特集、その他
日本サムスンに聞く「“SATA3最強”をうたう最新SSD“840 EVO”のこだわり」
~微細化NANDで初の1TB、ターボライトやRAPIDの特性は?~ Text by 平澤寿康
(2013/9/11 12:01)
8月に発売された、Samsungの最新SSD「SSD 840 EVO」。前モデル「SSD 840」に続いて、3bit MLC NANDフラッシュメモリを採用しつつ、上位モデルに及ばなかった書き込み速度を大幅に高速化。
中でもランダムアクセス速度の高速化は著しく、2bit MLC NANDを採用する上位モデル「SSD 840 PRO」に匹敵するほど。にもかかわらず、価格は840 PROより安く、コストパフォーマンスに優れるSSDとして非常に魅力的な製品となっている。
となると「それは何故か?」が気になるところ。そこで今回は、日本サムスンの岡田圭介氏(以下、岡田氏)にインタビュー。3bit MLC NANDで大幅な高速化を実現したターボライトテクノロジーやRAPID モードといった技術、さらには「SATA3の完成形」ともうたう設計のポイントなど、様々な進化点についてうかがってきた。
なお、SSD 840 EVのレビューは既にPC Watchで掲載中。詳しいベンチマーク結果などはそちらを参照してほしい。
840のコンセプトを踏襲しつつ、信頼性と性能、そして容量を向上
――今回新たに登場した840 EVOは、従来の840からどういった部分が変わっているのでしょうか。
[岡田氏] 840は“より簡単に”“より大容量”“より信頼性に優れる”という3つのコンセプトを柱として、SSDをコモディティ化させるための製品として投入しました。今回の840 EVOでも、この840のコンセプトはそのまま踏襲し、さらに信頼性と性能を上げ、そして大容量化。ノートPCなどをHDDから換装する作業もさらにやりやすくしています。
840の全ての面をグレードアップした製品ですので、製品名もEVO=“Evolution”(進化)というわけです。
――840 EVOで最も特徴的な部分はどこになりますか。
[岡田氏] まず言えるのが容量です。840 EVOでは1TBと750GBの大容量モデルを追加しました。NANDフラッシュメモリチップも、従来比2倍となる128Gbitチップに変更しまして、
従来の「厚さ7mm」という薄さを維持したまま容量1TBを実現できています。
次に性能面の向上です。840は、リード速度は十分高速な反面、ライト速度はやや遅い、という部分がありました。これは3bit MLC NANDを採用しているからで、構造上、どうしても3bit MLCの書き込みオーバーヘッドで遅くなってしまいます。
そこで840 EVOでは、3bit MLC NANDのライト速度を補完する「ターボライトテクノロジー」という新しい機能を追加しました。
既に報じられているように、3bit MLCの予備領域の一部を書き込みバッファとして確保し、その部分をSLCとして扱うことで高速処理できる、というものです。データを書き込む際は、その書き込みバッファに一度書き込んでおき、システムがアイドル状態になった際、バッファ領域からユーザー領域にデータを転送する、という仕組みになっています。これにより、性能面では上位モデルの840 PROとほぼ同等レベルにまで高まっています。
――ライト速度の遅さをカバーするだけならDRAMキャッシュ容量を増やすという手法もあると思いますが、そういった手法ではなくターボライトテクノロジーという新機能を盛り込んだのはなぜでしょうか?
