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HDD搭載のThinkPad X270を2TB SSDに換装、超大容量化かつ速度は最大5倍ほど高速化!

SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大

 今回SSD換装の事例として使用するのは、第6世代モバイルCoreプロセッサーを搭載するLenovo「ThinkPad X270」。

 2017年に発売されたモバイルビジネスノートPCで、ストレージには500GBの2.5インチSATA HDDが搭載されており、今回はこれを2TBのSSDに換装し、大容量化と合わせて高速化を狙ってみたい。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。

ThinkPad X270をSSDに換装、2TB SSDで大容量/高速化

 今回のレビュー使用するThinkPad X270は、2017年にLenovoから発売されたビジネス向けのノートPC。型番「20K5S0EF00」のモデルを使用している。

 中古品として入手したもので、新品の状態からは変更が加えられているかもしれないが、今回のモデルにはCPUに2コア4スレッドのCore i5-6300U(ベース2.4GHz)、メモリにDDR4-2133 8GB、ストレージにHDD 500GBが搭載されていた。

 ディスプレイは12.5インチ/1,366×768ドット。HDMIや1000BASE-T有線LAN、USB Type-Cなど豊富なインターフェイスを搭載している。OSはWindows 10 Proがインストール済みとなっていた。

 2コアCPUで重い処理には向かないが、ストレージを強化すれば軽い作業や普段使い用には問題無い性能を持っていると言えるだろう。

Lenovo ThinkPad X270 (20K5S0EF00)
CPUCore i5-6300U(2コア/2.4GHz/最大3GHz)
メモリDDR4-2133 8GB×1
ストレージHDD 500GB
GPUIntel UHD Graphics 520
ディスプレイ12.5インチ/1,366×768ドット
OSWindows 10 Pro 64bit

搭載されていたのは2.5インチHDD「東芝 MQ01ACF050」

 ThinkPad X270に搭載されていたHDDだが、今回の個体には東芝のMQ01ACF050が装着されていた。SATA接続の2.5インチHDDで、容量は500GBだ。

PCに搭載されていた東芝MQ01ACF050。
CrystalDiskInfoによるステータス。7,200rpm、6Gbps SATA対応。

換装に使うのは2TB/SATAのSamsung SSD 870 QVO

 今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 870 QVOの2TBモデル「MZ-77Q2T0B/IT」。最大速度リード560MB/s・ライト530MB/sのSATA接続モデルで、インターフェイスはSATA 6Gbps。

Samsung SSD 870 QVO(MZ-77Q2T0B/IT)。
CrystalDiskInfoによるステータス。

 Samsung SSD 870 QVOは1TB~8TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。

HDDからSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介

 ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。

 2.5インチSSD用の外付けケースは税込千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。

換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう

 PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。

 今回使用している外付けケースはORICOの2577U3-BK。2.5インチストレージに対応したUSB 3.2 Gen1接続のケースで、ツールレスでネジを回す必要がなく容易にストレージを取り付けることができる。

●1 SSD外付けケース「2577U3-BK」と換装するSSDを準備。
●2 SSD外付けケースのふたを外す。
●3 基板にSSDを装着したらケースのふたを閉める。今回のSSD外付けケースはツールレスなのでネジ止めする必要はない。
●4 PCに接続すれば準備完了。
2.5インチドライブ用外付けケースの注意点

 2.5インチ用の外付ケースの場合、厚みに関わらず利用可能な物がほとんどだが、ごく稀に7mm厚のものしか入らなかったりするなど、物理的な相性が出る場合もある。使用するSSD/HDDが何mm厚なのか、ケース側の対応状況も念のため確認してから購入しよう。

データ移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0で簡単に

 今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。

 Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。

●1 Samsung公式サイトのSSDツールとソフトウェアのページから「Samsung Data Migration 4.0」をダウンロードする。
●2 Samsung Data Migration 4.0をセットアップし、起動させる。
●3 画面下側にあるターゲットドライブの項目を指定する。移行先のSSD(今回はSamsung SSD 870 QVO)を選択しよう。
●4 移行先のドライブのデータが全て消去される旨のダイアログが表示されるのでOKを選択。なお、安全にデータ移行を行うため、他のアプリケーションを起動したり、ながら作業をするのはやめよう。
●5 進行状況はプログレスバーで表示される。ちなみに、移行データの容量は約32GB。進行99%までは8分ほどだったが、最終的な処理にここから数分かかり、作業が完了するまでは15分ほどかかった。
●6 データのコピーが完了すると自動的にPCはシャットダウンされる。

ThinkPad X270の分解難易度はかなり容易、精密ドライバーさえあればストレージ換装は簡単

 ここからはThinkPad X270の分解になるが、工具は精密ドライバー(プラス)とヘラが必要なので準備しておこう。

 SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。

●1 ThinkPad X270の背面パネル側。
●2 ThinkPad X270の内部。まずはバッテリーパックを外そう。
●3 パネルを固定する8本のネジは全て精密ドライバーだけで外せる。紛失しないように注意しよう。
●4 ネジを外したら、ヘラを入れれば簡単に隙間ができるのでそのまま持ち上げればパネルが外れる。左下のフィルムに包まれているのがHDDだ。

