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普通のマウス、キーボード、ヘッドホンとゲーミングモデルはどこが違うの?

ゲーミングデバイスの基本と価格による違いをMSI製品でチェック!!

ゲームのプレイフィーリングを大きく変えることのできる三種の神器と言えるのがキーボード・マウス・ヘッドセット。MSI製の人気ゲーミングデバイスを題材に、より上の世界を目指すとしよう

 競技性のあるPCゲームで勝つための環境構築と聞いてまず思いつくのはPCのパフォーマンスアップ。しかしそれだけではダメだ。プレイヤーの知識やスキルが同レベル、さらにPCのパフォーマンスも同じなら、最後に差を生み出すのは使っているゲーミングデバイスなのだ。

 ゲーミングデバイスといっても液晶からチェアーまで多岐にわたる。“プロゲーマー〇〇使用!”のもので固めてしまうという手もあるが、今回は一番手を出しやすく、かつゲームの操作感やプレイフィーリングを変えやすい“キーボード”、“マウス”、“ヘッドセット”の3ジャンルに注目する。

 ジャンルを絞ってもさまざまなメーカーから多種多様な製品が出ているため、すべてを語りつくすのは難しい。そこで今回は“ゲーミングデバイスの基本”を知るために、MSI製品を例に解説しよう。安いもので固めれば3点合わせて5,000円もかからない世界だが、あえて今使っているものから買い替える必要があるのか? そして高いものは何が違うのか? などを見ていこう。

5,000円台のキーボード&マウスセットなどエントリーグレード製品

 ゲーミングデバイスは“自分の身体や使い方にフィットする”ものを選ぶことが肝心。それゆえにいきなり高価なものに飛び付くと失敗のリスクが上がりやすい。店頭でじっくり試せればそれに越したことはないが、とりあえずお手頃なものを……と考える人はまず「Vigor GK30 Combo JP」に注目。

Vigor GK30

 ゲーミングキーボードに必要な要素は何だろうか?GK30の場合は“打鍵感”によるフィードバックと、剛性感のあるボディ、そしてメンテナンスのしやすさがゲーマー向けの味付けになっている印象だ。

ゲーミングデバイス入門にピッタリなキーボード「Vigor GK30」。日本国内ではゲーミングマウスの入門機「Clutch GM11」をセットにした「Vigor GK30 Combo JP」として販売。実売価格は5,500円前後

 まず打鍵感についてだが、GK30のキースイッチはミドル~ハイエンドモデルに多い“メカニカル”タイプではなく、安価なモデルに多いヘコヘコとした“メンブレン”タイプでもない。打鍵時にクリッキーなフィーリング(俗に言う“青軸”的なカチカチ感)を備えつつも、スイッチ機構としてはメンブレンという、いわゆる「メカメンブレン(メンブレニカル)」を採用している。打鍵時にカチカチというフィーリングがあるタイプのキーボードは少々うるさい(とくに家族の理解を得にくい)が、カチッというフィーリングでキーの反応点を察知することができるため、キーを押したことが分かりやすいのがメリットだ。

GK30のメカメンブレンスイッチの軸(ステム)は箱型のものを採用している。下手なメカニカルキースイッチよりもキーキャップのグラつきが少なく、斜めに力をかけてもストンと沈み込んでくれる

 GK30はキーの押下圧がやや高めなのも特徴で、ガシガシとキーを叩くスタイルの人にとくに向く。半面キーをあまり強く叩かない人にはフィットしないかもしれない。

 剛性感については通常キーボードの4スミにゴム足を置くところを、GK30ではスペースバーの下辺りにもゴム足を置くことで、スペースバーを強打してもたわみにくい構造であること、そしてメンテナンスについてはキーボード周囲にフレームを置かない(キーが飛び出しているように見える)ことで、ゴミや髪の毛が入ってもすぐ清掃できるようにしている。

Clutch GM30

 ゲーミングマウスは、“単体売り”で実売価格5,000円前後の製品がおおむねエントリー機となる。MSIの製品で言うと、左右対称形のデザインを採用した「Clutch GM30」がこのグレードにあたる。

エントリーグレードのゲーミングマウス「GM30」。価格は5,000円前後。センサーのスペックやLEDの発光機能などは、GK30とセットで販売されているGM11よりワンランク上。GM11からの最初のアップグレード先としてもアリだ

