トピック
15万円ゲーミングPC“Intelプラン vs. AMDプラン” マザーは機能と価格でMSI「GAMING PLUS」で決まり!
Intel&AMDで、見た目、性能、コスパが好バランスに! text by 芹澤 正芳
- 提供:
- MSI
2024年3月28日 00:00
MSIのゲーミング系マザーボードと言えば、フラグシップの「MEG」、ハイエンドクラスの「MPG」、ミドルレンジの「MAG」、この3シリーズがよく知られている。ここに新たに加わったのが、コストパフォーマンスのよさで注目を集めている「GAMING PLUS」シリーズだ。ゲーマー心をくすぐるスマートなデザイン、しっかりとした電源回路、M.2用のヒートシンクなどコスパ重視でも自作ユーザーが“この部分は充実してほしい”と思う部分をキッチリ抑えているのが一番のポイントだ。
今回は、そんなGAMING PLUSの最新ラインナップの中から、特にコストパフォーマンスに優れた2枚をチョイスし、“15万円で手に入るミドルレンジゲーミングPC”のプランを考えてみた。
2024年の「GAMING PLUS」はコスパのよさに磨きがかかる!
MSIからは過去にも、「GAMING PLUS」の名を持つマザーボードが数多く登場していたのだが、これまでは同社製品の大きな区分で言うところの「MPG」シリーズの一部に属していた。その「GAMING PLUS」が現在は、エントリーからミドルレンジのゲーマー向けの単独シリーズとして独立。GAMING PLUSの名を冠した従来モデルが好評で、MSIとしてはより力をいれてゆく、という姿勢の表れだろう。その意味でも最新世代のGAMING PLUSシリーズは期待して良さそうだ。
現在のラインナップでは、IntelプラットフォームがZ790/B760チップセット搭載、AMDプラットフォームではX670E/B650チップセット搭載のマザーボードとして製品を展開している。ゲーミング系らしく、 Express x16スロットは強化型、サウンド機能の充実、Wi-Fi/Bluetoothの搭載は共通している。ネットは有線でも、コントローラーなどデバイスの接続用としてBluetoothが欲しいという人は多いハズだ。
【Intelプラン】「B760M GAMING PLUS WIFI」とCore i5-14400Fプラン
今回は、「GAMING PLUS」シリーズからmicroATXサイズの製品を使って“予算15万円”のゲーミングPCプランを考えてみたい。Intel編とAMD編の2パターンを提案するので、CPUをIntelとAMDのどちらにするか迷っている方も参考にしてほしい。
まずは、チップセットにIntel B760を搭載するmicroATXマザーボード「B760M GAMING PLUS WIFI」を使ったプランから紹介しよう。構成は以下の通りだ。
CPU | Intel Core i5-14400F | 34,000円前後 |
マザーボード | MSI B760M GAMING PLUS WIFI | 20,000円前後 |
メモリ | DDR-5600 16GB×2 | 11,000円前後 |
ビデオカード | MSI GeForce RTX4060 VENTUS X2 8G OC | 49,000円前後 |
SSD | M.2 SSD(PCI-E Gen4 x4) 1TB | 15,000円前後 |
CPUクーラー | ミドルレンジ空冷クーラー | 4,000円前後 |
電源ユニット | MAG A650BNL(650W、80PLUS Bronze) | 7,000円前後 |
PCケース | microATX ミニタワーケース(サイドクリア) | 6,000円前後 |
合計 | 146,000円前後 |
※本稿執筆中の3月22日時点の価格)
チップセットがIntelの最新世代なので、CPUも同じく最新の14世代から選びたい。15万円でゲーミングという用途から考えると、CPUに割り当てられる予算は3万円程度が限界。そこで選択したのが、「Core i5-14400F」だ。性能重視のPコアを6基、効率重視のEコアを4基備える合計10コア16スレッドで、3万円台前半で購入できる。内蔵GPUを持たない「F」型番ゆえに、Core i5-14400より2,000~3,000円ほど安いのがポイントだ。
もし、予算を5,000円追加できるなら14コア20スレッドの「Core i5-14500」が購入できる。ゲーム以外に動画編集などCPUパワーを使う作業を考えているなら、検討したいポイントだ。
ゲーミングだけにビデオカードには予算の3分の1を投入した。5万円以内だと、手堅いのはNVIDIA最新世代のGeForce RTX 4060(8GB版)だろう。アップスケーラーとフレーム生成を組み合わせてフレームレートを大幅に向上させるDLSS 3に対応し、高画質&高圧縮のAV1形式へのハードウェアエンコードが可能など、最新鋭の機能を備えているのに加え、フルHDなら多くのゲームで高フレームレートを出せ、WQHDまで遊べるだけの基本性能を持っているからだ。
メモリはDDR5-5600の16GB×2枚で合計32GB、ストレージは複数ゲームのインストールを考えてGen 4 SSDの1TBモデルを選択した。それぞれ、これだけの容量があればとりあえず困ることはないだろう。ただ、最近では必要容量が100GBを超えるゲームもあるため、多くのゲームをプレイしたいなら、SSDを3,000~5,000円の予算追加で購入できる2TBモデルにするのもアリだ。
CPUクーラーは予算を抑えるならCPU付属品を使うのもアリだ。しかし、各パーツを自由に選べるのが自作の醍醐味。予算4,000円あれば、ミドルレンジクラスならかなり幅広く選べる。CPU付属よりも冷却力が高く静音性にも優れるのが当たり前だ。余裕があればプランに入れておきたい。PCケースは予算6,000円とした。microATXサイズなら、それなりの好みの見た目で選べる予算と言える。LEDによるドレスアップなど、見た目にこだわりたいなら予算を追加したいところ。
