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大型ヒートシンクでよく冷える、PCIe 4.0対応SSD「CORSAIR MP600」をテスト

ヒートシンクは着脱式、マザーを選ばず使える最新SSD text by 坂本はじめ

 PCI Express 4.0(以下PCIe 4.0)に対応したNVMe SSD「CORSAIR MP600」。リード・ライトともに4GB/sを超えるMP600は、第3世代Ryzenの魅力をより引き出せる超高性能SSDだ。

 また、MP600は搭載しているヒートシンクが着脱できるユニークな機能も備えている。CORSAIRの最新SSDがどの程度の性能を備えているのかテストしてみたいので、第3世代Ryzenを使った自作を検討しているユーザーには、ぜひともその実力を確認してもらいたい。

リード4,950MB/s・ライト4,250MB/sを実現したPCIe 4.0対応SSD

 CORSAIRのMP600は、インターフェイスにPCIe 4.0 x4を採用したM.2 NVMe SSD。容量ラインナップは1TBと2TBの2モデルで、いずれもリード最大4,950MB/s、ライト最大4,250MB/sという、PCIe 3.0 x4の限界を超えたPCIe 4.0世代SSDらしい性能を備えている。

CORSAIR MP600。冷却用に大型のヒートシンクを搭載している。
ヒートシンクを含めた本体の厚みは約15mm。
本体裏面側。裏面のプレートも金属製。
ヒートシンクは爪で固定されており、外すことが可能。

 記憶素子には耐久性に優れた3D TLC NANDを採用しており、総書き込みバイト数は1TBモデルで1,800TB、2TBモデルは3,600TBに達する。

 PCIe 4.0対応SSDは従来のSSDより発熱が大きいことが知られており、MP600も大型のヒートシンクを標準搭載している。このため、フォームファクターはM.2 2280だが、本体サイズは幅23mm、長さ80mmとやや幅広で、厚みは15mmとなっている。

 なお、MP600はヒートシンクが取り外し可能なユニークな構造を採用している。加えて、ヒートシンクを取り外しに関しては製品保証の範囲内の行為とされている。

 ヒートシンクを標準搭載した多くのSSDは、ヒートシンクを取り外すと製品保証が失効するものが多いのだが、MP600は標準搭載のヒートシンクを取り外し、マザーボード付属のM.2冷却ヒートシンクを利用するという使い方が可能だ。

MP600は標準ヒートシンクの着脱が認められている。組み合わせるマザーボードの仕様次第では、標準ヒートシンクを外し、マザーボード付属のM.2ヒートシンクを使うのも良いだろう。
表面側のヒートシンクを裏面側のヒートシンクのツメで抑えているだけの簡単な構造で着脱も容易だ。ただし、着脱作業でSSDを破損した場合は保証の範囲外となるので着脱作業は慎重に。

 ヒートシンクを外すと基板本体を確認可能だが、コントローラにPHISON PS5016-E16を採用し、DRAMキャッシュはSK hynix製のDDR4メモリ、NANDは3D TLC NANDが搭載されている。

ヒートシンクを取り外したSSD本体の表面。
ヒートシンクを取り外したSSD本体の裏面。

 このほか、専用のユーティリティソフトが用意されており、SSDのステータス確認やファームウェア更新などが行えるほか、ドライブの複製を作成したり、データの完全消去機能なども備えている。

ユーティリティソフトはOSの移行などが行えるクローニング機能も備えている。
データの完全消去などもユーティリティ上から行える。

実測でリード5GB/s超え、ベンチマークで速度を計測

 定番ディスクベンチマークテスト「CrystalDiskMark」をMP600の1TBモデルで実行した結果を確認してみよう。

 テストに用いたのは、12コアCPUのRyzen 9 3900Xを搭載したAMD X570マザーボード環境。MP600は標準ヒートシンクを搭載した状態でCPU直結のM.2スロットに搭載。室温25℃の環境下で、CrystalDiskMarkをテストサイズ1GiBと32GiBの2パターンで実行した。

テストサイズ1GiBの結果。
テストサイズ32GiBの結果。

 テストサイズ1GiBでの結果は、リード最大5,003.6MB/s、ライト最大4,263.4MB/sを記録。ピーク性能はスペックをやや上回るパフォーマンスを発揮している。

 テストサイズ32GiBでは、「4KB Q8T8」でのランダムライトが1GiB時の約1,851MB/sから約1,065MB/sに低下しているものの、その他の速度は1GiB時より若干遅い程度に留まっており、シーケンシャルアクセスもほぼスペック通りの速度を維持している。

MP600をしっかり冷やせる標準ヒートシンクベンチマーク中のモニタリングデータとサーモグラフィ画像をチェック

 モニタリングソフトのHWiNFOを使い、CrystalDiskMark(テストサイズ32GiB)実行中のSSD温度やデータ転送レートを取得してみた。

 テスト中のピークSSD温度は46℃。データ転送レートの推移グラフには、キャッシュ容量などに起因すると思われるリード速度の瞬間的な低下がみられるものの、温度上昇に関連したサーマルスロットリングによる速度の低下はみられない。

 参考データとして取得した冷却ファンによる強制冷却時の推移グラフと比較してもサーマルスロットリングの発生が確認できないことから、標準搭載のヒートシンクがMP600をしっかり冷やせるだけの性能を持っていることが分かる。

標準搭載ヒートシンク利用時。
【参考データ】標準搭載ヒートシンク+冷却ファン。

 テスト前とテスト中に撮影したサーモグラフィー画像が以下のものだ。テスト中の画像は、最もSSD温度の高くなる4KB Q8T8テストの5回目実行中に取得している。

 テスト前のヒートシンク表面温度が38.9~39.3℃だったのに対し、テスト実行中は52.2~52.7℃に上昇していることが確認できる。

テスト前。ヒートシンク表面温度は38.9~39.3℃
テスト中。ヒートシンク表面温度は52.2~52.7℃。

PCIe 4.0世代のハイスピードを体験できる新世代SSD「CORSAIR MP600」優れた冷却性能を持つ着脱可能なヒートシンクの採用も魅力

 CORSAIRのMP600は、PCIe 4.0世代ならではの高速なデータ転送速度を実現したSSDだ。販売価格は、今回テストした1TBモデルが税込で約3~3.5万円前後、2TBモデルが税込で約5.3~6万円前後となっている。

 冷却性能に優れた着脱可能なヒートシンクの採用により、M.2冷却用ヒートシンクを備えないマザーボードで性能をフルに発揮できるだけでなく、巨大な一体型ヒートシンクを備えたマザーボードでも使うことができる。

 高性能かつ高耐久で汎用性にも優れたMP600は、PCIe 4.0世代のSSDを求めるユーザーの有力な選択肢となるだろう。

[制作協力:CORSAIR]

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