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3基の14cm角ファンで圧倒的なエアフローを構築!Antec「Performance 1 FT」【竹内亮介のオレにPCケースを使わせろ!】

DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!

Antec Performance 1 FT

3基の14cm角ファンで圧倒的なエアフローを構築
Antec Performance 1 FT 実売価格:20,000円前後

 PCケースの冷却性能は、搭載するケースファンのサイズや搭載数で決まることが多い。今回紹介するAntecの「Performance 1FT」は、そのファンにこだわったケースだ。前面には14cm角ファンを3基、そして背面には12cm角ファンを1基搭載。またそれらすべてに厚みが3cmの特注モデルを採用することで風量を高め、冷却性能を強化しているという。

ベイ:3.5/2.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×3●標準搭載ファン:14cm角×3( 前面)、12cm角×1( 背面) ●搭載可能ビデオカードの長さ:400mm●搭載可能CPUクーラーの高さ:175mm●搭載可能ラジエータの長さ:42cmクラスまで(前面)●本体サイズ(W×D×H):230×522×522mm●重量:約12.55kg

 こうした強力なファンを活かすため、前面パネルは通気性に優れる構造としているほか、ホコリがたまりやすい防塵フィルタ部分が磁石で簡単に着脱できる。同じくホコリがたまりやすい底面の防塵フィルタも前面に引き抜けるため、冷却性能を維持するために不可欠な清掃を行ないやすい。

 奥行きや高さが50cmを超えるフルタワーケースなので内部は広く、大型のパーツもラクに組み込めるだろう。またメッシュ構造で風通しのよい天板は、ツールレスで簡単に固定できる。また天板の内部にあるファンマウンタ部分も着脱できる構造なので、これらを外すと天板部分に何もない状況になる。マザーボード天辺のケーブル整理がラクに行なえ、ラジエータやファンをケースの外で組み込めるため便利だ。前面ファンは付属の3分岐ケーブルで一つのファンコネクタにまとめて接続するタイプだが、ここはファンハブが欲しかった。

 マザーボードベースの裏には、ケーブルの流れを作るためのスリットや面ファスナーを用意しており、ケーブルが多い構成でもスマートに整理できる。こうしたケーブルの経路部分を隠す金属プレートも装備しているため、右側板は強化ガラスだがケーブルの状況はほぼ見えない状態だった。

 アイドル時や軽作業時は、ケースファンの回転数は500rpm前後と低く、静かに利用できる。また高負荷時のCPUやGPUの冷却性能は、これまでテストしてきたPCケースと比べてもトップクラスと言ってよい。搭載ファンが多く風通しのよい構造なので、CPUクーラーやビデオカードまわりに新鮮な外気をたっぷりと供給できるためだと思われる。

天板の前面右にフロントポートなどを備える。USB 3.0ポートとType-Cという一般的な構成だ。一番右奥にあるボタンで小型ディスプレイの表示を切り替える
側板を外す場合は背面の手回しネジを外し、底面近くを起点として外側に開くように軽い力を加えると簡単に外れる

 冷却性能はもちろん、メンテナンスや組み込み、清掃のしやすさなど、冷却重視型PCケースに求められる要素を高いレベルで兼ね備える本機は、初心者から上級者まで幅広くオススメできる優れたPCケースと言ってよいだろう。

天板に小型ディスプレイCPU/GPU温度を表示
PCケースのUSB 2.0ピンヘッダをマザーボードに接続し、Windows 11上でAntecの「ANTEC iUnity」をインストールしておくと、天板手前の液晶ディスプレイにCPUやGPUの温度を表示できる。表示内容の切り替えは天板のフロントポート近くにあるボタンを利用する

内部は広く組み込みはラク 天板が外せるのは本当に便利

天板とファンマウンタは別の構造物になっている。天板はツールレス、ファンマウンタ2本のネジで固定されているだけなので、簡単に着脱できる
右側面は2枚の金属プレートで覆われており、各種ケーブルの状況は強化ガラスの右側板越しには見えないようになっている
金属プレートを外した状態だ。前面近くのケーブル整理用スペースにはスリットが設けられており、流れを作ってケーブルを整理しやすい

