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レインボーシックス シージも快適なMSIのビジネスノート「PS42 MODERN 8RC」、静音かつGeForce GTX 1050 With Max-Q搭載

約1.2Kgの本体に技術を凝縮、カジュアルにゲームも楽しめる1台 text by 石川 ひさよし

ビジネスを意識したシルバー筐体&ヘアライン加工の「PS42 MODERN 8RC(PS42 Modern 8RC-009JP)」

 以前ゲーミングノートPCに強いMSIが本気で作ったビジネスノート「PS42 8RB」をレビューしているが、同じPS42シリーズの新モデル「PS42 MODERN 8RC」がリリースされた。

 「PS42 MODERN 8RC」は、PS42シリーズのデザインを受け継ぎつつGPU性能を引き上げるという、MSIらしいアプローチで進化した製品で、GeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載している。

 前回紹介した「PS42 8RB」は高コストパフォーマンスなビジネス向けモデルに仕上がっていたが、今回の「PS42 MODERN 8RC」はビジネスもゲームもこなせるマルチな1台に仕上がっていることを期待したい。

 実際に「PS42 MODERN 8RC(PS42 Modern 8RC-009JP)」の実力はどの程度の物なのか、検証結果をお届けしよう。

13型クラスのボディに14型パネルを搭載、約1.2Kgの持ち運べるGPU搭載ノートPC

 PS42シリーズは、14型ディスプレイでモバイルを視野に入れたノートPCだ。

 MSIのゲーミングノートPCにはスリムなGSシリーズもあるが、それらが15.6型であるのに対し、14型の本製品はさらにコンパクト。その上、本製品は狭額縁ベゼルを採用することで同じ14型パネル採用ノートの中でも一回りコンパクト化されており、ほぼ13型クラスの322×222×15.95mmを実現している。

3面狭額縁ベゼルを採用したことで幅は322mmに収まり、一回りコンパクトな13型クラスのサイズで14型を実現している。一方、狭額縁のためにWebカメラをベゼル上部に搭載することが困難となり、下部へと移設されている

 カタログスペックの重量は1.19kg、実測では1.23kgだったが個体差の範囲だろう。GPU搭載のビジネスモバイルとしてはなかなかいい線だ。

 ウルトラブックのようにアンダー1kgとはいかないが、その代わりにUSB Type-AやHDMIといったビジネスではよく利用する端子をしっかり搭載しているのでそこはトレードオフと考えればよい。

 ただし、有線LAN(RJ-45)だけはさすがにムリだったようだ。PS42 8RCの二つのラインナップのうち、上位モデルにはUSB Type-C/有線LANアダプタが付属する。

天板はロゴマークをさり気なく入れた落ち着いたデザイン
シルバーを基調としていることもあり、見た目にも軽さを感じさせるデザインになっている
左側面にはDCジャック、HDMI、USB Type-C、オーディオ端子。右側面にはUSB 3.0×2、USB Type-C、カードリーダー、セキュリティロックスロット
対面前寄りをシェイプしスリムに見える
付属のACアダプタは90W
本体は1.233kg。
ACアダプタはコンセントケーブル込みで430g。
フルセットでは1.665kgだった。このくらいならば十分モバイルできる。

 付属ACアダプタの容量は90W。サイズ的には一昔前のモバイルノートPC用といった感じで、現在の45W/65Wタイプより一回り大きい。

 GeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載するため、ACアダプタの出力とサイズが大きいところはトレードオフといったところだろう。

キーバックライトにはホワイトLEDが搭載されており、視認性も高い。
いくつか幅の狭いキーがあり、Fnキーが右寄りにあるなどやや特殊な印象。Fnキーが右寄りなのは、これと組み合わせるキーがエンターの右や下にまとまっているためだろう。これらを使う際、慣れれば右手だけで効率的な操作が可能だ。
指紋センサーはタッチパッド上の左上にある。カーソル操作時にはしっかり判定できているようなのでトレードオフということもない。
ちなみに、液晶ディスプレイは水平にひらくこともできる。

 キーボードはテンキーレスで、今回紹介しているモデル(型番 PS42 Modern 8RC-009JP)は日本語配列。一部幅の狭いキーがあり、Fnキーがスペースキーよりも右にあるなどクセはあるが、キーピッチは十分、ストロークもまずまず確保されていて慣れれば快適だ。

 ホワイトLEDのバックライトもあり、飛行機での移動や照明を落とした室内などでもキーをはっきり判別できる。指紋センサーはタッチパッドの左上にあり、操作中に邪魔になることも無い。

 なお、PS42 MODERN 8RCは英語配列のモデル(型番 PS42 Modern-027JP)も用意されており、こちらはメモリ容量や付属品が上位に位置する仕様になっている。

