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SSD選びは“安心/低発熱/高コスパ”が大事、CFD販売×Realtekが新開発したSSDのポイントを聞く

発熱も速度もいい感じにバランスをとった長期保証の「SFT6000e」を投入 text by 平澤寿康

 CFD販売から、”最強コスパモデル”とうたわれるM.2 SSD新モデル「SFT6000e」の投入が予定されている。PCIe Gen4 x4対応で、容量1TB/2TBモデルではリード、ライトとも最大6,000MB/sのアクセス速度を実現しつつ、低発熱で手ごろな価格帯での投入を予定しているという。

 今回、このSFT6000eの特徴や魅力、開発の狙いに関して、販売元のCFD販売社長の三谷 弘次氏と、コントローラを開発したRealtek副社長のChuting Su氏に話を伺ってきたので、詳しく紹介する。

CFD販売株式会社 代表取締役社長 三谷 弘次氏。
Realtek Semiconductor Corporation Vice President Chuting Su氏。

“怪しいSSDは販売しない”搭載コントローラとNANDを明示するCFD販売最新の「SFT6000e」もRealtekコントローラ+Micron NANDと明示

――まずはじめにCFD販売の三谷さんにお伺いします。CFD販売ではこれまでも様々なSSDを販売されていますが、今回登場したSFT6000eについて、これまでの背品との違いやコンセプトの変更などはありますか。

[CFD販売 三谷氏]製品コンセプトとしては、従来製品同様に「最強コスパモデル」としています。弊社が発売する製品はすべて事前に品質などをチェックして、弊社が設定する品質基準をクリアするものだけを販売しています。今回のSFT6000eについても同様で、設定した基準をクリアする品質を備えていることを確認した上で、これなら最強コスパモデルとして世に送り出せるということで、製品化しました。

近日投入が予定されているCFD販売の新型SSD「SFT6000e」
PCI Express 4.0対応のNVMe SSDで、同クラス“最強コスパ”を目指したモデルという。

――最強コスパモデルということは、エントリーユーザーをターゲットとしているのですか。

[CFD販売 三谷氏]そこはちょっと違います。確かにコストパフォーマンスを極めた製品ではありますが、単純にエントリーユーザーをターゲットとしているわけではありません。PC上級者であっても、高スペックなものが必要だったり、そうではない場合もあったりと、用途によって要求するスペックは変わります。

ですのでSFT6000eについては、初心者が手に取りやすい製品であるだけでなく、上級者にも十分選択肢になる製品として位置付けています。

――近年、SSDは低価格化が進行していて、非常に安価な製品も市場に溢れています。そういった製品との差別化はどのようにお考えでしょうか。

[CFD販売 三谷氏]今回我々が消費者に伝えたいのは、”SSDはどんな製品でもいいわけではない”という点です。しっかりチェックしてもらいたいのは、そのSSDがどんなチップを使っているのか、という点です。

CFD販売が安心なSSDを提供するために掲げる3つのルール。
新型の「SFT6000e」もRealtekの「RTS5772DL」 + Micronの「B47R」または「B58R」(チップ流通後切り替え)と明示されている。

SSDの性能や品質は、利用しているコントローラやNANDフラッシュメモリで決まります。しかし、製品によっては、NANDフラッシュメモリに何を使っているのか明示していないものがあります。製造時点で最も安価なNANDフラッシュメモリを採用するため、ロットによって利用するNANDフラッシュメモリが異なっていたり、そもそも低品質なNANDフラッシュメモリを利用している場合もあります。

近年、SSDの需要が増えていることや、NANDフラッシュメモリが余って価格が下落している中、少しでも多く利益を得たいと考えるメーカーが、品質を犠牲にして安価な製品を投入している、という状態なのです。ですので、消費者のみなさんも、SSDを購入する時にはその製品がどんなコントローラやNANDフラッシュメモリを採用しているのか、しっかり確認した上で購入するようにしてもらいたいです。

インタビュー会場に展示されていた「RGAX」シリーズ。現在販売中の製品は、コントローラは「Realtek RTS5766DL」、NANDはキオクシアの「BiCS5」またはMicronの「B47R」とされている。
こちらは「MGAX」シリーズ。現在販売中の製品は、コントローラは「Realtek RTS5735DLT」、NANDはキオクシアの「BiCS5」またはMicronの「B47R」が採用されている。

