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3基の14cm角ファンで圧倒的なエアフローを構築!Antec「Performance 1 FT」【竹内亮介のオレにPCケースを使わせろ!】
DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!
2024年3月19日 11:05
Antec Performance 1 FT
PCケースの冷却性能は、搭載するケースファンのサイズや搭載数で決まることが多い。今回紹介するAntecの「Performance 1FT」は、そのファンにこだわったケースだ。前面には14cm角ファンを3基、そして背面には12cm角ファンを1基搭載。またそれらすべてに厚みが3cmの特注モデルを採用することで風量を高め、冷却性能を強化しているという。
こうした強力なファンを活かすため、前面パネルは通気性に優れる構造としているほか、ホコリがたまりやすい防塵フィルタ部分が磁石で簡単に着脱できる。同じくホコリがたまりやすい底面の防塵フィルタも前面に引き抜けるため、冷却性能を維持するために不可欠な清掃を行ないやすい。
奥行きや高さが50cmを超えるフルタワーケースなので内部は広く、大型のパーツもラクに組み込めるだろう。またメッシュ構造で風通しのよい天板は、ツールレスで簡単に固定できる。また天板の内部にあるファンマウンタ部分も着脱できる構造なので、これらを外すと天板部分に何もない状況になる。マザーボード天辺のケーブル整理がラクに行なえ、ラジエータやファンをケースの外で組み込めるため便利だ。前面ファンは付属の3分岐ケーブルで一つのファンコネクタにまとめて接続するタイプだが、ここはファンハブが欲しかった。
マザーボードベースの裏には、ケーブルの流れを作るためのスリットや面ファスナーを用意しており、ケーブルが多い構成でもスマートに整理できる。こうしたケーブルの経路部分を隠す金属プレートも装備しているため、右側板は強化ガラスだがケーブルの状況はほぼ見えない状態だった。
アイドル時や軽作業時は、ケースファンの回転数は500rpm前後と低く、静かに利用できる。また高負荷時のCPUやGPUの冷却性能は、これまでテストしてきたPCケースと比べてもトップクラスと言ってよい。搭載ファンが多く風通しのよい構造なので、CPUクーラーやビデオカードまわりに新鮮な外気をたっぷりと供給できるためだと思われる。
冷却性能はもちろん、メンテナンスや組み込み、清掃のしやすさなど、冷却重視型PCケースに求められる要素を高いレベルで兼ね備える本機は、初心者から上級者まで幅広くオススメできる優れたPCケースと言ってよいだろう。
ラジエータの最大サイズは42cmクラス36cmクラスを2基組み込むことも可能
奥行きと高さがどちらも50cmを超えるフルタワーケースなので、組み込めるラジエータのサイズも大きめだ。最大サイズは42cmクラスで、36cmクラスを前面と天板の両方に組み込むことも可能。今回は36cmクラスのラジエータを備えるFractal Designの「Celsius+ S36 Dynamic」を天板に組み込んだところ、前面と背面には十分な余裕があった。また天板とファンマウンタが着脱可能なので、ラジエータなどの組み込みはPCケース外で行なえる。さらに天板とマザーボード天辺との隙間が広いため、ラジエータやファンがマザーボード上のコネクタに干渉することはない。
3cm厚の強力なファンを合計4基装備して冷却性能を強化
最近だと14cm角ファンを複数搭載するPCケースはめずらしくなくなってきたが、本機では3cm厚の特別なファンを搭載する。一般的なケースファンは2.5cm厚なので、0.5cm厚いのだ。ファンの羽根もその分広くなるため、2.5cm厚のケースファンと比べて同じ回転数でも風圧や風量が高まる。背面ファンは12cm角だがやはり厚みは3cm厚で、一般的な12cm角ファンよりも風量は多くなる。
また風量の多い吸気ファンの前にある防塵フィルタにはホコリがたまりやすいが、清掃を怠ると吸気量が減って冷却性能が低下してしまう。そこで本機の前面パネルは、フィンと防塵フィルタ部分が簡単に着脱でき、防塵フィルタ部分とファンに付いたホコリを清掃しやすい。Fractal Designの「Torrent」シリーズと似た構造で、高性能な冷却重視型PCケースでは見かけることが増えた。
たっぷりの外気でCPUやGPUをしっかり冷やす
今回の検証で使用したAMD Ryzen 9 7900Xは、標準だとCPU温度が95℃になるまでは高い電力消費でクロックを高めようとする。そこで今回は、UEFIはデフォルトのままWindows 11に「Ryzen Master」をインストールし、CPUへの供給電力の基準となる「Package Power Target」(PPT)を125Wに制限した状態の温度変化も計測した。
大型の高性能クーラーを利用したということはあるにせよ、空冷でもCPU温度は74℃と低い。36cmの簡易水冷型CPUクーラーではさらに低く70℃だった。GPU温度は63〜64℃と、ほかのPCケースでテストしたときより3〜4℃低い結果だった。また空冷時に高負荷時でも動作音はそれほど大きくならなかったため、CPUクーラーの回転数を確認したところ、1,000rpm前後までしか上昇しておらず、冷却性能の高さがうかがえた。
こんなPCを作りたい!
強力なエアフローで各パーツを極限まで冷却できるフルタワーケースだ。ハイエンドCPUやビデオカードを積んだ、高性能ゲーミングPCを作りたい
CPU | AMD Ryzen 9 7900X(12 コア/ 24 スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX B650-A GAMING WIFI(AMD B650) |
メモリ | CFD 販売 W5U4800CM-16GS(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB × 2) |
ビデオカード | GIGA-BYTE GeForce RTX 4070 WINDFORCE OC 12G(NVIDIA GeForce RTX 4070) |
SSD | Micron Crucial P5 CT1000P5SSD8JP[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB] |
電源ユニット | Corsair RM750e(750W、80PLUS Gold) |
CPU クーラー | DeepCool GAMMAXX AG620 ARGB(サイドフロー、12cm 角× 2)/ Fractal Design Celsius+ S36 Dynamic(簡易水冷型、36cmクラス) |
室温 | 24.8℃ |
アイドル時 | OS 起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
高負荷時 | OCCT 12.0.11のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値 |
Fan Xpert 4の設定 | 標準 |
各部の温度 | 使用したソフトはOCCT 12.0.11で、CPUはCPU(Tctl/Tdie)、GPUはTemperatureの値 |
PPT | 標準設定とRyzen Masterを利用した125W設定 |
[TEXT:竹内亮介]
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