静音な点にも注目、GeForce GTX 1050 With Max-Q搭載なのに思いのほか静か

 先ほど紹介したとおり、PS42 8RCには二つのモデルが用意されている。

 今回のレビューで紹介している「PS42 Modern 8RC-009JP」は、MSI製ノートPCを取り扱う量販店で販売されるモデルでメモリが8GB。

 もう一つの「PS42 Modern 8RC-027JP」はAmazon専売で、メモリを16GBに増強するとともにキーボードが英語配列に、そしてスリーブケースやUSB Type-C/有線LANアダプタ、木製ボックス、1年間延長保証などが付く上位モデルの位置付けだ。キーボードの交換は気軽には行えないので、購入時に気をつけたい部分ではある。

 それでは引き続き「PS42 Modern 8RC-009JP」のスペックを見ていこう。

PS42-8RCのCPUは4コア8スレッドの第8世代Core「Core i7-8550U」
dGPUのNVIDIA GeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載、メモリはGDDR5 4GB
GPUはCPUに統合されたIntel UHD Graphics 620も利用可能で、NVIDIA Optimus Technologyで切り換えることができる

 CPUはIntel 第8世代Core i7-8550Uを採用。TDPをスリムノートPC向けに15Wに抑えつつ、4コア8スレッドに対応したCPUだ。そしてGPUはNVIDIA GeForce GTX 1050 With Max-Qを採用している。

 以前、PS42-8RBをレビューしているが、そちらはGeForce MX 150だったので、PS42-8RCのパワーアップポイントはここになる。GeForce GTX 1050 With Max-QはGeForce MX 150よりも高い3Dパフォーマンスを実現できる。

Cooler Boost 3

 前モデルのときにも紹介しているが、MSIには高い冷却技術がある。ノートPCでは、限られた筐体サイズの中に、最新・最上位のCPUやGPUを搭載しなければならない制約があるが、MSIはこれを技術力で解決し、ハイエンドゲーミングモデルの市場投入を実現してきた。

 PS42-8RCでは、「Cooler Boost 3」を採用。CPU、GPUからそれぞれヒートパイプを用いて左右個別のファンで冷却を行なう。GPU搭載のノートPCを選択するとき、クーラー性能はどうなのかという部分は購入の際十分注目して欲しい。

 実際のところ、この14型というサイズ、1.595mmという厚みのノートでGeForce GTX 1050クラスのGPUを搭載する製品はほかにないので、この点はPS42-8RCの大きなアドバンテージとなる。

底面からも左右の吸気口からファンが覗ける。排気は背面のスリットから行なう

 また、MSIはビデオカード製品でも定評があるとおり静音性でも業界をリードしている。以前にGeForce MX 150を搭載するPS42-8RBをレビューしているため、PS42 MODERN 8RCはGeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載する分、騒音が増えることを懸念していたのが、動作音は思いのほか静かで驚かされた。

 もちろん無音ではないが、ゲーム中でも一般的なファン付きモバイルノートPCと同じくらいで、ハイエンド構成のゲーミングPCのようにうるさいということはない。静かな部屋で使っていても気にならないレベルに抑えられている。この部分はGeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載する部分と合わせこのモデルの大きなポイントとなっている。

レインボーシックス シージもフォートナイトも快適にプレイ可能性能はMSIのゲーミングPC譲り

 今回は使用しているPS42 MODERN 8RC(PS42 Modern 8RC-009JP)は、メモリがDDR4 8GB、ストレージがSSD 512GBとなっている。

 なお、GeForce MX 150を搭載するPS42-8RBのレビューを覚えている方は、そちらのストレージが256GBだったことに気付くかもしれない。PS42-8RCでは容量が倍増しているので、ここもポイントになるだろう。

 256GBでは空き容量的にゲームをインストールするのに少し躊躇するところがあったが、512GBあればある程度の本数までならインストールできる。

メモリはDDR4-2666の8GB
ストレージはNVMeに対応したKingstonの「RBUSN8154P3512GJ」512GB。PCI Express 3.0x2接続の製品だ
CrystalDiskMark 6.0.2による計測ではシーケンシャルリードが1556.5MB/s、同ライトが1038.7MB/s。超高速ではないが十分な速さ

定番ベンチマークでテスト、ゲーム性能も期待できるスコア

 GeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載することでどの程度ゲームに向いたモデルに仕上がっているか、定番ベンチマークを利用して見ていく。

 ベンチマークソフトは3DMark、ドラゴンクエストX ベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークを用意した。順に結果を見ていこう。

 また、GeForce MX 150を搭載するPS42-8RBとはCPUとメモリは同じなので、GeForce GTX 1050 With Max-QとGeForce MX 150で性能差がどの程度出るのかも解説していく。