 背面パネルのネジを精密ドライバーで全て外す。一部はツメで固定されているが、ヘラを使って隙間を作れば容易に取り外せる。

 パネルを外した時点でHDDは見えており、固定はネジ1本となっている。

●5 HDDを固定しているネジを外す。
●6 ネジを外すとマウンタごと外せる。SATAケーブルは接続されているままなので、ケーブルを破損しないよう注意しよう

 SATAケーブルを外したら、ゴム製のマウンタからHDDを取り外そう。

●7 ケーブルを破損しないようにSATAコネクタを外そう。
●8 ケーブルを外したらゴム製マウンタをHDDから取り外す

 後は手順を逆にSSDを装着し、背面パネルとバッテリーを元に戻せば作業は完了。起動確認を行おう。

●9 マウンタにSSDを取り付けて本体に戻す。
●10 固定ネジを止めるのを忘れずに。
●11 背面パネルを戻し、ネジを締めれば作業は完了。
●12 PCが正常に再起動すれば成功だ。換装したストレージが適用されるまで多少の間があるがそれほど待たずに再起動は完了する。

 冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。

 とはいえ、ストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買換えるよりも、SSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。また、今回のようにメンテナンスが容易なモデルであれば換装そのものも容易なので試してみる価値はあるだろう。

SSD換装でシーケンシャルアクセスは速度は約5倍に、体感速度も大幅に向上

 実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と起動速度、ベンチマークの結果を紹介する。

2TB SSDで空き容量に余裕、長く使えてゆとりのある環境に

 まずは容量の面だが、ThinkPad X270には500GBのHDDが搭載されており、リカバリー領域などを除いてシステム上から見た容量は約465GBで、空き容量は約430GBほど。

 データをため込んだりしなければある程度ゆとりがあるが、画像や動画、音楽などを意識せず保存していくと埋まってしまう容量だろう。

 今回は2TBのSSDに換装することで、空き容量は約1.77TBとなった。これだけあれば空き容量を気にせず長期間使うことができるだろう。

換装前の500GB HDD「TOSHIBA MQ01ACF050」。空き容量は約430GBで、ソフトウェアなど一式入れて、写真や動画なども保存していると、意外にゆとりがなくなる容量だ。
換装後の2TB SSD「Samsung SSD 870 QVO」。空き容量は約1.77TBで、大容量ファイルなどを置いても空き容量は十分。データを入れっぱなしにできるゆとりがある。

HDDからSSDへの換装で速度は大幅アップ、ランダムアクセスの大幅向上で快適さは別物

 HDDからSSDへの換装は速度面での効果が非常に大きく、メリットが大きい。

 今回のケースでもそれは数値に表れており、ベンチマークの結果は全項目で換装後の方が高速となり、シーケンシャルアクセスは約5倍、ランダムアクセスでは比較にならないほどの差が出る結果となった。HDDからSSDへの換装は、数値だけで無く体感速度もかなり向上するので、非常に効果的だ。

換装前の500GB HDD「TOSHIBA MQ01ACF050」。
HDDとしてはシーケンシャルアクセスはそれなりに速度が出ている。
換装後の2TB SSD「Samsung SSD 870 QVO」
ほぼ期待値通りの数値が発揮された。

OS起動時間は約4倍高速化、待ち時間を大幅に短縮

 HDDからSSDへの換装で一番体感速度の向上が実感できるものと言えば「PCの立ち上がりにかかる時間の差を比較する」のが鉄板だろう。ということで、SSD換装前とSSD換装後で電源ボタンをONにしたタイミングからスタート画面が表示されるまでにかかる時間を計測してみた。

 結果として、換装前のHDDでは起動までに約1分強を要した。一方、換装後のSSDでは15秒で起動が完了し、大幅に高速化している。

 SSDへの換装後は、デスクトップ画面表示後にすぐ操作しても問題なくサクサクと操作でき、体感速度や快適性の面で大きな違いがある。ソフトウェアの各動作やファイル保存など、要所で速度面における快適さを感じられるので、SSD化の恩恵を様々な面で感じられるだろう。

HDD搭載機はSSDへの換装を強くオススメ

 ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。

 今回とりあげたLenovoのThinkPad X270は、8GBメモリに第6世代モバイルCoreプロセッサーを搭載し、バッテリー交換が容易に行えるため、製品自体は長く使い続けられる。長く使うという観点で見ると、SSDは物理的な衝撃にも強いので、故障率を下げるという面でも効果があるだろう。

 古いPCのSSD換装は、追加コストを抑えつつ快適さを手に入れられる有効な手段だ。特にHDDを搭載しているPCのSSD換装は体感面でも大きな変化があるので、使用しているPCにモタつきなどを感じているのであれば検討してもらいたい。

 なお、現在、Samsung 870 QVO 1TBとORICO製のUSB 3.2 Gen1対応外付けケースのセット品が販売されている。SSDの換装を検討しているユーザーは是非活用してもらいたい。

[制作協力:Samsung]