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湾曲、量子ドット、PS5の120Hz入力、Type-C入力……PCもゲーム機も満喫できるMSI「MPG ARTYMIS 273CQRX-QD」

1台で何でもいけるWQHD/240Hz対応のゲーミングモニター text by 芹澤 正芳

 数多くのゲーミングモニターを手がけているMSIから、FPS/TPSをヌルヌルとした動きでプレイしたい、没入感を高めたい、映像をもっと美しくしたい、PS5の120Hz駆動に対応してほしい、テレワークのためにノートPCとType-Cで接続したい、デスクトップとノートPCで共通のマウスとキーボードを使いたい、なんて幅広いワガママにすべて応えてくれる新製品が登場した。それがここで紹介する「MPG ARTYMIS 273CQRX-QD」だ。

MSIのMPG ARTYMIS 273CQRX-QD。実売価格は90,000円前後

量子ドット採用の大型湾曲パネルで没入感がさらにアップ!

 MSIのMPG ARTYMIS 273CQRX-QDは、27型サイズでWQHD解像度のゲーミングモニターだ。最大の特徴は「量子ドット」採用で1000Rの「湾曲」仕様であること。量子ドットは光の波長変換に優れる半導体結晶で、色の再現性を飛躍的に向上させられるのが強み。色空間「DCI-P3」のカバー率が95%、標準的な色空間「sRGB」のカバー率は99%だが、実際に画面を見ると一般的な液晶に比べてて明らかに色鮮やかに感じる。色のメリハリがしっかり出ているのが素晴らしいところだ。DisplayHDR 400認証とHDRコンテンツも楽しめる。

 量子ドット自体はハイエンドクラスの液晶を中心に採用例は増えているが、1000Rの湾曲となると非常に珍しくなる。一般的な平面タイプの27型サイズだと、机の上に置いたときに両側面まで視界に収めるのは難しいが、1000Rの湾曲があれば画面のすべてを視野に入れやすくなるのがメリット。FPS/TPSならば戦況を把握しやすくなるし、レースゲームやRPGなら没入感をアップできる。色鮮やかで没入感がある。これがMPG ARTYMIS 273CQRX-QDの大きなウリなのは間違いないだろう。

1000Rの湾曲パネルを採用。量子ドットとの組み合わせにより、高い没入感を体験できる
DisplayHDR 400認証なのでHDRに対応したゲームや映像を楽しめるのもうれしいところ

 ゲーミングモニターとしての基本機能も高い。リフレッシュレートは240Hzと高く、応答速度も1ms(MPRT)と高速だ。4Kの高リフレッシュレート液晶の価格も下がってきてはいるが、実際のゲームで4K時に144fps以上を維持するにはかなりハイスペックなPC(とくにビデオカード)が必要になる。その点、WQHDであれば、高リフレッシュレートを活かせるフレームレートを維持するために必要なスペックはだいぶ緩和されるだろう(それでも240fpsはなかなかのハードルではあるが……)。

 また、ディスプレイとビデオカードのフレームレートを同期させることで、テアリング(画面ズレ)を防ぐ可変リフレッシュレート機能はAMDのFreeSync Premium Proに対応する。NVIDIAのG-SYNC Compatibleへの対応はうたわれていないが、筆者が試す限り、問題なく動作した。なお、パネルはVA方式で、視野角は上下左右とも178度と広い。

リフレッシュレートは最大240Hzに対応。なお、240Hz動作はDisplayPort接続時のみ。HDMI接続時は最大144Hzだ
NVIDIAのG-SYNC Compatibleも有効化でき、問題なく動作した

FreeSyncと残像感軽減の同時使用が可能

 ゲーミングモニターでは定番と言える暗部を明るく自動補正してくれる「ナイトビジョン」、FPS/TPSでAIMしやすいように画面中央にマークを表示させる「Smart Crosshair」、映像の残像感を軽減する「MPRT」も用意している。

 MPRTは、フレーム間に目には見えない速度で黒色を挿入して液晶特有の残像感を軽減する機能。アンチモーションブラーとも呼ばれる機能で、明るさは多少落ちてしまうものの、残像感の軽減効果はしっかりと実感できる。多くのゲーミングモニターでMPRTは可変リフレッシュレートと排他となっているのが、本機は同時使用が可能。より快適なゲームプレイ環境を構築できるようになっている。

画面の中央に狙いを付けやすくするマークを出す「Smart Crosshair」
MPRTと可変リフレッシュレート(画面のAdaptive-Sync)を同時使用できる

 このほか、画面の中央部分を拡大する「Optixスコープ」も搭載。Smart Crosshairと組み合わせることで敵に狙いをより付けやすくできるが、拡大によって逆に見えにくくなる部分も存在してしまう。ユニークな機能であるので、一度試して見るのもよいだろう。

アプリのGaming OSDで設定ラクラク

 ディスプレイに関する設定はディスプレイ背面のスティック(Naviキー)を押し込むことで呼び出せるOSDメニューで行なえる。しかし、Windows PCと組み合わせるならアプリの「Gaming OSD」を使うのが便利だ。輝度やコントラストの調整をはじめ、ナイトビジョンやMPRTの有効無効など、すべての設定をWindows上で手軽に行える。

