

 また、昨今トレンドのファン停止機能がないのも特徴です。タバコの煙やホコリが多く、いつどうなるか分からない環境では、万が一に備えてファンを停止させないことのメリットが大きいと判断しました。一方、静音性をより重視される方には、ファン停止機能を搭載したモデルのほうがよいでしょう。ちなみに、ファンが頻繁に停止/動作再開することによる負担は、ファン自体の耐久性を高めているため、ほとんど問題ではないと考えています。

左が「PH-GTX1050TI-4G」、右が「PH-GTX1050-2G」。クーラーの設計は同じ

さらなるホコリ対策も透明フィルムや飛び出しの少ないチップピンなど……

ヒートシンクと基板の間に透明フィルムを挟んでいる

――デュアルボールベアリングのほかの耐久性を高める設計について教えてください

[Peter氏]ホコリ対策という点では、「PH-GTX1050TI-4G」「PH-GTX1050-2G」ではクーラーと基板の間に透明フィルムを装着しています。これはPhoenixシリーズ独自の特徴で、ホコリが基板に付着するのを防ぐものです。また、よく見ると、クーラーカバーが「GTX750TI-PH-2GD5」の頃よりも大きくなっているのですが、これもホコリの侵入をより防ぐための改良ですね。

――2世代前のPhoenix、「GTX750TI-PH-2GD5」と比べるとアップデートされたところはありますか

「ASUS AUTO-EXTREME技術」によりピンの飛び出しがほとんどない。フラックス未使用のため基板はマットブラック

[Peter氏]先ほどのクーラーカバーの大型化もそうですが、弊社の自動製造技術「ASUS AUTO-EXTREME」は「GTX750TI-PH-2GD5」の後で採用されています。「製造の自動化と耐久性、何か関係あるの?」と思われそうですが、自動化によってハンダ付け時のチップのピン(足)を極限まで短くできるようになりました。基板から飛び出す部分がほぼなくなり、基板裏面がフラットに近くなったので、ホコリが引っかかるようなことを最低限に抑えています。仮にホコリが付着してもエアダスターで少し吹けば簡単に掃除できるので、お手入れの面でも他社に対するアドバンテージになったと自負しています。

――「ASUS AUTO-EXTREME技術」について、そのほかにもメリットはありますか

[Peter氏]製造現場におけるヒューマンエラーがないというのは大きいですね。ちなみに、「ASUS AUTO-EXTREME」で製造される製品も拡大しており、現在はGeForce GT 710搭載カードのようなローエンド製品でも「ASUS AUTO-EXTREME」を用いて製造しています。

 私もそうしたカードを使っておりますが、フラックス(溶剤)を使わずに製造できますので、開封直後のカードがつやつやではなくマットブラックで格好いいです。ここは感動しましたね。

「ASUS AUTO-EXTREME」よりも以前の基板は、ピンの突き出し量も大きい。基板裏にはフラックスによるツヤがあり、ホコリが付着しやすい

ASUSの高品質部品「Super Alloy Power II」を採用

[Peter氏]もうひとつ。「PH-GTX1050TI-4G」や「PH-GTX1050-2G」では「Super Alloy Power」(SAP)が第2世代にアップデートされました。コンデンサの耐久性はSAPの時点で標準的な製品の2倍でしたが、SAP2では2.5倍へと寿命を延ばしています。また、チョークコイルについてはSAPの世代よりも内部の素材を見直し、より密度を高くすることでよりコイル鳴きの発生を抑えたものに改められています。

ASUSの「GTX 1050/Ti」はどう選ぶのか?ゲームするなら「PH-GTX1050TI-4G」、「PH-GTX1050-2G」は株式トレーダーにも!

映像出力端子はDisplayPort、HDMI、DVI-Dの3系統

――それでは視点を変えて、例えば「PH-GTX1050TI-4G」と「PH-GTX1050-2G」で製品選びを迷った時、何を決め手に選べばよいでしょうか

[Peter氏]昨今のPCゲームはGeForce GTX 1050 Ti以上のGPUを求めるものが増えているので、「2製品のどちらかを選ぶ」という条件でしたら、ゲームにはGeForce GTX 1050 Ti搭載の「PH-GTX1050TI-4G」が良いでしょう。ただ、「要求スペックの低いカジュアルゲームだけでいい」ということでしたら、ビデオメモリ2GBでも大丈夫ですので「PH-GTX1050-2G」を選ぶ手もあると思います。

 また、このクラスのビデオカードは、株式トレーダーのような複数ディスプレイを構成するために購入される方も多いのですが、お求めやすい「PH-GTX1050-2G」でも3画面出力ができますし、Phoenixシリーズの「耐久性」という特徴も非常にマッチしていると思います。

――ASUSのGTX 1050/Tiには上位のDUALシリーズやSTRIXシリーズもありますが、こちらはどうでしょうか?