 ゲーミングマウスは「高DPI対応」、つまり小さな動きで鋭敏に反応する“ハイセンシ(ビティ)”運用可能であることが一般的なマウスとの決定的な違いだ。GM30に搭載されている光学センサーは最大6,200dpi。ハイエンドゲーミングマウスに比べるとやや控えめなスペックだが、FPS系ゲームで極端に振り向きを高速化したいという人でない限りは、十分なスペックと言える。

 GM30の魅力は左右対称、そして本体重量が98g(ケーブル含まず)と非常に軽いことだ。形状が左右対象なので左利きでも持ちやすいし、横幅が62mmと狭く軽いのでマウスの両サイドをつまむように持つスタイルでも使いやすい。軽量化のためかボディの作りが少々華奢に感じる印象はあるが、ゲーミングマウス入門用としては十分な出来だ。

 キーボードのGK30と同様にRGB LEDが内蔵されており、LEDの発光パターンや色をPC側から一括制御できる機能も搭載している。

エントリーグレードとは言っても、一般的なマウスにはない最大6,200dpiの分解能を持つ光学センサーを搭載した、本格派のゲーミングマウスなのだ
親指・小指の当たる部分は滑り止め加工でグリップ力を確保。本体形状は左右対称ながら、側面のボタン4&5は左側面にしかないのでボタンをフルに使う場合は右手で操作することになる

Immerse GH30

 PCゲームでは“音”でも差が付く。どの方向から敵が撃ってきたかを耳で聞き取るだけでなく、仲間と音声で連絡を取るという面もある。そのためのデバイスが「ヘッドセット」だ。MSI製品でいうと「Immerse GH30」が入門用としてぴったりだ。

ヘッドセット入門用としてオススメの「Immerse GH30」。実売価格は4,500円前後

 ゲーミングヘッドセットはゲームの世界に没入させてくれるサウンド環境をオールインワンで供給できるのが通常のヘッドホン+マイク環境との決定的な違いだ。スピーカーだとPCのファンノイズにゲームの重要なサウンドがかき消される場合があるし(とくにノートPCのファンノイズは大きい)、家族や隣家のことを考えると大音量でプレイするのが難しいことがある。だが密閉型のヘッドセットを使えば、周囲の目を気にせず大音量でゲームサウンドが聞ける。ボイスチャット用に机の上にマイクを設置するよりも、ヘッドセットのマイクを利用したほうが口とマイクの距離を一定に保ち、安定した会話が可能になる。

GH30のドライバーは直径40mm
ケーブルの途中にあるボリューム調整とマイクミュートボタンを備えたコントロールボックス

 GH30はこれらの条件を満たしつつ、長時間装着しても疲れにくい設計が特徴のヘッドセットだ。ドライバー径は40mmで、密閉型のハウジングに格納されている。ヘッドバンド部には軟らかい素材を使っている上に重量は222gと軽めなため、長時間装着時の疲労感も少ない。実売5,000円しない手軽な製品ゆえか、外界の音が多少は入ってくるが、足音のような微妙なサウンドもしっかり聞こえてくる。入門機としては必要十分と言える。

GH30のケーブルは4極ミニプラグ。4極対応のオーディオ端子を備えたノートPCやスマホなら、これ1本でマイクの音も拾ってくれるし音も聞こえる。分岐ケーブルも付属するので、ヘッドホンとマイクの端子を別々に備えるPCでも問題なく利用できる

よりとがった仕様でライバルに差を付けたいならミドルレンジ

 5,000円台のエントリークラスのデバイスでも、1,000円程度で売っているキーボードやヘッドセットに比べると雲泥の差が出るものだが、もっと上の世界もある。

 とくにゲーミングキーボードの場合は、全高(接地面からキーキャップ最上部までの高さ)が高くて手首が疲れると考える人も少なくない。ノートPCのようなフラットなキーボードに慣れてしまうと、キーキャップの上背からして高いゲーミングキーボードには違和感を覚えるものだ。

Vigor GK50 Low Profile JP

 そういう人はMSIのミドルレンジゲーミングキーボード「Vigor GK50 Low Profile JP」が最高のチョイスになるだろう。名前に“Low Profile”とあるとおり、本製品の武器は背の低さ。前述のGK30の全高は38mmなのに対し、GK50は34mm。わずか4mmではあるが、指を持ち上げて打鍵する操作が4mm低くなることで、負担は大幅に減る。ゲームプレイとは打鍵という操作の積み重ねのであるのだから、十分に導入のメリットはある。