我々CFD販売が扱う製品では、今回のSFT6000eも含めて、採用するコントローラやNANDフラッシュメモリチップのメーカー、型番、仕様などを明示しています。SFT6000eでは、コントローラにはRealtekの「RTS5772DL」を、NANDフラッシュメモリにはマイクロンの176層 3D TLC NANDフラッシュメモリ「B47R」(将来的にはMicronの232層 3D TLC NANDフラッシュメモリ「B58R」に変更予定)をそれぞれ採用しています。

先ほども言ったように、SSDの品質は利用するコントローラとNANDフラッシュメモリチップで決まるため、そこをしっかり明示することで安心して購入していただける、という点がCFD販売が扱うSSDの大きな差別化ポイントと言っていいと思います。

製品に関して、マニア向けではなくPCに詳しくない人にもなるべくわかりやすい言葉で説明し、手に取ってもらいやすい環境を整える取り組みを行っているという。

――ただ、消費者の多くはSSDを購入する時に価格を重視する傾向なのは事実です。ですので、SFT6000eも安価な製品と戦っていく必要があると思うのですが、その違いはどのようにアピールしていこうとお考えでしょうか。

[CFD販売 三谷氏]確かに、安価なSSDを選択する人には、初めてSSDを交換したり、初めてPlayStation 5にSSDを増設しようというように、比較的初心者の人が多いと思います。そういった方々に向けて、我々もわかりやすい言葉でしっかり説明していく必要があると思っています。テクニカルな言葉を使わずに説明するのは難しいのですが、今それを必死にやっているところです。

低消費電力/低発熱動作モードを備えるCFD販売の「SFT6000e」リードの実測値は6.4GB/sでPS5の増設用SSDとしての利用も視野に

SFT6000eは高性能で低発熱、ノートPCやPlayStation 5にも最適

――続いてSFT6000eの仕様を教えてください。

[CFD販売 三谷氏]まず、接続インターフェイスはPCI Express Gen4 x4に対応していて、製品のスペック値としてはシーケンシャルリードは6,000MB/s以上としています。なお、テスト機の速度検証では6,400MB/s以上のシーケンシャルリードが確認できています。容量は、最初は500GB、1TB、2TBまでを用意して、将来4TBを追加する予定です。製品保証期間は5年間です。

PCでの使用はもちろん、PS5の増設用としてのニーズも見込んだモデルとなっている。
SFT6000eのテスト機はシーケンシャルリードで6.4GB/sほどの速度が出ている。

――SFT6000eには「エコモード」という特徴的な機能が搭載されていますが、そちらはどういったものなのでしょうか。

[CFD販売 三谷氏]一部のハイエンドSSDでは、より高いアクセス速度を発揮するように、電圧を高めてオーバークロック動作させる「ゲームモード」といった機能を搭載している製品があります。そういった製品では、ゲームモードを利用すると消費電力が高まります。

エコモードはその逆で、速度はやや落ちますが、消費電力を10%ほど低減する機能です。速度はシーケンシャルリードで最大5,000MB/sとなりますが、通常と比べて消費電力と発熱が10%ほど低減されます。

ノートPCなどで利用する場合など、発熱を抑えて動作を安定化させるのはもちろん、消費電力が下がるのでその分バッテリー駆動時間も延ばすことが可能となります。速度は下がりますが、エコモードでも5,000MB/sと十分な速度が発揮されますので、速度の点でも大きなデメリットはないと考えています。

エコモードへの切り替えは、専用のユーティリティを利用します。ユーティリティでエコモードに切り替えると、それ以降パソコンの電源を落としてもエコモードで動作し続けます。もちろん通常のモードにも切り替えられますので、用途に応じて切り替えて使ってもらえればと思います。

――高性能なSSDは発熱が大きな問題になることが多いですが、SFT6000eの発熱はどんな感じでしょうか。

[CFD販売 三谷氏]製品版のSFT6000eでは、搭載するコントローラとNANDフラッシュメモリチップに銅箔プレートを装着して販売します。ヒートシンクほどの冷却性能はありませんが、その状態で常時負荷をかけた場合、温度は50度前後で推移することを確認しています。SFT6000eで採用しているコントローラはそもそも発熱の少なさが特徴になっていまして、負荷をかけても安定して速度が得られる点が大きな特徴となっています。

ですので、マザーボードに用意されているヒートシンクやヒートスプレッダなどを利用してもらうと、より安心して利用できると思います。さらに、エコモードに設定すれば、それこそヒートシンクのない状態でも全く不安なく利用できるSSDと言えます。

