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PlayStation 5で外付けSSDは使える?PS4から使い回せる?本体内M.2スロットは?いろいろ試してみた!

PlayStation 5と外付けSSD

 11月12日(木)、実に7年ぶりの新型となる家庭用ゲーム機「PlayStation 5(以下PS5)」がソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売された。

 三密の回避などを目的として販路が抽選式の通信販売に限定されていることなどを背景に、発売直後から品不足が続いているが、裏を返せば注目度の高さを示しているとも言える。

 本稿ではUSB接続ストレージの仕様について、PS5の実機および、前世代の上位モデル「PlayStation 4 Pro(以下PS4 Pro)」の実機と合わせて検証した結果をQ&A形式で紹介する。PS4世代からの移行を検討している人の一助となれれば幸いだ。

Q:PS5でもUSB接続ストレージにPS4タイトルをインストールできる?A:できる

 PS4世代は標準でSATA 3Gbps接続のHDDを内蔵していたが、USB接続のHDD/SSDもストレージとして扱える機能を備えていた。USB接続のSSDやHDDを接続し、PS4でフォーマットしてやれば「拡張ストレージ」として認識されるようになり、PS4タイトルのインストール先として利用できた。

 内蔵HDDをSSDへと換装することも可能だが、ドライブの交換作業やシステムデータの再インストールなどの手間がかかるため、より手軽に使える拡張ストレージにゲームをインストールしていたユーザーも多いことだろう。

PS4ではUSB接続ドライブをフォーマットすることで拡張ストレージとして利用可能

 ではPS5はどうなのかと言えば、PS4世代と同じく拡張ストレージ機能をサポートしている。空のUSBストレージを接続してフォーマットすることで、PS4タイトルのゲームデータのインストール先として扱えるようになる。

 また、PS4では拡張ストレージの接続は5Gbps(USB 3.0)となっていたが、PS5ではUSBポートがUSB 3.1 Gen2へ刷新。10Gbpsでの接続となり、転送速度の高速化も期待できる。

PS5でもUSB接続ドライブを拡張ストレージとして使える

 PS5で拡張ストレージとして使える外付けSSD/HDDの要件は以下の通りだ。

・SuperSpeed USB(5Gbps)以降の接続インターフェイス
・250GB以上、8TB以下の記録容量

 接続できるドライブは1つだけ(2つ以上のドライブの同時接続は不可)で、USBハブ経由の接続もできない。

 なお、PS5の4つあるUSBポートのうち、前面のType-Cポートと背面のType-Aポート×2が10Gbpsに対応しており、拡張ストレージの接続に利用できるのはこの3ポートのみ。

 前面のType-Aポートは5Gbpsのため非対応で、こちらに外付けストレージを接続すると接続ポートを変えるように促される。

PS5本体前面には電源ボタン、イジェクトボタン、UHD-BDドライブ、USB 3.1 Gen1 Type-A、USB 3.1 Gen2 Type-Cが配置
本体背面にはUSB 3.1 Gen2 Type-A×2、1000BASE-T Ethernet、HDMI 2.1出力、電源ポート。

Q:PS5のタイトルは本体SSD以外にインストールできる?A:(USB接続では)できない

 紹介したように、PS5の拡張ストレージ機能はPS4の機能をすべてカバーしているが、1つ注意したいポイントがある。それは「PS5タイトルのインストールは不可」という点だ。

 PS5では本体内部のストレージとしてPCIe 4.0 x4接続の高速SSDを基板実装しており、これによって大幅な転送速度の向上を実現している。

 PS5タイトルはこの本体NVMe SSDを前提として開発されているため、USB接続のSSDにインストールしてしまうと転送速度の差でゲームの動作に影響が出てしまう。結果として、USB接続で速度が制限されてしまう拡張ストレージでは、PS4タイトルのみがインストール可能になっているというわけだ。

 PS5の本体SSDは容量825GBで、システムデータなどを除いたゲームインストールに使える空き容量(開封時点)は667GBに限られる。昨今のAAAタイトルは1本で100GBを超えるというものも増えつつあり、PS4タイトルだけでも拡張ストレージへインストールして、できるだけ本体SSDの空き容量を確保しておくことをオススメしたい。

 なお現時点では利用できないが、SIEは、PS5で拡張ストレージをインストールデータの退避先として使えるようにするプランがあることを公式ブログで説明している。

 あくまでもインストール先にはできないが、データを保存できるようになれば、「本体ストレージへゲームデータをバックアップして、もう一度遊ぶ前に本体ストレージへデータを戻してゲームを遊ぶ」ことが可能になる。

 本体SSDから削除したゲームをまた遊びたいと思ったとき、BDあるいはPSNサーバーからゲームデータを丸ごとダウンロードするのを待つよりかは、外付けSSDから本体SSDに移動させる方がはるかに高速だ。早期の実装に期待したい。