「PH-GTX1050TI-4G」、「PH-GTX1050-2G」ともに補助電源不要だ

[Peter氏]「Phoenixシリーズを選ぶ理由」という意味ではなんといっても耐久性やメンテナンスのしやすさですが、実はPhoenixシリーズは基板が短いのも特徴で、小型PCケースなどにも向いています。その上のDUALシリーズは、ある意味標準的なモデルですね。基板サイズも標準サイズですし、ファンもデュアルファンになっています。

 また、その上のSTRIXシリーズはOC性能やファン停止による静音性を重視しています。OCのために、電源回路もより強化、6ピン補助電源コネクタを必要とします。この点でPhoenixシリーズやDUALシリーズとは異なります。ASUSのGeForce GTX 1050 Ti/1050搭載ビデオカードを選ぶ際は、こうしたポイントで選んでいただければよいと思います。

DUAL-GTX1050TI-4G
STRIX-GTX1050TI-O4G-GAMING

長い目で見て「買って損はなかった」を目指すASUSの「高耐久」と「高信頼」

――最後に読者へのメッセージをいただけますか

[Peter氏]ASUSでは、ビデオカードをデザインする際、パフォーマンスはもちろん耐久性や安定性も重視し、長い目で見て「買って損はなかった」と思っていただけるよう、製品開発しています。

 実売価格を見ると、この2製品は定格仕様なのに、他社のOCモデルと同じくらいの価格になっている場合もあり、一見「高い」と見えてしまうこともあるかと思います。しかし、その理由は、これまで説明させていただいたような、耐久性やメンテナンス性のためのコストなのです。

 今回の製品はエントリーグレードですが、それでも1万円を超える投資をしていただくのですから、その期待にしっかり応えられる製品をお届けしたい、というのが我々のスタンスです。そして、Phoenixシリーズでも、製品を長くお使いいただくなかで、トータルコストで「よい買い物ができた」と感じていただける製品ができたと思っております。

 新規に購入される方はもちろん、昔のビデオカードからの買い替えを検討している方も、ぜひPhoenixシリーズの「長い目で見た面倒のなさ」をご検討いただければと思います。

――ありがとうございました。


パフォーマンス検証編~「ちょっと前」のビデオカードとも比較してみた~

 ゲームを主眼に置いた製品選びなら「PH-GTX1050TI-4G」、よりカジュアルなゲームをするなら「PH-GTX1050-2G」という話が出たが、実際にどのくらいのパフォーマンスがあるのだろうか。今回、2枚のカードをお借りしたので、そこをベンチマークで明らかにしていこう。

 比較対象として用意したのはGeForce GTX 750 Tiカード「GTX750TI-PH-2GD5」、GeForce GTX 950カード「GTX950-2G」だ。検証環境は、CPUにIntel Core i7-7700K(4.2GHz)、マザーボードにASUSのPRIME Z270-K(Intel Z270)、メモリはPC4-19200 DDR4 SDRAM(DDR4-2400 8GB×2)、ほかSerial ATA 3.0接続のSSD(750GB)、Windows 10 64bit版を用意した。

左が「GTX750TI-PH-2GD5」、右は「GTX950-2G」。「GTX950-2G」は、現行モデルで言うところのDUALシリーズに相当し、耐久性重視の設計となっている。

3DMark編

 まずは3DMark。4枚のビデオカードのFire Strikeのスコアはおよそ階段状だ。こう見ると少し把握しづらいのでパーセンテージで言えば、「PH-GTX1050TI-4G」は「GTX750TI-PH-2GD5」の68%アップのパフォーマンスだ。7割り増しと言えばかなりのボリュームを想像できるだろう。「PH-GTX1050-2G」なら47%アップ。こちらもほぼ5割増しと言える。

ドラゴンクエストX編

 続いてドラゴンクエストX ベンチマークソフト。「PH-GTX1050TI-4G」が少しだけ特出しているが、「PH-GTX1050-2G」と「GTX950-2G」は順当なところ。一方、「GTX750TI-PH-2GD5」はガクッと下がる。

 ここまでの結果はGPUスペックを見れば明らかだ。GeForce GTX 750 TiはクロックがGPU/メモリともに低めなことに加え、ROPsがほかの半分しかない。一方、GeForce GTX 1050 Tiは、1050と比べるとGPUクロックが低いがシェーダーが多く、メモリ搭載量も多い。こうしたスペックの違いがスコアに影響するわけだ。

