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ウルトラワイドモニターはオフィス/クリエイティブにも活きる!用途も画面も幅広なMSI「Modern MD342CQPW」

オールホワイトの美しいデザインも魅力の34型UWQHDモニター text by 内田 泰仁/井上 勝也

 ハイエンドゲーミングモニターからお手頃な価格のモデルまで、さまざまな液晶モニターのラインナップを揃えるMSI。「Modern」シリーズの液晶モニターは、主に“ビジネス向け”と位置付けられている。画面サイズの中心は24型と27型で、解像度はフルHD、WQHD、4Kをラインナップ。用途や予算感に応じたベストな製品を選びやすいのが特徴だ。

 本稿で紹介する「Modern MD342CQPW」は、現在シリーズ唯一の「ウルトラワイド」解像度の製品。つまり、一般的なモニターより横方向に広いタイプのモニターだ。画面サイズは34型で、実売価格は61,000円前後。

 今回は、画面の広さが作業効率に影響することが少なくないというプロカメラマンのレポートも交えて、ウルトラワイドモニターである本機の魅力を紹介する。

圧迫感の少ないスマート&スタイリッシュな大画面

 34型でウルトラワイドパネルともなると、卓上では圧迫感を感じそうなものだが、Modern MD342CQPWは、スリムなベゼルや、ホワイト基調のシンプルかつスタイリッシュなデザインもあって、意外に圧迫感の強さはそれほど感じない。ワイヤレスキーボード&マウスと組み合わせて机の上をスッキリさせれば、あっという間にシンプルモダンなワークスペースを構築できる。。

スタイリッシュなスマートデザインは本機の魅力のひとつ。背面もすっきりと美しい

 本体サイズは約809×425×251(幅×高さ×奥行き)mm、本体重量は約8.05kg。34型ということもありそれなりのサイズと重さになるが、底面積をしっかり確保したスタンドを採用していることもあって安定性抜群だ。付属のスタンドは、左右(スイベル、±30°)、前後(チルト、-5~20°)、高さ(0~110mm)の調整が可能。支柱にはケーブルホルダー、台座にスマートフォンスタンドが設けられている。

スイベルにも対応したスタンド。スマホスタンドやケーブルホルダーも用意されている
チルトは-5~20°、高さは110mmの範囲で調整可能

ゲーミングモニターに迫る高速パネルスムーズな映像や各種機能で目や身体の疲れを抑える

 それでは、パネルの仕様をチェックしていこう。サイズは前述のとおり34型で、解像度は3,440×1,440ドット(UWQHD)。パネル駆動方式はコントラスト比が高く黒の表現に強いVA方式。現在のVA方式パネルは速度面も大幅に改善されており、応答速度は1ms(MPRT)、リフレッシュレートもビジネス向けながら120Hzとなっている。なお、表面加工は光沢のないノングレア、コントラスト比は3,500:1、輝度は300cd、視野角は水平垂直ともに178°。色域はsRGBカバー率99%、DCI-P3カバー率95%。

長時間使用時の目の疲労を抑える各種機能を備えた「Eyes Ergo」仕様の製品
120Hzの高リフレッシュレート&Adaptive Sync対応のゲーミングスペックは「目の疲れの予防」にも効果がありそうだ

 仕様の傾向としてはゲーミングモニターにも似たもので、ビジネスモニターとしてはオーバースペックでは?と思う方もいるかもしれない。しかし、高リフレッシュレートはゲーム以外のアプリケーション操作においても動きが滑らかで残像感が少なくなるため、長時間利用時の目の疲れ対策としても有効だ。

目の疲労を和らげるアンチフリッカー/ブルーライトカット/ノングレア加工、モニターに向かう姿勢や乱視のチェックに利用するEye-Q Checkなどの機能を搭載

 また、横に広い液晶モニターは、広いワークスペースが特徴だが、広い分左右端がやや遠く感じられることも。本機はいわゆる“湾曲”タイプのパネルを採用しているため、左右端の遠さはさほど強く感じない。湾曲率は1500Rで、この値は人間の視野に近いものとされており、違和感少なく画面が全体を視認できるので目の疲れが軽減できる。

 もちろん、高リフレッシュレートや湾曲パネルの没入感の高さは、ゲームや映像コンテンツに有効なのはいつもどおり。テレワークなどの普及で、仕事/学習向けのPC環境とゲームやコンテンツ視聴用のPC環境が一体になっている人などは、こういったマルチに使えるモニターは使い勝手よく感じられるだろう。

湾曲パネルの湾曲率(湾曲の強さ)は、湾曲の強い順に1000R/1500R/1800Rの3つが一般的。本機が採用する1500Rは3つの真ん中で、人間の視野に近いものだという

 なお、湾曲の適切な効果を得るには、ワークデスク上に置いて50~100cm程度の距離で利用するのがベターだが、視野角が広いこともあるので、多少角度がずれた位置で画面を見ても色の破綻は少なめ。そのため、たとえば、ワークデスク上での作業状況の画面をほかの人に見せるような使い方をする際でも、特に色味や見にくさなどを気にせずに画面を見てもらえそうだ。

 背面の入出力端子は、HDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode、USB PD/最大98W)×1、USB 3.2 Gen 1 Type-A×2(USBハブ)+USB 3.2 Gen 1 Type-B×1(PC接続用)、ヘッドフォン出力×1。OSDの操作はパネル下部にある4つのボタンで行う。

