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“テレワークPC”は予算2万円で手に入る!最新SSDでチョイ古ノートが快適自宅作業環境に
Plextor最新SSD「M8VC Plus」で低コスト&手軽に実現 text by 芹澤正芳
2020年11月30日 00:00
テレワークやオンライン授業などでPCを使う時間が増えた方は多いことだろう。コロナ禍が落ち着いても、大なり小なりテレワークの活用を求められることになりそうな気配である。そうなると、長年使っている自宅用PCの新調を考えたり、家族のためにもう一台PCを買ったりしたくなるのだが、予算の問題は頭が痛いところ。
そんな社会情勢を受けて盛況なのが中古PC市場だ。Office系やWeb会議系のアプリを使う程度であれば、それほどハイスペックのPCは必要ではなく、数年前のノートPCであればちょっと古めであってもCore i3以上のCPUを搭載していれば十分実用的なことが多い。
しかし、CPUの世代や性能以上に、使用感を圧倒的に悪くするパーツが存在することを見逃してはならない。ズバリ、データ転送速度が遅い「HDD」だ。HDDは容量あたりの単価は安いが、最近のPCのメインストレージであるSSDに比べると、OSやアプリの起動、ファイルのコピーなど、さまざまな作業がもたつくことになる。そのため、低価格の中古ノートPCでは、HDDをSSDに換装すれば使用感を一気に向上させられる。
そこで、ここではポケットマネーでもお財布にやさしい低予算でテレワークにもオンライン授業にも対応でき、合間にちょっとサボってネットやYouTubeも楽しめるPCを仕立てることに挑戦してみたい。
予算はぐっと抑え目に2万円。配分はざっくりと、中古ノートPCに15,000円、SSDに5,000円としよう。ノートPCにたったの15,000円と思うかもしれないが、意外に探せば選択肢は多い。第2、第3世代CoreシリーズのCore i3/i5搭載ノートPCなら中古市場に数多く出回っているのだ。
2012年のThinkPadを復活させる
今回用意したのは、Lenovoの「ThinkPad Edge E130」。2012年発売で11.6型液晶を採用するコンパクトなノートPC。CPUはCore i3-3217U、メモリは4GB(DDR3)、ストレージは320GBのHDDという構成だ。現在では10,000円から15,000円程度で中古品が流通している。
こういった中古ノートPCを購入するとき確認しておきたいのが、「Microsoft認定MARプログラム」を適用した製品かどうか。これは中古PCに正規のWindowsライセンスを提供するMicrosoftのプログラムで、古いノートPCでも認定業者によってWindows 10が導入されているので安心して使用できる。
また、HDDからSSDへの換装を考えた場合、搭載されているHDDが一般的な2.5インチサイズでSerial ATA接続であることが重要だ。加えて、一部ノートPCはストレージを交換すると正しく動作しなかったり、特殊なパーティション構造になっている場合もある。予算に合った中古ノートPCを見付けたときは、ネットなどでSSDへの換装実績があるのか調べておいたほうが無難だ。
Plextorの最新エントリークラス2.5インチSSD「M8VC Plus」
ここからは実際にThinkPad Edge E130のHDDをSSDへと換装していこう。必要になるのは「2.5インチでSerial ATA接続のSSD」、「USB接続の外付けドライブケース」、「クローニングソフト」の三つだ。
まず「2.5インチでSerial ATA接続のSSD」は、予算を5,000円以内と考えた場合、250GBクラスが該当する。ThinkPad Edge E130のHDDは320GBなので、移行先となるSSDのほうが若干容量が少なくなってしまう。しかし、HDDの総データ容量が250GB以下なら問題なく移行が可能だ。全体の容量は減ってしまうが、それよりもSSDによる高速化の恩恵のほうがはるかに大きいので、そこは目をつぶろう。
今回使用するSSDはPlextorの「M8VC Plus」だ。256GBモデルがあり、実売価格は4,200円前後と予算内に収まっている。シーケンシャルリードは560MB/s、シーケンシャルライトは510MB/sと256GBのSerial ATA SSDとしては十分な性能。TBWも140TBと、同容量のSSDの中では高いと言える耐久性だ。
コントローラはエントリークラスのSSDで採用実績が多いSilicon Motionの「SM2258」。NANDはキオクシアの96層BiCS FLASHを搭載し、前モデルから性能向上を実現している。
なお、M8VC Plusは512GB、1TBモデルもラインナップされている。詳しいスペックは以下にまとめた。
容量 | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB |
---|---|---|---|---|
フォームファクター | 2.5インチ(M8VC Plus)/M.2 2280(M8VG Plus) | |||
インターフェース | SATA 3.0 | |||
NAND型フラッシュメモリ | キオクシア 96層 BiCS FLASH(3D TLC) | |||
コントローラ | SiliconMotion SM2258 | |||
バッファ用メモリ | 256MB DDR3 | 512MB DDR3 | 1GB DDR3 | |
シーケンシャルリード | 560MB/秒 | |||
シーケンシャルライト | 420MB/秒 | 510MB/秒 | 520MB/秒 | |