Fire Strikeのスコアは5,128ポイント。PS42-8RBのGeForce MX 150(3,256ポイント)と比べても1.5倍以上のスコアアップだ
ドラゴンクエストX ベンチマークソフトのスコアは14,104ポイント。GeForce MX 150搭載のPS42-8RB(10,921ポイント)と比べて1.3倍程度高性能だ
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのスコアは、標準品質(デスクトップPC)10,296ポイント、最高品質5,764ポイント。GeForce MX 150搭載のPS42-8RBと比較すると、標準品質(デスクトップPC)で約1.3倍、より負荷の高い最高品質では1.63倍とさらにリードを広げ「とても快適」が得られる

 このように、3D性能については、GeForce GTX 1050 With Max-Q搭載することでかなり実用的なものになっている。ここで紹介したような軽めのタイトルでは動作になんら問題ないが、その中でもファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのように、高負荷の設定で下位GPUとの差が広がる例もあり、高画質なゲームほどGPU性能が重要になることがわかる。

レインボーシックス シージは70fps以上でプレイ可能、高画質かつ快適

 では、GeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載したことでプレイアブルになるタイトルを二つ紹介しよう。どちらも1,920×1,080ドットでのプレイとし、60fpsを満たす条件での画質を探ってみた。

 まずはプレイヤー数も多いeSportsタイトルでUbisoftの「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」。

 こちらのタイトルではプリセット「高」で大丈夫だ。「高」プリセットでの平均フレームレートは77.967fps。最低71fps、最大89fpsといったところで、60fps超を常時満たすことが可能だ。競技よりの面が強いタイトルでもあるので、液晶パネルのリフレッシュレートをフルに発揮できる辺りで楽しみたい。

Ubisoft「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」(レインボーシックス シージ)
画質プリセット「高」で常時60fps超を満たすことができる
スクリーンショットで紹介しているレベルの画質で70fpsが狙える、さすがGeForce GTX 1050 With Max-Q搭載といったところだ

フォートナイトで平均60fpsを狙うなら中画質、カジュアルに遊ぶには十分な性能を発揮

 もう一つはEpic Gamesの「フォートナイト」。こちらもバトルロイヤル形式のeSportsタイトルだ。

 いろいろ試してみたところ、こちらはプリセット「中」辺りがちょうど良いようだ。「中」プリセットでの平均フレームレートは61.350fps。最低50fps、最大71fpsなので若干60fpsを割り込むシーンもあるが、おおむね大丈夫だ。

 60fpsを下回るときにフレーム落ちが気になるようなら、細かなオプションのうちいくつかを「低」に落とすとよいかもしれない。

Epic Games「Fortnite」(フォートナイト)
画質プリセット「中」で平均60fps前後のプレイが可能だ
画質設定「中」であればおおむね60fpsで遊べる、気軽に遊んだりするのであれば快適と言えるラインの性能だろう

ビジネスノートとしての性能も当然高い、普段使いも快適

 最後に本来のビジネスノートとしての性能も見ておきたい。

 PCMark 10のスコアは3733ポイント。クアッドコアとはいえ、UクラスのCPUであるためそこがネックとなるが、モバイルノートのスコアとしては十分に高い。

 なかでも普段遣いのEssentialsシナリオ、業務用ソフト中心のProductivityシナリオのスコアはなかなかのものだ。

PCMark 10ではとくにEssentials、Productivityの両シナリオのスコアが同サイズのノートと比べて高い

ビジネスもゲームもカバーできるマルチな1台、静音かつパワフルなモデルを求めるユーザーに

 PS42 MODERN 8RCのポイントはいくつかあるがそれらをまとめていくと、13型ボディに14型ディスプレイを搭載するコンパクトさ、そしてそのサイズの中にクアッドコアのCore i7-8550Uと前モデルよりも一つ上のGeForce GTX 1050 With Max-Qを搭載して3D性能を高めてきたところが魅力だ。

 ビジネス視点では昨今、マルチスレッド、GPUアクセラレーションに対応するソフトが増えており、PS42 MODERN 8RCなら統合GPUのノートと比べてより高いパフォーマンスを発揮する。ゲームについても、最新激重タイトルはキビシイものの人気タイトルを中~高画質で楽しめるパフォーマンスだ。また、高性能にもかかわらず静音性を犠牲にしていない点も注目できる。

 先にも書いたが、現在、ほかのメーカーを見渡してもこのサイズでこのクラスのGPUを搭載するライバルはまだいない。見た目はビジネスモバイル、パフォーマンスはゲーミングモバイル。二つの用途を1台でこなせるのが、PS42 MODERN 8RCだ。

[制作協力:MSI]