最後に、電源ユニットはビデオカードがRTX 4060なので650Wクラスで十分ということから、MSIの「MAG A650BNL」をチョイスした。650W出力としては、手頃な価格で人気だ。ただ、ATX 3.0対応ではないので12VHPWRコネクターは備わっていない。将来性を重視するなら、もう7,000~9,000円追加してATX 3.0対応の750W/850Wクラスを選ぼう。
それでは今回の主役である「B760M GAMING PLUS WIFI」を紹介しよう。最大の特徴は、2万円台前半のmicroATXマザーとしては充実の装備であること。12+1+1フェーズの強力な電源回路を備え、CPUへの安定した電力供給が可能。大型ヒートシンクを搭載して高負荷が続くゲームプレイにおける冷却対策もバッチリ。
M.2スロットはPCI Express Gen 4接続が2基用意されており、ストレージの増設もしやすい。そのうち1基は専用ヒートシンクの「M.2 Shield Frozr」を備えている。PCI Express 4.0 x16スロットは金属で補強した「Steel Armor」を採用と大型のビデオカードもしっかり支えられる仕様。オーディオ回路がノイズを抑えた「Audio Boost」を採用しているのもゲーミングマザーらしいところ。コーデックは定番のRealtek「ALC897」だ。
ネットワークも2.5Gの有線LANにWi-Fi 6Eと高速な環境に対応できる。Bluetooth 5.3もサポートとゲームコントローラーなどとも接続しやすいのがうれしいところ。コストを抑えつつも、ゲーミングマザーに求められる機能をしっかりと備えているのが強みと言える。
【AMDプラン】「B650M GAMING PLUS WIFI」とRyzen 5 7600プラン
次は、チップセットにAMD B650を搭載するmicroATXマザーボード「B650M GAMING PLUS WIFI」とRyzen 5 7600を軸にしたプランを紹介しよう。構成は以下のとおりだ。
CPU | AMD Ryzen 5 7600 | 30,000円前後 |
マザーボード | B650M GAMING PLUS WIFI | 21,000円前後 |
メモリ | DDR-5600 16GB×2 | 11,000円前後 |
ビデオカード | MSI GeForce RTX4060 VENTUS X2 8G OC | 49,000円前後 |
SSD | M.2 SSD(PCI-E Gen4 x4) 1TB | 15,000円前後 |
CPUクーラー | ミドルレンジ空冷クーラー | 4,000円前後 |
電源ユニット | MAG A650BNL(650W、80PLUS Bronze) | 7,000円前後 |
PCケース | microATX ミニタワーケース(サイドクリア) | 6,000円前後 |
合計 | 143,000円前後 |
※本稿執筆中の3月22日時点の価格)
チップセットがB650なのでCPUは、Ryzen 7000/8000Gシリーズから選択することになる。Intel版と同じく予算3万円程度と考えるとRyzen 5 7600がちょうどよいラインだ。性能面では6コア12スレッドとゲーム目的なら十分なコア数で、TDPが65Wなので発熱もそれほど大きくなく扱いやすい。CPUクーラーが付属しているので、予算を抑えることもできる。もう、3,000円ほどプラスすればよりブーストクロックの高いRyzen 5 7600Xも購入できるが、TDPは105Wと高くなり、CPUクーラーは付属しなくなる。トータルバランスを考えて今回はRyzen 5 7600のほうを選択した。
そのほか、マザーボード以外はIntelのプランと変わらないので割愛する。ポイントは、CPUが若干安いため、トータルで3,000円ほどIntel版よりも安くなったところだ(本稿執筆中の3月22日時点の価格ベースでの比較)。15万円の予算の範囲内でSSDの容量のアップをアップしたり、PCケースに凝ってみたりと、パーツの選択肢を広げやすい。後半のベンチマーク結果も踏まえて、どちらがよいか見きわめてほしい。
では、「B650M GAMING PLUS WIFI」を紹介に移ろう。電源は10+2+1フェーズで優れた給電能力を備えるDuet Rail Power System(DRPS)を採用し、上位CPUも安心して使える設計だ。かなり大型のヒートシンクを備えており、発熱対策もしっかりしている。B650チップセットなのでGen 5には対応していないが、Gen 5 SSDを使いたいのでなければゲーム用途において困ることは当面ないだろう。
M.2スロットはGen 4接続が2基用意されており、どちらも専用ヒートシンクの「M.2 Shield Frozr」を搭載。ハイエンドクラスのGen 4 SSDも安心して使える。PCI Express 4.0 x16スロットは金属で補強した「Steel Armor」仕様、オーディオ回路にノイズを抑えた「Audio Boost」を採用、有線LANは2.5G、ワイヤレスとしてWi-Fi 6EとBluetooth 5.3に対応している点はB760M GAMING PLUS WIFIと同様だ。
ただ、こちらはバックパネルカバーが一体型、バックパネルにType-Cコネクターを搭載、ワイヤレス用のアンテナが大型といった違いも。インターフェースまわりの充実度は、本機のほうが若干上回っている。若干の機能差で両プラットフォームの同格モデルの価格をほぼ揃えてきた絶妙のさじ加減はさすが。
ベンチマークで激突! 実力伯仲で迷いが増してしまう!?
