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“ATXはデカすぎる”勢に朗報!microATXケースの新定番「Fractal Design Define 7 Mini」が来たぞ!!
ハイエンドパーツでゲーミングPCも自作できる! text by 坂本はじめ
2022年10月6日 00:00
今回紹介するFractal Designの「Define 7 Mini」は、汎用性に優れたタワー型PCケース「Defineシリーズ」の新作で、microATX対応のミニタワーケースだ。
少し前までmicroATXケースはとくに高機能機の新作に乏しく、“ATXは大きすぎる勢”には嘆かわしい状況が続いていたが、ここに来てATXのトレンドを取り込んだmicroATXケースが増えてきており、本製品はその代表格と言える。
さて、そのDefine 7 MiniはATXケース「Define 7」の最新デザインを継承しつつ、microATX規格にあわせて本体サイズを小型化しており、microATXマザーボードを使った上質な自作PCを楽しめるケースである。
Defineシリーズ最新のデザインを取り入れたmicroATXタワートップカバーの交換で冷却力と静音性を選択可能
Fractal Design Define 7 Miniは、Fractal Designのスタンダードケース「Defineシリーズ」に属するmicroATXミニタワーケース。筐体サイズ(W×D×H)は205×399×406mmで、搭載可能なマザーボードのフォームファクターはmicroATX、Mini-DTX、Mini-ITX。
トップカバーを丸ごと交換して静音と冷却を選択できるというDefineシリーズ最新の設計が導入されたほか、フロントパネルインターフェースにUSB 3.1 Gen2対応のType-Cコネクタを備えるなど、モダンなデザインと機能を取り入れた新世代のmicroATXタワーケースに仕上げられている。
Define 7 Miniには、左側面に強化ガラスパネルを備えた「Define 7 Mini Black TG Light Tint (FD-C-DEF7M-02)」と、スチールパネルを備える「Define 7 Mini Black Solid(FD-C-DEF7M-01)」という2種類のバリエーションが用意されている。本体カラーはいずれもブラックで、内部まで黒く塗装されている。
今回テストするのは、強化ガラスパネル採用モデルであるDefine 7 Mini Black TG Light Tint。左側面の強化ガラスパネルはライトスモーク仕様で内部は開口部が大きく、ケース内に収容したマザーボードやビデオカードなどのビジュアルを楽しめる。
標準で搭載しているトップカバーは通気口のない静音性重視のもので、交換用パネルとして通気口を設けた冷却重視のトップカバーが同梱されている。パーツ構成によってケースの静音性と冷却性のどちらを優先するのかをユーザーが選択できるのはDefine 7シリーズの特徴だ。
Define 7 Miniのフロントパネルインターフェースは、天板のフロント側に配置されている。
搭載インターフェースは、USB 3.1 Gen2 Type-C(1基)、USB 3.0 Type-A(2基)、USB 2.0 Type-A(2基)、マイク端子、ヘッドホン端子、電源スイッチ、リセットスイッチ
大型パーツ/クーラーも使用可能で作業性にも優れた内部構造
ここからは、Define 7 Miniの内部をチェックしていこう。
マザーボードをはじめとする主要パーツは、強化ガラスパネルを搭載する左側面に配置する仕様となっている。microATX規格の最大サイズである244mm四方のマザーボードを制限なく取り付け可能なスペースが確保されており、最大で高さ167mmまでのCPUクーラーを搭載できる。
ケース背面の拡張スロットは4スロットで、フロントに25mm厚のファンを搭載した状態で306mm、ファンを搭載していなければ最大331mm長までの拡張カードが搭載できる。ハイエンドGPUを搭載したビデオカードでも搭載できるだけのスペースが確保されているので、本格的なゲーミングPCを構築することもできるだろう。
Define 7 Miniでは電源ユニットを底面側に配置するよう設計されており、左側面の底部は電源ユニットを覆い隠すシュラウドを備えている。なお、電源ユニット自体はケース背面から挿し入れる形で取り付ける仕様となっている。
電源ユニット用のシュラウドはケース底面のフロントからリアまでを覆っているが、フロント側の一部は取り外し可能なパネルとなっており、フロントにケースファンやラジエータを取り付けるさいにはこのパネルを取り外す。
配線スペースとなっているケース右側面は、シュラウドで覆われている底面部分とフロント側に配線用のスペースが確保されている。ほかの部分にも配線を通すことは可能だが、サイドパネルとの隙間は17mm前後とそれほど広くないので、24ピンケーブルのような太いケーブルは底面とフロント側を通すことになる。
右側面には2.5インチドライブ専用シャドーベイと、2.5/3.5インチドライブ両対応シャドーベイが各2個ずつ配置されている。2.5インチドライブ専用シャドーベイは左側面のシュラウド上部にも固定可能で、2.5/3.5インチドライブ両対応シャドーベイはケース本体から取り外し可能なケージに取り付けられている。
最大7基の12cm角ファンを搭載できるDefine 7 Miniの冷却機能
Define 7 Miniは、フロント/トップ/ボトム/リアの4ポジションにファンステイを備えており、合計で最大7基の12cm角ファン、または14cm角ファン4基+12cm角ファン2基を搭載できる。
なお、標準ではフロントに14cm角ファンの「Dynamic X2 GP-14」、リアに12cm角ファンの「Dynamic X2 GP-12」を各1基ずつ搭載している。ファンスピードはそれぞれ1,000rpmと1,200rpm。
