特集、その他

RTX 3060でフォートナイトは“144Hz”or“レイトレ”でプレイできる?勝てる&ちゃんと遊べるセッティングを探ってみた!

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」で試す高fps&レイトレ設定 by 芹澤 正芳

 早期リリースから4年近くが経過したバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」だが、まだまだ人気は衰えていない。シーズンごとに大きく変化するマップ、進化を続けるクリエイティブモード、映画や他ゲームとのコラボなど飽きさせない要素が満載。そんなフォートナイトをPCでプレイするメリットは“描画性能の高さの活用”だ。

 最近ではリフレッシュレート144Hzや165Hzのゲーミング液晶が人気で、さらに200Hzを超える超高速描画にも対応する製品も増えている。高リフレッシュレートを活かすには、当然PC側がそれだけのフレームレートを出す必要がある。勝ちにこだわるなら、高リフレッシュレート液晶&高性能PCの組み合わせが最適解であるのは間違いない。

 描画性能の活用のもう一つの視点は“美麗なグラフィックス”を楽しむこと。現在のフォートナイトは、リアルタイムレイトレーシング、いわゆる“レイトレ”を取り入れた美しいグラフィックス表現も可能となっている。レイトレの描画はかなり重い処理になるため、勝利を本気で目指すのには不向きではあるが、もっと肩の力を抜いて、新しい映像表現でゲームを遊ぶ、というのも楽しみ方の一つだ。

 とはいえ、これらのポイントをすべて高次元で達成できるのは、かなりパワフルなGPUが必要になる。そこで本稿では、最新メインストリームGPUの「NVIDIA GeForce RTX 3060」にスポットを当ててテストしてみたい。

ZOTACのRTX 3060搭載カード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」。実売価格は71,000円前後(4月下旬調査時。価格は時期により変動します)

 RTX 3060はCUDAコア数は3,584基、メモリバス幅は192bitとRTX 30シリーズで一番下となるが、ビデオメモリは12GB(GDDR6)と上位モデルのRTX 3080(10GB)、RTX3070/3060 Ti(8GB)よりも多い。もちろん単純な性能は上位モデルに譲るが、最近では大量のビデオメモリを消費するゲームもあるだけに、12GBという容量は歓迎したいところ。また、CPUとビデオメモリのデータ転送を効率化するResizable BARにも標準対応している。

 用意したのは、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」。カードの仕様などをチェックしつつ、フォートナイトでの性能を測定していきたい。なお、比較用としてGeForce RTX 2060 SUPERとGeForce GTX 1070搭載カードも用意している。

カード長22.41cmで2スロット厚の使いやすさ

 まずはカードを詳しく見ていこう。ZOTACの「Twin Edge」シリーズは、シンプルなデザインで、カードの厚みや長さを抑えたものが多いのが特徴だ。ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCもカード長は22.41cmとRTX 3060の中では比較的短め、厚みも2スロット分と小型ケースにも組み込みやすい。それでいて、2基のファンによってしっかり冷却力を確保してきている。ブーストクロックは1,807HzとRTX 3060の標準ブーストクロックの1,777MHzから若干オーバークロックされている。

GPU-Zでの表示。Resizable BARに対応し、ブーストクロックは1,807MHzと微OCされている
Power Limitの上限値は+10%と手動OCで多少性能を伸ばせる可能性はある(手動OCは自己責任で!)

 冷却システムは11枚のブレードを備えるデュアルファン、ヒートパイプ、大型ヒートシンクを組み合わせた「IceStorm 2.0」を採用。ファンは回転数を個別に細かく制御し、静音性と冷却性のバランスを取っている。なお、アイドル時はファンが停止する「FREEZE Fan Stop」に対応。ゲームプレイ中でもGPU温度は最大67℃程度(バラック状態時)と十分な冷却力を持っている。

11枚のブレードで構成される新開発のデュアルファンを採用
背面にはカードの剛性を高めつつ冷却を補助するバックプレートと装備

 ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1。HDMI 2.1は4K/120Hz表示に対応しているのがポイント。補助電源は8ピンが1基だけとなっている。