製品名シェーダーROPsTMUsGPUクロックメモリバス幅メモリクロック
GeForce GTX 750 Ti64016401020(1085)MHz2GB GDDR5128bit5.4Hz
GeForce GTX 95076832481024(1190)MHz2GB GDDR5128bit6.6GHz
GeForce GTX 105064032401354(1455)MHz2GB GDDR5128bit7GHz
GeForce GTX 1050 Ti76832481291(1392)MHz4GB GDDR5128bit7GHz

ファイナルファンタジーXIV・ファンタシースターオンライン2編

 「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」と「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」はおおよそ同じような傾向だ。

 もっともスコアの高い「PH-GTX1050TI-4G」から、もっとも低かった「GTX750TI-PH-2GD5」までが、ほとんど直線的な格好となる。ファイナルファンタジーXIVのベンチマーク2つについてはフレームレートも見てみると、「PH-GTX1050TI-4G」なら「GTX750TI-PH-2GD5」の8割り増し、「PH-GTX1050-2G」なら「GTX750TI-PH-2GD5」の6割り増しといったところだ。

 なお、「GTX950-2G」からの買い換えでも「PH-GTX1050-2G」で7~9fps、「PH-GTX1050TI-4G」なら13~15fps程度向上している。このくらいのフレームレートになると目視でも違いが分かるので、余裕があれば買い換えを検討してみるのもよいだろう。

League of Legends編

 Multiplayer Online Battle Arena(MOBA)タイトルのLeague of Legendsは比較的軽量である一方、シビアな戦いを制するには高いフレームレートが求められる。ベンチマークの計測はチュートリアルを用い、両軍のミニオンが入り交じるタワー攻防の場面を用いた。平均フレームレート的には4枚のカードにほとんど違いはなかったが、差が現れたのは最小フレームレートだ。とはいえ十分に高い値が出ているため、この差がプレイに直結するものではない。

League of Legends

オーバーウォッチ編

 オーバーウォッチもeSportsタイトルのため、最大画質のCrazyではなく100fps程度が出せるHighに設定している。これまでのグラフと異なり「GTX750TI-PH-2GD5」が「GTX950-2G」に近いフレームレートを見せているが、それらと比べると「PH-GTX1050-2G」は15fps以上、「PH-GTX1050TI-4G」は30fps程度高いフレームレートとなった。また、最小フレームレートで見ると、「PH-GTX1050TI-4G」は116fps出ており、eSportsで求められるハイリフレッシュレート液晶ディスプレイと組み合わせて、パネルの性能を引き出せるだけのパフォーマンスであることが分かる。

 今後、高いフレームレートを要求する、より負荷の高いMOBAタイトルで遊ぶ際の切り札として、GeForce GTX 1050 Ti/1050を搭載する「PH-GTX1050TI-4G」や「PH-GTX1050-2G」が有効であることは間違いない。

オーバーウォッチ

消費電力編

 最後は消費電力を見てみよう。とくにGeForce GTX 750 Tiあたりをお使いの方は、カードの買い換えで消費電力が増えてしまうことを心配するかもしれないが、何ら問題ないしほとんど同等だ。GeForce GTX 750 Tiの頃は製造プロセスが28nmで、GeForce GTX 950は同じ28nmプロセスのままスペックを強化しているので当然増える。

 一方でGeForce GTX 1050 Ti/1050はスペックが強化されていても、14nmプロセスにシュリンクされたため、消費電力的にGeForce GTX 750 Tiと同等に収まるというわけだ。また、「PH-GTX1050TI-4G」や「PH-GTX1050-2G」はあくまで定格クロックでシングルファン仕様。電力増の要素がほとんどないと言える。

消費電力

高性能で省エネ、さらに高耐久カジュアルゲームや多画面構成向けに!

 検証を通じてわかったのは、GeForce GTX 750 Tiと比べた際のパフォーマンスの向上、そして「消費電力の変わらなさ」だろう。「まだまだGeForce GTX 750 Tiでイケる」と考えている方も、今の2倍出るよと言われたらグラッとくる人もいるだろう。それも同程度の消費電力でだ。

 GeForce GTX 950と比べた場合は対GeForce GTX 750 Tiほどのインパクトはないが、それでもタイトル次第でフレームレートが(「PH-GTX1050-2G」でも)10fps前後向上している。消費電力も明確に下がっており、「より少ない消費電力でより高いフレームレートを実現できる」というのがポイントになるだろう。

 このワットパフォーマンスの高さは、とくに発売当時からGeForce GTX 750 Tiを使い続けてきたユーザーにとって、次の3年間に向けて買い換えるのに最適な製品と言えるだろう。

[制作協力:ASUS]