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携帯ゲーミングPC「ROG Ally」を「WD_BLACK SN770M」でパワーアップ!1TB換装ならあと5本、2TBなら10本以上の大作ゲームもインストールできる!?
環境丸ごと移行もカンタン、容量だけじゃなく性能も向上 text by 芹澤 正芳
- 提供:
- Western Digital
2023年12月18日 00:00
M.2 SSDは2280サイズが一般的だが、最近では短い2230サイズにも注目が集まっている。ASUSのROG AllyやValve Steam Deck、最新のものではLenovoのLegion Goといった「ポータブルゲーミングPC」への採用が増えており、その容量不足を解消する“換装用”としての需要が高まっているためだ。
急激な盛り上がりを見せる2230サイズのM.2 SSDだが、Western Digitalからも新製品が登場した。エントリークラスの手頃な価格ながらハイエンド並みの性能を持つPCI Express Gen 4接続のSSDとしてヒット中の「WD_BLACK SN770 NVMe SSD」の2230サイズ版とも言える「WD_BLACK SN770M NVMe SSD」だ。
あのSN770の流れをくむSSDとなれば、当然性能も気になるところ。ここではASUSTeKの人気ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」のSSD換装手順を解説し、性能の違いをテストしていく。
最大2TBを用意し、容量不足を一気に解消
今回SSDの換装に使用するのは、ROG Allyの上位モデル。標準で2230サイズ/PCI Express 4.0 x4(Gen 4 x4)接続のM.2 SSDが搭載されているが、容量は512GB。近年、1本で100GBの容量を使用するゲームも存在しているだけに、複数インストールしてプレイしたい人にとってはちょっと不足感がある。
今回紹介する「WD_BLACK SN770M NVMe SSD」は512GB/1TB/2TBの容量をラインナップ。ROG AllyのSSDを1TBまたは2TBのモデルに換装すれば、容量の不足を一気に解消できる。DRAMレス設計ではあるが、シーケンシャルリードが最大5,150MB/秒、ライトは4,900MB/秒を誇るデータ転送速度は、2230サイズのSSDとしては最速クラス。ROG Allyのストレージ性能アップも期待できるのが大きなポイントだ。
容量 | 512GB | 1TB | 2TB |
実売価格 | 11,500円前後 | 17,000円前後 | 36,000円前後 |
フォームファクタ | M.2 2230 | ||
インターフェース | PCI Express 4.0 x4 | ||
プロトコル | NVMe 1.4 | ||
NANDフラッシュメモリ | Western Digital TLC NAND | ||
コントローラ | 非公開 | ||
シーケンシャルリード | 5,000MB/秒 | 5,150MB/秒 | |
シーケンシャルライト | 4,000MB/秒 | 4,900MB/秒 | 4,850MB/秒 |
総書き込み容量(TBW) | 300TB | 600TB | 1,200TB |
保証期間 | 5年 |
環境丸ごと移行できるクローニングがオススメ
ここからは実際に換装作業を行っていこう。換装手段は複数あるが、すでにROG Allyをある程度使い込んでいる(設定をいろいろ済ませていたり、ゲームやアプリをインストールしてあったりするなど)場合のオススメは、現在の環境を丸ごと移行できる「クローニング」だ。WD_BLACK SN770M NVMe SSDを購入したユーザーは、バックアップアプリ「Acronis True Image for Western Digital」が無償で利用できるので、クローニングによる環境移行が比較的手軽に行える。
作業に必要となるのは、M.2の2230サイズとPCI Express接続のSSDに対応するUSB接続の外付けケースと、ROG Ally分解用の精密ドライバー(プラス)、ケースを開けるときに使う“オープナー”だ。オープナーは、スマホなどの電子機器を分解するのに使用するもので、ギターのピックのような形状になっているものが多い。Amazonなどで400円前後から購入が可能だ。
また、SSDを実際に差し替える作業の際には、静電気にも十分気を付けてほしい。とくに乾燥した季節に作業するなら、簡単なものでいいので静電気対策(作業前にほかのものを触って静電気を逃がす、保湿・加湿する、など)を行っておくといいだろう。
大まかな手順は以下のとおり。
- 外付けケースにWD_BLACK SN770M NVMe SSDを組み込んでからROG Allyに接続
- ROG AllyにWestern DigitalのWebサイトから「Acronis True Image for Western Digital」をダウンロードしてインストール
- アプリを起動してクローニングを実行してROG Allyのデータを丸ごとコピー
- ROG AllyのSSDを取り外し、クローニング後のWD_BLACK SN770M NVMe SSDに換装
なお、筆者が試した限り、外付けケースは、USB変換コントローラにJMicronの「JMS583」を搭載するものは問題なくAcronis True Image for Western Digitalが動作したが、ASMediaの「ASM2364」を搭載するものは動作しなかった。ASM2364搭載タイプだと、普通の外付けSSDとして使う場合には何の問題はないのだが、Acronis True Image for Western DigitalがWD_BLACK SN770M NVMe SSDを認識できないようだ(少なくともROG Allyとの組み合わせにおいては)。
クローンが無事に作成されたら、ROG Allyの電源をオフにして外付けケースからWD_BLACK SN770M NVMe SSDを取り出す。ここからは換装作業だ。まずはROG Allyの背面には6カ所のネジがあり、それをプラスの精密ドライバーで取り外していく。下部中央のネジだけは背面カバーから完全に抜けないようになっているので覚えておこう。
ちょっと難しいのは背面カバーの外し方。オープナーを側面のミゾにいれてちょっと持ち上げながら動かしていくとカバーを固定しているツメが外れる。本体の周囲をグルッと一周、オープナーを沿わせように移動していくと、比較的簡単に外せる。無理矢理はがそうとするとツメが折れかねないので急がず慌てず作業を。
背面カバーを外したら、念のためバッテリーのコネクタを外して誤って電源ボタンを押しても動作しないようにしておく。そして、中央にある黒いフィルムの下にあるSSDを精密ドライバーで外して引き抜き、WD_BLACK SN770M NVMe SSDに交換する。そしてバッテリーのコネクタと背面カバーを戻せば作業は完了だ。Windowsが起動するかチェックしよう。
1TB版、2TB版ともに標準搭載SSDよりも性能向上を確認!