補助電源はカード中央よりやや後ろにあり、8ピンだけの構成。コネクタの周囲はスッキリしており、電源ケーブルは挿しやすい
ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1と、RTX 30世代のカードでは標準的な構成

フォートナイトで“200fps超え”、“レイトレで60fps”を狙う

 さて、ここからはベンチマークに移ろう。比較対象は、NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition、トリプルファン/OC仕様のGeForce GTX 1070の2枚だ。なお、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCはResizable BARを有効にした状態でテストを行なっている。テスト環境は以下のとおりだ。

【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)
メモリMicron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL
(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2)※PC4-25600で動作
システムSSDKingston KC600 SKC600/1024G
(Serial ATA 3.0、1TB)
データSSDCFD PG3VND CSSD-M2B1TPG3VND
[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
CPUクーラーCorsair iCUE H115i RGB PRO XT CW-9060044-WW
(簡易水冷、28cmクラス)
電源NZXT E Series E850 NP-1PM-E850A
(850W、80PLUS Gold)
OSWindows 10 Pro 64bit版

 まずは基礎体力チェックから。定番3Dベンチマークの「3DMark」で見てみよう。RTX 2060 SUPERに若干スコアがおよばないのは、RTX 3060のメモリバス幅が192bitに対して、RTX 2060 SUPERが256bitなのが影響していると考えられる。負荷が高いテストほど差が縮まっていき、レイトレ性能を計測するPort Royalはほぼ同水準。また、GTX 1070に対しては、2世代違うこともあってTime Spyで約35%性能向上を果たしている。GTX 1070からの乗り換え先として十分満足のできるスコアの伸びと言ってよいだろう。

3DMarkの計測結果

 次に消費電力をチェックする。ここではパーツごと消費電力の計測ができる電源ユニットのNZXT E Series E850と、専用モニタリングアプリ「NZXT CAM」を使って、GPU単体の消費電力を測定している。OS起動10分後をアイドル時、3DMark-Time Spyデモモード実行時の最大値を3DMark時とした。

カード単体の消費電力の計測結果

標準設定のカード電力で見るとRTX 3060が170W、RTX 2060 SUPERが175W、GTX 1070が150Wだ。結果はGTX 1070がOCかつトリプルファンモデルということもあり、消費電力はトップ。RTX 2060 SUPERとRTX 3060は順当といったところだろう。

 さて、ここから本題。フォートナイトでのフレームレートをチェックしていく。まずは、最高画質に設定した場合のフレームレートを見てみよう。ソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapframeXで測定している。

 3DMarkとは異なり、RTX 3060のZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCがトップに立った。WQHD解像度までは十分快適にプレイできるフレームレートが出ている。ただ、フルHDでも平均95.5fpsと高リフレッシュレート液晶と組み合わせるには少々弱いところ。

フォートナイト(最高画質設定)の計測結果
勝負に影響する項目は高めの設定を維持しつつ、画質を落としてフレームレートを確保
(C)2021, Epic Games, Inc.

 そこで、なるべく画面を粗くせずに軽くする画質設定を試して見る。画質のプリセット「低」をベースにして、3D解像度は「100%」に設定。3D解像度は100%以下にすると画質が一気に粗くなってしまうためだ。そして、描画距離はなるべく遠くも把握しやすくするため「遠い」とした。

 いずれの環境ともに、この設定だとフレームレートが一気に向上。ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCは、フルHDなら平均230.4fpsとリフレッシュレート240Hzの液晶との組み合わせも視野に入る。WQHDでは平均178.3fpsと144Hz/165Hzの液晶なら、その実力を十分に発揮可能だ。4Kでも平均111.7fpsと快適に遊べるだけのフレームレートを出せる。

フォートナイト(ガチプレイ設定)の計測結果

 ちなみにこの画質設定では、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCよりもRTX 2060 SUPERのほうがフレームレートが微妙なさではあるが上になった。ここでも3DMark同様、メモリバス幅の違いが影響したと考えられる。また、WQHD→4Kと負荷が高くなるにつれ差はなくなっていく。

RTX 3060でレイトレを有効にしつつ平均60fps程度が出るように煮詰めた設定
(C)2021, Epic Games, Inc.