ランダムリード | 65,000IOPS | 85,000IOPS | 90,000IOPS | |
ランダムライト | 64,000IOPS | 84,000IOPS | 88,000IOPS | |
総書き込み容量(TBW) | 70TB | 140TB | 280TB | 560TB |
保証期間 | 3年 |
PC本体+SSD+外付けケースで合計約2万円
次に必要な「USB接続の外付けドライブケース」だが、今回は玄人志向の「GW2.5CR-U3」を用意した。2.5インチサイズのストレージに対応し、電源不要のバスパワー動作で実売価格は800円前後という手軽さ。工具不要でSSDを取り付けられるのも便利だ。これなら、中古ノートPC、SSD、外付けドライブケースをすべて揃えても、予算内に十分収まる。
3つ目に必要なのは、HDDのデータをOSを含めて丸ごとSSDにコピーできる「クローニングソフト」だ。フリーソフトでも複数存在しており、今回は「AOMEI Backupper Standard」を使用した。
換装手順を順を追って紹介
実際に交換作業をスタートさせる。手順は大きく分けて4ステップだ。
- 外付けケースにSSDをセットする
- クローニングを実行する
- ノートPCからHDDを取り外す
- SSDをノートPCに取り付ける
まずは外付けドライブケースにSSDを組み込む。GW2.5CR-U3は上ぶたをスライドさせて外し、Serial ATAコネクタにSSDを挿し込むだけ。工具は一切不要だ。上ぶたを戻し、付属のUSBケーブルを取り付ければクローニングの準備は完了だ。
PCに接続したら、クローニング作業の前にSSDを初期化しておこう。
次にクローニングを実行する。「AOMEI Backupper Standard」はWebサイトから無料でダウンロードが可能だ。ソフトをダウンロードしてインストールを行なう。
ソフトを起動したらメニューから「クローン」を選択、ソースディスクとしてノートPCに内蔵されているHDD(ディスク0)を選択、ターゲットディスクとしてSSD(ディスク1)を選択する。
最後に「SSD 4Kアライメント」にチェックを入れて「開始」ボタンを押すだけ。作業自体は非常に簡単だ。
クローニングが完了したら、HDDを取り外す作業になる。精密ドライバーを用意しよう。なお、ここで紹介するHDDの取り外し手順は、今回用意したPCでの一例となる。製品により手順や取り外しの難易度には違いがあるので、事前の情報収集をしっかりしておくことをお勧めする。
まずはノートPCをひっくり返し、安全のためバッテリを外す。
底面を固定しているネジを外し、底面カバーを持ち上げて取る。
HDDを固定しているネジを取り、Serial ATAコネクタから引き抜く。HDDを固定するのに使用している金属のカバーも外しておく。
最後はノートPCにSSDを組み込む。
HDDを取り外したのと逆の手順になるだけなので、とくに難しいところはない。ネジの固定だけしっかり確認しておこう。
クローニングとSSDへの換装作業が問題なく終わっていれば、Windows 10が起動するはずだ。
SSD換装の効果は?Windows起動時間は1/3に、アプリのパフォーマンスも向上!
ここからはHDDを搭載する換装前と、SSDへと換装した後でノートPCの性能がどこまで変わるのか紹介しておきたい。
まずは、Windowsの起動時間から。電源ボタンを押してから、スタートアップに登録したWebブラウザが起動するまでを測定している。ストップウォッチによる手動計測なので、3回測定した平均値を起動時間とした。
換装前は138.76秒と2分以上かかっていたが、SSDへの換装後はわずか40.72秒まで短縮。3分の1の時間でOSが起動するようになった。これだけでもパフォーマンスの違いは明らかだ。続いて、CrystalDiskMark 7.0.0hで最大速度をチェックしてみる。
換装前のHDDはシーケンシャルリードが86.82MB/s、シーケンシャルライトが89.13MB/s。最近では2.5インチのHDDでも100MB/s以上出ることも多いので、これは遅い部類だ。
しかし、それよりもHDDのレスポンスが悪いのは、とにかくランダムリードとライトが両方遅いことにある。Q32T16のランダムリードはわずか0.72MB/sしかない。
SSDに換装後はシーケンシャルリードが554.70MB/s、シーケンシャルライトが347.53MB/sと一気に向上。Q32T16のランダムリードでは300倍以上、Q32T16のランダムライトは200倍以上もアップ。これがOSやアプリの起動速度の大幅な向上につながっている。
次はPCの総合的な性能を図る「PCMark 10」を実行する。
ストレージ以外のスペックは変わっていないが、換装後はスコアが上昇。とくに、PCの基本性能を見るEssentialsに含まれるアプリの起動時間を測定するApp Start-upのスコアが大幅に上昇している。さらに、ビジネス系アプリの処理性能を見るProductivityではワープロソフトの性能を測るWritingでもスコアの上昇が見られた。SSDの換装がパフォーマンス向上につながることが分かる結果だ。
SSDに換装するだけで実用性は大幅アップ!
このように、ストレージにHDDを搭載している古いノートPCは、SSDに換装することで一気に実用度を高められる。もし予算に余裕があるなら、500GB、1TBのSSDをチョイスして容量も大幅にアップするのもいいだろう。また、4,000円も出せば4GBのメモリが手に入るので、SSD換装と合わせて増設してみるのもオススメだ。
SSDの換装手順自体は、ハード的にもソフト的にもそれほど難易度が高いものではない。ノートPCが急に必要になった場合、低価格の中古ノートPC+最新SSDの組み合わせを検討してみてはどうだろうか。
[制作協力:Plextor]