[岡田氏] キャッシュ用のDRAM容量を増やしてしまうと、どうしてもコストが増えてしまいます。しかし、我々が840 EVOで狙っているのは“コモディティ”です。高性能であり、同時にコストも下げなければなりません。
そこで、もともと存在していた予備領域の一部を高速書き込みバッファとして使うことで、コストを上げることなく高速化を実現することにしました。
ちなみに、実際の利用シーンではシーケンシャルライトが行われる頻度は実は非常に少なく、個人がPCを使っている環境下でのアクセスは、そのほとんどがランダムアクセスです。
そのため、840の際は「(ランダムアクセスで十分な性能が出るので)普段使いでは、性能的には大きな問題はない」と判断したのですが、SATA3の性能を最大限引き出したコモディティ製品を作るには、シーケンシャルのライト速度を高める必要がある、と判断しまして、今回はライト速度を高めています。製品名が「850」ではなく「840 EVO」なのは、840の弱かった部分を補強し進化させた、という意味も込められています。
3bit MLCをSLCで使うキャッシュ技術「ターボライトテクノロジー」で価格と速度を両立
――そのターボライトテクノロジーの詳しい仕組みを教えてください。まず、ターボライトテクノロジーの書き込み用バッファ領域はどの部分に確保されているのでしょうか。
[岡田氏] 我々の250GBモデルや256GBモデルが搭載するNANDフラッシュメモリの全セル容量は実は275GBあります。例えば840 EVOの250GBモデルは、250GBがユーザー領域、6GBがオーバープロビジョニング領域ですが、残りの19GBはスペックにまったく出ていない、内部処理用バッファとして使っています。
今回、ターボライトテクノロジーで利用するのは、この内部処理用バッファの一部です。具体的な容量は、120GBモデルと250GBモデルでは3GB、500GBモデルでは6GB、750GBモデルでは9GB、1TBモデルでは12GBになります。
――840 EVOでは、データの書き込みは全てターボライトテクノロジーのバッファ領域を経由して行われるのですか。
[岡田氏] そのとおりです。ターボライトテクノロジーでは、全ての書き込みを書き込み用のバッファ領域を通して行うことになります。
――ターボライトテクノロジーで確保している書き込み用バッファも3bit MLC NANDだと思いますが、なぜ高速に書き込みできるのですか?
[岡田氏] ターボライトテクノロジーでバッファに書く際は、1つのセルに対して3bitを書くのではなく、1bitのみ書き込むようになっています。こうすることで、SLC NAND並みの速度と信頼性を確保できます。
現在製造されている2bit/3bitのMLC NANDフラッシュメモリは、こうした使い方が可能です。実は、従来のSSDでも、内部制御用の重要データなど、一部は1bitで書き込んでいます。
――データ書き込みが全てバッファ領域を経由するとなると、その部分に書き換えが集中して、短時間でセルが書き換えの寿命を迎える懸念はありませんか。
[岡田氏] 書き込み用バッファ領域の書き込み頻度は非常に多くなりますが、1bitでの書き込みですので、SLC NANDと同等の桁違いに高い信頼性を確保しています。具体的な仕様としては約10万回で、よほどのことがない限り、書き込み用のバッファ領域が壊れることはありません。
また、仮にバッファ領域のセルが壊れるほど書き込んだとしても、バッファ全領域が一気に使えなくなることはありません。NANDフラッシュメモリが壊れる際は、ブロック単位に壊れていくので、例えば250GBの製品にある3GB(3bit書き込み時で9GB)のバッファの場合、ブロック容量である2MB(3bit書き込み時では6MB)単位でバッファ容量が減っていきます。用意したバッファ容量は十分大きいので、仮にかなり減ってしまったとしても、実際の利用環境で違いを体感するのは難しいでしょう。
なお、もしバッファ領域全てが壊れてしまった場合、ターボライトテクノロジーは使えなくなります。それでも速度は840より高速で。SSDとしての機能には全く問題ありません。
また、ターボライトテクノロジーのバッファ領域は、ユーザー領域でもオーバープロビジョニング領域でもない部分に確保しています。ですので、SSDとしての信頼性には全く影響しません。これも、ターボライトテクノロジーの大きな特徴となります。
――バッファ容量を超えて書き込みが発生した場合はどうなりますか。
[岡田氏] まず、バッファが埋まるまではバッファ部分に書き込みが行われます。そして、バッファが全て埋まってしまうと、それ以降はユーザー領域に直接書き込みを行います。その場合のシーケンシャルライト速度はターボライトテクノロジーを使わない速度となります。
――OSがデバイスに渡す書き込み命令は、細切れの小さな単位のものが多いですが、そういった命令ではターボライトテクノロジーのバッファ領域を無駄に消費してしまう可能性があると思いますが、そういった部分はどうなっているのでしょう。
[岡田氏] そうした点は、コントローラのアルゴリズムで対応しています。独立した細かな命令についてはそのまま処理し、連続性があると判断した命令は、一度DRAMキャッシュに溜め、16個や32個といったようにコマンドをまとめて処理するようになっています。
――バッファ領域からユーザー領域に転送されるタイミングはいつですか?また、転送中にPCの電源が落ちたらどうなりますか?
