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本当に書き込みが速い外付けSSDとは、タフで動作温度も低い「Samsung Portable SSD T7 Shield」

大容量ファイル書き込み時も1GB/s維持が期待できるUSB 3.2 Gen2接続SSD text by 坂本はじめ

 Samsung Portable SSD T7 Shieldは、USB 3.2 Gen 2に対応した外付けSSD。外装を覆うエラストマーによって、3mからの落下に耐えられる耐衝撃性やIP65相当の防塵防滴性能を備えたタフさを特徴とする製品だ。

 もちろん、タフなのは外装だけではない。NANDフラッシュメモリメーカーであるSamsungが作り上げたこのSSDは「連続書き込みに強い」という特性を実現するため新設計したモデルとされており、大容量のデータを持ち運びたいユーザーにとって魅力的な要素が揃っている。

 今回のテストでは、T7 Shieldの書き込み性能に注目しつつ、データ移動に適したタフな外付けSSDの特徴を確認する。

タフさが売りの外付けSSD「T7 Shield」リード1,050MB/s・ライト1,000MB/sのUSB 3.2 Gen2対応SSD

 SamsungのT7 Shieldは、インターフェイスに10Gbpsの転送速度を実現するUSB 3.2 Gen 2を採用した外付けSSD。

 本体サイズ88×59×13mm、本体重量約98gという薄型軽量でコンパクトな筐体を採用している。容量ラインナップは1TBと2TBで、いずれもリード最大1,050MB/s、ライト最大1,000MB/sという速度を実現。セキュリティ機能としてAES 256ビット ハードウェア暗号化機能を備えている。

 T7 Shield本体が備えるUSB端子はUSB Type-Cで、付属のUSB Type-C to Cケーブル、またはUSB Type-C to Aケーブルを用いることで、PCやMac、Androidデバイス、ゲーム機などで利用できる。

USB 3.2 Gen 2対応外付けSSD「Samsung Portable SSD T7 Shield」。
本体のインターフェイスはUSB Type-C。
USB Type-C to CとUSB Type-C to Aケーブルが同梱されている。
USB Type-C to Cケーブルを接続したところ。本体がかなりコンパクトなことが伺える。

 筐体の外装には耐衝撃性に優れたエラストマー素材を採用しており、3mからの落下にも耐えられるとしている。また、外装はIP65相当の防塵防滴性が得られるように設計されており、筐体内部への粉塵や水滴の侵入を防ぐことができる。SSDを屋外に持ち出して利用する機会の多いクリエイターにとって、このタフな設計は魅力的だろう。

 また、エラストマー素材の表面は滑りにくく熱を伝えにくいので、高温になりがちなデータ転送直後でも持ち運びやすく、机上からSSDが滑り落ちるといった事故も起こりにくい。温度を伝えにくいという特性は放熱性に影響があるように思うかもしれないが、この点については後ほど検証を行っているので確認してもらいたい。

外装に採用したエラストマー素材は柔軟性があって滑りにくく、3mからの落下からでもSSDを保護する耐衝撃性を備えている。
メーカーの製品イメージ画像。T7 Shieldの外装はIP65相当の防塵防滴性能を備えている。

T7 Shieldの1TBモデル「MU-PE1T0R-IT」をテストCrystalDiskMarkではスペック通り1GB/s超えの速度を発揮

T7 Shieldの1TBモデル「MU-PE1T0R-IT」

 今回は、T7 Shieldの1TBモデル「MU-PE1T0R-IT」を使ってテストを行う。

 T7 Shieldを接続するのはCore i9-12900Kを搭載したWindows 11のテスト環境で、ディスクベンチマークの「CrystalDiskMark」を実行した結果、リード最大1,056MB/s、ライト最大1,018MB/sを記録。T7 Shieldがスペック通りの速度を発揮していることを確認できた。

T7 Shield(1TB)のCrystalDiskInfo実行画面。
T7 Shield(1TB)のCrystalDiskMark実行結果。

T7 Shieldは本当に連続書き込みに強い?100GiBの動画で書き込み性能をチェック一般的なUSB 3.2 Gen 2対応外付けSSDと挙動を比較

テストに用いる動画ファイル。10GB×10ファイルで合計約100GBの容量がある。

 ここからは、テストPC側に保存した約100GiBの動画ファイル(10GiB×10ファイル)をT7 Shieldに転送して、連続書き込みに強いというT7 Shieldの特徴をチェックする。

 「連続書き込みに強い」とされるT7 Shieldであれば、大容量の動画ファイルであっても最高速を維持したままデータ書き込みが行えるはずだ。

一般的な外付けSSDの挙動をまずは確認、ピーク性能が出るのは一定の値まで

動画データ転送中の一般的なSSDの挙動。出だしは600MB/s前後で、一定量データが書き込まれると400MB/s前後の速度になっている。

 まずはデータ転送中の一般的な外付けSSD(USB 3.2 Gen2接続/1TB)のデータ転送中の様子を見てみよう。

 上の画像は約100GiBの動画ファイルを転送している時の速度推移だが、転送直後は600MB/s前後の速度が出ているが、一定量のデータが書き込まれると400MB/s前後の速度まで低下している。多くのSSDはキャッシュなどがフルに活用されたピーク性能が公称値とされており、ピーク性能が最後まで発揮されるわけではない。

 ピーク性能がどれくらい維持できるかは、搭載されているDRAMキャッシュの量やNANDチップの速度、SLCキャッシュ領域の容量、搭載コントローラの性能やチューニングなどによって変わってくる。速度の変化も個々のモデルによって違いはあるが、データ転送量に合わせ段階的に速度が落ちていく挙動となるモデルがほとんど。