ノートPCのようなフラットなキーボードが好みなら「Vigor GK50 Low Profile JP」がオススメ。実売価格11,000円前後

 3年ほど前までは、薄型キーボードを実現するにはノートPCのようなパンタグラフ構造+メンブレン構造が必須とされていたが、物理的に背の低いキースイッチの出現によって、メカニカルでロープロファイル構造という設計が可能になった。GK50が採用しているのはKaihuaの“Chocスイッチ(Chocolateスイッチ)”のクリッキータイプだ。

 クリッキータイプと言えばCherry MX Blue、いわゆる“青軸”が有名だが、Cherry MX Blueのプリトラベル(スイッチが入るまでに押下せねばならない距離)が約2.2mm(底打ちまで約4mm)なのに対し、Chocスイッチは約1.2mm(同約2.4mm)と短い。つまりスイッチの反応まで1mm、底打ちさせた場合は1.6mm分の移動を省略できる。つまりその分だけ早く指を次の操作に移すことができるのだ。キー操作がとくに重要なRTS系ゲームでは強い武器となるだろう。

GK50ではKaihua製のメカニカルロープロファイルスイッチの中で、カチカチという音を立てるクリッキータイプのものが採用されている。キーの軸が横に広いためキーキャップのブレ感が少ない

Clutch GM50

 マウスのミドルレンジ帯ともなると、疲れにくいエルゴノミクスデザインを意識した製品が増えてくる。MSI「Clutch GM50」もその一つ。ナスビ型で甲高、手のひら全体でマウスをホールドするタイプの人にピッタリな1台だ。

右手全体でマウスをホールドするスタイルを前提に設計された「Clutch GM50」。実売価格は7,000円前後

 ゲーミングマウスの高級化はいくつかパターンがあるが、共通しているのはセンサー精度だ。GM50の光学センサーは最大7200dpiに対応し、100dpiきざみで自分の好きな感度に設定できる。親指をホールドする部分はややへこんでいるだけで指の横を乗せる“羽根”のないスタイルだが、今回紹介しているGM11やGM70(後述)に比べるとサイドボタンが一番押しやすい。有線接続オンリーだがケーブルはしなやかで取り回しやすく、マウス本体そのものも約87gと軽めなので素早く振り回すスタイルでも疲れにくい設計となっている。

右手ホールドを意識したエルゴノミクスデザインを採用。マウスホイールやドラゴンのロゴ、尾部のU字形の部分は通電時にRGB LEDでライトアップされる
背中が高く手前にストンと落ちてくるような断面であるため、ここに手のひらをガバッと預けるようにホールドすることになる。左側面の4&5ボタンは押しやすく誤爆もしにくい。これらのボタンにアクションを割り当てることの多い人にはオススメ
MSIのゲーミングデバイスは「Dragon Center」でRGB LEDの発光制御やDPI設定などを一括管理することができる
GM50のボタン設定。DPI切り換えをサイドボタンにわり付けるなど、ボタンの機能をカスタマイズできる
DPIは最大7,200dpiまで設定できるほか、リフトオフディスタンス(持ち上げたときにセンサーが反応しなくなる高さ)を2mmないし3mmに変更することができる。ポーリングレートの最大値は1,000Hzまで

Immerse GH50

 ゲーミングヘッドセットのグレードが上がると、迫力のある音が出たりより繊細な音が出せたりするようなドライバーが装備されるほか、マイクの音質が向上するなどの改良が加わってくる。さらに「バーチャルサラウンド」機能を追加するものも増えてきた。MSI製品だと「Immerse GH50」がこのような強化ポイントを持つ製品にあたる。

「Immerse GH50」。下位のGH30に比べると、デザインも大人っぽく高級感がある。実売価格は8,500円前後

 GH50のドライバー径は40mmだが、GH30より低音が出るような設計になっているので、ゲームはもちろん映画鑑賞にも有効だ。密閉性もGH30より高められており、装着してイヤーカップ内の空気を抜くと一瞬中の気圧が低くなることが感じられるほどだ。密閉性が高まったことでゲーム中の細かいサウンドが聞き分けやすくなっている。