[岡田氏] SSDに対する書き込み命令が終わり、SSDがアイドルになったタイミングで行われます。この転送中にPCの電源が落ちたとしても、バッファ領域は不揮発性のNANDですので、データが失われることはありません。
ちなみに、250GBモデルのバッファ容量は3GBですが、3GBフルに溜まったデータをユーザー領域に転送するには、6~7秒ほどかかります。1TBでは12GBありますので、さらに長時間かかると考えて頂ければよいでしょう。
コントローラも改良、「MEX」に一見地味だが、高速化と信頼性向上の重要ポイント
――840 EVOでは、コントローラも「MEX」という新しいものに変わっていますが、従来のMDXコントローラとどこが違うのでしょうか。
[岡田氏] 「MEX」は400MHzで動作するARM Cortex R4を3コア搭載しており、MDXに比べると処理速度が33%向上しています。製造プロセスは32nmで変わっていませんが、パワーマネージメント機能を強化していますので、従来よりも省エネ設計となっています。
仕様だけ見ると、コアクロックがMDXの300MHzから400MHzに向上した程度、と見えてしまいますが、そうした処理速度向上を活かせる制御方式の実装やエラー訂正技術の強化などもあり、「これがなくては840 EVOは実現しなかった」といえるほどの重要な改良点です。
――ではMEXの進化で最も大きな部分はどこでしょう。
[岡田氏] よく知られているように、NANDフラッシュメモリチップは、製造プロセスの微細化が進むと、信頼性は徐々に下がっていきます。
840 EVOでは、従来より微細化された19nmのNANDフラッシュメモリチップを採用していますので、NANDチップそのものの信頼性も下がっていることになります。しかし、MEXコントローラには、それをフォローし、SSD全体の信頼性をこれまで同様に維持できる、強力なエラー訂正技術を搭載しています。
具体的には、ECCエンジンを改良してECC性能を強化しています。MEXコントローラで、プロセッサの動作クロック向上とECC性能の大幅な強化があったからこそ、19nmの3bit MLC NANDフラッシュメモリを利用して、SSDで必要な信頼性が実現できたというわけです。
――処理速度の向上は性能面でどのように活かされているのでしょうか。
[岡田氏] 840 EVOでは、ターボライトテクノロジーを使わない状態でも、ライト速度は従来から向上していますが、それはMEXで処理速度が向上しているからです。また、ランダムアクセス速度が大幅に向上しているのも同様です。例えば、ランダム4Kリード性能は、840の7,900IOPSから840 EVOでは10,000IOPSに向上していますが、これはMEXの処理速度が高まっているからです。
実は、搭載するNANDフラッシュメモリチップのリード/ライト速度は従来から変わっていないのですが、NANDの並列処理など、アクセス制御を強化していまして、MEXの処理速度向上をこうした部分の制御に活かしています。
ターボライトテクノロジーによるライト速度の向上に目が奪われがちですが、コントローラの処理速度の向上や、NANDのデータ読み書き制御の強化などによって、素の性能が向上しているという点も、840 EVOの大きな特徴と言えます。
「SSD外」からも高速化するRAPID モードも搭載「未来を体感してほしい」
――840 EVOの登場に合わせて、Magician Softwareに「RAPID モード」という機能が追加され、840 EVOで利用できるようになっているという点も特徴となっています。このRAPID モードとはどういったものなのでしょうか。
[岡田氏] RAPID モードは、PCのメインメモリ内にバッファを用意して、SSDのアクセス速度を大幅に向上させるというものです。RAPID モードでは、リードとライトそれぞれに異なる機能を提供しています。
まずライトですが、こちらはメインメモリのバッファにライトコマンドを溜め、コマンドが32個溜まったらSSDに一気に転送する、という仕様になっています。通常パソコンを使っている場合には、ライトコマンドは1個か2個、せいぜい4個までしかたまらないで処理されますが、RAPID モードでは強制的に32個溜めて処理します。つまり、Queue Depthが常に32の状態で動作するようになるため、高速な書き込みが行えるわけです。
また、リードでは、リードの頻度を学習する機能が備わっています。頻繁に使うアプリケーションは“ホットデータ”、あまり頻繁に使わないものは“コールドデータ”というように分類し、ホットデータはDRAM内に展開します。これによって、リード速度も高速化されます。実際に使ってみるとわかりますが、2度3度とアプリケーションを使えば使うほど起動速度が速くなります。この学習内容はOS側に保存されるので、PCの電源を落としたりリブートしても失われることはありません。