ここからは、それぞれのプランをベンチマークで性能比較してみよう。“ほぼ同じ予算でIntelモデルとAMDモデルを組んでみよう”という構想で作ったPCだけに、その違いは気になるところだが、果たして。
まずは、定番のベンチマークとしてCGレンダリングでCPUパワーをシンプルに測定する「Cinebench 2024」と3D性能を測定する「3DMark」を実行する。
Cinebench 2024では、コア数が多いCore i5-14400FのほうがMulti Coreのスコアは高くなるが、ブーストクロックの高いRyzen 5 7600のほうがSingle Coreが高くなるというよい勝負に。3DMarkはGPU依存の高いベンチマークなので、ビデオカードが同じ今回のプランでは勝ったり負けたりと差はあまり出なかった。
では、実際のゲームではどうだろうか。定番FPSの「Apex Legends」、人気上昇中のTPS「HELLDIVERS 2」、重量級の代表「サイバーパンク2077」を用意した。Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際、HELLDIVERS 2はクリムジカのミッションで一定コースを移動した際、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で計測した。
ハッキリ言ってどれも誤差レベルだ。どちらのプランでも実ゲームにおいてはほぼ同じパフォーマンスが出せると言ってよいだろう。そして、フルHDなら重量級ゲームでもDLSS 3を活用すれば十分高いフレームレートを出せる。WQHDでも快適に遊べるだけの性能があるのが分かる。
このパフォーマンスであれば、筆者としては、フルHDの高リフレッシュレートのゲーミングモニターと組み合わせて“ヌルヌル動くゲームの世界”を体験することをオススメしたい。高リフレッシュレート&高フレームレートが生み出すなめらかな描画はFPSだけではなく、レースやRPGでも非常に気持ちいいからだ。“PC本体の予算は15万円”とした理由の1つがこれで、なるべく抑えた価格で十分なフレームレートが出せるPCを組み、浮かした予算をゲーミングモニターに回せれば、ゲーム環境は一気にリッチになるのだ。
続いて、シーケンシャルリード5,000MB/sクラスのGen 4 SSDをヒートシンク付きのM.2スロットに搭載し、CrystalDiskMark 8.0.5を3回連続で実行した際の温度をチェックしてみよう。温度はシステムモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」で追っている。
B760M GAMING PLUS WIFIのほうがM.2スロットがCPUに近いせいかわずかに温度が高くなった。しかし、どちらも十分冷えており、負荷がかかってもサーマルスロットリングによる速度低下が起きる可能性は低いだろう。
最後にシステム全体の消費電力もチェックする。OS起動10分後をアイドル時、そのほかはCinebench 2024実行時とサイバーパンク2077実行時の最大値とした。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。
CPUのパワーリミット設定の違いもあって、Cinebench 2024ではB760M GAMING PLUS WIFIのほうが高くなったが、サイバーパンク2077はビデオカードが同じこともあって消費電力はほとんど変わらなかった。性能面でも消費電力でもゲーミングPCとしてはほぼ同等と言ってよい。
IntelでもAMDでもGAMING PLUSシリーズはミドルレンジ構成にピッタリ
今回の15万円プラン。Intel環境のB760M GAMING PLUS WIFIを中心とした構成でも、AMD環境のB650M GAMING PLUS WIFIを中心とした構成でも性能はほとんど同じ。どちらを選んでもミドルレンジクラスのゲーミングPCとして快適な環境を構築できるのが分かった。
GAMING PLUSシリーズは、スペックや機能を盛り過ぎず、削り過ぎず、“これでいいじゃん”と思わせる絶妙な仕様と価格を実現している。今後エントリー、メインストリーム向けのマザーボードとして、より注目を集めることになりそうだ。