ラジエータの最大サイズは42cmクラス36cmクラスを2基組み込むことも可能

奥行きと高さがどちらも50cmを超えるフルタワーケースなので、組み込めるラジエータのサイズも大きめだ。最大サイズは42cmクラスで、36cmクラスを前面と天板の両方に組み込むことも可能。今回は36cmクラスのラジエータを備えるFractal Designの「Celsius+ S36 Dynamic」を天板に組み込んだところ、前面と背面には十分な余裕があった。また天板とファンマウンタが着脱可能なので、ラジエータなどの組み込みはPCケース外で行なえる。さらに天板とマザーボード天辺との隙間が広いため、ラジエータやファンがマザーボード上のコネクタに干渉することはない。

天面とそのファンマウンタが着脱可能。ラジエータやファンの取り付けやメンテナンス、ケーブル接続や整理などが非常にラク

3cm厚の強力なファンを合計4基装備して冷却性能を強化

 最近だと14cm角ファンを複数搭載するPCケースはめずらしくなくなってきたが、本機では3cm厚の特別なファンを搭載する。一般的なケースファンは2.5cm厚なので、0.5cm厚いのだ。ファンの羽根もその分広くなるため、2.5cm厚のケースファンと比べて同じ回転数でも風圧や風量が高まる。背面ファンは12cm角だがやはり厚みは3cm厚で、一般的な12cm角ファンよりも風量は多くなる。

前面には14cm角を3基、背面には12cm角を1基というファン構成

 また風量の多い吸気ファンの前にある防塵フィルタにはホコリがたまりやすいが、清掃を怠ると吸気量が減って冷却性能が低下してしまう。そこで本機の前面パネルは、フィンと防塵フィルタ部分が簡単に着脱でき、防塵フィルタ部分とファンに付いたホコリを清掃しやすい。Fractal Designの「Torrent」シリーズと似た構造で、高性能な冷却重視型PCケースでは見かけることが増えた。

一般的なファンは厚みが2.5cmだが、本機のファンは3cm厚と厚みがある
前面の防塵フィルタとフィン部分は、磁石式で簡単に着脱できる構造になっている

たっぷりの外気でCPUやGPUをしっかり冷やす

 今回の検証で使用したAMD Ryzen 9 7900Xは、標準だとCPU温度が95℃になるまでは高い電力消費でクロックを高めようとする。そこで今回は、UEFIはデフォルトのままWindows 11に「Ryzen Master」をインストールし、CPUへの供給電力の基準となる「Package Power Target」(PPT)を125Wに制限した状態の温度変化も計測した。

 大型の高性能クーラーを利用したということはあるにせよ、空冷でもCPU温度は74℃と低い。36cmの簡易水冷型CPUクーラーではさらに低く70℃だった。GPU温度は63〜64℃と、ほかのPCケースでテストしたときより3〜4℃低い結果だった。また空冷時に高負荷時でも動作音はそれほど大きくならなかったため、CPUクーラーの回転数を確認したところ、1,000rpm前後までしか上昇しておらず、冷却性能の高さがうかがえた。

こんなPCを作りたい!

 強力なエアフローで各パーツを極限まで冷却できるフルタワーケースだ。ハイエンドCPUやビデオカードを積んだ、高性能ゲーミングPCを作りたい

【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 7900X(12 コア/ 24 スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG STRIX B650-A GAMING WIFI(AMD B650)
メモリCFD 販売 W5U4800CM-16GS(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB × 2)
ビデオカードGIGA-BYTE GeForce RTX 4070 WINDFORCE OC 12G(NVIDIA GeForce RTX 4070)
SSDMicron Crucial P5 CT1000P5SSD8JP[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]
電源ユニットCorsair RM750e(750W、80PLUS Gold)
CPU クーラーDeepCool GAMMAXX AG620 ARGB(サイドフロー、12cm 角× 2)/ Fractal Design Celsius+ S36 Dynamic(簡易水冷型、36cmクラス)
室温24.8℃
アイドル時OS 起動10分後の値
動画再生時解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値
3DMark時3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値
高負荷時OCCT 12.0.11のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値
Fan Xpert 4の設定標準
各部の温度使用したソフトはOCCT 12.0.11で、CPUはCPU(Tctl/Tdie)、GPUはTemperatureの値
PPT標準設定とRyzen Masterを利用した125W設定

[TEXT:竹内亮介]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年秋号」の記事をまるごと掲載しています。

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