 話を戻すと、PS5のUSB接続拡張ストレージで扱えるデータは以下の通りとなる。詳細はサポートページに記載されている。

データUSB接続の拡張ストレージでの扱い
PS5タイトルインストール不可(後日バックアップ用途のみ対応予定)
PS4タイトルインストール可能
PS5タイトルのセーブデータ保存不可
PS4タイトルのセーブデータ保存不可
スクリーンショットとビデオクリップ保存不可

Q:PS5タイトルを本体SSD以外にインストールできないの?A:本体内スロットにM.2 SSDを増設すれば(後日)可能。

 では、本体SSDがPS5タイトルで埋まってしまったら遊んでいないタイトルを消すなりしないといけないのか、という話になるが、そこは解決策が用意されている。

 PS5の側面パネルを外すと金属製のパネルがあり、その内部にSSD増設用のM.2スロットが配置されている。

 このM.2スロットはPCIe 4.0 x4接続に対応しており、USB接続と異なりSSDの性能をフルに発揮できるため、このスロットに増設したSSDには、本体SSDと同じくPS5タイトルのインストールが可能となる。

側面パネルを外すと金属パネルがある
金属パネル内にM.2スロット。主流のM-Key 2280のほか、2230/2242/2260/22110のネジ受けも用意されている。

本体内M.2スロットはまだ使用できず。SSDを装着するとシステムが起動不可に!

 ならば早速大容量SSDを増設!……といきたいところだが、残念ながらまだ利用できない。

 実機でM.2スロットにSSDを挿入した状態で電源を入れてみたところ(11月17日現在)、「拡張スロットにモジュールが挿入されています」というメッセージとともに、M.2スロットからSSDを取り外してから再起動するように促された。

M.2 SSDを装着してみた

 要は、M.2スロットが埋まっている状態でシステムを起動することができない。認識されずに無視される程度を予想していたので、起動すらできないという結果には驚いた。

エラーメッセージが表示され起動できず

 SIEによれば、今後システムファームウェアのアップデートで機能が有効化されるとのこと。是非SIEには早期の対応をお願いしたい。

 利用可能なSSDについても制限があり、一定の性能を満たす必要がある。詳細は後日発表される見込みで、SIEでは、増設用M.2 SSDの購入は詳細な要件が発表されるまで控えることを推奨している。

Q:PS4で使っていた外付けストレージはPS5で使える?A:そのまま使える

 ここからは、USB接続の拡張ストレージの具体的な仕様について掘り下げてみたい。

 まず、PS4ユーザーなら気になる「PS4で使っていた拡張ストレージはPS5でもそのまま使えるのか?」については、サポートページにも記載されているとおり、そのまま使える。

 PS4で使っていたUSB接続SSDをそのままPS5に繋ぐだけで、何もせずとも認識され、インストールされたゲームを遊ぶことが可能だ。

2.5インチSATA SSD「Intel 540s 480GB」を用意
AINEXの2.5インチSATA SSD対応ケース「HDE-11」
NVMe SSD「Intel 660p 1TB」も用意した
AREAのNVMe対応ケース「SD-M2NV」

 実際に、PS4 Proでフォーマットし、ゲームのインストールを行なった外付けSSDをPS5へ接続したところ、問題なく拡張ストレージとして認識され、インストールされたゲームが起動できることも確認できた。

 なお、外付けSSDを接続する前に、PS4 ProとPS5で同じPlayStationアカウントへログインしている。ゲームの起動にはアカウントの一致が必須だ。

 先の検証とは逆に、「PS5でフォーマットしてPS5でPS4ゲームをインストールした外付けSSD」をPS4 Proへ接続してみたところ、こちらも問題なく認識され、ゲームの起動も確認できた。フォーマット形式や内部のディレクトリ構造などの互換性は保たれているようだ。

PS5でフォーマットしたSSDもPS4で使える

Q:PS5で本体SSD-外付けSSD間のPS4ゲームデータ移動はできる?A:できる

 PS5では、PS4世代と同様に、拡張ストレージと本体SSD間でインストールしたPS4ゲームデータを移動できる。

 拡張ストレージにインストールされたPS4ゲームを本体SSDへ移動することが可能で、逆に本体SSDのゲームデータを拡張ストレージへ移動することも可能だ。

 なお、先に述べたようにPS5のゲームデータについては、実装は未定ながら本体SSDと拡張ストレージ間で移動のみ可能になる見込みだ。

 総じて、PS4タイトルのゲームデータの扱いに関する自由度は高く、「PS4とPS5で同じ外付けSSDを拡張ストレージとして共有する」ような場合でも、障害となる仕様はないと言って良いだろう。

拡張ストレージと本体SSD間でインストールしたゲームデータの転送が可能

次回はPS5のSSD速度を本体/外付けを交えて比較!

 ということで、今回はPS5の外部ストレージの扱いに関して実機の検証結果をお伝えした。次回はゲームのロード時間を比較した結果をまとめて掲載予定で、予想外な測定結果もあり、そちらもご覧いただけると幸いだ。

 ※12月23日に公開「PlayStation 5内蔵の高速SSDでPS4用ゲームも速くなる?実機で試してみた!