フロントのファンステイには12cm角ファン×3基、または14cm角ファン2基を搭載できるほか、24cmクラスまたは28cmクラスのラジエータを搭載できる。
フロントのファンステイには、左側面のサイドパネルとフロントパネルを取り外すことでアクセスできる。また、フロントパネル内側両側面の通気口に着脱可能なダストフィルタが搭載されている。
トップのファンステイは、12cm角ファンまたは14cm角ファンを2基まで搭載できる。搭載可能なラジエータサイズは最大24cm。トップのファンステイはそれ自体が着脱可能で、組み立て作業時にはファンステイを取り外せる構造なので作業がしやすい。
トップのファンステイにも着脱可能なダストフィルタが用意されており、トップカバーを取り外すとフィルタにアクセスできる。なお、静音性重視のトップカバーには通気口が設けられていないので、トップのファンステイを利用する場合は冷却重視のトップカバーに交換すべきだ。
ボトムとリアのファンステイは、12cm角ファンまたは12cmラジエータを1基搭載できる。なお、ボトムのファンステイはドライブケージと共用であるため、12cm角ファンを取り付けるためにはドライブケージを取り外す必要がある。
ボトムのダストフィルタは電源ユニットの通気口までを覆うもので、フロントパネル側から引き出すことで着脱できる。リアにダストフィルタは搭載していない。
Define 7 MiniでGeForce RTX 3090を使ったハイスペックゲーミングPCを組んでみた
今回はDefine 7 Miniが現代のハイスペックパーツに耐えられる設計になっているのかを確かめるべく、高性能で発熱も大きいCore i7-12700KとGeForce RTX 3090を使用したハイスペックゲーミングPCを構築してみることにした。
基幹パーツとなるマザーボードには、MSIのIntel B660マザー「MAG B660M MORTAR WIFI」を採用。microATXマザーボードでありながら12+1+1フェーズの強力な電源回路を搭載したこのマザーボードは、電力リミット無制限でCore i7-12700Kを運用することができる。
ビデオカードのMSI GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24Gは、GPUをオーバークロックしているため最大消費電力が370Wに達する製品だ。また、カード長は323mmと長大であり、Define 7 Miniが搭載できる最大サイズの331mmに近い。なお、ビデオカード長とラジエータ+ファンの厚みとの兼ね合いから、今回、水冷クーラーはトップ取り付けが必須となる。
強力なCPUとGPUを支えるべく、CPUクーラーに24cmクラスのオールインワン水冷「Fractal Design Celsius+ S24 Dynamic」、電源ユニットに「Fractal Design Ion+ 2 Platinum 860W」を搭載したほか、追加のケースファンとして12cm角ファンの「Fractal Design Dynamic X2 GP-12」を組み込むことにした。今回使用したパーツなどの一覧は以下のとおり。
実際にDefine 7 Miniにハイスペックなパーツを詰め込んで完成したのが以下のPCだ。
長大なビデオカードを回避するため、フロントファンを14cmと12cmのハイブリッド構成にしたり、ビデオカード用の補助電源をフロントファン付近から引き出すなどの工夫したりすることで、無事に全てのパーツを組み込むことができた。
組み立て作業においては、トップのファンステイが取り外して作業スペースを広く確保できたことにより、比較的小さなケースながらスムーズにパーツを組み込むことができたのが印象的だった。
電源シュラウド内で余ったケーブルを処理できるので、左側面だけでなく、配線スペースである右側面の内部もスッキリとした印象に組み上げられたのも好印象だ。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークで動作温度をチェック
最後に、Define 7 Miniで構築したPCで長時間のベンチマークテストを行ない、ハイスペックなパーツをしっかり冷却できるのか確かめてみた。
テストに使用したベンチマークテストは「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」で、4K最高品質設定で30分間ループ実行した際のステータス情報をモニタリングソフトで取得した。テスト時の室温は約26℃。
結果としては、CPU温度が最大76℃で平均60.0℃、GPU温度は最大82℃で平均79.0℃だった。
このとき、CPUクロックはPコアが平均で約4.7GHz、Eコアは平均約3.6GHzで動作しており、GPUクロックも平均1.787GHzを記録。推移グラフでも最後までブースト動作を維持していることが確認できることから、Define 7 Miniはハイスペックパーツをしっかり運用できると言える。
高発熱なハイスペックパーツにも対応可能なmicroATXタワーATXより小さく、それでいて拡張性もあるPCを組みたいmicroATX派注目のケース
Define 7 Miniは、冷却性と静音性のどちらを優先するのかをユーザーが選択できるというDefine 7シリーズの特徴を踏襲しつつ、microATX向けPCケースらしくコンパクトな筐体サイズを実現している。
拡張性に富むATX規格と、コンパクトさを追求したMini-ITX規格の中間に位置するmicroATX規格は、人によっては中途半端に感じられるかもしれないが、拡張性と小型化をバランスよく実現できる規格とも言えるため、こだわりを持って選択するユーザーもいる。
そのようなmicroATX派の自作PCユーザーにとって、先進的な設計とハイスペックパーツを冷やせるポテンシャルを備えたDefine 7 Miniは、microATXケースの新たなスタンダードになり得るケースだ。microATXマザーボードを使った自作PCを検討しているなら、Define 7 Miniはぜひとも検討すべき1台だ。
[制作協力:Fractal Design]