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かぶせ持ち最強のマウス?スウェーデン「Xtrfy」のゲーミングデバイスを試してみた

デバイスはプロゲーマー自身が開発、マウス/キーボード/ヘッドセットの3種をチェック text by 新井 将彩成

 スウェーデンのゲーミングデバイスメーカー「Xtrfy」。日本では今年の2月から製品の販売が開始され、高品質なゲーミングデバイスが多数登場した。

 プロゲーマーが開発やテストを行い、最終的に仕様などを決定しているという同社の製品。マウス、キーボード、ヘッドセットの代表的なモデルを借用することができたので、実際に高品質な製品なのか、外観や使用感などのテストを行ってみた。

 ゲーミングデバイスの性能にこだわるユーザーや、高品質なゲーミングデバイスを探しているユーザーはぜひ参考にしてもらいたい。

スウェーデン生まれのゲーミングデバイスメーカーデバイスの開発から発売製品の仕様までプロゲーマーが監修

 まずはXtrfy(エクストリファイ)のブランドから簡単に紹介しよう。

 Xtrfyはスウェーデンのゲーミングデバイスメーカー。CS:GO(Counter-Strike: Global Offensive)の有名プロゲーマーチーム「Ninjas in Pyjamas(ニンジャズ・イン・パジャマズ=通称:NiP)」が開発に深くかかわっており、Xtrfyの製品の多くはNiPのメンバーによってテストなどが行われているという。

 プロゲーマーとのコラボレーションモデルは多くのメーカーが投入しているが、Xtrfyはプロゲーマーが製品の最終的な決定権を持っており、プロゲーマー自身が開発するデバイスという点が他社とは大きく異なる。このため、製品は「ゲーマーがパフォーマンスを最大限発揮できるギア」という部分が最重要視されている。

 また、今年4月には「レインボーシックス シージ(Tom Clancy's Rainbow Six Siege)」で活躍する日本の強豪チーム、「Rsk Ninjas Gaming」とプロサポートプレイヤー契約締結している。

CS:GOのプロチーム「Ninjas in Pyjamas」。スウェーデンの強豪チームで、Xtrfyの製品開発に深く関わっている。
レインボーシックス シージのプロチーム「Rsk Ninjas Gaming」。日本のチームで、Xtrfyからのサポートを受けている。

 なお、Xtrfyの製品は、秋葉原であればパソコンショップ アークGALLERIA esports Loungeビックカメラ AKIBAなどで展示デモが行われており、大阪 日本橋では、ジョーシン J&Pテクノランドで展示デモが行われている。

パソコンショップ アークのXtrfyコーナー。各種ゲーミングデバイスを実際に触ることができる。
関西圏であれば、ジョーシン J&PテクノランドにXtrfyのデモコーナーがあり、試用することができる。

CS:GOとPUBGで実際に3種類の主要デバイスをテスト、使い心地を検証

 今回レビューをしていくゲーミングデバイスはマウス、キーボード、ヘッドセットの3種類。

 マウスは、本体表面にNiPのロゴがプリントされた「XG-M1-NIP」。キーボードは、RGBイルミネーションに対応するUK配列キーの「XG-K2-R-RGB」。ヘッドセットは、USBサウンドアダプタが付属する密閉型のヘッドセット「XG-H1」。以上の3モデルを使用した。

 上記のデバイスの使用感を試すため、2つのゲームを用意。「CS:GO(Counter-Strike: Global Offensive)」、「PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)」の2タイトルで試してみた。

 なお、上記3モデルにはユーティリティソフトは無い。PCのパフォーマンスすべてをゲーム側に使えるようするためであると同時に、ユーティリティソフトによる障害などが発生することを防ぐためだという。こうした部分はプロゲーマーからのフィードバックによるもので、どんな場所に持ち込んでもデバイスの設定変更が可能というメリットもある。

看板マウス「M1-NIP」をチェック、Ninjas in Pyjamasのロゴが入ったスタイリッシュなマウス

M1-NIP

 まずはマウスのM1-NIP(M1 NiP edition/型番XG-M1-NIP)から紹介しよう。

 M1-NIPはエルゴノミクスデザインを採用する右利き用USBマウス。有線接続タイプで、黄色のLEDによるイルミネーション機能を備えている。LEDは明るさを調整可能で、オフにすることもできる。

