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有機ELの良さをシンプルにまとめたゲーミングモニター「MSI MAG 321UP QD-OLED」、165Hz/4K/31.5インチ/QD-OLED対応
初めての有機ELゲーミングモニターにおすすめ text by 白倉甲一
- 提供:
- MSI
2025年6月30日 00:05
有機ELパネルを採用したゲーミングモニターは、応答の高速さや発色の良さからゲームに向いた特性を備えていると言われている。そうしたこともあり、各メーカー上位モデルに有機ELパネルを採用したゲーミングモニターが増えつつある。
筆者は普段IPSパネルのゲーミングモニターを使用しており、有機ELパネルのゲーミングモニターが初見で違いが分かるほどの性能を備えているか気になってはいる。そこで、今回はMSIの31.5インチ/4K解像度の量子ドット+有機ELゲーミングモニター「MAG 321UP QD-OLED」を使用してみて、実際にゲームでの使い勝手やパネルの発色など、どれほどの差があるのか確認してみた。
シンプルなデザインに必要な性能をしっかり搭載した有機ELゲーミングモニター
まずはMAG 321UP QD-OLEDの基本的なスペックを見て行こう。
パネル部分は3辺狭額縁のすっきりとしたデザインでLEDイルミネーションなどを省いたシンプルな外観。パネルサイズは31.5インチで、解像度は3,840×2,160ドット。QD-OLEDパネルを採用し、リフレッシュレートは最大165Hz、応答速度は0.03ms(GTG)で、ゲーミングモニターとして十分な表示性能を備えている。
本体サイズは約717×242×457mmで、重量は約9.1kg。最大表示色は約10億7,300万色、コントラスト比は1,500,000:1、電源は内蔵型。保証期間は3年間。
接続ポートはHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode)×1、ヘッドホン出力 ×1を備える。USB Type-Cは15WのUSB PD対応で、スマートフォンやタブレット、低消費電力のノートPCなどを接続する際に便利だ。
モニター本体はVESA100対応で、付属のスペーサーを使用することでモニターアームなどに取り付けることもできる。
付属スタンドは高さの調節はもちろん、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)と、一通りの調整が可能。しっかりとした安定感があり、取り付けもワンタッチで可能な構造になっている。
有機ELパネルを長く使うための機能も充実MSIの最新保護機能「MSI OLED Care 2.0」を搭載、3年保証も付与
有機ELで懸念される画面の焼付きへの対策として、MSI独自の焼付き防止機能「MSI OLED Care 2.0」等の最新保護機能を搭載している点も特徴となっている。
ピクセルシフトや定期的に自動実行されるメンテナンスなどの定番機能のほか、ロゴやタスクバーなどを検知して焼き付きを防ぐ機能や、静止画を検出して焼き付きを防止する機能なども備えている。
また、電子機器は発熱が大きいほど寿命も短くなるが、本機はQD-OLEDパネルの背面に放熱用のグラフェンフィルムを備え、専用のヒートシンクで熱が一ヵ所に溜まることが無いよう設計されている。こうした構造を採用することで、ファンレスの製品ではあるが、しっかりと熱対策が施されたモデルとなっている。
こうした保護機能などの効果を裏付けるように、MSIのほかのゲーミングモニターと同じく3年間の製品保証期間が付与されている。最新の保護機能や長めの保証期間は、製品を長く大切に使いたいユーザーにはポイントになるだろう。
応答速度0.03msの速さはゲームを有利に視点を大きく動かした際の視認性の高さもゲーム向き
ここからは実際に使用した際のインプレッションを紹介するが、まずはゲーム性能から見て行こう。
本機の応答速度は0.03ms(GTG)とゲーミングモニターの中でも優れた数値になっており、リフレッシュレートも最大165Hzと十分な性能を持っている。今回はFPSの「VALORANT」で使用感を確認してみたが、応答速度の速さは普段使用している液晶パネルのゲーミングモニターよりも優位に感じた。
VALORANTのような対面した敵を即座に撃ち抜く競技性の高いゲームでは、応答速度の性能は特に重要だ。画面を見てどれだけ早く反応できるかが勝敗に繋がるため、画面表示が速ければ速いほど有利といえる。近年の液晶パネルのゲーミングモニターもかなり高性能になっているので、別物レベルの劇的な性能差があるわけではないが、咄嗟の撃ち合いになった際などには、0.03ms(GTG)の応答速度が有利に働いていると感じる程度の差はあった。
有機ELモニターが登場したばかりの頃は、画面の焼付き防止機能などの処理が挟まる関係で表示にウェイトが入ってしまい、本来の応答速度が活かせない問題を抱えていたこともあった。しかし、現在のモデルであれば技術的な改良も進み、プレイしていて遅延を感じるような場面は一切なかった。こうした部分も個人的には好印象に感じた。
