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Core i9-12900Kもしっかり冷える!液晶付き水冷クーラー「CORSAIR iCUE H150i ELITE LCD」

液晶xRGB LEDのイルミネーションも美しいLGA1700対応クーラー text by 坂本はじめ

 CORSAIRの「iCUE H150i ELITE LCD」は、カスタマイズ可能なアニメーション表示に対応した液晶ディスプレイ(LCD)を水冷ヘッドに搭載した新作オールインワン水冷クーラーのひとつで、360mmサイズのラジエーターを備えた高性能モデルだ。

 今回は、iCUE H150i ELITE LCDのLCD表示機能やイルミネーション機能を確認しつつ、最大ブースト動作時の発熱の大きさで知られる電力リミット開放状態のIntel Core i9-12900Kに搭載。Alder Lake最上位モデルをどこまで冷やせるのかチェックしてみた。

水冷ヘッドに2.1型LCDを搭載する新型360mmオールインワン水冷

 CORSAIR iCUE H150i ELITE LCDは、水冷ヘッドに2.1型IPS液晶パネルを搭載するCORSAIRの新作オールインワン水冷クーラー「iCUE ELITE LCD」のひとつで、120mmファンを3基標準搭載する360mmラジエーターを採用したCPUクーラーだ。

iCUE H150i ELITE LCD本体。iCUE ELITE LCDシリーズの360mmラジエーター採用モデル。
水冷ヘッドには、円形の2.1型液晶ディスプレイ(LCD)を搭載している。
LCDユニットはマグネットで固定されており着脱が可能。ただし、LCDユニットはポンプの動作に必須なので使用時はLCDユニットを必ず取り付ける必要がある。
LCDユニットのケーブル。制御ユニット(iCUE Commander CORE)接続用コネクタ、回転数出力用の3ピンファンコネクタ、USB 2.0ヘッダー用コネクタ。
120mmファン3基を横並びで搭載できる360mmサイズのラジエーターを搭載。
標準で3基の120mmファン「iCUE ML120 RGB ELITE」が付属。アドレッサブルRGB LEDを搭載しており、ファンスピードは450~2,000rpm(±10%)。

 Intel最新のデスクトップ向けCPU「Alder Lake」に正式対応しており、対応CPUソケットはIntelのLGA1700/1200/115x/2066/2011と、AMD Socket AM4/AM3/AM2/sTRX4/TR4。冷却ファンには、静圧とエアフローの直進性を高めるCORSAIR AirGuide テクノロジーと磁気浮上ベアリングを採用する新作120mmファン「iCUE ML120 RGB ELITE」を3基標準搭載している。

CORSAIR AirGuide テクノロジーに基づくアンチボルテックス羽根を装備したiCUE ML120 RGB ELITEは、高い直進性と静圧を実現するという。
iCUE ML120 RGB ELITEのケーブル。4ピンファンコネクタ、RGBコネクタ。
制御ユニットの「iCUE Commander CORE」。水冷ヘッドとの通信コネクタの他、4ピンファンコネクタとRGBコネクタを6基ずつ備えている。
iCUE Commander COREのケーブル。USB 2.0ヘッダー用コネクタ、SATA電源コネクタ。
リテンションキット。Intel最新のLGA1700をはじめ、IntelとAMDの主要なプラットフォームをサポートしている。(Intel LGA1700/1200/115x/2066/2011、AMD Socket AM4/AM3/AM2/sTRX4/TR4)
水冷ヘッドとiCUE Commander COREで合計2系統のUSB 2.0ヘッダーに接続する必要のあるiCUE H150i ELITE LCDには、USB 2.0ヘッダーの分岐ケーブルが同梱されている。

2.1型LCDとRGB LEDによる美しい「LCDライティング × LEDイルミネーション」

 iCUE H150i ELITE LCDが水冷ヘッドに搭載するLCDは、600cd/平方mの高輝度IPS液晶パネルで、リフレッシュレートは30Hz、24bitフルカラー表示に対応する。LCDの外周部には24個のLEDを備えるアドレッサブルRGB LEDリングが配置されており、LCDライティングとRGB LEDイルミネーションでPCを彩ることができる。

水冷ヘッドに搭載された2.1型高輝度LCDは、ハードウェアモニターやGIFアニメーションなどを表示できる。
LCDの外周部には、24個のLEDを備えるアドレッサブルRGB LEDリングを搭載。

 このLCDはCORSAIRの統合ユーティリティ「iCUE」で表示内容をカスタマイズ可能で、冷媒温度やCPU温度などを表示するハードウェアモニターとしての利用や、ユーザーが用意した画像やGIFアニメーション(480×480ピクセル、30MB以下)を表示することができる。

水冷ヘッドのLCDとRGB LEDは、統合ユーティリティ「iCUE」で制御できる。ハードウェアモニターとして利用できるほか、任意の画像やGIFアニメーションを表示することができる。
2.1型高輝度LCDとRGB LED搭載ファンは連動して動作させることが可能で、統一感のある美しいイルミネーションを楽しむことができる。