 搭載センサーは光学式の「Pixart PMW3310」で、解像度は400/800/1,600/3,200/4,000PIから、ポーリングレートは125/500/1,000Hzから切り替え可能。PMW3310は最新のセンサーでは無いが、Ninjas in Pyjamasが信頼性を重視して実績のあるPMW3310を選択したという。

 CPIとポーリングレートはマウス底面の備え付けのスイッチで調整する仕組みで、CPI切り替えスイッチはLEDの調整ボタンも兼ねている。ボタン数は5で、スイッチはメインボタンにオムロン製、サイドボタンがKailh製を採用している。

マウス本体は滑らかな造りになっている、こちらは左側面。
右側面。右利き用マウスなので、こちら側にはボタンなどは無い。
本体にはNIP(Ninjas in Pyjamas)のロゴマークがあしらわれている。
底面のソールはわりと大きめ。底面にはCPIやポーリングレート、LED機能の輝度調整用のスイッチが備えられている。
ホイールの側にはボタンが無いデザインになっている。
ぱっと見のデザインはオーソドックスな右利き用マウス。

 本体サイズは129×59×39mm、重量は95g(ケーブルを除く)で、USBケーブル長は2m。対応OSはWindows PCがXP以降、MacがOSX 10.1以降となっている。

 なお、M1-NIPのベースになっているM1もラインナップされており、こちらは本体表面にプリントされているロゴがメーカーロゴになっている。性能は同じなので、好みで選ぶと良いだろう。

M1-NIPの通常バージョンにあたる「M1」。本体のロゴマーク以外のスペックなどは同等。

絶対に触ってみるべき!“手に吸い付く”優秀なエルゴノミクスデザイン、かぶせ持ちユーザーに好適

かぶせ持ちユーザー必見!
エルゴノミクスデザインによる独特な形状が手に吸い付く秘密。

 実際に使用してみた印象だが、特に注目できるのは手のひらに吸い付くようなデザインで、右利きでかぶせ持ちのユーザーは是非店頭でデモ機を触ってもらいたい、持った瞬間に驚きのあるフィット感を体験できるはずだ。この部分はかなり優秀だと言える。

 このデザインの良さもあり、長時間のゲームプレイでも疲れにくい。もちろんゲーム以外の用途でも活躍するだろう。

 トレードオフになる部分もあるが、CPI/DPIの切り替えスイッチが背面側にある部分も特徴だ。ゲーム中の武器の切り替えなどでホイールを使用するユーザーは多いと思うが、間違えてCPI切り替えスイッチも押してしまいゲーム中の障害になったと経験はないだろうか?このマウスではそうした事故が起こらない。ゲーム中、瞬時にCPIを切り替えることはできないが、誤操作を嫌うユーザーには好印象な配慮だ。

 マウス本体の重量は95gで、軽めの設計。力をかけなくてもスムーズに動かせるので、FPSゲームなどでの瞬時な視点変更にも好適なマウスだ。

 このように、「M1-NIP」はシンプルなデザインが特徴で、ゲーマーをもちろん、長時間の作業を行うユーザーにもおすすめできる逸品。特にかぶせ持ちを好むユーザーは満足できるだろう。

サイドボタンにはKailh製のスイッチを採用、つくりもしっかりしている。
メーカーロゴがあしらわれたUSB端子部分、金メッキ仕様だ。
製品パッケージ。

UK配列/Kailh 赤軸スイッチ採用のゲーミングキーボード「K2-RGB」

K2-RGB

 K2-RGB(型番XG-K2-R-RGB)は、Kailhのメカニカルスイッチ(赤軸)を採用したゲーミングキーボード。

 UK配列のモデルで、刻印は英語。1,680万色のRGB LEDバックライトを搭載している。日本語配列モデルなどは用意されていないが、これはヨーロッパのプロ選手と同じものをユーザーにも使ってもらいたいためとのことだ。

 バックライトのイルミネーション設定などはキーボード側から操作可能。マクロやショートカットとして使用可能なキーもあり、すべて本体だけで設定可能。同時入力制限がない「Nキーロールオーバー」とキー入力の取りこぼしがない「全キーアンチゴースト」機能も備えている。ポーリングレートは1,000Hz対応。

 UK配列はエンターキーが日本語配列に近い形状になっており、US配列とは違うモデルであることがわかる。この辺りは慣れや好みによる部分も大きいが、US配列のエンターキー形状に慣れることができなかったユーザーは触ってみると良いかもしれない。

