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割安なラピッドトリガー対応キーボード「DrunkDeer G65」は思いのほか高性能だった
2024年1月16日 08:05
今回紹介するのは、ラピッドトリガー対応のゲーミングキーボードとしては最安価格帯で販売されている「DrunkDeer G65」。
ホールエフェクト式スイッチ(磁気スイッチ)を採用した製品で、65%レイアウトのコンパクトモデル。購入時の価格は購入時の価格は16,500円で、円安などの影響か現在は17,000円前後で販売されている。
キーキャップレスでより安価なベアボーン版(16,000円前後)も用意されており、記事執筆時点では、国内から購入できるラピッドトリガー対応キーボードとしては最も安価なキーボードの1つとなっている。
一般的なキーボードからも移行しやすい65%レイアウト
筐体は樹脂製。金属フレームのキーボードほど重厚感や高級感はないが、その分軽量なので持ち運びに向いている。
変わった仕様としては、底面の4つのゴム足のうち2つに衝撃を吸収する機構を備えていることが挙げられる。個人的には大きな違いは感じられなかったが、同社によればこの機構により底打ち時の“固さ”を和らげているとのこと。
メーカー公式サイトでは、オプションアイテムとして交換用のアルミニウム製筐体も紹介されており、パーツ交換によるカスタマイズも可能なモデルとなっている。
キーレイアウトは、60%レイアウトにカーソルキーを含む一部のナビゲーションキーを加えた、65%レイアウトだ。
テンキーレスよりもさらに幅がコンパクトなため、ゲーム用途においてはマウスの操作スペースを広く取れるため利点も大きい。
60%サイズのキーボードはレイアウトが通常のキーボードと変わってしまう部分が多く、慣れが必要になる部分もあるが、65%キーボードは配列が比較的通常のキーボードに近いので、フルサイズやテンキーレスからの移行でも扱いやすいレイアウトといえる。
キートップは印字部分がバックライトを透過する半透明デザインで、キープロファイルはOEMプロファイルとなっている。
インストール不要のWebユーティリティ仕様
キーのマッピングやRGBバックライトの調整などはWebユーティリティから行える。
スタンドアロンのユーティリティの場合、PCへインストールなどが必要になるが、Webユーティリティを採用しているため、任意のWebブラウザからページにアクセスするだけだ。
ファームウェアv0.02+Webドライバーv0.35時点では、キー別割り当て(リマップ)、キー単位のアクチュエーションポイント/ラピッドトリガー設定、RGBバックライト設定に対応している。
キーリマップはキー単位の割り当てが可能で、通常時とFnレイヤー、Fn2レイヤーの3レイヤーが用意されている。
残念ながらコンボ入力(Ctrl+Cなど)やマクロの割り当てには非対応。また、FnとFn2キーは機能が固定となっており、別キーに割り当てることができない。基本的な部分はしっかりできているので、使っていて惜しいと感じる部分だ。今後のアップデートでの対応に期待したい。
オン/オフ別に感度を調整できる自由度の高いラピッドトリガー機能
DrunkDeer G65は、ホールエフェクトスイッチを採用することで、ラピッドトリガー機能を搭載している点が最大の特徴だ。
ホールエフェクトスイッチは、金属の接点で入力を検知する通常のメカニカルスイッチと異なり、ホール効果を用いてスイッチ内の磁石の位置を基板上のセンサーで検出する仕組みを採用する。
そのため、コントローラー側でしきい値を変えてやればアクチュエーションポイントを自由に設定できるのが利点だ。
DrunkDeer G65では0.2~3.8mmの範囲で自由に設定(0.1mm刻み)が行える。最短の0.2mm設定では指に力を込めた瞬間にキーが入力され、非常に敏感なセッティングも可能となっている。
そしてラピッドトリガーは、アクチュエーションポイントの調整をさらに発展させたものと言える機能だ。
具体的にはキーの入力位置を検知し続けることで、アクチュエーションポイントを通過しなくてもキーのオン/オフを可能としている。
DrunkDeer G65ではキーの上下を0.1mm単位で検知でき、高感度の操作が可能だ。
この高い感度によって機敏な操作が可能となる一方で、ラピッドトリガーを有効にすると、ゲームや自身のキーの押し方の癖、スイッチの個体差などによって、キー入力が意図せず入る/抜けるといった場合もある。
しかしDrunkDeer G65では押す/離すの感度をキー単位で設定できるため、好み/環境に合わせて調整すれば、そういった問題を回避できるのもポイントだ。
バックライトは18種のエフェクトが用意されており、好みに合わせて設定できる。色や明るさ、エフェクトの調整も可能だ。
見た目の豪華さよりも性能を重視する場合は、LEDエフェクトを無効化する「ターボモード」をオンにすることで反応速度を最大限に高めることもできる。
反応速度が勝敗を分けるゲームで輝くラピッドトリガー
そんなラピッドトリガーがゲームプレイにどう影響するのか、マルチプレイヤー対戦FPSゲーム『Valorant』で動作を検証してみよう。
Valorantの場合、キャラクターの移動中は照準通りに弾が飛ばない(ブレる)仕様となっているため、「移動(キーを押す)→静止(キーを離す)→敵を撃つ」という一連の動作がゲーム中繰り返し行われる。
Valorantプレイヤーの中でラピッドトリガー機能が話題となっているのは、ラピッドトリガーでキーを離す操作がメカニカルスイッチよりも機敏に行えるためだ。
実際にデスマッチをプレイしてみたところ、Valorant初心者の筆者でもラピッドトリガーを有効にすることで対面戦績が改善しているのを体感できた。
具体的な反応速度の違いを検証するため、射撃練習場のターゲットを使って、マウスは動かさずにキーボード操作のみで一番小さなサークルの線を狙ってみた。
「ラピッドトリガー感度0.1mm/アクチュエーションポイント0.2mm」での結果と、一般的なメカニカルスイッチの仕様である「ラピッドトリガーなし/アクチュエーションポイント1.2mm」に設定した状態で比較している。
実際の様子は下記の動画を参照して頂きたいが、スクリーンショットからも分かるように、ラピッドトリガー有効時にはターゲットの線と照準が重なった瞬間にキーを離すのは簡単だが、無効時は視認してからキーを離すまでのラグが大きいためか、着弾点のブレも大きいのが分かる。
バトルロワイヤルFPS『Apex Legends』でも試してみたところ、移動中の弾ブレペナルティがないため、Valorantほど勝敗に直結する違いは生まれなかったが、ラピッドトリガーによるキー入力の機敏さは体感できた。
またアクチュエーションポイント調整の一風変わった活用法として、Apex Legendsには「スーパーグライド」と呼ばれる正確なタイミングでジャンプとしゃがみ操作の入力が必要な移動テクニックが存在するが、ジャンプとしゃがみキーのアクチュエーションポイントを調整することで、その操作精度を高めるというトリックもある。
上位機と遜色のないラピッドトリガーの効果を体感できる1台
DrunkDeer G65は、ラピッドトリガー対応キーボードとしては安価な製品でありながら、充実したラピッドトリガー機能を備えている製品だ。
樹脂筐体や制限のあるリマップ機能/マクロ機能の欠如など、値段なりに劣っている部分もあるが、ラピッドトリガーキーボードという観点からは、ハイエンドなゲーミングキーボードと遜色ない仕様と言える。
「ラピッドトリガーを試してみたいけど値段がネック」というゲーマーは、最初の1台の候補に加えてみてはいかがだろうか?