――メインメモリをバッファに使うということですが、バッファの容量はどの程度確保されるのでしょうか。
[岡田氏] 最大で1GB確保されるようになっています。とはいえ、メインメモリを利用する優先順位はシステム側にありますので、システム側が多く利用している場合には1GBに到達しない場合もあります。つまり、システムが使っていない余っている部分で最大1GB確保することになります。
――Windowsにもスーパーフェッチと呼ばれる同様のメインメモリを利用したキャッシュ機能がありますが、そちらとの違いはどうでしょう。
[岡田氏] スーパーフェッチは、基本的にはアプリケーションにしか効果が発揮されません。しかしRAPID モードはアプリケーションだけでなくユーザーデータにも効果が発揮されます。そういった意味では、RAPID モードの方が使い勝手は上と言っていいでしょう。もちろん、RAPID モードがスーパーフェッチと干渉することもありません。
――メインメモリに確保されているバッファ上にあるデータがSSDに転送されるのはどういったタイミングになるのでしょうか。
[岡田氏] まず、OSからのフラッシュコマンドがWindows 7では1分に10回程度、Windows 8ではもう少し高い頻度で発生されて、そのタイミングでバッファからSSDへの書き込みが行われます。また、バッファ領域の上限である1GBが埋まったタイミングでも書き込みが行われます。さらに、システムからメインメモリをフルに利用するようなコマンドが発生した場合には、RAPID モードで確保しているバッファ領域を開放する必要がありますので、その場合にも書き込みが発生します。
――では、SSDへの転送が完了する前にPCの電源が落ちてしまうとどうなるのでしょう。
[岡田氏] それは、転送が終わっていないデータは失われてしまいます。ただ、PCの電源が急に落ちる、というのは稀なケースですし、バッテリーを使ったノートPCであればさらにレアケースだと思います。特殊な使い方をしない限り、あまり気にする必要はないでしょう
――今回、840 EVOでターボライトテクノロジーやRAPID モードといった高速化技術を盛り込んだ意図は、どういったところにあるのでしょう。
[岡田氏] 我々はPCI Express接続のSSDも既に出荷していますが、この先数年は、SATA 3対応のSSDが主流のままだと考えています。そういった中、ユーザーに次世代のスピードを体験してもらいたい、と考えた結果です。
SATA 3対応の環境でも、RAPID モードを利用すれば次世代の速度が体感できる、これは皆さんに是非体験して欲しいし、「良いSSD」を理解していただく一助にもなると思っています。
SAMSUNGの目指すもの、そしてPROとの関係は?
――840 EVOは、性能は大きく向上していますが、840と比べてコストはどうでしょう。
[岡田氏] まず、840では製造プロセス21nmで容量64Gbitの3bit MLC NANDフラッシュメモリチップを採用していましたが、840 EVOでは19nmで容量128Gbitのチップを採用しています。そのため、同じ容量で比較するとチップ数は半分に減っています。チップ自体は新しいですし、従来よりもチップサイズが大きいので、ややコストがかかっていますが、今後量産が進めばさらにコストダウンも進められます。
また、内部の基板も小さくなっています。内部基板が小さいということは、搭載できるNANDのチップ数は減りますが、840 EVOでは1パッケージに8枚のNANDフラッシュメモリチップを重ねて搭載することで、搭載パッケージ数を減らしています。昨年の840の時点では、8段にNANDフラッシュメモリチップを重ねて搭載するのは難しくコストがかかっていたので、基板サイズを大きくして4段チップを採用した方がコスト的に有利でした。しかし、量産技術が進んだことで、コスト的にも問題がなくなったことで、8段チップを採用し、基板サイズも小さくしてコストダウンを実現しています。
そういった積み重ねで、840 EVOの価格は、昨年840が登場した時の価格とほぼ同じになっているわけです。
――そういった意味では、840 EVOは価格と性能のバランスが非常に優れる製品と言えますね。
[岡田氏] 我々が840 EVOで目指したのは、「普段使うものとして一番いいもの」を作る、ということです。例えばノートパソコンキットでは、Magician SoftwareやData Migrationといったソフトを収録したCD-ROMに加え、USB 3.0対応のSATA-USB変換アダプタも付属して、手順に従うだけで誰でも簡単にノートPCのHDDから換装できるようにしています。
――初めて3bit MLC NANDフラッシュメモリを採用した840が登場して約1年ほどですが、信頼性という点での反響はいかがでしょうか?