 イルミネーションの美しさは動画で見た方がわかりやすいので、是非確認してもらいたい。動画では標準的なライティングを紹介しているが、自分好みに作りこんでカスタマイズすることもできるので、ユーザーのセンス次第でより美しいライティングを楽しむこともできる。

【CORSAIR iCUE H150i ELITE LCDのイルミネーションテスト】

新型360mm水冷は最大ブースト状態のCore i9-12900Kを冷やせるのか?iCUE H150i ELITE LCD冷却性能テスト

熱いといわれるリミッター解除状態のCore i9-12900Kが冷却できるのかテストしてみた。

 ここからは、iCUE H150i ELITE LCDをIntelのAlder Lake最上位モデル「Core i9-12900K」に搭載し、その冷却性能を確認していく。

 ブースト動作時の最大消費電力であるMTP(Maximum Turbo Power)に「241W」という数値が設定されているCore i9-12900Kは、最大ブースト動作中の発熱量と熱密度が現代のCPUの中でもトップクラスであり、もっとも冷却が難しいCPUのひとつだ。これを冷やしきれたなら相当に優秀な冷却性能を備えたCPUクーラーであると言える。

 さらに、今回用意したCore i9-12900K環境では、マザーボードのGIGABYTE Z690 UDが電力リミットを標準で「Unlimited」、すなわち「電力リミットフリー」に設定しているため、MTP値の241Wを超える電力消費を許容された状態となっている。電力によるブースト動作の制限を受けないCore i9-12900KをiCUE H150i ELITE LCDが冷却できるのかに注目だ。

 テスト時の室温は約24℃で、iCUE H150i ELITE LCDのファンを「100%」、ポンプを「最速」に設定したフルスピード状態と、すべて「安定」に設定した状態の2パターンでテストを実行した。負荷テストはCPUに高負荷をかけるCINEBENCH R23の「Multi Coreテスト(最低実行時間10分)」で、CPU温度などのモニタリングデータはHWiNFO64 Pro v7.14とiCUEのモニタリング機能で計測した。

 ベンチマーク実行中の平均CPU温度と最高CPU温度をまとめたものが以下のグラフだ。

 「安定」設定での平均温度は91.4℃で、最高温度は96℃。フルスピード設定での平均温度は84.4℃で、最高温度は89℃。Core i9-12900Kでサーマルスロットリングが作動する温度は100℃なので、どちらの動作設定でもサーマルスロットリングの作動範囲外のCPU温度を維持できている。

 ベンチマーク実行中のモニタリングデータを動作設定毎にまとめたものが以下のグラフ。

 どちらの設定でもCPUの動作クロックは、Pコア=4.9GHz、Eコア=3.7GHzで終始一貫しており、温度データからも伺えた通りサーマルスロットリングは発生していない。

 ファンとポンプのスピードについては、「安定」設定のファンスピードは最大1,370rpmまで上昇し、ポンプスピードは終始2,470rpmだった。一方、フルスピード設定のファンスピードは終始約2,000rpmで、ポンプスピードも約2,660rpmで一定だった。

「安定」設定。(ファン=安定、ポンプ=安定)
フルスピード設定。(ファン=100%、ポンプ=最速)

 少々興味深いのは、「安定」設定での消費電力(CPU Package Power)は平均241.8Wで、最大247.3Wであるのに対し、フルスピード設定では平均230.7W、最大239.6Wとなっている点だ。

 CPUは基本的に動作温度が高いほど消費電力も増加するので、「安定」設定の方が高い数値となっていること自体は不思議ではないのだが、増加した消費電力がMTP値を超えているため、リミットがかかっている状態では電力リミットによるスロットリングが作動する可能性がある。Core i9-12900Kの性能を最大限に引き出したいのであれば、温度上限の範囲内であってもより低い温度に冷やした方が良さそうだ。

イルミネーションの美しさも冷却性能も両立した360mmオールインワン水冷Alder Lakeにも安心して使えるCORSAIRの新型水冷クーラー

 iCUE H150i ELITE LCDは、水冷ヘッドに搭載されたカスタマイズの自由度が高いLCDと、アドレッサブルRGB LEDによる鮮やかなイルミネーションによって、PCをドレスアップできるオールインワン水冷クーラーだ。特に、自前の画像やGIFアニメーションを表示できるLCDの存在は、オリジナリティのあるビジュアルを実現したいユーザーにとって魅力的だ。

 冷却性能についても、最大ブースト動作中のCore i9-12900Kを十分に冷却できるほど確かな性能を備えている。多くのタワー型ケースで利用可能な360mmというラジエーターサイズ的にも、Alder Lakeの上位モデルを使ったPCの構築を考えているユーザーにとって、iCUE H150i ELITE LCDはビジュアルと性能を兼ね備えた有力な選択肢となるだろう。

[制作協力:CORSAIR]