トピック

4年連続1位の実力、豊富なラインナップでユーザーを支えるWestern DigitalのHDD

シリーズ毎の特徴や自作PC向けのお勧めモデルを紹介 text by 山本倫弘

 速度こそSSDに譲るものの、容量あたりのコストパフォーマンスに関しては依然として並ぶものがないのがHDD。OSはSSDにインストールしているけど、データの保存場所はやっぱりHDD、という人も多いだろう。

 そんなHDDだが、「2017年最も売れたHDD」が先日発表の「BCN AWARD 2018」で明らかになった。

実売から算出、いま売れているHDDはどこのHDD?

 全国の量販店のPOSデータを元にした売り上げを公表するBCNランキング。そのデータをもとに年間販売台数第1位のベンダーに送られるのがBCN AWARDだ。先日、最新のBCN AWARD 2018が発表されたが、「ハードディスクドライブ内蔵部門」で1位を獲得したのがWestern Digital。

Western Digitalの内蔵HDD

 その市場シェアは約50%となっており、内蔵HDDの2台に1台はWestern DigitalのHDDということになる。実のところ、2014年にハードディスク内蔵部門が設立されてから4年連続で受賞しているということで、名実ともに内蔵HDD界のディフェンディングチャンプといえる。

BCN AWARDのサイトより
購入者は定番ディスクイメージツールの特別版「Acronis True Image WD Edition」などのソフトウェアを無料で使用できるのも嬉しい。ただ、モデルによっては使用できないソフトウェアもあるので、詳しくは公式サイトをチェックしよう

 余談だが、Western Digital社は2015年にSanDiskを傘下に収め、SanDiskブランドのSSDの展開を行なっているほか、2016年からはWestern DigitalブランドでもSSDラインアップを展開している。ちなみにSanDiskブランドとWestern Digitalを合わせれば内蔵SSDの分野でもすでにトップシェアであり、こちらも今度の動向が楽しみなところ。

Western DigitalのHDDは分かりやすいカラー別のラインナップ

 さて、そんなWestern DigitalのHDDの人気の秘密が、用途に合わせたきめ細かなラインアップと、手厚い保証だ。ここでは、各モデルの特長と保証サービスを軽く紹介していこう。

WD Blue

 WD Blueはスタンダードなデスクトップ向けのシリーズ。Western Digitalの一番の売れ筋HDDであり、ということは日本で最も売れているHDDと言える。実際、今売れている内蔵HDDの3台に1台はこのWD Blueとのことだ(BCNの2017年1月~12月のデータ集計を元にWestern Digital調べ)。人気の理由は、Western Digitalラインアップの中でも最大級のコストパフォーマンスの高さ。正規代理店経由のリテール品であれば2年間の製品保証付きになっており安心。現行の容量ラインアップは500GB~6TB。

WD Red

 NAS向けをうたったシリーズで、筆者一押し。24時間稼働用途を前提に信頼性とパフォーマンスが最適化されており、ネットワークストレージはもちろんRAID環境などにも最適。具体的には内部温度が上がりにくい設計になっているほか、動作音もかなり静かだ。価格はWD Blueと比較すると少し高く付いてしまうが、保証期間も3年と長くなっている。現行の容量ラインアップは750GB~10TB。

WD Black

 クリエイティブやPCゲームといったハイパフォーマンスデスクトップ向けとして用意されているシリーズがWD Blackだ。後述のWD Goldが発表されるまではWestern DigitalのHDDのフラグシップモデルを務めていただけあり、高性能がウリ。HDDとしては高速な部類で、ゲームや動画編集などパフォーマンスが必要な用途に適したシリーズだ。保証期間は5年と非常に長い。現行の容量ラインアップは500GB~6TB。

WD Gold

 エンタープライズ向けの製品で、サーバーなどに利用することを想定したモデルだ。回転速度は7,200rpmと高速タイプ。また、アクセス速度だけでなく、信頼性も高い。とくに、平均故障間隔を表わすMTBFが高く、故障率が低いのが特徴だ。性能、容量共にWestern Digitalのフラッグシップといえる。保証期間は5年。現行の容量ラインアップは1TB ~12TB。

