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SATAケーブルは長さが変わっても速度は同じ?20~100cmの5種類で試してみた
SSDの速度を引出すポイントはノイズ対策? text by 久保勇
2020年5月12日 06:01
レビューで使用して余ったSATAケーブルが増えてきたので、SATAケーブルの長さでSSDの速度が変わるのか、簡単にチェックしてみました。
理屈の上ではケーブルは長くなるほど距離の面で不利なだけでなく、ノイズの影響も受けやすくなります。データ転送でエラーが起きた際はエラー訂正が行われ、最悪の場合はデータを再転送してかなりのロスもうまれるので、長ければ長いほど不利なはずです。
SATAケーブルの比較は6Gbps SATAが出始めの頃(2010年頃)にはよく行われていましたが、その時はシールドが甘いケーブルなどはノイズの影響で6Gbpsからリンクの速度が落ちたりといったこともありました。その時からはSSDもだいぶ高速化し、ケーブル側もかなりこなれていると思うので、現在どうなっているのかを見てみたいと思います。
20cm/30cm/50cm/70cm/100cmのSATAケーブルでテストSSDはCrucial MX500
今回使用したのはアイネックスのSATAケーブル。20cm(SAT-3002BL)、30cm(SAT-3003BL)、50cm(SAT-3005BL)、70cm(SAT-3007BL)、100cm(SAT-3010BL)の5種類でテストします。
ケーブルはある程度長くなるとシールドの厚さなどが変わるようで、50cmまでのSATAケーブルは薄く柔らかい感じですが、70cm以上のSATAケーブルは厚みのあるものになっています。長さに合わせて適切なノイズ対策が取られているようです。
SSDは定番のCrucial MX500の1TBモデル「CT1000MX500SSD1/JP」を用意。公称値リード560MB/s・ライト510MB/sの高速モデル。癖も無く扱いやすい製品なので、こうしたテストにはおそらく適している……はず。
ケーブルの長さを問わずベンチマークはほぼ一定の速度CrystalDiskMark 7.0.0で計測
まずはCrystalDiskMark 7.0.0で速度の変化を見てみたいと思います。
で、下の画像がその結果一式なのですが、細かい差はあるものの、ざっと見ると測定誤差の範囲といった状況で、何回か計測を繰り返せば長いケーブルが短いケーブルよりも速い結果がでたりといった速度差です。ケーブル長によるわかりやすい傾向は見られません。
計測を失敗したか……と思ったりもしましたが、100cmくらいまでの範囲であればケーブル要因の影響はあまりないのかもしれません。それだけ現在のSSDもとケーブルは品質面で安定していると見ることもできそうです。
ケーブルの長さが変わってもアクセスタイムは変わらずHD Tune Pro 5.75でレスポンスの違いを確認
ベンチマーク速度の方は誤差の範囲で長さによる速度変化の傾向などは見られませんでしたが、ケーブルの長さが変わればおそらくレスポンスの部分では違いが出るはず。物理的に長さの差があるし……。
ということで、HD Tune Pro 5.75でアクセスタイムを計測してみました。
結果は以下の通りで、なんと全て一緒。筆者が計測方法を間違えているか、アクセスタイムがケーブルを介していないSSD内部での反応速度なのか、SATAケーブルの品質が良ければ100cm以内では差が出ないのか、原因がはっきりしないのですが全て揃ってしまいました。
100cmまでのSATAケーブルで目立った速度変化は見られず、好みの長さを選ぼう
今回の検証ではSATAケーブルの長さによる明確な速度変化は見られませんでした。ケーブルが短い方が速いイメージがあるので、個人的にはしっくりこない部分もあり、検証方法に関して助言をもらいたいくらいです……。
Serial ATA規格の長さを超える1m以内に収まらないケーブルや、延長ケーブルなどを使用した際は影響が出るかもしれませんが、品質面で問題ないSATAケーブルを使用している分にはSSDの性能への影響はかなり小さいようです。