――用途としてはどういったところをターゲットとしていますか。

[CFD販売 三谷氏]中心となるのはデスクトップPCですが、ノートPCやPlayStation 5の増設用途といった部分もターゲットとしています。ちなみに、PlayStation 5対応をうたっている他社製品と比較してみたところ、SFT6000eのほうがゲームのロード時間が短い結果がでているので、ゲーム用途でのパフォーマンスも期待できる製品です。

インタビュー会場ではゲームロード時間の比較デモ映像も用意されていた。

――PlayStation 5でゲームのロード時間が短いという要因はどういったところにありますか。

[CFD販売 三谷氏]一般的にSSDは、負荷をかけたときに一定以上温度に達すると、サーマルスロットリングという発熱を抑える仕組みが作動して速度が低下します。SFT6000eでは、継続して負荷をかけても温度が大きく上がりませんので、サーマルスロットリングが発生しづらく、6,000MB/s前後の速度を安定して発揮できます。また、サーマルスロットリングが発生したとしても、速度低下をなるべく抑える特性がSFT6000eにはあります。

それに対して他のSSDでは、負荷がかかると比較的短時間で温度が上昇して、サーマルスロットリングが作動します。そして、サーマルスロットリング作動時の速度低下も大きいのです。この違いが、PlayStation 5でのゲームのロード時間の違いに現れていると考えられます。

PS5へのSSD取り付けなどもサポート情報としてCFD販売のWebサイトで公開されている。

――初心者もターゲットにしているということで、サポート体制も重要と思いますが、その部分はいかがでしょう。

[CFD販売 三谷氏]まず、我々は国内企業ですから、サポートは全て日本語で対応します。購入後のサポートはもちろん、購入前の相談もできます。購入相談まで対応できるのは、他のメーカーではなかなかないと思いますので、気軽に聞いていただきたいと思います。

また、ホームページに用意しているサポートページでは、例えばPlayStation 5への取り付け方どを動画で紹介したりもしていますので、そちらも活用してもらいたいと思います。

SSDコントローラはデータ保護機能が肝、NANDメーカーとのパイプがある点もアドバンテージにさまざまなコントローラチップを開発するRealtekはノウハウの蓄積も強みに

――続いて、RealtekのSuさんにお伺いします。我々のように長年PCに慣れ親しんでいる人は、Realtekと聞くと「カニのチップね」とすぐ思い浮かびますが、初心者の人にはあまり馴染みがないと思いますので、まずはじめにRealtekはどういった企業なのか教えてください。

[Realtek Su氏]我々Realtekは、1987年に創立した企業で、我々が開発した製品はPCをはじめ医療関係や自動車など様々な製品で利用されています。もともとゼロから出発しましたが、現在ではBluetoothやWebカメラ、カードリーダー、イーサネットなど5つの分野で世界ナンバーワンシェアを獲得しています。また、チップの出荷数は年間20億個に達しています。今販売されているPCには、我々の製品がほぼ間違いなく利用されています。

自作PCユーザーには“カニ”でおなじみのRealtek。
現在は様々なチップを開発しており、ネットワーク関連、Webカメラ、カードリーダー、サウンド向けのチップはもちろん、AI用のチップなども手掛ける。

PC向けサウンドコントローラでは圧倒的なシェアを持つRealtek。自作PCユーザーならお世話になっているユーザーも多いはず。

――御社がSSDコントローラを開発するのは今回が初めてではないですが、そもそもSSDコントローラを開発するきっかけはどういったことだったのでしょうか。

[Realtek Su氏]我々は、コントローラで利用する技術全てを自社開発しています。そして、カードリーダーなどの開発でデータの高速アクセスに関する技術も持ち合わせていました。他社の技術を一切使わず、全て自社技術のみで製品を開発するという点が、我々の大きな特徴です。

そういった中、お客様から「SSDはやらないのか」という声をいただきました。そこで10年前からSSDコントローラの開発を始めました。

――SSDコントローラの開発で難しい部分はありましたか。

[Realtek Su氏]最も難しいのは、様々なNANDフラッシュメモリメーカーとの調整です。様々なメーカーのNANDフラッシュメモリに対応させるため多様性を持たせる必要がありますし、エラーのハンドリングもそれぞれに調整する必要があります。特に近年は3D NANDフラッシュメモリが登場してきて、エラーハンドリングが非常に重要になってきています。そういった部分は、コントローラのハードウェアだけでなくソフトウェアも関わってきますので、非常に難しい部分です。