また、応答速度の速さとリフレッシュレートの高さは、視点を大きく動かした際の視認性にも影響が大きい。例えば、部屋に飛び込んで内部をぐるっと見渡しながら敵を追うといった場合、応答速度やリフレッシュレートの性能が低い場合、何が表示されているのか見づらくなる。高性能なゲーミングモニターは画面が大きく動いていても敵を視認しやすく、有利な状況を得やすくなる。
慣れで対応できる人もいるが、FPSをプレイするには31.5インチは大きすぎるという人もいると思われるので、その点は購入前の確認をオススメしたい。競技向けのゲームでは視野に画面全体を収めやすい24インチ前後のモデルが好まれ、大会の公式モニターが24インチクラスということも多い。画面が大きすぎると感じる人は、サイズが小さいモデルや、画面の表示サイズを24インチや27インチ相当に限定して使用できる上位モデルがあるので、そうしたものを選ぶとよいだろう。
本機はパネル性能が高いだけでなく、ゲームを快適に楽しむための機能も複数搭載されている。明暗表現をより鮮明にするAIビジョンや、カクつきやティアリングを抑えるAMD FreeSync Premium Proに対応。家庭用ゲーム機の120Hz駆動やVRR、HDRにも対応しているので、ぜひ活用してもらいたい。
広色域で鮮やかかつ高精細な映像表現、有機ELらしい暗部の微細な表現も魅力
量子ドットと有機ELを組み合わせた31.5インチの大型QD-OLEDパネルを備える本機は、ゲーム性能に優れるだけでなく、色域の対応範囲の広さも特徴。DCI-P3カバー率99%、Adobe RGBカバー率97%、sRGBカバー率100%と高い再現率を誇る。写真や動画の鑑賞はもちろん、クリエイター用途などにもこうした部分の性能は影響が大きい。
イラストや写真で発色の良さや精細感を確認してみたが、有機ELパネルらしくビビッドな色合いの表示は鮮やかで美しい。31.5インチ/4Kの解像度も精細感があり好印象。観賞用モニターとしてイラストや写真を見ていて楽しいモデルと言えそうだ。
暗部の階調表現かなり高いレベルで表現できている印象で、夜景などを表示しても美しく見える。ゲーミングモニターは赤が強調されたモデルも見かけるが、そうした色の偏りを見ていて感じることはなかった。視野角も178°と広く、こうした部分も表示された写真やイラストが美しく見えることに寄与している。大画面になるほど視野角の影響が出やすくなるので、大画面に適した特性を持つパネルが採用されていると言えるだろう。
こうした表示性能の高さは観賞用途だけでなく、クリエイター用途にも適した性能となるので、ゲームもクリエイター作業も1台で済ませたいという人にも向いている1台だ。
なお、本機のパネルは反射防止コーティングを施したハーフグレア(半光沢)パネルとされている。どちらかというと光沢パネルに近い印象で、コントラストや発色の良さを重視したものだと思われる。このあたりは良い悪いというよりは個人の好みになるが、光沢感を強めに感じて少し気になった。クリエイター用途の場合は反射が嫌われることも多いので、ゲームよりも創作活動に利用する時間の方が長いといった人は、好みに合っているかをチェックしておくとよいだろう。
どのモニターにも言えるのだが、使用環境に合わせて調整したり設定を変えたりすることで評価がガラッと変わることもある。環境や用途に合わせて表示設定やプロファイルを切り替えて使用してもらいたい。
また、本機は色域の表示性能をしっかり発揮できるよう、色精度をΔE≤2に抑えた状態にキャリブレーションされた状態で出荷されるほか、広色域をなるべく犠牲にせず色域への影響も少ないハードウェアブルーライトカット機能を備えている。「DisplayHDR TRUE BLACK 400」をサポートし、表示の鮮明さを示す「ClearMR9000」も取得しているので、スペックから性能を判断する際の参考にしていただきたい。
初めての有機ELゲーミングモニターとしておすすめ鮮やかな色合いかつ大画面でゲームを楽しみたい人には特に相性良し
MAG 321UP QD-OLEDは、有機ELパネルの良さとゲーム向けに必要な機能がシンプルにまとめられたモデルだ。ゲーム性能も表示性能も高いモデルなので、大画面ゲーミングモニターの入門機として良い選択肢になるだろう。
リフレッシュレート165Hz/応答速度0.03msの性能はがっつりゲームを楽しむ人にも向いており、31.5インチのサイズは画面とちょっと距離をとりゆったり遊びたい人にも向いている。色域のカバー率の高さやキャリブレーション済みとなっている点は、コンテンツを楽しむだけでなくクリエイター用途に使用したい人にも嬉しい部分になるだろう。
実販売価格は159,800円とエントリークラスの価格帯ではないが、過不足無いゲーム性能を備え、有機ELパネルのメリットもしっかり感じられるモデルを探している人にはぜひチェックしていただきたい。