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“27型+WQHD+高速”がゲーミングモニターの最適解!MSI「Optix G273QPF」はどんなゲームも快適だ!!

165Hz&1msのスピードと高fpsが出しやすいWQHDで操作性も映像美も優秀 text by 芹澤 正芳

MSIの「Optix G273QPF」。実売価格は53,000円前後

 液晶ディスプレイの一大ジャンルとしてすっかり定着した“ゲーミング液晶”。なかでも、机などに設置しやすいサイズ感、普段使いとゲームの両方での利便性、そしてもちろんFPSやTPSといったゲームをプレイする際のレスポンスのよさといった点で優れ、2021年のトレンドとなっているポイントが、“27型”、“WQHD解像度”、“高リフレッシュレート”の3点だ。

 従来のゲーミング液晶のスタンダード仕様と言えば、高リフレッシュレートでフルHD。しかしこのスペックだと、ゲームのプレイには向いているが、テレワークや自宅学習なども含めた“普段使い”にはもう少し解像度が欲しいところ。とはいえ、4K解像度までいってしまうと、普段使いには申し分ないが高画質でのゲームプレイには最高クラスのグラフィックス性能が必要になってしまい、PCのコストが跳ね上がる。それに4K&高リフレッシュレートの液晶となるとまだまだ相当の高嶺の花だ。

 以上のことから、現在はWQHDがバランスのよい解像度と考えるのが妥当だろう。さらに、27型あれば、Windows上でスケーリング(表示スケール)を推奨の125%にして密度感の高いなめらか表示画質の設定にできるし、100%にして情報量重視の設定にしても十分視認性が確保できる、と使い勝手のよさも光る。そして、ゲームプレイを快適にするなら高リフレッシュレート駆動や高速な応答速度といった仕様を備えた高性能パネルも、27型/WQHDなら現実的な価格帯で入手できる。これら押さえるべきところをバッチリ押さえた製品が、今回紹介するMSIの「Optix G273QPF」だ。

165Hz&1msの高速駆動でどんなゲームもイケる!

 MSIの「Optix G273QPF」は、27型でWQHD解像度のゲーミング液晶。最大の特徴は高画質かつ高速応答を実現するMSI独自の「RAPID IPSパネル」を採用していることだろう。IPSパネルは視野角が広く色の再現度も高いが応答速度が遅いためゲームに向かないと言われてきた。最近は高速なIPSパネルも増えているが、なかでもRAPID IPSは1ms(GtoG)という高速な応答速度を実現している。さらに、この製品は165Hzという高リフレッシュレートに対応しているため、1フレームの表示時間は最短で約6ms(1000ms÷165Hz)と非常に短くなる。高リフレッシュレートになるほど応答速度が遅いと画面のブレにつながるが、1msのRAPID IPSならその心配はかなり小さくなるというわけだ。

 垂直、水平とも178度の広視野角で、国際的な標準色規格の「sRGB」のカバー率99%、主に映画撮影に用いられている色空間「DCI-P3」のカバー率93%とIPSパネルらしく色の再現性にも優れている。ただ、HDRには対応していないのが残念なところ。

写真ではなかなかお伝えしにくいが、IPS系パネルなので発色がよく、垂直/水平方向の視野角も優秀。かなり横から見ても色の変化はほとんどない

 このほか、テアリング(画面ズレ)を防ぐ機能としてNVIDIAのG-SYNC Compatibleをサポート。ゲームのフレームレートに合わせて、リフレッシュレートを自動的に調整してくれる。Optix G273QPFは現在のリフレッシュレートをリアルタイムに表示できる機能も備わっているので、G-SYNC Compatibleが有効に働いているのか確かめやすいのも便利なところだ。

リフレッシュレート165Hzに対応
NVIDIAのG-SYNC Compatibleをサポート
リフレッシュレートの変化をリアルタイムに表示も可能。可変リフレッシュレートの挙動を確認したいときに便利

暗部補正、残像軽減などとゲーマー向け機能を網羅

 ゲームプレイをより快適にする機能は多数あるが、分かりやすいのが暗部を明るくする「ナイトビジョン」だ。FPSやTPSで効果的な機能で、暗い場所にいる敵を見付けやすくなったり、屋内や洞窟内の構造を把握しやすくなる。“通常”、“強い”、“最も強い”の3段階で調整できるほか、画面に合わせて自動調整する「A.I.」設定も用意。ただ、A.I.は場所によって明るくなったり暗くなったりと画面変化が大きくなるため好みは分かれそう。筆者としては“強い”や“最も強い”設定がプレイしやすかった。