 ただし、現在のSSDはNVMe SSDであれば7GB/sクラスが最速となっており、1GB/s前後であれば速度を維持できるモデルもある。T7 Shieldも速度低下が少ないことをウリとするモデルの一つで、本当に速度が維持できるのかを見てみるのが今回のテストだ。

一般的な外付けSSDとT7 Shieldでデータ転送時間を比較、同じ1GB/s級外付けSSDでも大きな差が

 T7 Shieldが「連続書き込みに強い」のか、同じ1GB/s級のUSB 3.2 Gen2対応外付けSSDを用意し挙動を実際に比較してみた。

 比較に用意したSSDは上記で挙動を紹介しているもので、リード/ライト約1GB/sをうたう容量1TBの一般的な外付けSSDだ。下のベンチマーク結果はT7 Shieldと比較用SSDの物で、ベンチマーク上の性能はほぼ互角で、比較相手としては申し分ないはずだ。ベンチマークでは同等でも動画データ転送時ではどう変わってくるのかを見て行こう。

T7 Shield(1TB)のCrystalDiskMark実行結果。
比較用SSDのCrystalDiskMark実行結果。T7 Shieldと同程度の速度を発揮している。

 100GiBの動画ファイルを転送するのにかかった時間だが、比較用SSDが4分05秒かかったのに対し、T7 Shieldは1分以上早い2分43秒で転送を完了した。

 平均転送速度はT7 Shieldが657.7MB/sで、比較用SSDは435.8MB/sとなっており、T7 Shieldが比較用SSDの約1.5倍もの平均転送速度を実現している。

 なぜここまで差がつくのかはデータ転送時の挙動を見るとわかりやすい。CrystalDiskMarkではT7 Shieldとを比較用SSDは同程度のパフォーマンスだったが、データ転送中の挙動は異なり、T7 Shieldはほぼ速度低下が起きていないことがわかる。

 「連続書き込みに強い」とされているT7 Shieldだが、実際に転送速度が落ちにくい設計のモデルであることが挙動からわかる。

転送中のT7 Shield。書き込み速度の大きな低下はみられない。

 一般的なSSDの多くは、データ書き込みの際に記憶領域の一部をSLCキャッシュとして確保することで高い書き込み性能を実現しており、キャッシュ容量を超えるデータの書き込みなどを行う際は速度が低下するモデルが多い。なるべく速度を落とさないための対策はいくつかあるが、挙動からT7 Shieldは速度を維持するための工夫がされていることがわかる。

 大容量ファイルの連続書き込みでも速度が低下しにくいというT7 Shieldの特性は、大容量ファイルを扱う機会の多いユーザーにとって魅力的なものであることは疑いない。

表面温度が上がりにくく扱いやすいT7 Shield、動作時の内部温度の上昇も緩やか

 T7 Shieldが外装に採用したエラストマー素材は熱伝導率の高い素材ではないため、手で持ったさいなどに金属筐体より熱が伝わりにくいという特性がある。内部温度が高温になっても、エラストマーのおかげで触れられなくなったり低温火傷になる可能性を軽減するメリットがあるが、動作温度が一定以上になるとサーマルスロットリングが動作するSSDには性能面で不利な部分もある。

 外層のエラストマーの影響によってサーマルスロットリングなどが起きていないのか、実際に100GiBの動画ファイルを書き込む前後の表面温度をサーモグラフィで測定してみた。書き込み前の表面温度は28.6℃で、データ書き込み後に32.8℃まで上昇したが、それでも体温などよりはだいぶ低い温度だ。しっかり手に取ってみたが、熱くて持てないといったことは当然ない。

ファイル転送前。表面温度は28.6℃。
ファイル転送後。表面温度は32.8℃。

 表面に熱が伝わりにくいということは、SSDの発熱が筐体内部にこもってしまうのではないかと不安になるかもしれないが、CrystalDiskInfoで読み取ったSSD温度によれば、ファイル転送の最終盤でもSSD温度は44℃だった。

 その後、SSD温度は徐々に34℃まで低下していき、外装の表面温度も約28℃まで低下した。エラストマー素材で覆われているので金属筐体の外付けSSDよりは放熱面で不利だが、それでも筐体内部の熱は確実に放出されている。

 前節の転送速度の確認でもファイル書き込み完了まで速度低下が起きていないことを考えれば、サーマルスロットリングも作動していないので、T7 Shieldの放熱面に問題はないと言える。

負荷をかけてから約10分後のSSD温度は34℃。アイドル時の温度はだいたいこのあたりだと見ることができる。筐体はエラストマー素材で囲まれているが、放熱性が悪いわけではない。
100GiBの動画ファイル転送最終盤のSSD温度は44℃だった。高負荷をかけてもそこまで動作温度は上昇しない印象だ。もちろんデータ転送中は途中で速度が落ちることもなく、サーマルスロットリングは作動していない。

タフで書き込み性能に優れた外付けSSD外付けドライブで大容量ファイルを扱いたいユーザーにおすすめ

 耐衝撃性や防塵防滴性能を備えたタフな筐体と、優れた書き込み性能を備えたT7 Shieldは、映像制作のように大容量ファイルを携帯する機会の多いクリエイティブシーンでに適した外付けSSDだ。

 大容量のファイルを転送してもピーク性能が維持されるタイプのモデルなので、安定して高い転送レートを維持する必要がある用途にも向いている。映像記録用途などにも向いている特性を持ったモデルと言えるだろう。

 T7 Shieldの販売価格(税込み)は、1TBモデルが20,980円、2TBモデルが39,980円。大容量ファイルを高速かつ安全に扱える外付けSSDを探しているのであれば、ぜひとも検討すべき製品である。

[制作協力:Samsung]