 続いて、最高画質に加えて、レイトレーシングを有効にしてシャドウを「オン」、リフレクションを「中」、アンビエントオクルージョンを「低」、グローバルイルミネーションを「低」に設定、DLSSを「バランス」とした場合のフレームレートも測定する。GTX 1070はDLSS非対応なので除外した。

 レイトレーシング関係の画質はそれほど高く設定していないにもかかわらず、平均フレームレートは低い。ほかのレイトレーシング対応ゲームではもっとフレームレートが出ることから、フォートナイトのレイトレーシング機能が異常に重いと見るべきだ。フルHD解像度なら、リアルな光の反射を楽しみつつなんとかプレイできると言える。第2世代のレイトレ対応GPUということで、その進化が着実にフレームレートに反映されてきていると見てもよい結果だろう。

フォートナイト(RTX 3060でレイトレ&60fps設定)の計測結果

 今回は最高画質、画質“低”ベースのフレームレート優先設定、レイトレーシング有効の3パターンでフレームレートを測定したが、画面はどう変化するのかも紹介しておきたい。

最高画質設定の画面サンプル
(C)2021, Epic Games, Inc.
ガチプレイ設定の画面サンプル
(C)2021, Epic Games, Inc.
RTX 3060でレイトレ&60fps設定の画面サンプル
(C)2021, Epic Games, Inc.

 フレームレート優先の画面は、影がバッサリとカットされ、光りの処理も簡素化されているのが分かる。しかし、3D解像度が100%なので粗さは感じず、描画距離が「遠い」設定なので遠くまでしっかりと見えており、プレイには支障がない。レイトレーシング有効時は最高画質とあまり変わらないように見えるが、炎周辺の影がボヤッとしているなどよりリアルな表現になり、右側の壁にも光が回り込むなど表現力が増している。

もっとも身近な最新世代のレイトレ対応GPU

 レイトレ有効でフォートナイトをプレイするときにそのポテンシャルを見せたRTX 3060。最後に、いわゆる“AAAタイトル”における性能もチェックしておこう。テストしたのはレイトレ対応の重量級ゲーム「サイバーパンク2077」。今回は街の中で一定の動作をした際のフレームレートをCapFrameXで測定した。

サイバーパンク2077の計測結果

 レイトレーシング用のRTコアが進化したRTX 3060の威力が存分に発揮され、RTX 2060 SUPERよりもフルHD解像度は約16%もフレームレートが上回った。ほぼ平均60fpsに到達しており、DLSSを有効化することでレイトレーシングの美しさを存分に味わいながら快適にプレイできるパワーがあることが分かる。

 また、ゲームプレイ時のGPUクロックと温度の推移もチェックしていこう。サイバーパンク2077を20分間プレイしたときのGPUクロックと温度をモニタリングアプリの「HWiNFO64」で測定した。

サイバーパンク2077プレイ時のGPUクロックと温度の推移

 GPUクロックはほぼ1,865Hzで固定。ゲームプレイ時は公称ブートクロックを上回るのはそれほどめずらしくことだが、クロックがほとんどブレないというのはクーラーの設計のよさの賜物だろう。RTX 3060ならもう少し高いクロックで回してもよさそうではあるが、安定重視の設計としているのかもしれない。クロックが安定しているので、GPU温度も67℃以上になることはなく、長時間のゲームプレイでも安心だろう。

 フォートナイトやサイバーパンク2077のテスト結果を見るに、RTX 3060は、エンジンが旧型になりつつある3DMarkのようなちょっと古めのタイトルではなく、レイトレのような最新の技術を取り入れた最新タイトルをプレイすることにより、その真価を発揮すると言えそうだ。今後登場するであろうレイトレ対応のタイトルでもその性能が発揮されることを期待したいところだ。

 そんなRTX 3060を搭載したZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCは、ツインファンのRTX 3060搭載カードとしては比較的コンパクトで扱いやすく、厚さを2スロット分に抑えつつも十分に冷えるクーラーで確実にGPUの性能を発揮させてきている。ハデさはないが、堅実な作りで多くのユーザーにオススメしやすい1枚と言えるだろう。

[制作協力:ZOTAC]