 重量は約1.25kgで、ケーブル長は2m。PS/2変換コネクタも付属している。

LEDバックライトの輝度は細かく調整が可能。UK配列で刻印は英語。
本体は厚みがあり、傾斜があるタイプになっている。
本体の底面、ケーブルは中央の他に左右から出すこともできる構造。
UK配列のエンターキーは日本語配列に近い形状になっている。
スペースキーの周りには無変換キーなどが無いのもユーザーによってはメリットになるだろう。

ユーティリティ無しでも多彩な設定が可能、Kailhの赤軸は少し重めのキータッチ

 K2-RGBは全ての設定をキーボードだけで行えるようになっている。イルミネーション機能はもちろん、ショートカットキーの設定、マクロなど、かなり多彩な設定が本体のみで可能だ。また、設定は本体内蔵のメモリに記録される仕組みになっている。

 ライティングパターンなどはメーカー公式動画などで紹介されているので、確認してみてほしい。

【XtrfyによるK2-RGB紹介動画】

 筆者はCherryの赤軸を搭載するキーボードを使用しているが、Kailhの赤軸はCherryの赤軸と比べるとキー荷重は重く感じる。クリック感の無いキースイッチである点は同じだが、Kailhの赤軸は軽さが無い分、明確にキーを押している感覚がある。

 また、Cherry赤軸のタイプ音は高い音を出すように感じられるが、Kailh赤軸は低めの音が目立つようにも感じた。甲高い音の方が響くので、Cherry赤軸の騒音が少し気になるというユーザーにはマッチするかもしれない。

 内部は金属製のプレートで補強されており、本体が歪むことを防止している。樹脂のみで作られているキーボードは、強く打鍵するとキーボード自体が歪んで打鍵感が悪化することがあるが、こうした強化が施されていることもあり、打鍵感は心地よい。全体的に高級感を感じる触り心地だ。

 つくり自体は良いモデルなので、打鍵感が合えば満足感のある1台になるだろう。ただし、キーボードの良し悪しは個人差が大きく、特にキースイッチの好みは細分化されている分野でもある。自分に合う打鍵感なのか、購入前になるべく店頭デモ機などを触って確かめてもらいたい。

キースイッチはKailhの赤軸。Cherry赤軸よりも打鍵感は重めな感触。
内部に歪みを防止するための金属プレートを備えている。
プレート端の部分は曲げ加工が施され、強度が上げられている。
1,680万色に対応するRGB対応のLEDバックライト。発色は鮮やかだ。
PC起動時に「Xtrfy」とLEDで社名が浮かび上がるギミックも備えている。
製品パッケージ。

60mm大口径ドライバー搭載/密閉型のゲーミングヘッドセットH1

H1

 H1(XG-H1)はe-Sportsに最適化されているというゲーミングヘッドセット。

 60mmの大口径ドライバーを採用しており、イヤーカップは密閉型。クッションは厚みのあるタイプで、触り心地も悪くない。長時間使用しても不快にならないよう、フィット感、フィット圧、重量などはかなり考慮して設計されているとのことだ。

 PCとはアナログ接続/USB接続両対応で、USB接続の際は付属のサウンドアダプタ「SC1」を使って使用する仕組みになっている。また、スマートフォンとも接続できるよう、3ピンプラグ(イヤホン/マイク) - 4ピンプラグ変換ケーブルも付属している。

 マイクはプロとカジュアルの2タイプが付属しており、ユーザーが好きな方を使用できる仕組み。イヤーカップの外装はアルミ製で、高級感のあるものになっている。

イヤーカップの外装は金属製で高級感がある。
厚みのあるクッションを採用
マイクはプロ・カジュアルの2種類から好みのマイクを使用できる
USBサウンドアダプタ「SC1」。
スマートフォン接続用の4ピンプラグ変換ケーブル。
デザインは全体的に落ち着いたものとなっている。

厚みのある密閉型のイヤーカップで周りの音をシャットアウト、装着感にも優れるヘッドセット

60mmの大口径ドライバーを採用、音質も良好だ。
クッションは厚めのもので、着け心地も遮音性も悪くない。

 音質なども重要だが、ゲーミングヘッドセットは長時間使用して不快にならないかといった部分が重要なポイントになる。フィット感、重さ、圧迫感などは見た目だけでは判断が難しい部分だ。