本体背面の入出力端子。最大98Wの給電が可能なUSB Type-Cを搭載するため、ノートPCとの相性は非常に良好
OSDの操作はパネル下部のボタンで行う

 KVMスイッチ機能を搭載しており、HDMIまたはDisplayPort+USBで接続したPCと、USB Type-Cで接続したPCとの2台の間で、本機および本機のUSBハブに接続したUSB機器(マウスやキーボードなど)を共有し、切り替えて利用することが可能。据え置きのデスクトップPCと外出先で使うノートPCを使い分けつつ、モニターやUSB機器を共有して効率よく作業する、といった使い方も自在だ。

付属品。電源は180WのACアダプターを利用。スタンドを取り外して付属のVESAマウント用スペーサーネジを利用すれば、VESA75対応のモニターアームなどが取り付け可能

ウルトラワイドモニター“初体験”カメラマンがModern MD342CQPWを実際にじっくり使ってみた

 それではここからは、PC系媒体などで撮影を担当しているカメラマンの井上 勝也氏の使用レポートをお届けする。本機のパネルは、写真や映像の制作に特化したタイプのものではないため、色味などについての評価は割愛する。今回は、ウルトラワイドモニターを使ったことがない井上氏が、ウルトラワイドモニターを実際に使ってみるとどういうメリットを感じるか、という部分に注目してみていただきたい。

百聞は一見にしかず、これが湾曲モニターの“没入感”か!

 ライターさんや編集者の方に「湾曲の効果って何ですか?」と質問すると、「没入感が高いよ」という返答を一番多く聞きます。モニター自体を撮影するときは自分が使うわけではないので、正直「そうなのかぁ」程度の認識で、PCモニターに没入感とか必要なのか? とも思っていたりもしました。

 今回実際にじっくり触れたので、試しに映画を見たりゲームをプレイしたりしてみたのですが、ようやくその理由がよく分かりました。PCを操作するぐらいの距離で部屋を暗くして視聴・プレイしてみたところ、画面の両端まで、無理なく画角いっぱいまで見やすいサイズ感と湾曲具合。中心も両端も、視線の距離がほぼ同じになるように設計されているので、平面で見るよりも高い映像が迫ってくるような臨場感、ゲーム中の広大なフィールドを没入感ありで疾走できる爽快感。これこそまさに「没入感」という表現がピッタリのものでした。

デカさは正義。仕事が捗るウルトラワイドモニター

 次にModern MD342CQPWで普段頻繁に利用するLightroomやPhotoshopを使ってみました。

 全画面でLightroomを開くと、広い画面に一気にファイルを見られるのが便利でした。撮影した写真から使用するカットをセレクトするときなどに、「この画面で初期作業を一気に終わらせられそう!」と感じるボリュームを表示できます。

Lightroomの写真のサムネイル表示画面。ざっと写真をピックアップしていく作業にはもってこいの情報量

 Photoshopでは、アプリを全画面表示にして写真1枚表示にすると、写真のアスペクト比の都合で、結構な余白ができてしまいます。そこで、写真のサイズに合わせてPhotoshopウィンドウサイズを調整してやると、ちょうどいい具合に右側にスペースができました。そこに原稿やウェブサイトなどの資料、別のアプリなどを表示させておけば、必要な情報が1画面に収まり、作業効率がぐっとアップします。

単純に全画面表示すると、3:2の写真画像を全体表示した場合には無駄になっているスペースが多い
写真全体表示を維持しつつPhotoshopのウィンドウサイズを調整すると、別アプリを表示しておくのにちょうどいいスペースできる
Photoshopでのレタッチ作業で、写真を拡大して作業する際は全画面表示が便利。写真全体と修正箇所の拡大を行き来しながらレタッチ作業をするため、拡大時は修正箇所周辺を大きく表示しやすく、全体のチェックを行うときは写真全景を見渡しやすい、本機のサイズは非常に有効

 写真撮影時のワークモニターとしても使用してみました。僕の作業環境では「写真表示」と「カメラ操作」のアプリが別なので、ノートPCだとちょっと手狭に感じることが少なくありません。デュアルモニター化すると大幅に改善できますが、Modern MD342CQPWであれば、シングルモニターでも表示スペースにはかなり余裕ができます。ノートPC+Modern MD342CQPWのデュアルモニターなら、過去の撮影データや関連資料を表示させたりファイル整理をしたりしながら撮影ができるし、フラットな画面で写真を確認したいときはノートPCの画面を使うことができます。いつもの環境や一般的なデュアルモニター環境よりもさらに作業が捗りそうだと実感しました。

スタジオ作業のプレビューにも試用してみてもらった。物撮り時はPCでカメラを操作することが多いので、カメラの操作パネルとプレビュー画面を1画面に収められるのはかなり便利だそう

 井上氏のレポートは以上だ。ノートPCで撮影を含むさまざまな仕事をこなしている井上氏にとっては、ウルトラワイドの大画面を仕事環境に追加できるメリットは非常に大きかった、とのことだ。

オトナなデザインもカッコイイ、さまざまな用途で使ってみたいモニター

 ゲームやホビーでの利用を意識しがちなウルトラワイドモニターだが、実際の仕事の現場に組み込んでみると、日常の普段使いや仕事の作業シーンでも、通常のモニターよりも幅が広いことの恩恵をしっかり感じることができる。

 井上氏によると、映画やゲームの映像の没入感の高さから得られる“おもしろさ”を再発見できたのは非常によい体験だったそう。また、仕事で使うときは、データの整理や調べ物はもちろん複数アプリを同時/交互に使いながら作業するときに画面の広さが特に有効とのこと。また、パネルの幅が広くても湾曲パネルなので見やすさも優秀なので、この点も大きなメリットになる。

 今回試用したゲーミング“ではない”コンセプトのModern MD342CQPWからは、オールホワイト、シンプルでモダンなデザインも含めて、ウルトラワイドモニターが活躍する場の幅広さの可能性を強く感じた。さまざまなシーンで利用してみたい一台と言えるだろう。