GH50のコントロールボックス。7.1と書かれたボタンを押すことでバーチャルサラウンドをON・OFFすることができる

 このGH50はUSB接続を採用しており、コントロールボックスの「7.1」ボタンを押すことで内蔵されているプロセッサを利用したバーチャルサラウンド機能が有効になる。7.1チャンネルになると“忍び寄る敵の足音が来る方向まで分かる”と思いがちだが、それは大きな誤りだ。GH50のサラウンドはあくまで疑似であるため、元ゲームのサウンドがステレオで組み立てられていたら、それ以上の情報は得られない。ただ7.1チャンネルモードを有効にすると、音の広がり感がより感じられるようになるので、洞窟を探索するようなシチュエーションでは臨場感抜群。バーチャルサラウンド云々がなくても、サウンドのキレや定位感に優れているため、安物ヘッドセットの限界を感じたらGH50に乗り換えるのもアリだ。

 ちなみに、GH50にもRGB LEDが組み込まれており、前述のDragon Centerで発光パターンを自在に制御できる。顔出し配信などでハデに決めたい人にもオススメだ。

Dragon CenterにはRGB LEDの発光制御のほかに、バーチャルサラウンドを有効にしたときに空間の広がりをどこまで演出するかの設定項目が存在する。最大のBigだと不自然さが気になったので、MiddleかSmallがオススメだ

“俺にとっての最高”を見付け出せ! ハマれば戻れないハイエンドクラス

 性能に妥協したくないとか、最高のものが欲しいといった人にはハイエンドクラスの製品がオススメだが、ことゲーミングデバイスの場合は割と用途特化や特定スペック特化といった進化をたどることが多い。結果としてハイエンド級ともなると、万人受けというよりも“使いこなせる人をある程度選ぶ”製品が多くなってくる。

Vigor GK70 Silver

 ここで注目したいのは「Vigor GK70 Silver」だ。GK50がロープロファイルスイッチを採用して背の低さをアピールしているのに対し、GK70は一見するとごく普通のCherry MX互換キーキャップを備えたTKL(Ten Key Less)キーボードになっている。オフィス業務にはテンキーがないと困るが、PCゲーム、ことFPS/TPS系ゲームではほぼ使う機会はない。むしろテンキーがある分マウスを置く場所が右側にずれるため、TKLのほうがよりキーボード、マウスのレイアウトを調整しやすい。もちろん設置スペースもコンパクトにまとまる。

テンキーレス(TKL)でゲーマーの高速入力に特化したキースイッチを採用した「Vigor GK70 Silver」。実売価格は14,000円前後

 だがGK70の真の注目ポイントはキースイッチのチョイス。本機では“銀軸”あるいは“スピード軸”と呼ばれるゲームの高速入力に特化したキースイッチが採用されている。GK70が採用しているのは定番Cherry製のCherry MX Speed Silverだ。

軽く押せばスッと沈んで反応するCherry MX Speed Silverスイッチを採用。底打ちするまで押し込むスタイルの人だと、慣れるまでに少し時間を要するかもしれない

 このCherry MX Speed Silverはリニアタイプ、つまり打鍵時にクリック音もカクッとへこむ感触(タクタイル感)もなく、スッと沈み込むタイプのスイッチだが、最大の特徴はプリトラベルが1.2mm、底打ちまで約3.4mmと、ショートストロークで打鍵できるようになっている。GK50のロープロファイルスイッチ同様に普通のメカニカルなキースイッチに比べ、より速く反応し、より早く次のキー入力に移れることを意味している。キーのオペレーティングフォースも約45cNと軽めであるため、この特性に慣れるまでは、ちょっと触れただけでも反応するように思えてしまうだろう。ゲームに特化した設計だが、その中でもより玄人向けのキーボードと言える。

任意のキーにマクロを仕込むこともできる。ゲームの操作を省力化するときに使えるが、オフィスやクリエイティブ系アプリのショートカットキーを登録しても有用だ
マウスやヘッドセットもMSI製品で固めておけば、Dragon Centerを使って発光パターンを統一することも簡単
同グレードのテンキー付きとしては「Vigor GK80 Silver」がラインナップ。テンキー以外の仕様はGK70と同様。実売価格は17,000円前後

Clutch GM70

 ハイエンドのゲーミングマウスになると「ワイヤレス」という選択肢も出現する。反応速度を突き詰めていくと有線マウスに勝るものはないことは確かだが、ケーブルに引っ張られるフィーリングが気になる人もいるだろう。さらに有線マウスの場合ケーブルの取り回しも考える必要がある。机の上にはゲームに必要なものしか置かない、という人はともかくとして、自室のPCデスクの上には、いろいろな小物が置かれることが多い。小物の林立するところにケーブルをいい感じで通す手間を考えたら、ワイヤレスはある意味至高のチョイスと言える。