ナイトビジョン無効の状態(画面左)と“最も強い”設定にした場合(画面右)のイメージ。実際のゲームで体感してみるとこのくらいの差が付く

 もう一つはアンチモーションブラー(ブレ軽減)機能で、OSDメニューの「MPRT」をONにすると有効になる。この機能は、フレーム間に目にはほとんど見えない速度で赤色を挿入することで残像感を軽減するというもので、単色を挿入するためもとの映像より若干暗くなるが、素早く敵が動くなど高速な描画が求められるシーンでもブレを感じなくなり、ぐっと見やすくなる。ただし、G-SYNC Compatibleと同時使用はできないので、実際に使用してみて、好みや効果の感じ方、ゲームタイトルによって使い分けるのがよいだろう。

OSDメニューで「MPRT」を有効(ON)にするとブレを軽減できる
フレーム間に赤色を挿入するため輝度は若干落ちるが、残像感はぐっと軽くなる(画面はイメージ)

 なお、ディスプレイに関する設定のOSDメニューは背面にあるスティックを押し込むことで呼び出せる。「ゲームモード」には、FPSやレースゲーム、RTS、RPGに最適なカラー設定がプリセットで用意されているほか、現在のリフレッシュレートの表示と位置の指定、画面中央に照準の表示してFPSやTPSで敵を狙いやすくなる「スクリーンアシスタント」といった機能も用意されている。ブルーライトの軽減も可能だ。

背面のスティックでOSDメニューを呼び出せる
OSDメニューは画面右下に表示される

 また、押し込まずスティックを上下左右に動かすことでショートカットメニューを呼び出せる「Naviキー」機能も用意。スティックを右に倒すと入力切り換えのメニューが表示されるといった具合だ。これを利用すれば、PCとゲーム機など複数のデバイスを接続していてもサッと切り換えられる。ちなみに割り当てる機能は自由に変更が可能だ。

 なお、Windows上で動作するアプリとして「Display Kit」も用意されているが、解像度やリフレッシュレート、カラーなどごく一部の設定しか変更できない。OSDメニューを活用するほうがよいだろう。

スティックの上下左右にはショートカットの割り当ても可能。写真は入力切り換えを呼び出したところ
アプリの「Display Kit」も用意されているが、設定できる機能はごく一部

 消費電力についても触れておこう。スペック上では使用時32Wとなっているが、サンワサプライのワットチェッカーを使って調べたところ、輝度やコントラストはデフォルト設定でリフレッシュレートを165Hzにした場合は26W、60Hzの場合は24Wだった。ゲームをプレイしないときに少しでも消費電力を抑えたいなら、60Hzに変更するのもアリだろう。

高機能なスタンドにも注目

 スタンドは高機能だ。高さを13cmの間で調整でき、チルト(下方向-5度、上方向+20度)、スイベル(-45度から45度)も可能。画面を90度回転できるピボットにも対応する。座る姿勢やクセ、ディスプレイまでの距離などに応じた最適なセッティング、ゲーム以外の用途にも対応できるものだ。

高さは13cmの間で調整できる
チルトは-5度から+20度まで動かせる
スイベルは左右45度まで動かせる
画面を縦にできるピボットもサポート
スタンドはがっしりとして安定感十分。また背面側にハデなLED演出はない。スタンドの下部にはケーブルをまとめておける穴が用意されている
モニタアームなどを取る付けるためのVESAマウントにも対応。スタンド固定部分がくぼんでいるので、付属のスペーサネジを取り付けてから使用する

 映像の入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2×1が用意されているため、PCとゲーム機の同時接続も可能だ。PS5とXbox Series Xに関しては、フルHD解像度での120Hz動作をサポートしているとのことで、PCゲーム以外への対応もバッチリ。スピーカーは非搭載だが、ヘッドホン出力を備える。ゲーム中はわずかな物音にも注意をすべくヘッドホンを使いたい、ゲーム+ボイスチャットのためにヘッドセット使用、といったプレイスタイルの人も多いだろうということを考えると、コスト削減という面でも妥当な構成だろう。

背面の端子類。PCはDisplayPort、ゲーム機はHDMIに接続。いずれも高リフレッシュレートが活かせる。電源はACアダプタを使用

使い勝手のよいゲーミング液晶を求めるなら

 165Hzの高リフレッシュレートに1msの応答速度とFPSやTPSで勝ちにこだわれる高速描画が可能なのに加え、設置しやすい27型で解像度もWQHDと高め。ゲームにも普段使いにもピッタリの性能とサイズを備えたバランスのよいゲーミング液晶に仕上がっている。ナイトビジョンやアンチモーションブラーなど機能も充実しており、予算5万円プラスアルファで高解像度のゲーミング液晶が欲しいとなれば、有力候補になる1台だ。

[制作協力:MSI]