[岡田氏] 840は発売以降、非常によく売れていますが、NANDの耐久性が原因の製品不良は現在のところ聞いていませんし、不良率も我々の想定していた数字よりも低く推移しています。3bit NANDフラッシュメモリについて、我々は絶対的な自信がありますし、過去の実績から考えても、全く不安はないと考えています。840 EVOでは、性能、信頼性ともに高めていますので、安心してお使いいただきたいと思います。
――売れ行きはどうですか。
[岡田氏] 840 EVOはまだ発売されたばかりですが、最大容量の1TBが予想以上に出ていますね。SSDは、容量が増えるほど製品寿命も延びますし、大容量の製品ほど容量当たりの単価がお得になっています。性能と容量のバランスから、おすすめは500GBモデルですね。
――840 EVOでは、ターボライトテクノロジーやRAPID モードといった機能によって、840 PROとスペックが一部近接しています。では、どういう人に840 EVOがおすすめで、どういう人に840 PROがおすすめなのでしょうか?
[岡田氏] 840 PROは、もともと性能的にSATA 3の限界に到達していましたが、840 EVOも同様にSATA 3の限界に近付きました。しかし、信頼性の高さという点では、まだ840 PROのほうが上です。ですので、エンタープライズやサーバ、NAS向けなど、高い信頼性が必要となる用途には840 PROがおすすめとなります。840 PROでは、どのようなデータアクセスでも常に安定して速度が発揮されますので、素性は上です。
しかし、実使用時においては840 EVOと840 PROの性能差はほとんど感じられませんので、840 EVOこそがSATA3 SSDの最強モデルと自負しています。ハイエンドゲーマーの方から一般のPCユーザーの方まで、840 EVOで十分に満足できるはずです。
――では、将来のことについてもお伺いしようと思います。特に、インターフェイスは今後どうなっていくとお考えでしょうか。
[岡田氏] 来年になると、PCI Expressネイティブ対応の製品が登場して来ますし、「NVMe」という新インターフェイス採用の製品も登場して来ます。また、先日発表された、SATA Revision 3.2のSATA Expressもあります。まだどのインターフェイスが主流になるかはわかりませんので、どれにも対応できるように開発を進めていますが、我々としては拡張性の高さなどから、NVMeが主流になるのではないかと考えています。
――そうはいっても、まだ数年は一般ユーザーが利用するPCのインターフェイスはSATA 3ではないかと思います。
[岡田氏] なので、RAPID モードが活きてくるわけです。SATA環境でも、次世代インターフェイスに匹敵する快適さを体感できるので、これは大きな意味があると思います。SATA 3を使う限り、これ以上速度を上げることは不可能ですし、SATA 3でやることはほぼ終わったと思います。今後は、より大容量化や低価格化を進めることがメインになるでしょう。
――ありがとうございました。
USB 3.0接続で使ってみた
冒頭に書いたとおり、840 EVOのベンチマークテストはPC Watchにて掲載済みだが、それの補完、ということで、840 EVOのノートパソコンキットに付属するUSB 3.0対応のSATA-USB変換アダプタを使った速度テストを行ってみた。
それが下の結果だが、USB 3.0接続時ではシーケンシャルリードが258.2MB/Sec、シーケンシャルライトが248.6MB/Secを記録し、ランダムアクセス速度も十分に高速だった。さすがにSATA 3接続時(リード512MB/sなど)に比べるとかなり遅いが、それでもシーケンシャル速度はUSB 2.0接続時の5倍以上高速で、こちらを利用すればノートPCのHDD換装もかなり短時間で行えるはずだ。
また、ケーブル自体あまり長くなく、SSDに付けっぱなしでも邪魔にならないため、SSDを外付けで利用する用途にも十分活用できそう。大容量USBメモリを買うぐらいなら、840 EVOのノートパソコンキットを買って外付けで使った方が、価格的にも魅力がありそうだ。