MSI製ゲーミングマウスの最上位に君臨する無線&有線両対応マウス「Clutch GM70」。実売価格は9,000円前後

 「Clutch GM70」は解像度最大18,000dpiの光学式センサーを搭載したMSI製ゲーミングマウスのフラグシップモデルだ。これまで紹介したマウスは割とポピュラーな形状のものだったが、このGM70の形状はかなり独特である。

GM50までとは印象が違うフォルムになるGM70。ワイヤレスマウスだが、有線で利用することも可能
GM70の両サイドには標準でラバー製のグリップが付いているが、親指をホールドする部分は小さい。ガバっとかぶせ持ちする人は、同梱のサイドカバーを装着しよう。ただ親指側のサイドボタン2基は、サイドカバーを装着するとやや押しにくくなる

 その理由は表面および側面が着脱可能になっており、手の形状やクセに合わせてカスタマイズ可能になっているからだ。トップカバーは2種類、左右のサイドカバーは非装着を含め3種類の形状をチョイスできる。左右対称設計なので、左利きだが親指をホールドできる形状のものがない……と悩んでいる人にはうれしい設計だ。

 GM70のメリットはデメリットと表裏一体だ。つまり無線接続なのでケーブルがジャマにならない一方で、動作に必要なバッテリの分ウェイトがかさむ。GM70の重量は約129gあり、カバーを装着することで最大180gまで上乗せされる。重いマウスが好みの人には問題ないが、マウスをローセンシでブン回すスタイルの人は重さゆえに腕が疲れることを覚悟せねばならない。GM70は有線接続で運用することも可能だが、バッテリは交換できないため有線接続時はデッドウェイトとなる。自由度を取るならGM70はよいチョイスだが、軽快さ重視ならGM50だろう。

トップカバーははめ込み式、サイドカバーは磁石で装着する構造になっているので、カバーの交換は簡単
GM70のセンサー設定。GM50と違い、ハイエンドのGM70ではX軸方向の感度とY軸方向の感度を別に設定できる。横方向へは素早く照準を振りたいが、縦方向のブレは抑えたい、などの設定を追い込みたいときに活躍するだろう

Immerse GH70

 最後に紹介するのはハイエンドヘッドセットである「Immerse GH70」だ。前述のGH50よりも口径の大きな50mmドライバーを搭載し、ハイレゾ認定も受けたバーチャルサラウンドにも対応している。GH50の正当進化系と言えるだろう。本機もPC本体とはUSB 2.0を利用して接続する。

ゲーミングだがしっかりハイレゾ認定も通っている「Immerse GH70」。実売価格は12,000円前後。ハイエンドにしてはお値段はかなりお安めだ

 ドライバー径が大きいためイヤーカップもGM50より大きく感じられるが、密閉感はややマイルド。大ぶりなボディだが人体に当たる部分にはソフトな素材を使っているので装着感は良好だ。GH50よりもコントロールボックスの使い勝手が向上しており、ボリューム調整がより簡単になっている。ハイレゾ認定だからと言ってより音が聞こえやすい……というわけではないが、ドライバーが大きいせいか爆音や銃声の迫力は満点だ。

GH70のドライバーは50mm径のものを採用している
ボリュームのツマミが大きいため、サッと音量調整ができるように改良されたコントロールボックス

すべてのハイエンドが常に最良とは限らないが、今汎用品を使っているなら乗り換える意味はある

 ゲーミングデバイスなんてなくてもPCゲームは遊べる。ゲーミングと付いていなくても良質な製品はある、という大前提は脇に置いておいても、適当なキーボードやマウス、ヘッドホンを使えばゲームを遊ぶには困らない。だがある一定ラインから上、とくにeスポーツシーンで結果を出したいなら、良質なゲーミングデバイスは必携だ。

 キーボードにマウス、ヘッドセットの3点は自分の操作スタイルや体格に合わせる必要があるので漠然としたオススメは出しにくい。とくにヘッドセットは装着感が合わなければどんな高スペックも無意味になる。じっくりと店頭で確認しつつ購入する製品を決めたいところだ。最初は眉唾に感じるかもしれないが、よいものを正しく使えば、長い目で勝率アップにつながること間違いナシだ。

ゲーミング環境で影響が大きいものの一つが実はマウスパッド。MSIからはサイズ違いで「Agility GD30」、「Agility GD70」の2製品をラインナップ(写真はGD30)。なめらかな生地とマウスパッド自体がずれにくい処理でスムーズかつ正確な操作が可能

[制作協力:MSI]