――そういった部分はNANDフラッシュメモリメーカーと協力して対応しているのですか。

[Realtek Su氏]開発を始めた10年前は、我々のエンジニアがNANDフラッシュメモリメーカーから資料やサンプルを取り寄せていました。

ただ5年ほど前からはSamsung、Hynix、Western Digital、Micron、YMTCといったNANDフラッシュメモリ/ストレージメーカーと月1回の技術ディスカッションを行うなど、綿密なやりとりを行っています。それによって、各社の最先端のNANDフラッシュメモリのサンプルも入手できていますし、NANDに合わせたファームウェアの調整や信頼性試験なども行っています。このようにNANDフラッシュメモリメーカーとの密接なやりとりがあるからこそ、高品質なSSDコントローラを提供できているのです。

今回開発された「RTS5772DL」。RealtekのSSDコントローラは2016年のCOMPUTEXには搭載機が展示されており、開発の歴史は長い。

――今回SFT6000eに採用されたコントローラ「RTS5772DL」の強みはどういったところでしょうか。

[Realtek Su氏]まず、採用している技術全てが自社開発という点は非常に大きな強みと思っています。これまで様々な製品で開発してきた技術をベースとして、安定性、パフォーマンス、消費電力といった部分全てを高いレベルで実現できています。社外技術を一切使わないことは、余計なコストがかからないということにもなりますので、コストの点でも大きなメリットがあります。

また、データの安全性という点も大きなメリットと考えています。RTS5772DLにはデータロスを防ぐ様々な技術が盛り込まれています。また、NANDフラッシュメモリの寿命を伸ばす技術も採用しています。

安価なSSD製品では、保証期間が短いものもありますが、SFT6000eはハイエンド製品と同じ5年保証が付帯します。これは、CFD販売さんがRTS5772DLの品質を信頼していただいている証拠で、非常にありがたい部分でもあります。

Realtekのオーバープロビジョニング技術「RAID 2.0」。
コントローラが側にも制御領域を設けることでデータロスと寿命面で有利な構造になっているという。

――ところで、SFT6000eには「アドバンスドRAID 2.0」という特徴的な機能が搭載されていますが、これはどういったものなのでしょうか。

[Realtek Su氏]SSDに搭載されるNANDフラッシュメモリ内には「オーバープロビジョニング」(OP)という領域が必ず確保されています。この領域はOSなどからは見えない領域として確保されてて、SSDのデータ転送速度を高めるキャッシュや、NANDフラッシュメモリの書き換えを最適化するための領域として利用されます。

NANDフラッシュメモリは、書き換えの上限が存在していて、ある一定回数以上の書き換えはできなくなっています。そのため、NANDフラッシュメモリの全領域を平均的に書き換えることで寿命を最大限にする必要があり、その最適化にOP領域を活用しています。

OPの領域の一部は通常RAID構成で確保されるため、OP用に確保された容量が数値通りに利用できるわけではありません。それに対しRTS5772DLでは、RAIDの領域をOP内ではなくコントローラ内に展開するようになっています。それによってOPの全領域を最大限有効活用できます。これによってOPに利用できる容量が結果的に多くなり、NANDフラッシュメモリの書き換えの最適化も、より効果的に行えるようになりますので、NANDフラッシュメモリ全体の寿命を延ばすことに繋がるのです。

我々は、コントローラを開発するうえで、お客様のデータの安全を第一に考えています。速度も重要ですが、それよりもデータの安全性がなにより重要です。これが我々のコントローラ開発の中心となっています。

インタビュー中は三谷氏とSu氏で掛け合いなどもあり、パートナーとしての関係性の良さを感じた。
インタビューはビルの高層階で行われ、開放感のある会場だった。

――最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いします。

[Realtek Su氏]我々の製品は、PCをはじめ様々な製品に入っていますが、チップのカニのロゴは見えませんので、なかなか馴染みはないかもしれません。しかし、品質、信頼性、コストには強い自信がありますので、SFT6000eも安心して使っていただきたいと思います。そして、今後もいい製品を送り出すように努力を続けます。

――三谷さんからもユーザーへメッセージをお願いします。

[CFD販売 三谷氏]Realtekは、PCに長年親しんでる人にとってはおなじみかもしれませんが、実際はPCを使っている人でも知らない人がほとんどです。ですので、まずはRealtekを知ってもらいたいと強く思っています。そして、こんな技術も品質もすごいメーカーがあるんだよということを知ってもらって、製品もどんどん広めていきたいと思います。

――本日はどうもありがとうございました。