OSDメニューは背面のスティックで呼び出しと操作が行なえる
Windows上で設定が行なえるアプリ「Gaming OSD」

 “FPS”、“レーシング”、“RTS”、“RPG”とジャンル別のプリセットが簡単に選択・切り換えできるほか、背面にある「Macro Key」に割り当てる機能が用意されている点も便利。入力ソースの変更、PIPモードやPBPモード、Optixスコープなどの有効無効の切り換えなどを割り当てられる。背面にあるLEDの制御も可能だ。なおGaming OSDは、PCとUSBケーブルで接続しないと使用できないので、セットアップ時に忘れないように注意。

2種類の画面ソースを表示できるPIPやPBP機能の設定も行える
背面にあるMacro Keyを押した時の動作の指定も可能だ

 このほか、本体の下部には明るさセンサーとマイクを内蔵。このセンサーによって周囲の状況に合わせて明るさを自動的に調整する「Smart Brightness」機能を実現している。また、マイクにはキーボードの打鍵音などノイズをカットする「Sound tune」機能があり、快適なボイスチャットが楽しめるのもポイントだ。

本体の下部に明るさセンサーとマイクを内蔵

ヘッドセットやマウスケーブルの固定など、ゲーマーがちょっと便利なギミックも!

 本体の右側面にはヘッドセットを引っかけておける「ヘッドセットハンガー」が内蔵されているほか、有線マウスのケーブルの引っかかりや抵抗感を軽減するマウスバンジーを付属し、パネルの下部に取り付けできるなど、ゲーミングデバイスをより快適に使うギミックを備えているのも楽しい。

右側面にヘッドセットハンガーが内蔵されている
マウスケーブルの抵抗感を軽減するマウスバンジーを付属。画面下部の左右好きなほうに固定できる

 スタンドは高機能だ。高さを10cmの間で調整でき、チルト(前後首振り、下方向-5度/上方向+20度)、スイベル(左右首振り、±30度)に対応。好みの向きや角度に調整しやすい作りになっている。なお、ピボット(左右回転)には非対応。スタンドにはケーブルを通してまとめておける穴も用意されている。

高さは10cmの間で調整できる
前後の首振りは-5度から+20度まで
左右の首振りは-±30度
スタンドの下部にはケーブルをまとめるための穴がある
付属のネジを使うことでVESAマウント対応のアームやスタンドにも対応できる
背面にはGaming OSDで調整可能なLEDも内蔵

 映像の入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1、Type-C(DP Alt mode)を用意。デスクトップPCやゲーム機に加えて、Type-Cによる映像出力を備えたノートPCとも接続しやすい。USB 2.0対応ハブ(2ポート)やヘッドホン出力も搭載している。

 注目は本機に接続した一つのマウスとキーボードを2台のPCで共有できるKVMスイッチ機能だ。ゲーム用のデスクトップPCとテレワーク用のノートPCとで同じディスプレイを共用するという場合に、同じキーボードとマウスを共有利用できるようになるのが便利だ。USBメモリや外付けストレージをUSBポートに接続しておけば、2台のPCでデータの共有もしやすくなる。

 電源はACアダプタで120Wの出力ということもあり、そこそこ大きめ。モニター本体のサイズは幅607.08mm×奥行き260.88mm×高さ529.32mm、重量は約6.6kgだ。

背面の端子類。ここのUSBポートに接続したデバイスを2台のPCで共有できる
電源は120W出力のACアダプタ。サイズは大きめ

PS5の120Hz駆動もサポート

 HDMI入力によるPS5の120Hz駆動が可能なことを確認した。PS5はWQHD解像度の出力に対応していないが、本機は4K解像度の映像をWQHDにダウンスケール、フルHD解像度の映像をWQHDにアップスケールする機能を備えているため、多くのタイトルで利用できるだろう。手元で試したところ、PS5の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」では、画面設定の“忠実度モード”(4K/30fps)、“パフォーマンスモード”(4K/60fps)、“パフォーマンス+モード”(フルHD/120fps)の3モードがいずれも問題なく利用できた。

アンチャーテッド トレジャーハンターコレクションの「パフォーマンス+モード」(フルHD/120fps)が利用できるなど、本機なら120Hz動作を問題なく楽しめる

ディスプレイに求める機能“全部入り”と言える豪華さ

 WQHDの高解像度で240Hzの高リフレッシュレート、量子ドットの鮮やかな画面、没入感が楽しめる曲面仕様、PS5の120Hz駆動対応、ノートPCと連係しやすいType-C入力を用意し、ノイズカット可能なマイクを内蔵とボイスチャットもしやすい、とおよそゲーミングモニターに求められる機能は全部盛り込んできた製品と言える。基本性能が高く機能も充実しているため、ゲーミングだけではなくテレワークにも便利。ゲーム、仕事、映像視聴のいずれにも対応できる万能ディスプレイを求めているなら、ぜひともチェックしてほしい1台だ。

[制作協力:MSI]