ここからは、SSDを標準の512GBからWD_BLACK SN770M NVMe SSDの1TB版と2TB版に換装した際の性能を測定する。まずはストレージの速度を測定する定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.4」から。
1TB版、2TB版ともほぼ公称通りの速度となった。1TB版のほうが若干高速となっているのも公称スペックと合致している。いずれも標準搭載SSDを上回る速度となっており、とくにシーケンシャルライトに関しては3,000MB/秒以上もアップした。
続いて、Microsoft Office、Adobeのクリエイティブアプリ、ゲームでのレスポンスをテストするPCMark 10のFull System Drive Benchmark、ゲームの起動、丸ごとの移動、録画などゲームに関するさまざまな処理をシミュレートする3DMarkのStorage Benchmarkを試そう。
PCMark 10では、1TB版で約42%、2TB版で約34%もスコアが向上。アプリのレスポンス向上が期待できる結果だ。3DMarkでも1TB版で約26%、2TB版で約18%スコアがアップしており、実際のゲームに関する処理の高速化も果たすだろう。
それでは実ゲームのロード時間をチェックしてみよう。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークとBLUE PROTOCOL Benchmarkの、実行後に集計されるローディングタイムを確かめた。
FF14については若干の短縮にとどまったが、BLUE PROTOCOLでは10秒以上もの短縮を確認。ゲームによっては体感できるほどロード時間が短くなると言えそうだ。
クラウドリカバリーを使った換装方法もある
最後にROG Allyに搭載されているクラウドリカバリーを使った換装手順も紹介しておこう。外付けケースを使わずにSSDを換装できるのがメリットだが、データはすべて消えてOSは初期状態に戻ってしまう。複数のアプリやゲームをインストールしていた場合、環境の再構築に時間がかかってしまう。逆にROG Ally購入“直後”にSSDを換装するなら、多少待ち時間がかかるものの外付けSSD化不要で作業できるので便利。
作業するにあたり、まずROG AllyでMy ASUSを実行してUEFIを最新状態に更新しよう。クラウドリカバリーはUEFIに組み込まれており、基本最新版ほど安定度が高まっているからだ。そして、電源をオフにして標準のSSDをWD_BLACK SN770M NVMe SSDと交換する。この手順はクローニングと変わらない。
ここからは、インターネット経由で必要なデータをダウンロードして初期状態に戻す「クラウドリカバリー」を使用して、換装したSSDにOSを再セットアップしていく。作業にはWi-Fiによるネット接続環境が必要となるので注意したい。
なお、作業はUEFIメニューから実行する。ROG AllyでのUEFIメニューの起動は、電源OFF状態でACアダプタを接続し、電源ボタンを押してから音量のマイナスボタンを押し続ければOK。
以降は画面の指示に従ってウィザード形式の作業を進めていく。途中Wi-Fiへの接続を求められ、必要なファイルのダウンロードとインストールが行われる。回線状況にもよるが、ダウンロードで30分以上、インストールで1時間以上かかることも。途中複数回の再起動が行われるが、画面に変化がなかったり作業経過のメーターの進みが遅かったりすることも。焦らず作業の完了を待とう。
容量と性能アップを両方達成できるのが強み
ポータブルゲーミングPCの注目度が高まったことで、店頭に並ぶ2230サイズのSSDが複数登場しているが、その中でもWD_BLACK SN770M NVMe SSDは最速クラスの性能を実現している。2TBの大容量モデルも用意されており、予算が許せば、容量不足の解消と性能アップを達成できるのが大きな魅力だ。
ほかのWestern Digital製SSDと同様に、Acronis True Image for Western Digitalが使えるのでクローニングを手軽にできるのも便利。ROG AllyのSSD換装を考えているなら、注目しておきたい製品だ。