WD Purple

 WD Purpleは監視カメラなどを利用した監視システム向けに最適化されたシリーズだ。こちらもWD Red同様24時間連続稼働のシステムを想定しているが、常に読み出しと書き込みといったディスクアクセスがあることを前提として最適化されている。64台の監視カメラの映像の記録をサポートしており、年間最大180TBのワークロードを想定した設計だ。保証期間は3年。現行の容量ラインアップは500GB~10TB。

AV-GP

 AV-GPはHDDレコーダーなどのAV製品向けHDDた。動画の再生や録画に特化した設計になっており、録画の失敗などを抑え、最大で16本のストリーミング再生を可能にする独自技術「SilkStream」に対応しているのが特徴だ。PCでのデジタル放送全チャンネル録画など、ヘビーな録画ユースにもおすすめ。保証期間は3年。現行の容量ラインアップは2TB~4TB。

自作向けのお勧めはコスパの「WD Blue」と信頼性の「WD Red」

 ここまでの紹介で、Western DigitalのHDDにもさまざまなラインナップがあることが分かっただろう。

 通常のPC用途であれば全ラインアップ中で最もコストパフォーマンスが高いWD Blueがおすすめだ。最も売れている鉄板のHDDが欲しいというならこのWD Blueを買っておけば間違いないだろう。

WD Blueのラインナップ
型番容量市場価格1GBあたりの価格
WD60EZRZ-RT6TB23,000円前後3.83円
WD40EZRZ-RT24TB9,500円前後2.38円
WD30EZRZ-RT3TB7,500円前後2.5円
WD20EZRZ-RT2TB6,500円前後3.25円
WD10EZRZ-RT1TB6,000円前後6円

 注目したいのは2TB以上の大容量モデル。2TB以上なら1GB単価が4円を切ってくるので、どれを買ってもコスパは良い。その中でも特に「買い」なコストパフォーマンスの高いモデルは4TBのWD40EZRZ-RT2ということになる。1GB当たりの価格は2.38円だ。

 また、WD Blueの最大容量となる6TBモデルでも、今や1GBあたり4円を余裕で切る価格になっているのに注目したい。そもそもHDDが欲しいときは大容量のデータの保存場所が欲しいとき。写真や動画、ゲームと言った大きなデータを扱うのなら6TBモデルの購入を視野に入れてもよいだろう。

 そしてお財布の中身に余裕があるのならWD Redもおすすめだ。NAS向けということで設計されているが、通常のPC用途にももちろん使える。

 WD Redはファームウェアレベルでピックアップの動きをコントロールも含めて最適化されており、発熱しづらい構造になっている。HDDのクラッシュの原因はさまざまあるが、熱に起因するところが大きいと考えられており、低温で動作するならそれに越したことはない。WD Redの耐久性は、過去にHDDのクラッシュを経験している人なら魅力的に感じるだろう。

 また、容量もWD Blueの最大6TBを大きく上回る10TBモデルが用意されており、大容量のHDDが欲しいならWD Redを検討したい。

WD Redのラインナップ
型番容量市場価格1GBあたりの価格
WD100EFAX10TB43,000円前後4.3円
WD80EFZX8TB33,000円前後4.13円
WD60EFRX6TB25,000円前後4.17円
WD40EFRX-RT24TB17,000円前後4.25円
WD30EFRX3TB12,000円前後4円
WD20EFRX2TB10,000円前後5円
WD10EFRX1TB8,000円前後8円

 ちなみに今回紹介したのはデスクトップPC向けの3.5インチタイプだが、WD Blue、WD Red、WD Blackにはモバイル向けの2.5インチタイプの製品も用意されている。

 新生活を機に、PCのストレージ環境をWestern DigitalのHDDで再構成してみてはいかがだろうか。