 実際に装着してみると、金属パーツが多いモデルとしては装着感が軽い印象だった(本体重量は350g)。長時間使用してみたが、蒸れることや首の凝りなどを感じることも無かったので、自然な付け心地といった印象だ。

 イヤーカップクッションの感触も悪くない。ヘッドバンドは8段階の範囲で長さを調整可能で、頭頂部のクッションも違和感の無いものになっており、全体的なフィット感は良好といえる。ただ、イヤーカップの向きが変更できない構造なので、ここだけは惜しいといったところだ。

 イヤーカップの遮音性は高く、外部からの音をしっかり遮断してくれるので、ゲーム中の音が聞き取りにくいといったことはない。

ヘッドバンド部分のクッションも硬くなく、装着時に違和感のないものになっている。
ヘッドバンド部分は8段階に長さを調整可能、こちらは最短時。
ヘッドバンドを最も長くした状態。

 ゲーミングヘッドセットは、ゲームの中で必要な音を強調する傾向がある。銃声や足音などの効果音が聞き分けられる方が有利に立ち回れるためだ。この辺りはオーディオ向けのチューニングと異なる。

 H1もゲーム寄りのチューニングが施されたモデルで、ゲームで使用してみると、敵の足音がどの方向から聞こえてくるのか、発砲音がマップ上のどの方角から聞こえてくるのかなど、音の聞き分けがしやすいクリアな印象を受けた。実際こうした部分がわかりやすいと、とっさの事態に反応しやすく、有利に立ち回ることができる。

 また、H1は音量調整やマイクのミュートなどを切り替えられるリモコンを備えているが、とっさに触りやすい位置につけられており、音量調節やミュートなどの操作はしやすい印象だ。

 ゲーム以外でも使用してみたが、映画や音楽などでも良好な音質となっており、ゲームから普段使いまで幅広く使える。H1は税込22,500円前後で販売されているモデルなので、コストがかけられている分、中級機のヘッドフォンと同クラスの音質は備えている感じだ。

 なお、筆者の頭にはフィットしたが、ヘッドセットは頭の大きさや耳の形状などによっても装着感の印象が大きく変わり、合う合わないは個人差が大きい。購入の際はなるべく試聴するなどテストしてからが良いだろう。

リモコンはヘッドセットを装着時に丁度胸の前あたりにくるようになってる。
リモコンはとっさの音量調整もしやすい、逆側はマイクのON/OFFスイッチになっている。
製品パッケージ。

高品質なゲーミングデバイスを求めるユーザーに、ユーティリティ不要なモデルが欲しいユーザーはチェック

 Xtrfyのゲーミングデバイスを触ってみて、全体的には作りがしっかりとした高級機といった印象だ。

 マウスのM1は税込8,900円前後、キーボードのK2-RGBは税込22,500円前後、ヘッドセットのH1は税込22,500円前後と、価格帯も高級機といったポジションだが、作りがしっかりしており、高品質なゲーミングデバイスを好むユーザーにお勧めしたい。

 特にマウスのM1は持ち心地がかなり良いので、展示機などを触ってみてほしい。秋葉原であれば複数店でデモ機が用意されており、操作感やフィット感などを試すことができる。ゲーミングデバイスはどんなに性能が良くても自分の体に合う合わないがあるので、購入前には店頭デモ機を最大限活用すると良いだろう。

 また、ゲーミングユーティリティを使わなくても設定変更が可能といった思想の元に製品はデザインされているので、家以外の環境でもゲームをすることが多いユーザーや、なるべくPCにソフトを入れたくないといったユーザーにも注目してもらいたいブランドだ。

 Xtrfyは、試合で勝つために機能を決めたり、扱いやすさを重要視してプロゲーマー自身が製品の設計をしている。プロゲーマーが求める機材を知りたかったり、プロと同じゲーミングデバイスを使いたいといった場合は、ぜひ購入時の選択肢に加えてもらいたい。

Ninjas in Pyjamasサイン入りマウスパッドプレゼント

 今回、Ninjas in Pyjamasサイン入りのマウスパッドを1名様にプレゼントいたします。ご希望の方は以下のページからご応募ください。

 なお、受付期間は2019年1月14日20時までとさせていただきます。

プレゼント応募の受け付けは終了しました。

[制作協力:Xtrfy]